「マンジャロは脳に悪いの?」「長く使っていると依存症になる?」「うつや不安など、精神面に影響はない?」
マンジャロ(一般名:チルゼパチド)を使用している方、または使用を検討している方の中には、このような不安を感じる方もいるのではないでしょうか。
マンジャロは、血糖値を下げるだけでなく、食欲や満腹感にも影響する薬です。そのため、「脳に作用しているのでは?」「脳の働きを変えてしまうのでは?」と心配になるのも無理はありません。
実際、GLP-1などの作用を介して、マンジャロが食欲や食べ物への欲求に関係する脳の働きに影響することは研究されています。しかし、脳に作用することと、脳を傷つけることは同じではありません。
また、「マンジャロには依存性があるのではないか」「うつ病や不安、自殺念慮などの精神面に悪影響を及ぼすのではないか」といった点についても、近年さまざまな研究が行われています。
この記事では、マンジャロが脳にどのように作用するのか、依存性はあるのか、うつや不安など精神面への影響はどうなのかについて、現在までに報告されている研究や最新の安全性評価をもとに、わかりやすく解説します。
この記事の執筆者

石川 聡司
(新さっぽろウィメンズ ヘルス&ビューティークリニック 院長)
北海道大学医学部卒業後、北海道大学病院、帯広厚生病院など地域の中核病院に勤務。品川美容外科にて美容外科医として3年間の研鑽を積み、2021年に婦人科・美容外科を併設した当院を開業。
婦人科全般の診療のほか、美容医療では美肌治療、美容整形をはじめ脱毛・アートメイクなど幅広く対応する。
マンジャロは「脳に作用する薬」なの?
「マンジャロは脳に悪いのでは?」と考えるとき、まず知っておきたいのが、マンジャロが脳の働きとまったく無関係な薬ではないということです。
マンジャロの有効成分であるチルゼパチドは、GIP受容体とGLP-1受容体に作用する薬です。
これらは血糖値やインスリン分泌だけでなく、食欲や満腹感の調節にも関係しています。
そのため、マンジャロを使用すると、
- 食欲がわきにくくなる
- 少ない量で満腹を感じやすくなる
- 間食したい気持ちが減る
- 食べ物への関心が変化する
といった変化が起こることがあります。
「脳に作用する=脳に悪い」ではありません
ここは非常に重要なポイントです。
「脳に作用する」と聞くと、「脳を刺激している」「脳にダメージを与えている」とイメージする方もいるかもしれません。
しかし、薬が脳や神経の働きに影響すること自体は、必ずしも悪いことではありません。
たとえば、マンジャロの場合は、食欲や満腹感に関係する生理的なシグナルに影響することで、食事量の調節を助けると考えられています。
つまり、
「脳に作用する」ことと「脳を傷つける」ことは、まったく別の話です。
では、マンジャロは具体的に脳のどのような仕組みに関係しているのでしょうか?
患者さんマンジャロって、脳に作用するんですよね?それなら脳に悪い薬じゃないんですか?
Dr.石川脳の働きに影響することはあります。でも、“脳に作用すること”と“脳を傷つけること”は別です。マンジャロは食欲や満腹感に関係する仕組みに作用すると考えられています。
患者さんなるほど。脳に作用するから危険、というわけではないんですね。
Dr.石川そうですね。ただし、どのような薬でもすべての人に同じように作用するわけではありません。気になる症状があれば、自己判断せず医師に相談することが大切です。
2.マンジャロは脳のどこに作用する?「食欲」と「報酬系」の関係
マンジャロを使うと「食べたいという気持ちが減った」「以前ほど食事に興味がなくなった」と感じることがあります。
これは、マンジャロが単純に胃の働きだけを変えているからではありません。食欲や満腹感を調節する脳の仕組みも関係しています。
食欲は「胃が空いたかどうか」だけで決まらない
私たちが「お腹が空いた」「もう食べなくていい」と感じるのは、胃の状態だけで決まるわけではありません。
脳では、
- お腹が空いているか
- どのくらい食べたか
- 血糖値などのエネルギー状態
- 食べ物を見たり匂いを感じたりしたときの反応
- 「これを食べたい」という欲求
- 食事によって得られる満足感
など、さまざまな情報を組み合わせて食欲を調節しています。
GLP-1はこうした食欲調節に関係するシグナルの一つです。
マンジャロのチルゼパチドはGLP-1受容体とGIP受容体に作用するため、満腹感を高めたり、食欲を抑えたりする方向に働くと考えられています。
「食べたい」という欲求にも関係する?
