マンジャロでメンタルが不安定になる?うつ病・不安症など精神面への影響を徹底解説

「マンジャロを使い始めてから、なんとなく気分が落ち込む……」

「不安になりやすくなったけれど、マンジャロが原因?」

「もともとうつ病や不安症があるけれど、マンジャロを使っても大丈夫?」

マンジャロ(チルゼパチド)を使用している方の中には、体重や血糖値だけでなく、気分や精神面への影響が気になる方もいるのではないでしょうか。

実際、マンジャロの臨床試験では、抑うつ気分などの精神面に関する事象が報告されています。一方で、「精神症状が報告されたこと」と「マンジャロが原因でうつ病や不安症を引き起こすこと」は同じではありません。

現在までに行われている臨床試験や研究では、マンジャロを含むGLP-1関連薬が、うつ病や不安症などの精神疾患を一律に悪化させるとは考えられていません。

では、なぜ「マンジャロを使ってからメンタルが不安定になった」と感じる人がいるのでしょうか?

この記事では、マンジャロとメンタルの関係について、うつ病・不安症・気分の落ち込み・自殺念慮などへの影響を整理しながら、現在わかっている医学的な情報をわかりやすく解説します。

この記事の執筆者

石川 聡司
(新さっぽろウィメンズ ヘルス&ビューティークリニック 院長)

北海道大学医学部卒業後、北海道大学病院、帯広厚生病院など地域の中核病院に勤務。品川美容外科にて美容外科医として3年間の研鑽を積み、2021年に婦人科・美容外科を併設した当院を開業。

婦人科全般の診療のほか、美容医療では美肌治療、美容整形をはじめ脱毛・アートメイクなど幅広く対応する。

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目次

マンジャロでメンタルが不安定になることはある?

まず気になるのが、「マンジャロを使うと、うつ病や不安症などの精神面に悪影響が出るのか?」という点です。

結論からいうと、マンジャロを使用したからといって、うつ病や不安症になると決まっているわけではありません。

一方で、マンジャロの使用中に「気分が落ち込む」「不安を感じる」などの変化が起こる可能性を完全に否定することもできません。

ここで大切なのは、

「マンジャロ使用中に精神面の症状が起こった」ことと、「マンジャロがその症状を引き起こした」ことは別

ということです。

マンジャロを使用している人には、もともと糖尿病や肥満症などの基礎疾患があるほか、仕事や人間関係、睡眠不足、食事量の変化など、気分に影響するさまざまな要因があります。

また、マンジャロによって食欲が大きく低下したり、吐き気などの消化器症状が出たりすると、体調そのものが悪くなり、その結果として「精神的につらい」と感じることも考えられます。

患者さん

マンジャロを始めてから、少し気分が落ち込む気がします。薬のせいでしょうか?

Dr.石川

マンジャロを使っている間に気分の変化が起こる可能性はあります。ただ、それだけでマンジャロが直接の原因とは判断できません。睡眠や食事、体重の減り方、もともとの精神状態なども一緒に確認する必要があります。

患者さん

じゃあ、マンジャロを使うと、うつ病になりやすくなるわけではないんですね?

Dr.石川

現在の研究では、マンジャロを含むGLP-1関連薬が、うつ病を一律に増やすという明確な証拠はありません。ただし、実際に気分の落ち込みが続いている場合は、我慢せずに相談してください。

マンジャロの添付文書では「うつ病」や精神症状はどう扱われている?

「マンジャロでうつ病になるのでは?」と心配になったとき、まず確認したいのが、実際の臨床試験でどのような精神面の症状が報告されているのかです。

マンジャロ(チルゼパチド)の国内臨床試験では、使用中に抑うつ気分、うつ病、抑うつ気分を伴う適応障害などの事象が報告されています。

ただし、ここで注意したいのが、臨床試験における「有害事象」の意味です。

有害事象として報告されたからといって、その薬が原因だと確定したわけではありません。

たとえば、マンジャロを使用している期間に風邪をひいた場合、「風邪」が有害事象として記録されることがあります。しかし、それだけで「マンジャロが風邪を起こした」とは判断しません。

精神面の症状についても同じです。

「報告された」=「薬が原因」ではない

マンジャロの使用中に気分の落ち込みなどがあった場合には、

  • マンジャロとの関連性
  • もともとの精神状態
  • 糖尿病や肥満などの基礎疾患
  • 睡眠不足
  • 食事量の大きな変化
  • 急激な体重減少
  • 仕事や家庭などのストレス

など、さまざまな要因を考える必要があります。

そのため、「うつ病の報告があるからマンジャロは危険」と短絡的に考えるのは適切ではありません。

患者さん

マンジャロの試験で、うつ病になった人もいるんですよね?

Dr.石川

はい、抑うつ気分やうつ病などが報告された例はあります。ただし、それはマンジャロを使った人に起こった事象を記録したもので、マンジャロが直接の原因だったと意味するものではありません。

患者さん

なるほど。報告されたことと、薬が原因で起きたことは違うんですね。

Dr.石川

そうです。だからこそ、マンジャロと精神症状の関係については、臨床試験全体のデータや、その後に行われた研究も合わせて判断することが大切です。

なぜマンジャロで「うつ病」や「自殺念慮」が注目されるようになった?

マンジャロとメンタルの関係を調べると、「うつ病」だけでなく「自殺念慮・自殺行動」という言葉も出てきます。

「そこまで深刻な副作用があるの?」と不安になる方もいるかもしれません。

実は、これはマンジャロだけに限った話ではありません。

GLP-1受容体作動薬などの体重減少を目的とした薬について、使用後に自殺念慮や自殺行動が起こる可能性があるのではないかという懸念が、過去に提起されたことがあります。

そこで、規制当局や研究者によって、臨床試験や市販後の報告などをもとに安全性の検討が行われてきました。

もともとうつ病と糖尿病・肥満には関係がある

ここで重要なのが、マンジャロを使用する人の背景です。

糖尿病や肥満のある方では、もともと抑うつ症状や不安などの精神的な問題を抱えているケースもあります。

そのため、

「マンジャロを使った後にうつ症状が出た」

という事実だけでは、

「マンジャロがうつ症状を引き起こした」

とは判断できません。

薬の影響を調べるためには、マンジャロを使用した人だけを見るのではなく、使用していない人と比較して精神症状がどの程度起こっているのかを見る必要があります。

患者さん

マンジャロで自殺したくなるようなこともあるんですか?

