葉酸を摂取するとき、サプリなどからではなく「できるだけ食べ物で摂取したい」と考える方は多いですよね。食べ物から葉酸を摂取するのであれば、野菜が断然おすすめです。
本記事では、葉酸の含有量の多い野菜をランキング形式で紹介しています。
- 葉酸の含有量の多い野菜
- 葉酸を効率的に摂取できる野菜の食べ方
- 妊活中や妊娠初期におすすめの野菜
野菜は葉酸の宝庫であり、葉酸だけでなく他の栄養素も豊富。食物繊維も一緒にとれますよ。野菜から葉酸を効率的に摂取したい!という方は、ぜひ参考にしてくださいね。
この記事の執筆者
石川 聡司 日本産科婦人科学会認定 産婦人科専門医
(新さっぽろウィメンズ ヘルス&ビューティークリニック 院長)
北海道大学医学部卒業後、北海道大学病院、帯広厚生病院など地域の中核病院に勤務。2021年に婦人科・美容外科を併設した当院を開業。
- 資格:日本産科婦人科学会認定 産婦人科専門医
- 所属:日本美容外科学会JSAS、日本女性医学学会、日本産婦人科学会、日本周産期新生児学会
葉酸含有量の多い野菜ランキング(100gあたり)
100gあたりの葉酸含有量の多い野菜をランキング形式でご紹介します。
野菜は調理方法や状態によって、“かさ”や質量が変わります。また、葉酸は水や熱に弱く、調理過程によっては50~90%以上が流失される特徴を持ちます。
ここでは、「生の状態の野菜100g」と「調理後の状態の野菜100g」を区別して、その葉酸配合量をランキング付けしています。
生の状態での葉酸含有量ランキング
※文部科学省「食品データベース」※1より
順位 | 食品名 | 100gあたり葉酸量(μg) |
---|---|---|
1位 | 枝豆 | 320 |
2位 | からし菜 | 310 |
3位 | モロヘイヤ | 250 |
4位 | 水かけ菜 | 240 |
芽キャベツ | ||
なばな | ||
5位 | ブロッコリー | 220 |
パセリ | ||
はなほっこり | ||
6位 | ぜんまい | 210 |
あさつき | ||
ほうれん草 | ||
7位 | すぐきな(葉) | 200 |
8位 | アスパラガス | 190 |
よもぎ | ||
春菊 | ||
9位 | ルッコラ | 170 |
10位 | ふきのとう | 160 |
その他おすすめの野菜 | 豆苗 | 120 |
水菜 | 140 | |
白菜 | 61 |
以上、生野菜に含まれる100gあたりの葉酸量の多い野菜です。葉酸を多く含んでいても、生で食べる習慣のない野菜が多いですね。
生のままで葉酸配合量が多く、かつ生の状態で食べやすい野菜は『からし菜・パセリ・あさつき・ほうれんそう(生食用)・ルッコラ』といったところでしょうか。
例えば、えだまめ・モロヘイヤ・芽キャベツ・ブロッコリーなど生で食べることがほとんどない野菜は、調理の過程で葉酸は流出されてしまうため、上記の葉酸量がまるまる摂取できるわけではありません。
調理後にはどれくらいの葉酸が残っているのかについては、下記の「調理した状態での葉酸配合ランキング」をご覧ください。
調理した状態での葉酸含有量ランキング
※文部科学省「食品データベース」※1より
順位 | 食品名 | 調理法 | 100gあたり葉酸量(μg) |
---|---|---|---|
1位 | ブロッコリー | 焼き | 450 |
2位 | 菊 | 菊のり(蒸して干したもの) | 370 |
3位 | ブロッコリー | 油炒め | 340 |
4位 | 枝豆 | 冷凍 | 310 |
5位 | 枝豆 | 茹で | 260 |
6位 | なばな | 茹で | 240 |
7位 | アスパラガス | 油炒め | 220 |
芽キャベツ | 茹で | ||
8位 | 切り干し大根 | 干し | 210 |
9位 | あさつき | 茹で | 200 |
10位 | なばな | 茹で | 190 |
11位 | 豆苗 | 油炒め | 180 |
その他おすすめの野菜 | ブロッコリー | 電子レンジ | 160 |
ほうれん草 | 油炒め | 140 | |
ブロッコリー | 茹で | 120 | |
ほうれん草 | 茹で | 110 |
生の状態と調理後では、100gあたり葉酸量(μg)のランキング付けが大きく変わります。
野菜によっては、生の状態で豊富な葉酸量を有しているのにもかかわらず、調理する過程で大幅に葉酸が流失してしまうものがあります。
調理しても100gあたりの葉酸が安定しているものとしては、「ブロッコリー」「えだまめ」「アスパラガス」などが挙げられます。
調理方法では、焼き > 油炒め > 茹で の順で、葉酸が調理段階で流失しにくいです。
葉酸を効率的に摂取するための野菜の食べ方は?
