唇に色素を入れ、リップラインを整えたり、血色を良く見せたり、さらには厚みのある女性的な唇も目指せるリップ(唇)アートメイク。
せっかくリップアートメイクをするなら、失敗を避けるための事前リサーチは必須です!
そこで、リップアートメイクの値段やデザイン、デメリットや持続期間をまとめました。施術中の痛みや術後の経過についても解説していますので、これからリップアートメイクをする方はぜひ参考にしてください。
この記事の執筆者
石川 聡司
(新さっぽろウィメンズ ヘルス&ビューティークリニック 院長)
北海道大学医学部卒業後、北海道大学病院、帯広厚生病院など地域の中核病院に勤務。品川美容外科にて美容外科医として3年間の研鑽を積み、2021年に婦人科・美容外科を併設した当院を開業。
婦人科全般の診療のほか、美容医療では美肌治療、美容整形をはじめ脱毛・アートメイクなど幅広く対応する。
リップ(唇)のアートメイクとは
リップアートメイクは、インクを唇のごく薄い部分に医療用の針で注入し着色します。
\ こんな悩みの解決におすすめ /
「唇のくすみが気になる」
「口紅がマスクにつくのが不快」
「一日に何度も口紅を塗りなおすのがストレス」
唇にはもともと赤みがあるので分かりづらいですが、くすみやシミができてしまいがちです。その原因は、紫外線によるケースも。顔や身体の紫外線対策はしっかりしていても、唇の紫外線対策は案外見落としがちですよね。
こんな悩みをお持ちの方もいらっしゃると思いますが、リップアートメイクを施すと、すっぴんでも唇の血色が良くなり自然に顔色が良く見えます。
また、食事をしてもクレンジングをしても落ちず、マスクにつかないというメリットがあります。
メイク直しの手間が省けることもあり、幅広い年齢層の方に注目されているアートメイクです。
リップアートメイクの値段相場
アートメイクは、主に美容外科クリニックや皮膚科クリニックなどで施術を受けることができますが、アートメイクのなかでもリップ(唇)部位は歯科医院(デンタルクリニック)でも施術が受けられるところもあります。
35医院を対象に、リップアートメイクの値段を調査、平均価格を下記表にまとめました。
デザイン | 平均価格 |
---|---|
フルリップ(1回) | ¥83,168 |
フルリップ(2回) | ¥146,163 |
リップライン(1回) | ¥79,448 |
リップライン(2回) | ¥125,460 |
唇全体に色を入れるフルリップ(二回の施術)の値段は13万円~16万円程度が相場です。
二回施術で完成を目指すのが一般的なため、二回コースの料金設定をしているクリニックが多くありますが、なかには一回のみや三回コースのみの料金設定をしているクリニックもあります。
安いクリニックでも問題ない?
リップアートメイクの二回施術料金の相場(13~16万円)より安いクリニックは、何が違うのでしょうか。費用が安い理由を下記にまとめてみました。
考えられる理由
- クリニックの技術に自信があり、たくさんの人に知ってもらいリピートしてもらうため
- 技術力や経験数の少ない人の施術であるため
- 安いインクを使用している
値段が安い理由がたくさんの人に知ってもらうための料金設定であれば、なにも問題はありません。
ただ、経験の少ない人による施術や安いインクを使用しているという理由であれば、できる限り避けることをおすすめしています。
安い値段のクリニックをすべて避けるべき、というわけではありませんが、安すぎるクリニックにはその価格設定にしている何らかの理由があるはず。
価格の安さだけで選ばず、施術者のランク(経験や技術力)・衛生管理・カウンセリングの丁寧さなどもしっかり確認して契約するクリニックを選びましょう。
モニターだと安くなる?
モニター価格のあるクリニックを利用すれば、通常より安い値段でリップアートメイクをすることができます。
モニター募集をしているクリニック数は多くはありませんが、割引率は20%~最大50%程度。
割引の代わりに、インタビュー・レビュー掲載・SNSやWebサイト、メディアなどへの掲載が求められることが多い傾向です。
- 経験数の少ない施術者ではないか
- インクや施術内容は通常と同じか
- メディア掲載の有無
- アフターサポートは充実しているか
問い合わせやカウンセリング時に上記の項目を確認し、問題なければ上手にモニター価格を利用すると安く施術を受けることができます。
持続・もちはどのくらい?
アートメイクのもちは、基本的に約1~3年です。期間に大きく差があるのは、唇は眉などにくらべて色素が定着しづらい箇所であり、個人差の出やすい部位だということが関係しています。
肌のターンオーバーは40日~50日ほどですが、唇のターンオーバーはそれより早く4日から長くても10日ほど。このターンオーバーの早さが、リップアートメイクの持続に影響します。
ターンオーバーのサイクルやアートメイクのインク(身体にとっては異物)を排除しようとする力は人によって違いがあり、思っていたよりも早く薄くなってきてしまうケースもあります。
ただし、基本的には1年以上もつと思っていただいて問題なく、数カ月や半年で消えてしまうリップアートメイクは失敗であるといえます。
持続・もちを良くするためには?