Dr.石川

そうした可能性が心配されて、安全性について詳しく調べられてきました。ただ、マンジャロを使ったから自殺念慮が増えると単純に結論づけられているわけではありません。

患者さん

じゃあ、ネットで見かける情報だけで怖がらなくてもいいんですね。

Dr.石川

はい。ただし、実際に強い気分の落ち込みや、自分を傷つけたい気持ちが出ている場合は話が別です。薬との因果関係にかかわらず、早めに医療機関へ相談してください。

最新の研究では「GLP-1薬でうつ病が増える」とは考えられていない

ここまで読むと、「では実際に、マンジャロを含むGLP-1関連薬でうつ病や精神症状は増えるの?」という疑問が出てきます。

この点については、個々の体験談や症例報告だけではなく、複数の臨床試験をまとめて解析した研究を見ることが重要です。

2025年に発表された系統的レビュー・メタ解析では、GLP-1受容体作動薬などを評価した80件のランダム化比較試験、合計107,860人のデータが解析されました。

その結果、GLP-1関連薬を使用した場合、

  • 重篤な精神医学的有害事象
  • 精神医学的有害事象全般
  • 抑うつ症状
  • 不安症状

などについて、プラセボと比較して明らかにリスクが高くなるという結果は確認されませんでした。

つまり、現在得られている臨床試験のデータからは、

「GLP-1関連薬を使うと、うつ病や不安症になりやすくなる」

とは考えにくい、という結果になっています。

ただし、これは「マンジャロを使用している人に精神症状が絶対に起こらない」という意味ではありません。

研究全体としてリスクの増加が確認されていなくても、個人に気分の落ち込みや不安などが起こる可能性はあります。

また、GLP-1関連薬の中でも薬剤ごとにデータ量や使用されている患者さんの背景が異なるため、GLP-1薬全体の結果を、そのままマンジャロだけの結果と考えないことも大切です。

患者さん

GLP-1の薬って、うつ病になる危険性が高いわけではないんですね?

Dr.石川

現在の大規模な研究では、うつ病や精神症状が明らかに増えるという結果は出ていません。

患者さん

それなら、かなり安心していいですか?

Dr.石川

はい。ただし、研究結果はあくまで集団全体の話です。実際に使っていて気分の変化が出た場合は、その症状を無視せず相談することが大切ですよ。

マンジャロそのものは?チルゼパチドの研究から見る精神面への影響

ここまでは、GLP-1関連薬全体について見てきました。

では、マンジャロの有効成分であるチルゼパチドそのものでは、精神面にどのような影響が確認されているのでしょうか。

チルゼパチドでは、糖尿病患者さんを対象とした「SURPASS試験」や、肥満症患者さんを対象とした「SURMOUNT試験」など、さまざまな大規模臨床試験が行われています。

これらの研究では、体重や血糖値だけでなく、安全性についても幅広く評価されています。

特に肥満症の治療では、体重減少と精神面の変化が関係する可能性があるため、抑うつ症状や自殺念慮などについても注意深く評価されています。

チルゼパチドでうつ症状が悪化したという結果ではない

これまでの研究では、チルゼパチドを使用したことで、抑うつ症状が明らかに悪化するという結果は確認されていません。

むしろ、肥満症の患者さんを対象とした研究では、体重減少に伴って抑うつ症状が改善する傾向がみられています。

もちろん、

「チルゼパチドには抗うつ作用がある」

という意味ではありません。

体重が減ったことによる自己評価の変化や、身体の動かしやすさ、健康状態の改善など、さまざまな要因が精神面に影響している可能性があります。

自殺念慮・自殺行動については?

チルゼパチドの臨床試験でも、自殺念慮や自殺行動について安全性の評価が行われています。

現時点の臨床試験データからは、チルゼパチドによって自殺念慮や自殺行動が明らかに増えるという結果は確認されていません。

ただし、こうした非常に重要な症状については、発生頻度が低いため、臨床試験だけですべてを判断することはできません。

そのため、今後も市販後のデータや長期的な研究を含めて、安全性を確認していく必要があります。

患者さん

マンジャロそのものについても、うつ病が増えるというデータはないんですか?

Dr.石川

現在までのチルゼパチドの臨床試験では、うつ症状が明らかに悪化するという結果は確認されていません。

患者さん

むしろ気分が良くなる人もいるんですか?

Dr.石川

体重が減ることで、気持ちが前向きになったり、生活の質が改善したりする方はいます。ただし、マンジャロ自体をうつ病の治療薬と考えることはできません。

マンジャロで不安症が悪化する?不安感への影響を解説

「うつ病だけでなく、不安症にも影響するのでは?」と心配する方もいるかもしれません。

マンジャロを使い始めてから、

  • なんとなく不安を感じる
  • 落ち着かない
  • イライラする
  • 動悸が気になる
  • 寝つきが悪くなった

といった変化を感じることもあるでしょう。

しかし、現時点では、マンジャロが不安症を直接引き起こしたり、不安症を一律に悪化させたりするという明確な証拠はありません。

GLP-1関連薬を対象とした研究でも、不安症状がプラセボと比べて明らかに増加するという結果は確認されていません。

なぜ「不安が強くなった」と感じることがあるの?