ここで重要なのが、いわゆる脳の報酬系です。
食事は単に空腹を満たすだけではありません。
「甘いものを食べたい」「好きな料理を見ると食べたくなる」といった欲求には、脳の報酬に関係する仕組みが関わっています。
近年は、GLP-1を利用した薬が、こうした食べ物に対する欲求や報酬反応にも影響する可能性について研究されています。
そのため、マンジャロを使用して、
だけではなく、
と感じる人がいるのです。
ただし、これは「脳の報酬系を壊している」という意味ではありません。
食欲や食べ物に対する反応を調節している可能性が研究されているという段階であり、マンジャロが脳の報酬機能を損傷させることを示したものではありません。
患者さんマンジャロを使うと、食べ物への興味がなくなる人がいるんですよね?
Dr.石川そうですね。マンジャロは満腹感だけでなく、食べ物への欲求などにも関係する脳の仕組みに影響する可能性があります。
患者さんそれって、脳の報酬系を壊しているわけではないんですか?
Dr.石川現在の研究から、脳を壊していると考える根拠はありません。むしろ、食欲や食べ物に対する反応を調節していると考えられています。
「脳に悪い」という噂は本当?現在わかっていること
「マンジャロは脳に作用する」と聞くと、「長く使っていると脳が傷つくのでは?」と心配になるかもしれません。
結論からいうと、現在の研究から、マンジャロ(チルゼパチド)が通常の使用で脳を傷つける、あるいは脳の機能を低下させるとする確立した証拠はありません。
一方で、マンジャロが脳や神経系と無関係というわけでもありません。
「脳に作用する」と「脳にダメージを与える」は違う
マンジャロは、食欲や満腹感などに関係する生理的な仕組みに作用します。
これは薬として期待されている作用の一つです。
たとえば、
マンジャロ → GLP-1・GIP受容体に作用 → 食欲や満腹感などに関係するシグナルが変化 → 食事量が減る
という流れが考えられます。
したがって、
という単純な判断はできません。
重要なのは、どのような作用をするのか、そしてその作用によって有害な変化が起きているのかを分けて考えることです。
現在の研究で大きな問題となっているのは?
マンジャロを含むGLP-1関連薬については、精神面への影響についても研究が進められています。
特に注目されてきたのが、
- うつ症状
- 不安
- 自殺念慮・自殺行動
- 精神状態の変化
- 認知機能への影響
などです。
2026年には、チルゼパチドを使用した大規模な臨床試験データを用いて、精神症状への影響を調べた解析も報告されています。
また、米国FDAもGLP-1受容体作動薬について、自殺念慮・自殺行動との関連を詳しく評価しています。
現在のところ、GLP-1受容体作動薬が自殺念慮・自殺行動のリスクを高めるという明確な証拠は確認されていません。
ただし、「精神面への影響が完全にゼロ」と断言するという意味ではありません。
薬を使用している人の体調や生活環境、もともとの精神状態などには個人差があるため、実際に気になる症状が出た場合には、その症状を軽視しないことが大切です。
まだ研究が続いている部分もあります
ここは非常に重要です。
マンジャロが比較的新しい薬であることもあり、何十年にもわたって使用した場合の脳への影響まで完全にわかっているわけではありません。
特に、
- 非常に長期間使用した場合の影響
- 食欲や報酬系への長期的な影響
- 特定の精神疾患がある人への影響
- 個人による反応の違い
などについては、今後さらに研究が必要です。
そのため、
「脳に悪いことが証明されている」わけでもなければ、「脳への長期的な影響がすべて解明されている」わけでもない
というのが、現在の研究を踏まえた適切な理解です。
患者さん結局、マンジャロで脳が悪くなるという証拠はあるんですか?