リップアートメイクの持続・もちを良くするためには、三回以上の施術を受けるのが理想です。
先ほど触れたように唇は、色素の定着しづらい箇所です。人によっては一回目の施術後に色が消えてしまう場合も。
個人差はありますが、繰り返しの施術がリップアートメイクのもちを良くします。
二回セットの料金設定をするクリニックが多いですが、なかには三回セットを提供するクリニックもあったり、三回目以降はリタッチ料金として安い料金で施術できたりします。
三回以上の施術は、少しずつ調整しながら理想のデザインを叶えてもちを良くする方法といえますので、予算が許すのであれば繰り返し施術を受けるようにすると持ちが良くなります。
リップアートメイクのデザイン
リップアートメイクのデザインは、大きく2つに分けられます。
唇の輪郭から内側にぼかしながら色を入れる
輪郭をはっきりさせ、立体的な仕上がりが期待できる
唇全体に、均一に色を入れる
血色を良くしたり、唇の色を変えたい方向け
ほかにも色や形、大きさについて詳しく見ていきましょう。
色は自由に決められるの?
リップアートメイクに使用するインクカラーは多くの種類があり、インクを混ぜて好きな色やその人に合う色を選べます。
もちろん色は自由に決められますが、希望の色がかならずしも自分に似合う色というわけではないので、似合う色や自然な色を相談して決めるのがおすすめです。
口紅にはトレンドの色もありますが、人によって合う色と合わない色があり、華やかな赤系が合う方や落ち着いたベージュ・オレンジ系が合う方、優しいピンク系が合う方など、さまざまです。
アートメイクをおこなっているクリニックのカウンセラーや施術者は、美容のプロです。カウンセリング時にじっくり相談しながら、自分にぴったりの色を選べると良いですね。
オーバーリップは可能?
唇をもともとの大きさよりも少し大きく見せるメイク方法である、オーバーリップ。
リップアートメイクでは、このオーバーリップも可能です。唇が少し大きくなることで顔の華やかさが増し、セクシーな印象になります。
ただ、あまりにオーバーしすぎると不自然になってしまうこと、唇と皮膚(はみ出した部分)では色のもちが異なることに注意が必要です。
唇と皮膚はターンオーバーのサイクルが違うので、大きくはみ出しすぎると唇の外側だけに色が濃く残ってしまうことにもなりかねません。
唇の厚みや大きさにコンプレックスを持つ方に向いているオーバーリップですが、理想的なラインをカウンセリングでしっかり話し合うようにしましょう。
人中短縮は可能?
人中は鼻と上唇の間の部分を指します。リップアートメイクで、人中を短く見せることも可能です。
短い人中は美しい顔の条件とも言われ、注目が集まっています。
また、人中には黄金比があり「鼻の下から唇の真ん中:唇の真ん中からあごの先」が1:2の比率が理想とされています。
面長に見えやすい・口元のコンプレックスが目立ちやすい・間延びした印象になりがち
顔が小さく引き締まって見える・若い印象(童顔)・親しみやすい顔になる
人中短縮の方法には鼻の下の皮膚を切除して縫合する手術がありますが、切除手術となると大がかりで料金も高くなり、踏み切るのにはかなり勇気が必要ですよね。
アートメイクによる人中短縮は、上唇を少しオーバーリップにすることによって人中を短く見せる方法です。
切除手術のように大幅な短縮はできませんが、リップアートメイクによる人中短縮をしただけでも顔の印象が変わり、切除手術よりもずっと気軽に人中短縮の効果を得ることができます。
口角を上げることはできる?