マンジャロを始めた後に不安を感じたとしても、その原因が必ずしも薬そのものとは限りません。

例えば、

マンジャロを開始

↓

食欲が大きく減る・食事量が変化する

↓

疲れやすい、体調が変化する

↓

「このままで大丈夫かな?」と不安になる

ということも考えられます。

また、急激な体重減少や吐き気などの副作用によって、身体的な負担を感じることもあります。

もともと不安症の治療を受けている方であれば、病気そのものの波によって症状が変化している可能性もあります。

患者さん

マンジャロを始めてから、少し不安が強くなった気がします。

Dr.石川

不安を感じること自体は軽視できません。ただ、マンジャロが直接不安症を悪化させたと決めつけることはできません。最近の睡眠や食事、体重の減り方、もともとの不安症の状態なども確認してみましょう。

患者さん

薬以外の原因も考える必要があるんですね。

Dr.石川

そうですね。薬を始めた時期と症状が出た時期が近いからといって、必ずしも薬が原因とは限りません。

マンジャロで気分が落ち込むとき、考えられる原因は?

マンジャロを使い始めてから「気分が落ち込む」「やる気が出ない」と感じた場合、すぐに「マンジャロの精神的な副作用だ」と判断する必要はありません。

実際には、薬そのものの作用だけでなく、食事量や体重の変化、体調、生活環境など、複数の要因が重なっている可能性があります。

① 食事量が減りすぎている

マンジャロは食欲を抑える作用があるため、使用前より食事量が大幅に減ることがあります。

必要なエネルギーや栄養素まで不足すると、

  • 疲れやすい
  • 体がだるい
  • 集中できない
  • 何をするにも面倒に感じる

といった状態になることがあります。

こうした身体的なつらさが、結果的に「気分が落ち込んでいる」と感じる原因になることもあります。

② 吐き気などの体調不良

マンジャロでは、吐き気、下痢、便秘などの消化器症状がみられることがあります。

体調が悪い状態が続けば、当然ながら精神的にもつらくなります。

「薬で直接うつになった」というより、副作用による体調不良が精神面に影響している可能性も考える必要があります。

③ 急激な体重減少

体重が急激に減ると、身体にとっては大きな変化です。

特に、

  • 食事がほとんど取れない
  • 短期間で体重が大きく減った
  • 強い倦怠感がある

という場合には、単純に「精神的な問題」と考えず、身体の状態も確認することが大切です。

④ もともとのうつ病・不安症

もともとうつ病や不安症がある方の場合、マンジャロを始めた時期と精神症状の悪化が偶然重なることもあります。

そのため、マンジャロを開始した後に症状が変化した場合でも、薬との因果関係だけでなく、もともとの病気の経過も含めて判断する必要があります。

⑤ ダイエットそのものによるストレス

「早く痩せなければ」と強く考えすぎることも、精神的な負担になります。

体重が思ったように減らないことへの焦りや、食事を制限するストレスなどが、気分の落ち込みにつながることもあります。

患者さん

マンジャロを始めてから、なんだか気分が落ち込むんです。

Dr.石川

食事はきちんと取れていますか?吐き気や強いだるさはありませんか?

患者さん

そういえば、食欲がかなりなくなって、以前の半分くらいしか食べていません。

Dr.石川

それなら、精神面だけでなく、食事量や体調の変化も確認したほうがよさそうですね。マンジャロが直接うつ症状を起こしているとは限りません。

マンジャロで「気分が落ち込む」ときに注意したいサイン

マンジャロを使用していて、一時的に「ちょっと気分が落ちている」と感じることはあるかもしれません。

大切なのは、どの程度の症状なのか、どのくらい続いているのかです。

単なる一時的な気分の変化なのか、治療が必要な精神症状なのかを見分けるためにも、症状をそのままにしないことが大切です。

このような変化があれば医師に相談

例えば、

  • 気分の落ち込みが何日も続いている
  • 以前より何をするにもやる気が出ない
  • 好きだったことにも興味が持てなくなった
  • 強い不安を感じるようになった
  • イライラすることが増えた
  • 夜眠れない、または眠りすぎる
  • 食事や仕事など、普段の生活に支障が出ている

といった変化がある場合です。

特に、マンジャロを増量した直後から症状が強くなった場合は、投与量や体調の変化も含めて処方医に相談するとよいでしょう。

「少し落ち込む」と「危険なサイン」は違う

誰でも体調や生活環境によって気分が落ち込むことはあります。

しかし、

「消えてしまいたい」
「死んだほうがいい」
「自分を傷つけたい」

といった気持ちが出てきた場合は、単なる気分の浮き沈みとして考えてはいけません。

マンジャロが原因かどうかにかかわらず、早急に医療機関へ相談する必要があります。

一人で抱え込まず、家族や身近な人にも状況を伝えましょう。切迫している場合は、救急医療などの利用も検討してください。

患者さん

最近ちょっと気分が落ち込むんですが、これくらいなら大丈夫ですか?

Dr.石川

軽い気分の変化なら経過を見ることもありますが、長く続いたり、日常生活に影響したりする場合は相談してください。

患者さん

もし『死にたい』と思うようになったら?

Dr.石川

それは我慢して様子を見る症状ではありません。マンジャロとの関係を考える前に、まず安全を確保して、できるだけ早く医療機関に相談してください。

もともとうつ病・不安症がある人でもマンジャロは使える?