Dr.石川現在のところ、マンジャロが脳を傷つけるという確立した証拠はありません。
患者さんじゃあ、長く使っても絶対に問題ないんですね?
Dr.石川そこまで言い切ることもできません。長期間使用した場合の影響など、まだ研究が続いている部分もあります。今わかっていることと、まだわからないことを分けて考えることが大切です。
患者さんなるほど。『脳に悪い』と決まっているわけではないけれど、研究が続いている部分もあるんですね。
Dr.石川その理解が一番近いと思います。
マンジャロに依存性はある?「やめられなくなる」の正体
「マンジャロを使い始めたら、一生やめられなくなるのでは?」
これは、マンジャロを使用する方からよく聞かれる不安の一つです。
特に、薬をやめると食欲が戻ったり、体重が再び増えたりすることがあるため、「これは依存症なのでは?」と感じる方もいるでしょう。
しかし、「薬を継続して使用すること」と「薬物依存症になること」は同じではありません。
そもそも「依存症」とは?
一般的に薬物依存では、薬を繰り返し使用することで強い欲求が生じ、自分の意思で使用をコントロールすることが難しくなったり、生活に支障が出たりする状態が問題になります。
一方、マンジャロの場合は、
- 食欲を抑えるために薬を使用する
- 使用している間は食欲が抑えられる
- 中止すると食欲が戻ることがある
- 体重が再び増えることがある
ということがあります。
これは、薬の効果がなくなったことで、もともとの生理的な食欲調節に戻ったと考えることができます。
「薬をやめたら食欲が戻った」という現象だけで、依存症と判断することはできません。
「やめられない」と感じる理由
マンジャロを中止した後に体重が戻ることについては、実際に臨床試験でも検討されています。
体重を減らした後に薬を中止すると、食欲や体重が再び増加することがあります。
これはマンジャロだけに限った話ではありません。
たとえば、血圧を下げる薬を中止すれば血圧が上がることがありますし、糖尿病の治療薬を中止すれば血糖値が悪化することがあります。
それと同じように、
「薬を使っている間に得られていた効果が、薬をやめることで失われる」
ということと、
「薬に依存している」
ということは区別する必要があります。
マンジャロには「依存性」があるの?
現在のところ、マンジャロが一般的な意味での依存性を引き起こす薬として認識されているわけではありません。
マンジャロは、アルコールやニコチン、あるいは依存性が問題となる薬物とは異なり、「快感を得るために繰り返し使用したくなる」ということを目的とした薬でもありません。
一方で、GLP-1系の薬が脳の報酬系や食べ物への欲求に影響する可能性については研究が進んでいます。
そのため、「依存性は絶対にない」と単純に言い切るのではなく、現時点で薬物依存症を起こすことを示す確立した証拠はない一方、脳の報酬系との関係については研究が続いていると理解するのが適切です。
患者さんマンジャロをやめたら食欲が戻るなら、依存しているってことじゃないんですか?
Dr.石川必ずしもそうではありません。薬の効果で抑えられていた食欲が、薬をやめることで戻っている可能性があります。
患者さんじゃあ、薬を続けていること自体が依存症というわけではないんですね。
Dr.石川そうです。治療のために薬を継続することと、依存症になることは別の問題です。
患者さんなるほど。『やめたら食欲が戻った=依存症』ではないんですね。
Dr.石川その通りです。ただし、薬をやめるかどうかは自己判断せず、体重や血糖値、食欲などを見ながら医師と相談して決めることが大切です。
マンジャロはドーパミンに影響する?「快感がなくなる」は本当?
