アフターピル「ノルレボ」の副作用・失敗談Q&A – 値段や避妊率・効果を解説

レボノルゲストレル1.5mg

「ノルレボ®」は、性行為後72時間まで服用できる緊急避妊ピル(ECP)のひとつです。

この記事では、ノルレボ®の副作用や値段、避妊率を解説しています。

また、日々の診療の中でノルレボ®を服用したあとに、さまざまな心配や不安を持たれる患者さんがいらっしゃいます。

一人で悩まれて相談できないのはとても苦しいことだと思いますので、ノルレボ®に関してよくあるご質問や、不安、失敗談についてQ&A方式でお答えしました。

ノルレボ®をこれから服用する方や、服用後に悩みを持たれている方はぜひ参考にしていただければと思います。

この記事の執筆者

石川 聡司 日本産科婦人科学会認定 産婦人科専門医
(新さっぽろウィメンズ ヘルス&ビューティークリニック 院長)

北海道大学医学部卒業後、北海道大学病院、帯広厚生病院など地域の中核病院に勤務。2021年に婦人科・美容外科を併設した当院を開業。

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目次

アフターピル「ノルレボ®」の効果と避妊率

緊急避妊ピル

「ノルレボ®」の主成分であるレボノルゲストレルは最も一般的なアフターピルの一種であり、国内では唯一緊急避妊薬として承認されています。

日本でアフターピルとして承認されているのは「ノルレボ®」とその後発医薬品(ジェネリック医薬品)である「レボノルゲストレル®」いう薬の2つです。

ノルレボ®とレボノルゲストレル®は成分、効果ともに違いはありませんが、後発医薬品であるレボノルゲストレル®のほうが値段は安いです。

当院ではジェネリックであるレボノルゲストレル®を取り扱っております。

当院の緊急避妊ピル

ノルレボ®の効果

ノルレボ®の効果は以下の3つです。

  • 排卵の遅延
  • 受精の防止
  • 受精卵の着床を抑制する

ノルレボ®に含まれるレボノルゲストレルは、排卵を誘発するホルモンを妨害することで排卵を遅延または阻害し、卵子が受精する可能性を低下させます。

また、排卵がすでに起こっている場合、レボノルゲストレルは卵管内での精子の動きを妨害し、精子が卵子に到達する可能性を低下させる効果も報告されています1)

なお、ノルレボ®は着床が始まっている場合は効果がありません。

ノルレボ®の妊娠率

ノルレボ®の非妊娠率は98.4%、妊娠阻止率(危険日の妊娠防止)は81.0%です2)

服用時間妊娠率
直後~24時間1.7%
24時間~48時間0.7%
48時間~72時間2.5%
72時間~96時間1.1%
96時間~120時間4.8%
非妊娠率98.4%
妊娠阻止率81.0%

100%有効というわけではありませんが、性交後に正しく速やかに使用すれば、緊急避妊法として有効な方法と言えます。

アフターピル(緊急避妊薬)の効果時間や種類、それぞれの避妊率については以下の記事にまとめていますので、より詳しく知りたいかたはお読みください。

ノルレボ®の副作用

ノルレボ®の一般的な副作用は以下のとおりです。

  • 吐き気
  • 嘔吐
  • 倦怠感
  • 月経の変化
  • 下腹部痛
  • めまい
  • 頭痛

ノルレボ®服用後、約23%が吐き気を感じ、約5.6%が嘔吐があったと報告されています3)

服用後2時間以内に嘔吐してしまった場合、再服用が推奨されます。

また、倦怠感があったり、次の月経開始が早くなったり遅くなったり、月経の出血量が多くなるなど月経周期の変化もよく見られます4)

めまいや頭痛も一般的な副作用で、そのほか、まれな副作用として乳房痛や下痢、発疹やかゆみなどの皮膚反応があります。

これらの副作用はアフターピル服用後2~4時間程度で発現し、24時間程度で消失するのが一般的です。

アフターピルの副作用については、下記の記事も参考にしてください。

ノルレボの値段

当院での値段は以下のとおりです。ノルレボ®の後発医薬品(ジェネリック医薬品)であるレボノルゲストレル錠を取り扱っています。

レボノルゲストレル錠 1錠 10000円(税込)
※上記以外に追加料金は不要です(初診料、再診料、カウンセリング料などはかかりません)

相場としては、9000円~15000円程度で取り扱っている医療機関が多いです。

近年は通院なしでインターネットの通販・市販でアフターピルを販売するショップがあり、数千円と安く販売されているため魅力的に見えますが、個人輸入サイトのような場所での購入は避けていただきたいです。

通販サイトで購入した薬が破損していたり、健康被害が起きる可能性があったりと、厚生労働省から注意喚起されています。

アフターピルはまれに重篤な副作用が起こる可能性がありますので、医療機関で処方を受けるのがベストな選択肢です。

通院に抵抗がある場合は、オンライン診療でピル処方を受けるのがおすすめです。オンライン診療によるアフターピルの処方は、10000円~30000円程度が目安となっています。

ノルレボ®の服用や避妊に関する失敗談・不安Q&A

悩む 女性

アフターピルとしてノルレボ®を服用することができても、その後の身体の変化などから、不安に思うことが出現する場合もあります。

自分ではなかなか人に相談できず、正しい情報も見つけにくいのではないかと思います。

婦人科医としての経験から、質問形式で不安や悩みにお答えします。

Q. 本当に消退出血だったのか心配・・・

生理 不正出血
〈質問〉

2日前のセックスでコンドームが破けてしまいましたので、その後すぐにノルレボ®を飲みました。

その次の日に鮮血がでたのですが、本当に消退出血だったのでしょうか?