「うつ病の治療中だけど、マンジャロを使っても大丈夫?」

「不安症があるから、マンジャロは避けたほうがいい?」

このように、もともと精神疾患の治療を受けている方は、マンジャロを始めることに不安を感じるかもしれません。

結論として、うつ病や不安症があるというだけで、マンジャロを使用できないとは限りません。

ただし、現在の精神状態や治療内容によっては、慎重に判断する必要があります。

うつ病がある=マンジャロが使えない、ではない

現在の研究では、マンジャロがうつ病を一律に悪化させるという明確な証拠はありません。

そのため、

「うつ病の既往があるからマンジャロは絶対に使えない」

という考え方は適切ではありません。

一方で、うつ病の症状が強い時期や、最近になって症状が悪化している場合には、まず精神状態を安定させることを優先したほうがよいケースもあります。

マンジャロを開始する際には、現在の症状が安定しているかどうかも含めて医師に相談しましょう。

不安症の場合も同じ

不安症についても、マンジャロが不安症を直接悪化させるという明確な根拠はありません。

ただし、マンジャロ開始後に、

  • 強い不安
  • パニックのような症状
  • 不眠
  • 動悸
  • 強い緊張感

などが出た場合には、その症状を放置しないことが大切です。

マンジャロによる体調変化なのか、もともとの不安症の変化なのか、それ以外の原因なのかを医師に判断してもらいましょう。

精神科・心療内科の薬を飲んでいる場合は必ず伝える

うつ病や不安症の治療中で、

  • 抗うつ薬
  • 抗不安薬
  • 睡眠薬
  • その他の精神科・心療内科の薬

を使用している場合は、マンジャロを処方する医師に必ず伝えてください。

「精神科の薬だから言わなくてもいい」ということはありません。

現在使っている薬をすべて伝えたうえで、マンジャロを開始するかどうかを判断してもらうことが大切です。

抗うつ薬・抗不安薬とマンジャロは併用できる?

うつ病や不安症の治療中にマンジャロを使用する場合、もう一つ気になるのが「今飲んでいる薬と一緒に使って大丈夫?」という問題です。

結論として、抗うつ薬や抗不安薬を服用していることだけを理由に、マンジャロが使えないとは限りません。

ただし、使用している薬の種類や体調によって確認すべき点があります。

抗うつ薬を飲んでいてもマンジャロは使える?

うつ病などで使用される抗うつ薬には、

  • SSRI
  • SNRI
  • NaSSA
  • 三環系抗うつ薬

など、さまざまな種類があります。

マンジャロを使用する場合は、現在服用している薬を処方医に伝えたうえで、併用について判断してもらいましょう。

特に重要なのは、マンジャロを始めるからといって、抗うつ薬を自己判断で中止しないことです。

抗うつ薬は急に中止すると、薬によっては離脱症状などが起こることがあります。

抗不安薬・睡眠薬も同様

抗不安薬や睡眠薬を使用している場合も、マンジャロを処方する医師に伝えてください。

薬同士の相互作用だけではなく、

  • 食事量が大きく減っていないか
  • 体重が急激に減っていないか
  • 吐き気や嘔吐がないか
  • 薬をきちんと飲めているか

なども確認することが大切です。

マンジャロは胃内容物の排出を遅らせる

マンジャロには胃内容物の排出を遅らせる作用があります。

そのため、経口薬については、薬剤によっては吸収に影響する可能性があります。

特に治療上重要な薬を服用している場合は、「精神科の薬だから大丈夫」と自己判断せず、薬の名前を医師に伝えて確認することが安全です。

患者さん

抗うつ薬を飲んでいますが、マンジャロも使えますか?

Dr.石川

薬の種類にもよりますが、抗うつ薬を飲んでいることだけでマンジャロが使えないわけではありません。現在飲んでいる薬を確認してから判断しましょう。

患者さん

マンジャロを始めるなら、抗うつ薬をやめたほうがいいですか?

Dr.石川

いいえ。自己判断で中止するのはやめてください。マンジャロとは別に、現在の精神疾患の治療を継続することが大切です。

患者さん

なるほど。マンジャロを始めることと、うつ病の治療をやめることは別なんですね。

Dr.石川

その通りです。両方の治療について、それぞれの医師と相談しながら進めていきましょう。

マンジャロで「メンタルが良くなった」と感じる人がいるのはなぜ?

ここまでは、マンジャロによって気分が落ち込んだり、不安が強くなったりする可能性について見てきました。

一方で、マンジャロを使用して**「以前より気分が安定した」「前向きになった」**と感じる方もいます。

これは、マンジャロにうつ病を治療する作用があるという意味ではありません。

体重や血糖値、食欲などが変化することで、間接的に精神面にも良い影響が出る可能性があると考えられます。

体重が減ることで自信が持てるようになる

肥満に悩んでいる方の中には、

  • 人前に出るのが嫌だった
  • 服を選ぶのが嫌だった
  • 外出するのが億劫だった
  • 自分の体型に自信が持てなかった

という方もいます。

マンジャロによって適切に体重が減少すると、こうした悩みが軽くなり、結果として気持ちが前向きになることがあります。

体を動かしやすくなる

体重が減ることで、

「階段が楽になった」

「以前より歩けるようになった」

「運動するのが苦痛ではなくなった」

と感じる方もいます。

身体活動が増えることは、生活の質や気分にも良い影響を与える可能性があります。

食欲に振り回されにくくなる

マンジャロには食欲を抑える作用があります。

これまで、

「食べたいのに我慢しなければならない」

「また食べ過ぎてしまった」

「ダイエットに失敗した」

といったことを繰り返していた方では、食欲がコントロールしやすくなることで、食事に対するストレスが軽くなることもあります。

ただし、「マンジャロがうつ病を治す」「メンタルを改善する薬」という意味ではありません。

精神状態が改善したように感じる場合でも、体重減少、生活習慣の変化、自己評価の変化など、さまざまな要因が関係している可能性があります。

マンジャロで「メンタルが不安定」と感じたらどうする?