マンジャロについて調べていると、「ドーパミンに作用するの?」「食事の楽しみがなくなるのでは?」という話を見かけることがあります。
特に、
といった体験談から、「脳のドーパミンが減っているのでは?」と心配する方もいるかもしれません。
しかし、ここは少し注意して考える必要があります。
ドーパミン=「快感物質」ではありません
ドーパミンは、よく「快感を生み出す脳内物質」と説明されます。
もちろん報酬や快楽に関係していますが、それだけではありません。
ドーパミンは、
- 意欲
- 学習
- 注意
- 行動を選択する仕組み
- 「これをしたい」という動機づけ
- 報酬を予測する仕組み
など、さまざまな脳機能に関係しています。
そのため、
「マンジャロを使う → ドーパミンが減る → 楽しいと感じられなくなる」
という単純な関係で説明することはできません。
食べ物への「欲求」が変化する可能性
GLP-1を利用した薬については、食べ物に対する欲求や報酬反応に影響する可能性が研究されています。
たとえば、以前なら、
「夕食を食べたのに、デザートが食べたい」
「お腹いっぱいなのに、ついお菓子を食べてしまう」
ということがあった人が、マンジャロを使用すると、
「別に食べなくてもいいかな」
と感じるようになることがあります。
これは、マンジャロの作用によって食欲や食べ物に対する動機づけが変化した結果として説明できる可能性があります。
しかし、
食べ物への欲求が減ることと、人生全般の楽しみがなくなることは別です。
マンジャロによって食欲が抑えられたからといって、音楽や趣味、人との交流など、すべての楽しみまで失われることを意味するわけではありません。
「何をしても楽しくない」と感じる場合は別に考える
一方で、マンジャロを使用してから、
- 何をしても楽しくない
- 強い無気力が続く
- 気分が大きく落ち込む
- 以前好きだったことにも興味がなくなった
- 不安やイライラが強くなった
などの変化が続く場合は、「食欲が抑えられているだけ」と決めつけないことが大切です。
こうした症状には、薬以外にも生活環境、睡眠、食事量、体重変化、もともとの精神状態など、さまざまな要因が関係する可能性があります。
気になる変化がある場合は、処方した医師に相談しましょう。
患者さんマンジャロを使うとドーパミンが減って、何をしても楽しくなくなるって聞いたんですが……。
Dr.石川ドーパミンはそんなに単純なものではありません。マンジャロが食欲や食べ物への欲求に関係する脳の仕組みに影響する可能性は研究されていますが、『ドーパミンを減らして楽しさをなくす薬』と考えるのは正確ではありません。
患者さん食べたい気持ちが減ること自体は、マンジャロの作用なんですね。
Dr.石川そうですね。ただ、食べ物への欲求が減ることと、生活全体への興味や楽しみがなくなることは別です。もし日常生活全体に変化を感じるなら、医師に相談してください。
マンジャロでうつ病や不安症になる?精神への影響を検証
マンジャロについては、「気分が落ち込むようになった」「不安が強くなった」「うつ病にならないか心配」といった精神面への影響を気にする方もいます。
特に、食欲や脳の報酬系に関係する薬であることから、「脳に作用するなら、精神状態にも影響するのでは?」と考えるのは自然なことです。
では、実際の研究ではどうなのでしょうか。
現在の研究では「うつ病になる」とは確認されていない
2026年に報告された、チルゼパチドを使用したSURMOUNT-1、2、3試験の解析では、精神疾患の大きな既往が確認されていない肥満・過体重の成人4,056人を対象に、チルゼパチドと精神面の変化が調べられました。
その結果、72週時点のうつ症状を評価するPHQ-9の平均スコアは、
- チルゼパチド群:1.9
- プラセボ群:2.4
となり、チルゼパチド群でより低い値でした。
また、研究期間中に自殺念慮を報告した割合は両群とも0.6%でした。