葉酸を効率良く野菜から摂取するためには、「調理方法の工夫」「かさが少なく食べやすい野菜を選ぶ」この2点を意識すると良いでしょう。
調理方法を工夫する
葉酸は熱や水に弱い性質を持ちます。そのため、調理の段階でその成分の半分近くが分解されたり、水に流失したりする可能性があります。※4
葉酸を効率よく摂取する調理のコツ
- サラダにして生で摂取する
- スープに入れて、ゆで汁も一緒に飲む
- 焼き(グリル)や油炒めは、葉酸流出が少ない
- 茹でるよりも電子レンジを利用する方が葉酸流出が少ない※1
- ミキサーを使用し、野菜ジュースにする
調理方法を工夫すると、摂取できる葉酸量がアップします。
100gの「かさ」が少なく食べやすい野菜を選ぶ
野菜から葉酸を多く摂取したいと思ったとき、100gあたりの葉酸配合量が多い野菜を積極的に選んで食べると摂取できる葉酸量がわかりやすいです。
ただ、野菜は種類によって“かさ”が異なるため、同じ100g同士でも食べやすさに違いがあります。
野菜100gあたりに含まれる葉酸の量に注目するのと同時に、「それぞれの野菜の100gはどれくらいのボリューム感なのか」を考え、かさの少ない食べやすい野菜を選ぶと効率的です。
食品の重さと目安量の例
食品名 | 100gあたり葉酸量(μg) | 100gの目安量 |
---|---|---|
えだまめ | 320 | 100粒 |
からし菜 | 310 | 2本 |
モロヘイヤ | 250 | 1パック |
芽キャベツ | 240 | 中サイズ7個 |
なばな | 240 | 5本 |
ブロッコリー | 220 | 4房 |
パセリ | 220 | 10束以上 |
ほうれん草 | 210 | 3束 |
ぜんまい | 210 | 10本 |
アスパラガス | 190 | 4本 |
春菊 | 190 | 5束 |
ルッコラ | 170 | 2パック |
ふきのとう | 160 | 5個 |
いくらえだまめに葉酸が豊富に含まれているといっても、1日に100粒食べるのはなかなか難しいですし、パセリをそのまま10束以上摂れるとは考えられません。
逆にブロッコリーは、たった4房で220μgの葉酸を摂取できます。調理方法によっては1回の食事でそれ以上の摂取も可能なため、かなり効率よく葉酸が摂取できるでしょう。
同じ理由で、ほうれんそうやルッコラなども食べやすいため、効率よく葉酸を摂取できると考えられます。
100gあたりの葉酸の配合率だけにとらわれず、一度にたくさん食べられる野菜を選ぶと、効率よく野菜から葉酸を摂取できますよ。
1日にどのくらい野菜を食べれば良い?