マンジャロを使用していて、「なんとなく気分が落ち込む」「不安が強くなった」と感じた場合、まず大切なのは自己判断で薬を中止したり、反対に無理して使い続けたりしないことです。

精神面の変化があったときは、いつから症状が出たのか、マンジャロの投与量や体調に変化がなかったかを確認してみましょう。

① いつから症状が出たのか確認する

まず、

  • マンジャロを始めてからなのか
  • 増量してからなのか
  • 以前からあった症状なのか
  • 最近になって急に悪化したのか

を振り返ります。

特に投与開始や増量のタイミングと精神面の変化が重なっている場合は、処方医に伝えておくとよいでしょう。

② 食事量や体重の変化を確認する

マンジャロを使用すると食欲が大きく低下することがあります。

食事量が極端に減っていないか、短期間で体重が落ちすぎていないかも確認しましょう。

「気分の問題」と思っていたものが、実は食事不足や体調不良による疲労感だったという可能性もあります。

③ 睡眠の状態を確認する

睡眠不足は気分や不安に大きく影響します。

「マンジャロを始めてから眠れなくなった」「夜中に何度も目が覚める」などの変化があれば、それも医師に伝えましょう。

④ 現在服用している薬を確認する

抗うつ薬、抗不安薬、睡眠薬などを使用している場合は、マンジャロを処方する医師に伝えてください。

また、マンジャロを始めるからといって、精神科・心療内科から処方されている薬を自己判断で中止するのは避けましょう。

⑤ 症状が続くなら処方医に相談する

「少し気分が落ち込むだけだから」と我慢する必要はありません。

症状が何日も続く、徐々に悪化する、仕事や家事に支障が出るといった場合には、早めに相談しましょう。

医師は、マンジャロとの関連性だけではなく、体重減少の程度、食事、睡眠、ほかの薬、もともとの精神状態などを総合的に確認します。

⑥ 「死にたい」「自分を傷つけたい」と感じた場合は別

ここは特に重要です。

もし、

  • 死にたい
  • 消えてしまいたい
  • 自分を傷つけたい
  • 自殺について具体的に考えてしまう

といった状態になった場合は、「マンジャロの副作用かもしれないから、しばらく様子を見よう」と考えないでください。

マンジャロが原因かどうかにかかわらず、早急に医療機関へ相談する必要があります。

一人で抱え込まず、家族や身近な人にも今の状態を伝えることが大切です。

患者さん

マンジャロを始めてから気分が落ち込んでいます。薬をやめたほうがいいですか?

Dr.石川

まず、いつから症状が出たのか、増量のタイミングや食事量、睡眠などを確認しましょう。自己判断で中止する前に相談してください。

患者さん

もし、かなり気分が落ち込んできたら?

Dr.石川

日常生活に支障が出るほどなら、早めに診察を受けましょう。もし『死にたい』『自分を傷つけたい』という気持ちがある場合は、すぐに医療機関へ相談してください。

マンジャロでメンタルが不安定になる?気になる症状をチェック

ここまでの内容を踏まえると、マンジャロを使用している方が気にしておきたいのは、**「どのような精神面の変化があれば相談したほうがよいのか」**ということです。

マンジャロを使っているからといって、少し気分が落ち込んだだけで過度に心配する必要はありません。

一方で、症状が続いたり、普段と明らかに違う変化が出たりした場合には、早めに医師へ相談することが大切です。

比較的軽い変化

例えば、

  • 少し気分が落ち込む
  • なんとなく不安を感じる
  • イライラしやすい
  • 疲れやすい
  • やる気が出ない

といった変化です。

こうした症状が一時的なものであれば、睡眠や食事、体調などを確認しながら経過を見ることもあります。

ただし、症状が長く続く場合や、徐々に強くなっている場合は医師に相談しましょう。

医師に相談したほうがよいサイン

次のような状態になっている場合は、早めの相談がおすすめです。

  • 気分の落ち込みが続いている
  • 何をしても楽しいと感じられない
  • 強い不安が続く
  • 眠れない日が続いている
  • 仕事や家事に集中できない
  • 人と会うことを避けるようになった
  • 日常生活に支障が出ている

これらは、単なる一時的な気分の変化ではなく、うつ病や不安症などの精神疾患の症状として現れている可能性もあります。

マンジャロとの因果関係を自分で判断するのではなく、医師に相談して原因を確認することが大切です。

すぐに相談が必要なサイン

特に注意したいのが、

「死にたい」
「消えてしまいたい」
「自分を傷つけたい」

などの気持ちが出てきた場合です。

このような場合は、マンジャロが原因なのかどうかを考えて様子を見るのではなく、できるだけ早く医療機関に相談してください。

一人で抱え込まず、家族や身近な人に現在の状態を伝えることも重要です。

マンジャロを使うと性格まで変わる?「感情が薄くなった」と感じる理由

マンジャロを使用している方の中には、

「以前より感情が落ち着いた気がする」
「食べ物への興味がなくなった」
「何となくやる気が出ない」
「感情が薄くなったように感じる」

といった変化を感じることがあります。

これは「性格が変わった」というより、食欲や食事に対する欲求が大きく変化したことによる感覚である可能性があります。

「食べたい」という欲求が弱くなる

マンジャロは、食欲や摂食行動に関係する仕組みに作用します。

これまで、

「何を食べよう?」
「甘いものが食べたい」
「お腹が空いたから何か食べたい」

と頻繁に考えていた方では、マンジャロを使用してから食べ物への関心が大きく減ることがあります。

その結果、

「頭の中が食べ物でいっぱいだったのに、急に静かになった」

と感じる方もいます。

これは必ずしも精神状態が悪化したという意味ではありません。

ただし「何に対しても興味がなくなった」場合は注意

一方で、

食べ物だけではなく、趣味や仕事、人との交流など、以前楽しめていたものにも興味がなくなった

という場合は少し注意が必要です。

これは単なる食欲の変化ではなく、抑うつ状態のサインである可能性があります。

例えば、

  • 趣味を楽しめなくなった
  • 人と話すのが面倒になった
  • 外出したくなくなった
  • 何をしても楽しくない
  • 強い倦怠感が続く

などがあれば、マンジャロの影響だと自己判断せず、医師に相談しましょう。

「感情が薄くなった」と感じたらどうする?

まずは、何に対する興味がなくなったのかを考えてみるとよいでしょう。

「食べ物への興味だけが減った」のなら、マンジャロによる食欲への作用と関連している可能性があります。

一方、

「食べ物だけではなく、仕事も趣味も人間関係も全部どうでもよくなった」

という場合には、精神面の変化として評価する必要があります。

患者さん

マンジャロを始めてから、食べ物にあまり興味がなくなりました。これってメンタルがおかしくなったんでしょうか?

