避妊の方法 | 保険適用できるもの

この記事の執筆者

石川 聡司
(新さっぽろウィメンズ ヘルス&ビューティークリニック 院長)

北海道大学医学部卒業後、北海道大学病院、帯広厚生病院など地域の中核病院に勤務。品川美容外科にて美容外科医として3年間の研鑽を積み、2021年に婦人科・美容外科を併設した当院を開業。

婦人科全般の診療のほか、美容医療では美肌治療、美容整形をはじめ脱毛・アートメイクなど幅広く対応する。

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目次

一般的な避妊方法

コンドームを使用

避妊効果は約85〜98%と高く、市販で買えるため一般的な避妊方法ですが、男性(パートナー)の協力が必須です。
また、装着するコンドームサイズが大きすぎると途中で外れてしまい、失敗のリスクが高まりますので注意が必要です。

女性自身が身を守るための避妊方法(事前)

  • 低用量ピル(OC)
  • 黄体ホルモン製剤
  • 避妊リング(IUS)
  • 避妊注射
  • 銅付加子宮内避妊具(IUD)
  • 避妊インプラント
  • 卵管結紮

上記リストの中で保険適用(条件付き)できるのは、『①低用量ピル(OC)』『②黄体ホルモン製剤』『③避妊リング(IUS)』『④避妊注射』の4つですが、それぞれに保険適用の条件があります。

方法保険適用の条件避妊効果
低用量ピル(OC)月経困難症・子宮内膜症の治療目的約91〜99%
黄体ホルモン製剤子宮内膜症の治療目的約99%
避妊リング(IUS)月経過多・子宮内膜症の治療目的約99%
避妊注射子宮内膜症・月経困難症の治療目的約94%
Dr.石川

完全な避妊目的なら自費負担になります。
婦人科で「生理痛や月経不順がつらい」と相談すれば、保険適用の可能性があります。
経済的負担を減らしたい場合は、保険適用のあるIUSやピルの処方を検討するのがよいです。

各避妊方法のデメリット

① 低用量ピル(OC:経口避妊薬)

  • 毎日服用が必要(飲み忘れると効果が落ちる)
  • 副作用の可能性(吐き気、頭痛、血栓リスク)
  • 服用開始に医師の診察が必要(定期的な処方が必要)
  • 保険適用なし(避妊目的の場合)(月2,000〜3,500円ほど)
  • 他の薬との飲み合わせに注意が必要(抗生物質・抗てんかん薬など)

② 黄体ホルモン製剤(ジェノゲストなど)

  • 避妊目的ではなく治療薬として処方される(保険適用は子宮内膜症や月経困難症の場合のみ)
  • 副作用の可能性(不正出血、体重増加、にきび、うつ症状など)
  • 長期間の服用で骨密度低下のリスク
  • 生理周期が変化することがある(無月経になることも)

③ 避妊リング(IUS:ホルモン放出型子宮内システム / ミレーナ)

  • 医師による装着が必要(費用高め:30,000円~50,000円)
  • 装着時の痛みがある(個人差あり)
  • 装着後、不正出血や生理の変化があることがある
  • まれに子宮内でずれることがある(位置確認が必要)
  • ホルモンの影響でにきびや気分の変化が出ることがある

④ 避妊注射(デポプロベラ)

  • 3カ月ごとに病院で注射が必要(通院が面倒)
  • 副作用の可能性(体重増加・生理不順・骨密度低下)
  • 長期間使用すると生理が止まることがある
  • 効果が切れてもすぐに妊娠可能な状態に戻らない(数カ月〜1年かかることも)
  • 自己判断でやめると避妊効果が低下

⑤ 銅付加子宮内避妊具(IUD)

  • 医師による装着が必要(費用高め:30,000円~50,000円)
  • 装着時の痛みがある(特に出産経験がない人は痛みを感じやすい)
  • 生理が重くなることがある(経血量増加・生理痛悪化)
  • まれに子宮内でずれることがある(位置確認が必要)
  • ホルモンを含まないため、生理痛やPMSの改善効果はない

⑥ 避妊インプラント(ネクスプラノン)