リップアートメイクの施術では、口角を上げることもできます。
- 明るい印象になる
- 優しい雰囲気になる
- 顔のバランスを良くする
- 若々しい印象になる
もともと唇の形は人それぞれですが、口角は加齢や肌のたるみによって下がってきます。
口角が下がった状態だと顔の印象が暗く見えるだけでなく、どこか不満げに見えてしまいます。
このような悩みやコンプレックスを解消するのが、リップアートメイクによって口角を上げる方法です。
ポジティブな印象になる口角の上がったデザインを希望の場合は、カウンセリングのときに相談しましょう。
リップアートメイクのデメリット
ここまでリップアートメイクの料金やデザインについて見てきましたが、リップアートメイクにはデメリットもあります。
口唇ヘルペスを発症する可能性がある
口唇ヘルペスは、単純ヘルペスウイルスにより発症し、痛みやかゆみをともなう水泡が口のまわりにできます。
もともと口唇ヘルペスを繰り返しやすい人は、アートメイクの刺激によって発症することが多い傾向にあります。
また、今まで発症したことのない人でも、自覚症状がなくウイルスを保有しているケースがあるため、アートメイクの施術をきっかけに口唇ヘルペスを発症することがあります。
リップアートメイク後に口唇ヘルペスを発症すると、その部分にインクの色が定着しません。
アートメイクができないわけではありませんが、痛みやかゆみ、違和感も強くなりますので発症しないように予防する必要があり、抗ウイルス薬(おもに飲み薬)を使用して発症を防ぎます。
口唇ヘルペスを繰り返しやすい方や心配な方は、事前にクリニックで相談するようにしましょう。
失敗・後悔する可能性も
失敗・後悔の事例
- 腫れや痛みが引かない
- 口唇ヘルペスを発症
- 濃い色を選んでしまい、すっぴんのときに浮く
- オーバー過ぎるライン取りにより不自然
- 変色
- 色がすぐに消える
身体的な失敗とデザインの失敗・後悔に分けられ、どちらも事前の準備でリスクをぐんと減らせます。
失敗・後悔を防ぐための方法を下記にまとめました。
- クリニック以外(サロンなど)での施術は受けない
- カウンセリングで不安を取り除けなければ施術をやめる
- 濃すぎず自然な色味を選ぶ
- 少なくとも二回以上の施術を受ける
- ダウンタイム時は強い刺激を与えない
- なにかあれば、すぐにクリニックに相談する
短くても1年以上は色が残るリップアートメイク。
失敗や後悔を避けて理想的な唇になれるようリサーチに重点を置き、不安や心配の残るまま施術を受けることはしないようにしましょう。
リップアートメイクの施術は痛い?
唇は、温度や質感などの感覚神経が手のひらの次に発達しています。
粘膜の延長でもある箇所で、痛みを感じやすくデリケートな部分でもありますので、リップ(唇)へのアートメイクは眉アートメイクよりも痛みを感じやすい傾向があります。
痛みの度合いは人により差がありますが、「チクリと刺すような痛み」と表現されることがほとんどです。
とはいえ、クリニックでは麻酔を使用してから施術するのが基本。使用するのはクリーム状の麻酔なので、麻酔自体の痛みはありません。
(痛みが強い場合やクリニックによっては、注射による局所麻酔をするケースもあります)
麻酔が効けば強い痛みを感じることはほとんどなく、過度に心配する必要はありませんが、痛みに弱い方や痛みが不安な方は、事前に施術時の痛みについてクリニックに相談しておくと安心です。
痛みについてもっと詳しく見る
リップアートメイクの術後の経過
最後に、リップアートメイクの施術後の経過についてまとめました。
腫れ・ダウンタイムはどのくらい?
繊細な場所である唇へのアートメイクは、クーリング(保冷剤などで患部をひやすこと)が必要です。
しっかりクーリングができていれば、腫れは2日程度で徐々に落ち着きます。
また、施術後は乾燥を感じやすく、保湿が必須です。このとき、剥がれてきた薄い皮をむりに剥がすと色が定着しないので注意が必要です。
皮むけは1週間程度で落ち着きますので、その間はこまめに保湿するようにしましょう。
唇はターンオーバーが早いということや色が落ちやすい箇所であることを先述しましたが、修復が早い場所でもあります。
施術する面積が広いので腫れや皮むけが気になってしまうと思いますが、アフターケアをしっかりして色の定着を図りましょう。
キスはいつからできる?
聞きにくいことではあると思いますが、よく疑問に思われることが多い施術後のキスについて。リップアートメイクをしたあとは、ダウンタイムが終わるまでの1週間は避けた方が無難です。
施術後の唇は細かな傷が入り、普段に増してデリケートになっています。
ダウンタイムは傷がかさぶたになり治癒するまでの期間なので、化粧もできない期間。強い刺激を与えることは禁物です。
雑菌が入り化膿したり肌トラブルが起きてしまったりする可能性もあるので、きっちり色を定着させるために、なるべく触れずにキスも避けたほうが良いでしょう。
リップアートメイクの成功には、クリニック選びだけでなく施術後のダウンタイムの過ごし方も重要になります。クーリングや保湿をしっかりおこない、刺激を避けて過ごすようにしましょう。
アートメイクは皮膚表皮層から0.02~0.03mmの部分にニードル(針)を用いて人体に安全な色素を注入する医療美容技術です。日本では、アートメイクは医療機関で行わなければならない医療行為とされています。
アートメイク施術後および施術の1~2日後に以下のような副作用があらわれる可能性がございます。
- 腫れ、痛み
- アレルギー
- 出血、内出血
- かさぶた、赤み、熱感
- 色素のムラや変色、にじみ
- ケロイド
- ヘルペス、感染症、ケロイド
- 角膜損傷
参考文献
※1医政医発第105号/厚生労働省医政局医事課長