この研究からは、少なくとも研究対象となった人たちにおいて、チルゼパチドがうつ症状を悪化させることを示す結果は得られていません。
ただし、この研究は「精神疾患の大きな既往がない人」が中心です。そのため、重度の精神疾患がある人について同じ結果が得られるかどうかは、別途検討する必要があります。
自殺念慮についても、現在の評価ではリスク増加は確認されていない
GLP-1関連薬では以前から、自殺念慮や自殺行動との関連が安全性上の問題として調査されてきました。
しかし、2026年1月、米国FDAは91件のプラセボ対照試験、合計107,910人を含む解析などをもとに評価した結果、GLP-1受容体作動薬で自殺念慮・自殺行動のリスクが増加するという証拠は確認されなかったと発表しました。
さらに、不安、うつ、易刺激性、精神病症状などについても、リスク増加は確認されなかったとしています。
チルゼパチドを成分とする米国のZepboundでは、その後、添付文書から「自殺行動・自殺念慮」に関する警告が削除されています。
ただし「精神面への影響が絶対にない」という意味ではありません
ここは誤解しないようにしたいポイントです。
研究全体としてリスク増加が確認されていないからといって、マンジャロを使用するすべての人に精神面の変化が起こらないと断言できるわけではありません。
実際に、
- 気分が大きく落ち込む
- 強い不安を感じる
- イライラが続く
- これまで楽しめていたことに興味がなくなる
- 自殺について考えてしまう
などの変化が出た場合には、薬だけが原因と決めつけず、処方した医師に相談することが大切です。
FDAも、GLP-1受容体作動薬を使用している人に新たな、または悪化したうつ症状、自殺念慮、気分や行動の異常な変化があれば、医療専門家に相談するよう案内しています。
患者さんマンジャロを使うとうつ病になったり、不安が強くなったりすることはないんですか?
Dr.石川現在の研究では、マンジャロの成分であるチルゼパチドがうつ症状や自殺念慮のリスクを高めるという明確な結果は出ていません。
患者さん精神的な副作用をまったく心配しなくていいということですか?
Dr.石川そういう意味ではありません。研究上リスクが増えていないことと、個人に症状が起こらないことは別です。実際に気分や行動に大きな変化があれば、薬との関係も含めて医師に相談しましょう。
患者さん研究結果だけで判断せず、自分に変化があったら相談することが大切なんですね。
Dr.石川はい。その考え方が大切です。
自殺念慮・自殺行動との関係は?最新の安全性評価
マンジャロの精神面への影響を考えるうえで、特に気になるのが「自殺を考えるようになることはないのか」という点です。
GLP-1受容体作動薬については、過去に自殺念慮や自殺行動との関連が報告されたことから、安全性について調査が行われてきました。
しかし、現在までに行われた大規模な評価では、GLP-1受容体作動薬が自殺念慮・自殺行動のリスクを高めるという明確な証拠は確認されていません。
FDAによる最新の評価
米国食品医薬品局(FDA)は2026年1月、GLP-1受容体作動薬について、自殺念慮・自殺行動との関連を詳しく評価しました。
この評価では、91件のプラセボ対照試験、合計107,910人のデータを含む解析などが検討されています。
その結果、GLP-1受容体作動薬を使用した人では、プラセボを使用した人と比較して、
- 自殺念慮
- 自殺行動
のリスクが増加するという証拠は確認されませんでした。
さらに、
- うつ
- 不安
- 易刺激性
- 精神病症状
についても、GLP-1受容体作動薬によるリスク増加は確認されませんでした。
この評価を受け、FDAはGLP-1受容体作動薬の添付文書にあった自殺念慮・自殺行動に関する警告を削除するよう求めました。
では「マンジャロは精神面について完全に安全」なの?