  • 医師による埋め込み手術が必要(局所麻酔を使うが痛みあり)
  • ホルモンの影響で不正出血、体重増加、にきびなどの副作用が出ることがある
  • 除去時も医師の処置が必要(簡単に取り外せない)

⑦ 卵管結紮(不妊手術 / 永久避妊)

  • 手術が必要(費用が高い:20万〜40万円)
  • 全身麻酔が必要な場合もある
  • 元に戻せない(妊娠を希望しても難しい)
  • 手術後の回復に時間がかかる(痛みや違和感が続くことがある)
  • 100%確実ではなく、まれに妊娠するケースもある(再開通の可能性)
Dr.石川

短期間の避妊なら → ①低用量ピル・④避妊注射
長期間の避妊なら→③IUS(ホルモンリング)・⑤IUD(銅付加)

避妊方法主なデメリット
低用量ピル(OC)毎日服用が必要、副作用(血栓リスク)、保険適用外(避妊目的)
黄体ホルモン製剤避妊目的の処方不可、副作用(不正出血・骨密度低下)
IUS(ホルモンリング)装着時の痛み、高額、不正出血・ホルモンの副作用
避妊注射3カ月ごとに注射が必要、体重増加・骨密度低下、妊娠可能状態に戻るまで時間がかかる
IUD(銅付加)装着時の痛み、生理痛悪化、費用負担
避妊インプラント埋め込み・除去が必要、副作用の可能性
卵管結紮(手術)元に戻せない、手術が必要、高額な費用

女性自身が身を守るための避妊方法(事後)

避妊に失敗した場合や、避妊しなかった場合に緊急で妊娠を防ぐ方法があります。
主に『①アフターピル(緊急避妊薬)と『②IUD(銅付加子宮内避妊具)』の2種類があります。

① アフターピル(緊急避妊薬)

性交後72時間(または120時間)以内に服用
日本で承認されているのは以下の2種類です。

  1. レボノルゲストレル(LNG)(72時間以内に服用)
  2. エラ(ULIPRISTAL ACETATE)(120時間以内に服用)

デメリット

  • 避妊成功率が100%ではない(72時間以内の服用で約84%の避妊率)
  • 時間が経つほど効果が落ちる(早めの服用が重要)
  • 医療機関での処方が必要(処方費用+薬代で5,000〜15,000円ほど)
  • 副作用がある(吐き気、頭痛、不正出血、生理周期の乱れなど)
  • 次の生理が遅れることがある(生理が遅れたら妊娠検査が必要)
  • 常用できない(頻繁に使用するとホルモンバランスが崩れる)
  • 保険適用外(全額自己負担)

② 銅付加子宮内避妊具(IUD)

性交後5日以内に医師が子宮内に装着することで避妊可能

  • 避妊成功率 99%以上 と高い
  • 事後避妊としてだけでなく、そのまま長期的な避妊も可能(最大10年間)

デメリット

  • 医師の処置が必要(婦人科での挿入手術)
  • 費用が高い(約30,000〜50,000円)
  • 装着時に痛みを感じることがある
  • 生理が重くなることがある(出血量増加・生理痛悪化)
  • まれに子宮内でずれることがある(定期的な確認が必要)
Dr.石川

すぐに対処したい場合 → ①アフターピル(LNGまたはエラ)
確実な避妊を希望する場合 → ②銅付加IUD

方法避妊成功率服用・処置期限主なデメリット
アフターピル(LNG)約84%72時間以内吐き気・生理不順・効果が時間とともに低下
アフターピル(エラ)約85%120時間以内副作用あり・保険適用外
銅付加IUD99%以上5日以内装着時の痛み・生理痛増加

まとめ

避妊には事前と事後の方法があり、それぞれにデメリットがあります。
事前の方法として、低用量ピル(毎日服用が必要、副作用あり)、ホルモンIUS・銅付加IUD(医師の装着が必要)、避妊注射(体重増加・骨密度低下のリスク)、避妊インプラント(日本未承認)、卵管結紮(永久避妊)があります。
事後の方法にはアフターピル(72~120時間以内に服用、副作用・費用負担あり)と銅付加IUD(5日以内に装着、高額・痛みあり)があり、確実な避妊のためには事前対策が重要です。

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