Dr.石川

食欲が減ること自体はマンジャロの作用として考えられます。ただ、食べ物以外のことにも興味がなくなっていますか?

患者さん

食べ物以外は普通です。趣味も楽しいです。

Dr.石川

それなら、精神状態が悪化したというより、マンジャロによって食欲が抑えられている可能性が考えやすいですね。

マンジャロと自殺念慮・自殺行動の関係は?現在わかっていること

「マンジャロを使うと、自殺したくなることがあるの?」

この点は、マンジャロを使用する方にとって非常に気になるところです。

結論からいうと、現在までの研究では、マンジャロ(チルゼパチド)が自殺念慮や自殺行動を増やすという明確な因果関係は確認されていません。

もともとGLP-1受容体作動薬については、自殺念慮・自殺行動に関する報告があり、安全性について調査が行われてきました。

その後、米国FDAは2026年1月、GLP-1受容体作動薬について包括的な評価を行った結果、自殺念慮・自殺行動のリスク増加を確認できなかったとして、該当する薬剤の添付文書からこの警告を削除するよう申請者に求めています。チルゼパチドを含む薬剤も対象となっています。

チルゼパチドの研究ではどうだった?

チルゼパチドについても、SURMOUNT試験のデータをまとめた解析があります。

4,056人を対象とした解析では、

  • 自殺念慮が報告された割合は、チルゼパチド群とプラセボ群でともに0.6%
  • 自殺行動についても、チルゼパチドによって明らかに増加したとはいえない
  • うつ症状を評価するPHQ-9のスコアは、72週時点でチルゼパチド群のほうが低かった

という結果でした。

ただし、この研究では重い精神疾患や不安定なうつ病、自殺企図の既往などがある人は試験から除外されていました。

そのため、

「精神疾患がある人でも絶対に問題ない」

とまでは言えません。

実際、PMDAの審査資料でも、臨床試験では精神疾患などを持つ患者が除外されていたため、そのような患者におけるリスクについては十分に分かっていないとされています。一方で、チルゼパチドによってうつ病や自殺関連事象が明らかに増加するという結果も確認されていません。PMDA

「自殺念慮が起きた=マンジャロが原因」ではない

ここは特に重要です。

マンジャロを使用している人に自殺念慮が生じたとしても、

マンジャロを使った → 自殺念慮が起きた → マンジャロが原因

と単純に判断することはできません。

うつ病、不安症、強いストレス、睡眠不足、生活環境の変化など、精神状態にはさまざまな要因が関係します。

ただし、自殺したい、消えてしまいたい、自分を傷つけたいといった気持ちが出てきた場合は、原因がマンジャロなのかどうかを自分だけで判断する必要はありません。

その場合は、処方した医師や精神科・心療内科などに早めに相談してください。切迫している場合は、救急医療につながることもためらわないことが大切です。

患者さん

マンジャロで自殺したくなることがあるって聞いて、怖くなりました……。

Dr.石川

現在の研究では、マンジャロが自殺念慮や自殺行動を増やすという明確な証拠はありません。ただ、精神状態に変化があった場合は、薬だけのせいと決めつけず、きちんと確認することが大切です。

患者さん

もし『死にたい』という気持ちが出てきたら?

Dr.石川

その場合は我慢せず、すぐに医療機関へ相談してください。マンジャロが原因かどうかを考えるより、まず安全を確保することが最優先です。

マンジャロをやめたらメンタルは元に戻る?中止を考えるときの注意点

「マンジャロを使ってから気分が落ち込むようになった。やめれば元に戻るの?」

このように考える方もいるでしょう。

マンジャロを使用している間に気分の変化を感じた場合でも、中止すれば必ず元に戻る、とまでは言い切れません。

なぜなら、気分の落ち込みにはマンジャロ以外にも、体重減少、食事量の変化、睡眠、仕事や家庭のストレス、もともとのうつ病・不安症など、さまざまな要因が関係するからです。

自己判断で急に中止するのは避けましょう

「精神的に不安定になったから、今日からマンジャロをやめよう」と自己判断で中止するのではなく、まず処方医に相談しましょう。

特に、

  • 気分の落ち込みが続いている
  • 不安が強くなった
  • 眠れなくなった
  • 仕事や日常生活に支障が出ている
  • 食事がほとんど取れない
  • 以前楽しめていたことに興味がなくなった

といった変化がある場合は、マンジャロ以外の原因も含めて状態を確認することが大切です。

医師が状況を確認したうえで、投与量の調整、継続・中止の判断、ほかの治療への変更などを検討します。

すぐに相談してほしいケース

一方で、次のような状態は「次の診察まで様子を見る」という対応ではなく、早めに医療機関へ相談することが重要です。

  • 「死にたい」と考えてしまう
  • 「消えてしまいたい」と感じる
  • 自分を傷つけたい気持ちがある
  • 強い不安やパニックが続く
  • 日常生活ができないほど精神状態が悪化している

このような場合は、マンジャロを続けるか中止するかを自分だけで判断するのではなく、まず医療機関に連絡してください。

自殺念慮や自傷の衝動が強い場合は、薬の原因を調べることよりも安全の確保が最優先です。

「やめれば治る」と決めつけないことも大切

マンジャロを中止したあとに気分が改善することはあるかもしれません。

しかし、それだけで「マンジャロが原因だった」と断定することもできません。

例えば、マンジャロによって食事量が大きく減っていた人が、食事や体調を見直したことで気分が改善した可能性もあります。

反対に、もともと抱えていたうつ病や不安症が悪化していたのであれば、マンジャロを中止するだけでは十分な対応にならない場合もあります。

そのため、

「マンジャロをやめる・続ける」だけではなく、「なぜ精神状態が変化したのか」を確認することが大切です。

患者さん

マンジャロをやめれば、気分の落ち込みも治りますか?