〈回答〉

アフターピル服用後、数日以降に起こる出血を消退出血といいます。

アフターピルにより急激に増えた女性ホルモンが、急激に減るために子宮内膜がはがれて起こる出血です。

通常の生理よりも期間が短く、出血量も少ないと言われています。

質問者さんの出血がこの特徴に当てはまるなら、消退出血の可能性が高いと言えます。

確実に避妊に成功したと言えるのは、生理予定日に十分な量の出血による生理が来てからです。

Q. 避妊を失敗して2日後に急に食欲が出てるのですが

女性 お菓子 飲み物
〈質問〉

夜23時頃にコンドームが破れてしまい避妊を失敗し、翌日のお昼にノルレボ®を服用しました。

ノルレボ®を飲んで次の日から食欲がすごく湧くようになり、妊娠しているのかと不安に思っているのですが大丈夫でしょうか?

〈回答〉

アフターピルとしてノルレボ®を服用した場合は、食欲不振が副作用の一つとしてあげられています。食欲増進の直接原因がノルレボに関係あるとは考えにくいです。

また、ノルレボ®服用翌日からの食欲増進なので、妊娠の影響で食欲が出ているとも考えにくいです(妊娠の影響にしては早すぎます)。

ノルレボ®の服用は正しいタイミングでできているようなので、生理予定日に十分な量の出血による生理がみらた場合には、避妊は成功といえます。

2-3週間時間が経ってみないと結果はわかりませんが、アフターピルは95%以上の避妊率ですので、食欲については考えすぎなくてもいいのではないかと思います。

Q. 予定日を過ぎても生理がこない

時計 電卓
〈質問〉

膣内射精から2日後にノルレボ®を服用して消退出血がないまま3週間が過ぎています。

生理予定日の前日にサラサラした少量の出血があり生理予兆がありましたが、そこから3日たっても生理がきません。

この場合、様子をみたほうがいいのか、どうしたらいいのか教えてください。

〈回答〉

生理予定日から1週間たっても生理がこない場合は、病院を受診するか、妊娠検査薬の使用をおすすめします。

生理予定日の前日にあったという出血が、消退出血か、着床出血か、生理の予兆かはご自分で判断するのは難しいものです。

明らかに生理だと言えるような十分な量の出血がない場合には、早めに状況を確認し、その後の対応を考えるべきです。

また、妊娠検査薬で陰性でも、生理が来ない場合は病院の受診をおすすめします。

Q. 排卵日あたりに避妊を失敗して不安

ピル コンドーム
〈質問〉

排卵日あたりの性行為中にゴムが外れてしまっていたのですが気づかないで中だしする形になっていまいました。

すぐにノルレボ®を服用して下痢が続いています。出血は次の生理日あたりにくるのでしょうか?

とっても不安でたまりません。

〈回答〉

とてもご不安でしたね。ノルレボ®を服用後に下痢があっても基本的には問題ありません。ノルレボ®は2時間程度で体内に吸収されるからです。

下痢の原因がノルレボ®による副作用か、その他の原因かは、質問からはっきりしませんが、万が一服用直後から激しい水様便が何度も続いた場合には、担当医に相談してください。

基本的には次の生理予定日周辺に生理が来ますが、ノルレボ®の服用によって生理日が前後にずれてしまう人も多いです。

生理予定日から1週間以上遅れて生理がみられない場合は、妊娠の可能性も考え、病院を受診するか、妊娠検査薬を使用してください。

また、生理よりも少量で期間が短い「消退出血」が起こることもあります。

ノルレボ®を服用して3週間程度で生理による十分な量の出血がみられれば避妊に成功したということになります。

Q. 副作用があまり無いけど、これって体質なの?

女性 ベッド
〈質問〉

避妊失敗時にノルレボ®や、低用量ピルを毎日飲み続けているのですがこれまで強い副作用が出たことはありません。

急に強い副作用が出るようになったりするのでしょうか?

〈回答〉

アフターピルの副作用には個人差があり、その程度や症状も人によってさまざまです。

以前はヤッペ法といって、吐き気や悪心が約50%程度の方におこり、約15%程度が嘔吐してしまう薬が使われていました。現在は、ノルレボ®が承認され、避妊効果の有効性、副作用などの安全性ともに改善されています。

一般的にはノルレボ®の服用で、約30-50%程度のかたに消退出血や不正性器出血、3-15%程度のかたに悪心などの症状が出現するとされています1)

まったく副作用が出ないかたもおりますので、安心してください。副作用が無い場合も、正しい飲み方をしていれば、避妊率に差はありません。

Q. ノルレボ®で避妊が失敗する原因ってあるの?

吐き気 吐く 女性
〈質問〉

ノルレボ®を服用して避妊が失敗する原因はどのようなことがあるのでしょうか?