厚生労働省が提示している「健康日本21」では、生活習慣病を予防し健康的な身体を維持するために「1日あたり350g以上の野菜を食べる」ことを推奨しています。※4
350gの量が少しイメージしづらいかもしれませんが、生野菜であれば片手に一杯の野菜を3つ分、茹で野菜であれば片手に一杯分が目安です。
また、葉酸に限って言えば、野菜を350g食べれば約400μgの葉酸が摂取できるとされています。※3
しかしながら、実際には1日あたり350gの野菜を十分に摂取できている方は非常に少ない現状です。
女性の1日あたり野菜摂取状況
年齢 | 野菜の摂取量※小数点以下切り捨て | 野菜の摂取量が350g以上の者の割合 |
---|---|---|
20‐29歳 | 212g | 14.8% |
30‐39歳 | 223g | 14.8% |
40‐49歳 | 241g | 19.4% |
50 – 59歳 | 260g | 24.0% |
60 – 69歳 | 309g | 35.7% |
70歳以上 | 300g | 31.1% |
男性の1日あたり野菜摂取状況
年齢 | 野菜の摂取量※小数点以下切り捨て | 野菜の摂取量が350g以上の者の割合 |
---|---|---|
20‐29歳 | 233g | 19.7% |
30‐39歳 | 258g | 21.9% |
40‐49歳 | 253g | 24.2% |
50 – 59歳 | 278g | 28.3% |
60 – 69歳 | 304g | 33.3% |
70歳以上 | 322g | 36.9% |
野菜摂取状況を見ると、かなり意識的に野菜を摂取する必要があるとわかりますね。
そんなに多くの野菜を食べられない方は、野菜を茹でるなどし、“かさ”を減らすと食べやすくなります。
野菜を一度にたくさん食べられる方法
- お鍋
- スープ
- 生野菜をミキサーでかけてつくる野菜ジュース
妊娠1カ月前から妊娠初期におすすめの野菜は?
- ブロッコリー
- ほうれん草
- 豆苗
- からし菜
- ルッコラ
- 白菜
- 水菜
- 春菊
妊娠1ヶ月以上前から妊娠初期は、普段以上に葉酸が必要となる時期です。
野菜からの葉酸摂取は通年を通して八百屋やスーパーに並んでいる、ブロッコリーやほうれん草、豆苗がおすすめ。
また、生食で食べられるかつ豊富な葉酸配合量を誇る「からし菜」「ルッコラ」もおすすめです。
どの野菜もクセが少なく他の具材との相性も良いため、取り入れやすい野菜です。
また、特別葉酸量が多く含まれるわけではありませんが、「白菜」「水菜」はつわり時期でも比較的食べやすい野菜。葉酸を豊富に含む春菊などと組み合わせての鍋料理は、手軽にたくさんの葉酸がとれます。
妊娠中・妊娠初期の葉酸摂取量を見る
葉酸含有量の少ない野菜は何?
次に紹介する野菜は、葉酸の含有量が比較的少ない野菜です。
ただ、葉酸の量は少ないとはいえ、その他に含まれている栄養素には身体の働きに欠かせないもの、有益に働くものもあります。
葉酸を多く含む野菜とともに、食事に上手く取り入るように心がけましょう。
葉酸の含有量が少ない野菜
食品名 | 葉酸配合量(㎍)※100gあたり | 特徴 |
---|---|---|
生姜 | 8 | 生姜の辛味成分には、身体を温め痛みを和らげる効果があるとされる。 |
にんにく | 3 | 滋養強壮や疲労回復によい。料理のスパイスに最適。 |
らっきょう | 29 | 血行促進、疲労回復、コレステロール値を下げる効果があるとされている。 |
きゅうり | 25 | 高血圧予防、利尿効果。食物繊維が豊富でお通じによい。 |
まとめ
多くの野菜に含まれている葉酸は、サプリなどを使用しなくても、食物から手軽に摂取できる栄養素です。
特にブロッコリーやほうれんそう、豆苗などは食べやすく料理の選択肢も多いため、葉酸摂取のおすすめ野菜です。
葉酸を含む野菜は選択肢が多く、「野菜を1日350g摂取する」意識を持っていれば、1日の葉酸目標摂取量である240㎍の摂取ができます。
生のままの野菜が食べにくい場合は、火を通してかさを少なくすればよりたくさんの野菜を食べやすくなります。
ただし野菜に含まれる葉酸は熱や水に弱い性質を持つため、調理過程で葉酸が流れ出てしまう点にはご注意ください。
野菜を調理する際には、できるだけ葉酸が流れ出ないようにスープにして汁ごと飲んだり、グリルで焼いたり、電子レンジを使ったりする方法がおすすめです。
参考文献
- 食品成分データベース 文科省,文部科学省,食品,食品成分,日本食品標準成分 https://fooddb.mext.go.jp/
- 大井静雄(2008)「赤ちゃんを元気にする栄養の話」㈱保健同人社/発行
- 神経管閉鎖障害の発症リスク低減のための妊娠可能な年齢の女性等に対する葉酸の摂取に関する情報提供要領 https://www.mhlw.go.jp/www1/houdou/1212/h1228-1_18.html
- 「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書 https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf
- 令和元年国民健康・栄養調査結果の概要 https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000687163.pdf