Dr.石川

マンジャロが原因で起きているとは限らないので、必ず元に戻るとは言えません。食事や睡眠、ストレス、もともとの精神状態なども一緒に確認しましょう。

患者さん

じゃあ、自分で勝手にやめないほうがいいんですね。

Dr.石川

そうですね。気分の変化があるときは、まず処方した医師に相談してください。ただし、『死にたい』『自分を傷つけたい』という気持ちがある場合は、通常の相談を待たず、早急に医療機関へつながることが大切です。

マンジャロを使っている人がメンタルを安定させるためにできること

マンジャロを使っているときに「なんとなく気分が不安定」「以前よりイライラする」「やる気が出ない」と感じた場合、薬だけに原因を求めるのではなく、食事・睡眠・体重変化・生活リズムなども一緒に見直すことが大切です。

マンジャロは食欲を抑える作用があるため、食事量が大きく減っている場合には、体調や気分に影響している可能性もあります。

① 食事量が減りすぎていないか確認する

マンジャロを使うと食欲が低下し、「あまりお腹が空かない」という状態になることがあります。

ダイエットでは食事量を減らすことが重要に思えますが、極端に食べない状態を続けるのはおすすめできません。

特に、

  • 食事を何度も抜いている
  • ほとんど食べられない
  • 体重が急激に減っている
  • だるさや疲れを感じる

といった場合は、一度医師に相談しましょう。

② 睡眠をしっかり確保する

睡眠不足は、気分の落ち込みやイライラ、不安感などにつながることがあります。

マンジャロを始めてから、

「夜眠れなくなった」
「夜中に目が覚める」
「朝から疲れている」

などの変化がある場合は、その変化も診察時に伝えてください。

③ 体重だけを気にしすぎない

マンジャロを使用していると、体重の数字が気になってしまうことがあります。

「昨日より500g増えた」
「今週は思ったほど減らなかった」

といったことを毎日気にしていると、ダイエットそのものがストレスになる場合があります。

体重だけではなく、

「体調はどうか」「食事は無理なく取れているか」「睡眠は取れているか」

といった点も確認しましょう。

④ 気分の変化を記録しておく

メンタルの変化が気になる場合は、簡単な記録をつけておくのも方法です。

例えば、

  • マンジャロを注射した日
  • 投与量
  • 食事量
  • 睡眠時間
  • 体重
  • 気分の変化
  • 不安やイライラの程度

などを記録しておくと、診察時に状況を伝えやすくなります。

「なんとなく調子が悪い」だけでは分かりにくい変化も、記録すると見えてくることがあります。

患者さん

マンジャロを使ってから、少し気分が不安定な気がします。

Dr.石川

まず、食事量や睡眠、体重の変化も確認してみましょう。マンジャロだけが原因とは限りません。

患者さん

体重ばかり気にしていました……。

Dr.石川

体重も大切ですが、無理なく食事が取れているか、眠れているか、普段どおり生活できているかも大切ですよ。

患者さん

気分の変化も記録してみます。

Dr.石川

それがいいですね。診察のときに一緒に確認しましょう。

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マンジャロとメンタルについてよくある質問

ここまで、マンジャロと「うつ病」「不安」「自殺念慮」など精神面への影響について解説してきました。最後に、診察でもよく聞かれる疑問を整理してみましょう。

マンジャロを使うと、うつ病になりやすくなりますか?
現時点では、マンジャロがうつ病を引き起こすとする明確な証拠はありません。

臨床試験では抑うつ気分やうつ病などの報告はありますが、「報告された」ということと「薬が原因で起きた」ということは同じではありません。

一方で、マンジャロを使い始めてから明らかに気分が変化した場合は、その変化を放置せず医師に相談することが大切です。

もともとうつ病があります。マンジャロは使えますか?

うつ病があるというだけで、マンジャロが一律に使用できないというわけではありません。

ただし、現在の精神状態や服用している薬、治療状況などを含めて判断する必要があります。

精神科や心療内科に通院している場合は、マンジャロを始めることについて主治医にも相談しておくと安心です。

マンジャロで不安が強くなることはありますか?

マンジャロが直接、不安症を悪化させるという明確な証拠はありません。

ただし、食事量の大きな変化、吐き気などの副作用、睡眠不足、急激な体重変化などによって、体調や気分が変化することは考えられます。

「マンジャロを始めてから不安が強くなった」と感じたら、投与量や体調を含めて医師に相談しましょう。

マンジャロをやめれば、気分は元に戻りますか?

必ず元に戻るとは言い切れません。

気分の変化には、マンジャロ以外にも生活環境、ストレス、睡眠、食事、もともとの精神疾患など、さまざまな要因が関係するためです。

自己判断で中止するのではなく、まず処方医に相談することをおすすめします。

「死にたい」という気持ちが出たらどうすればいいですか?

これはマンジャロが原因かどうかを自分で判断する問題ではありません。

「死にたい」「消えてしまいたい」「自分を傷つけたい」といった気持ちが出てきた場合は、できるだけ早く医療機関に相談してください。

強い衝動がある、具体的な自傷・自殺の計画があるなど、切迫している場合は、救急医療につながることを優先してください。

患者さん

結局、マンジャロはメンタルに悪い薬なんですか?

Dr.石川

現在の研究では、マンジャロがうつ病や自殺念慮を増やすとする明確な証拠はありません。ただ、使用中に精神状態が変化することがあれば、その変化を軽視しないことが大切です。

患者さん

自分で薬をやめるのではなく、相談したほうがいいんですね。

Dr.石川

はい。マンジャロを続けるか、減量・中止するかも含めて、一緒に考えていきましょう。

マンジャロでメンタルが不安定になったとき、医師に伝えてほしいこと

マンジャロを使用していて「気分が落ち込む」「不安が強くなった」と感じた場合、診察ではできるだけ具体的に症状を伝えることが大切です。

「なんとなく調子が悪い」という一言だけでも相談して構いませんが、いつから、どのように変化したのかが分かると、マンジャロとの関係やほかの原因を考えやすくなります。

医師に伝えるとよいポイント

例えば、次のようなことをメモしておくとよいでしょう。

  • マンジャロを始めた日
  • 現在の投与量
  • 増量した時期
  • 気分の変化が始まった時期
  • 不安・イライラ・落ち込みなど具体的な症状
  • 睡眠時間や睡眠の変化
  • 食事量の変化
  • 体重の変化
  • ほかに飲んでいる薬
  • 仕事や家庭など、最近の大きなストレス