ちなみに私は、排卵検査薬で陽性がでた日に性交渉をして翌日にノルレボ®を服用しました。

〈回答〉

ノルレボ®を服用して避妊が失敗する原因には以下の3点が考えられます。

  • 72時間のタイムリミット
  • 2時間以内の嘔吐
  • 服用後の無防備な性交渉

ノルレボ®を服用する際、まず最も気を付けなければいけないのが、性交渉から72時間以内という服用までのタイムリミットです。

相談者さんは性交渉の翌日に服用されたということで、服用のタイミングは問題ないと思います。72時間以内となってはいますが、避妊をしなかった性交渉から服用するまでの時間は早ければ早いほど、高い避妊率が期待できます。

また、アフターピルの起こりやすい副作用として、悪心や嘔吐がありますが、アフターピル服用後2時間以内に吐き戻してしまった場合は、避妊の効果が十分に得られず失敗する可能性があります。この場合は再度受診し、できるだけ速やかにもう一度アフターピルを服用する必要があります1)

服用後2時間以上時間がたってから嘔吐してしまった場合は、十分に薬剤が吸収されているため、追加でアフターピルを服用する必要はありません。

嘔吐を繰り返す場合は、別の緊急避妊法として銅付加子宮内避妊具(Cu-IUD)による避妊を考慮します。

さらに、アフターピルはあくまでも、服用前にあった無防備な性交渉の避妊を行うための事後処理です。

ノルレボ®内服後から次の生理の時期までには効果的な別の避妊方法を使うか、性交渉を控える必要があります。

「ノルレボ®を飲んだから今月は避妊できている」ということではないので気をつけてください。

また、短期間に何度もアフターピルを服用することもあまりおすすめできません。確実な避妊を望むのであれば、定期的な低用量ピルの服用をおすすめします。

Q. ノルレボ®のジェネリックは効果が同じ?

薬 ピル
〈質問〉

「ノルレボ®」と、そのジェネリックである「レボノルゲストレル®」は、効果に違いがあるのでしょうか?

効果や副作用、飲み方などの違いや注意点があれば教えてほしいです。

〈回答〉

レボノルゲストレル®は、ノルレボ®と有効成分が同じであるため、効果に大きな違いはありません

アフターピルとしてノルレボ®2) は2011年に、レボノルゲストレル®3) は2019年に国から承認されています。

後発医薬品はジェネリック医薬品とも呼ばれ、新薬(先発医薬品)の特許が切れたあとに販売されます。新薬と同じ有効成分・品質・効き目・安全性があると国から認められたお薬です。

つまり、先発医薬品であるノルレボ®とジェネリック医薬品であるノボレルゲストレル®は、両者の効果や副作用、飲み方や注意点などに違いはなく、いずれも同等の効果が得られるとされています。

あえて違いを述べるとしたら、ジェネリック薬であるレボノルゲストレル®のほうが安く手に入り、価格に差が出てきます。

当院ではレボノルゲストレル®を処方することができます。

まとめ

アフターピル「ノルレボ®」について解説しました。

  • ノルレボは国内では唯一緊急避妊薬として承認されている
  • 「ノルレボ®」のジェネリック医薬品が「レボノルゲストレル®」成分や効き目は同じ
  • 「レボノルゲストレル®」の方がノルレボ®よりも値段が安い
  • ノルレボ®の非妊娠率は98.4%、妊娠阻止率(危険日の妊娠防止)は81.0%
  • 副作用は吐き気や嘔吐、倦怠感が一般的
  • 9000円~15000円程度が値段相場

アフターピルは通販サイトではなく、医療機関で処方を受けるのが望ましいです。通院が難しい場合はネット購入ではなく、クリニックによるオンライン診療を検討しましょう。

Dr.石川

わからないことがある場合は、医師へ相談してください。

参考文献

日本産婦人科学会. 緊急避妊法の適正使用に関する指針(平成28年度改訂版). http://www.jsog.or.jp/uploads/files/medical/about/kinkyuhinin_shishin_H28.pdf

1) Glasier AF, Cameron ST, Fine PM, et al. Ulipristal acetate versus levonorgestrel for emergency contraception: a randomised non-inferiority trial and meta-analysis. Lancet. 2010;375(9714):555-562.

2) 独立行政法人医薬品医療機器総合機構. ノルレボ0.75mg. https://www.pmda.go.jp/drugs/2011/P201100047/39014900_22300AMX00483000_K101_1.pdf

3) Task Force on Postovulatory Methods of Fertility Regulation. Randomised controlled trial of levonorgestrel versus the Yuzpe regimen of combined oral contraceptives for emergency contraception. Lancet. 1998;352(9126):428-433.

4) Gemzell-Danielsson K, Berger C, Lalitkumar PG. Mechanisms of action of oral emergency contraception. Gynecological Endocrinology. 2013;29(7):683-687.

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