特に、「増量した直後から変化した」「食事がほとんど取れなくなった」「眠れなくなった」など、症状と生活の変化を具体的に伝えることがポイントです。

「薬が原因」と決めつけなくて大丈夫

マンジャロを始めた後に症状が出たからといって、必ずしもマンジャロが原因とは限りません。

逆に、「マンジャロとは関係ないだろう」と我慢する必要もありません。

医師は、

マンジャロの使用開始・増量 → 症状の出現 → 食事や睡眠などの変化 → ほかの薬や病気

といった情報を総合的に確認して判断します。

そのため、患者さん自身が原因を特定する必要はありません。

患者さん

マンジャロを始めてから、なんとなく気分が落ち込むんです。でも、薬が原因かどうか分からなくて……。

Dr.石川

大丈夫ですよ。原因を患者さん自身で判断する必要はありません。いつから症状が出たのか、マンジャロの量を変えたか、食事や睡眠はどうかなどを一緒に確認しましょう。

患者さん

症状をメモしておいたほうがいいですか?

Dr.石川

はい。簡単なメモでも十分です。診察のときにとても参考になります。

マンジャロとメンタルへの影響についてのまとめ

ここまで、マンジャロ(チルゼパチド)と、うつ病・不安症・自殺念慮など精神面への影響について解説してきました。

マンジャロを使っていると、「気分が落ち込むようになった」「不安になりやすくなった」と感じることがあるかもしれません。

しかし、現在の研究では、マンジャロがうつ病や不安症、自殺念慮・自殺行動を増やすという明確な因果関係は確認されていません。

一方で、マンジャロを使用している人に精神面の変化が起こった場合、それを「気のせい」と片付ける必要もありません。

食事量の変化や体重減少、睡眠、ストレス、もともとのうつ病・不安症など、さまざまな要因を含めて確認することが重要です。

特に覚えておきたいポイント

  • マンジャロがうつ病を引き起こすとは、現在のところ明確に確認されていない
  • 自殺念慮・自殺行動を増やすという明確な因果関係も確認されていない
  • ただし、使用中に精神状態が変化した場合は医師に相談する
  • 食事・睡眠・体重変化なども一緒に確認する
  • 抗うつ薬などを自己判断で中止しない
  • 「死にたい」「自分を傷つけたい」という気持ちがある場合は、原因にかかわらず早急に医療機関へ相談する
患者さん

マンジャロって、メンタルに悪い薬なのかと思って心配していました。

Dr.石川

現在の研究では、マンジャロがうつ病や自殺念慮を増やすという明確な証拠はありません。ただ、使っている間に気分の変化があれば、きちんと相談してくださいね。

患者さん

症状があったら、マンジャロのせいだと決めつけずに相談すればいいんですね。

Dr.石川

その通りです。薬だけではなく、食事や睡眠、ストレスなども含めて一緒に原因を考えていきましょう。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

参考文献

  1. Pierret AC, et al. Glucagon-Like Peptide 1 Receptor Agonists and Mental Health: A Systematic Review and Meta-Analysis. JAMA Psychiatry. 2025.
    GLP-1受容体作動薬と精神症状について、80件のランダム化比較試験・107,860人を対象に解析したシステマティックレビュー・メタ解析です。
    PubMed|GLP-1受容体作動薬とメンタルヘルスのメタ解析
  2. Psychiatric Safety of Tirzepatide in People With Obesity and No Known Major Psychopathology: A Post Hoc Analysis of SURMOUNT.
    チルゼパチドを使用したSURMOUNT試験のデータから、うつ症状や自殺念慮・自殺行動など精神面への影響を検討した解析です。
    PubMed|Tirzepatideの精神医学的安全性
  3. 日本イーライリリー株式会社.マンジャロ(チルゼパチド)の投与により抑うつ状態になるか?
    国内第III相試験(SURPASS J-mono、SURPASS J-combo)における抑うつ気分、うつ病、適応障害などの発現状況について確認できます。
    日本イーライリリー|マンジャロの投与により抑うつ状態になるか?
  4. 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA).マンジャロ皮下注(チルゼパチド) 医療用医薬品情報
    日本国内で承認されているマンジャロの電子添文、審査報告書、申請資料概要などを確認できます。
    PMDA|マンジャロ皮下注 医療用医薬品情報
  5. U.S. Food and Drug Administration (FDA). FDA Requests Removal of Suicidal Behavior and Ideation Warning from GLP-1 RA Medications. 2026.
    FDAによるGLP-1受容体作動薬と自殺念慮・自殺行動に関する安全性評価について確認できます。FDAは2026年1月、GLP-1受容体作動薬について自殺念慮・自殺行動のリスク増加を確認しなかったとしています。
    FDA|GLP-1薬の自殺念慮・自殺行動に関する安全性評価
  6. Inagaki N, Takeuchi M, Oura T, et al. Efficacy and safety of tirzepatide monotherapy compared with dulaglutide in Japanese patients with type 2 diabetes (SURPASS J-mono). Lancet Diabetes Endocrinol. 2022;10(9):623-633.
    日本人2型糖尿病患者におけるチルゼパチドの有効性・安全性を評価した第III相試験です。
    PubMed|SURPASS J-mono
  7. Kadowaki T, Chin R, Ozeki A, et al. Safety and efficacy of tirzepatide as an add-on to single oral antihyperglycaemic medication in patients with type 2 diabetes in Japan (SURPASS J-combo). Lancet Diabetes Endocrinol. 2022;10(9):634-645.
    日本人2型糖尿病患者におけるチルゼパチド併用療法の第III相試験です。
    PubMed|SURPASS J-combo
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