ここは少し慎重に考える必要があります。
今回の研究結果は、
「マンジャロを使用すると自殺念慮が増える」という因果関係を示す証拠は確認されていない
という意味です。
一方で、
「マンジャロを使用している人には精神面の問題が絶対に起こらない」
という意味ではありません。
人の精神状態には、薬以外にも、
- 仕事や家庭環境
- 睡眠
- 体重変化
- 食事量
- 他の病気
- 他の薬
- もともとの精神状態
など、多くの要因が関係します。
そのため、マンジャロを使用している期間に気分や行動に大きな変化があった場合は、「研究では問題ないから」と放置しないことが大切です。
特に注意したい症状
マンジャロを使用していて、
- 強い気分の落ち込み
- 強い不安
- これまで楽しめていたことへの興味がなくなる
- 強いイライラ
- 普段と明らかに違う行動
- 自分を傷つけたいという気持ち
- 死にたいという気持ち
などが現れた場合には、速やかに医療機関へ相談しましょう。
特に自殺を考えてしまう場合は、薬を自己判断で中止したり我慢したりせず、できるだけ早く医療機関に相談することが重要です。
患者さんマンジャロで自殺を考えるようになるという話を見たことがあります。
Dr.石川以前からその可能性について調査されてきました。ただ、最新の大規模な安全性評価では、GLP-1受容体作動薬によって自殺念慮や自殺行動が増えるという証拠は確認されていません。
患者さんでは、そこまで心配しなくてもいいんですね。
Dr.石川研究上はリスクの増加は確認されていません。ただ、実際に気分や行動に変化があれば、それは別の話です。症状があれば我慢せず相談してください。
患者さん研究結果だけではなく、自分自身の変化も大切なんですね。
Dr.石川はい。薬を使っている間に気になる変化があれば、薬との関係も含めて一緒に確認していきましょう。
マンジャロで「頭がぼーっとする」「頭が働かない」と感じるのはなぜ?
マンジャロを使用している方の中には、
- 「頭がぼーっとする」
- 「集中しにくくなった気がする」
- 「頭が働かない感じがする」
- 「以前より疲れやすい」
と感じる方もいます。
こうした症状があると、「マンジャロが脳に悪影響を与えているのでは?」と心配になるかもしれません。
しかし、このような症状があったからといって、すぐにマンジャロが脳そのものにダメージを与えていると考える必要はありません。
むしろ、食事量や水分量の変化など、間接的な要因も考える必要があります。
食事量が大きく減っていない?
マンジャロを使用すると食欲が抑えられるため、以前より食事量が大幅に減ることがあります。
食事量が減ること自体はマンジャロの期待される作用ですが、必要なエネルギーや栄養素まで不足してしまうと、
- 疲れやすい
- だるい
- 集中しにくい
- 頭がぼんやりする
と感じることがあります。
特に、自己判断で極端な食事制限をしている場合には注意が必要です。
脱水にも注意
マンジャロでは、吐き気、嘔吐、下痢などの消化器症状が起こることがあります。
こうした症状が強い場合、水分が不足して脱水状態になることがあります。
脱水になると、
- 頭痛
- 倦怠感
- めまい
- 集中力の低下
などを感じることがあります。
「頭がぼーっとする」という症状だけを見て、すぐに「脳への副作用」と判断するのではなく、食事や水分を十分に取れているかも確認することが大切です。
糖尿病治療中の方は低血糖にも注意
マンジャロは血糖値を下げる作用があります。
マンジャロ単独では低血糖のリスクは比較的低いとされていますが、インスリンやスルホニル尿素薬など、低血糖を起こす可能性がある薬と併用している場合には注意が必要です。
低血糖になると、
- 冷や汗
- 手の震え
- 動悸
- 強い空腹感
- めまい
- 集中力の低下
- 意識がぼんやりする
などの症状が出ることがあります。
そのため、糖尿病治療中で「頭がぼーっとする」という症状が出た場合には、低血糖が起きていないか確認することも重要です。
体重が急激に減っている場合にも注意
マンジャロによって体重が減ることは期待される効果ですが、短期間に大きく体重が減っている場合には、食事量や栄養状態などを確認する必要があります。
特に、
と考えてしまうのはおすすめできません。
マンジャロは「できるだけ食べないようにする薬」ではなく、適切な食事と運動などを組み合わせながら、体重や血糖値を管理していくための治療薬です。
患者さんマンジャロを始めてから、なんとなく頭がぼーっとするんです。脳に悪いんでしょうか?
Dr.石川必ずしもそうとは限りません。食事量が減りすぎていたり、水分が不足していたり、場合によっては低血糖が関係していることもあります。
患者さん脳への影響だけを考えればいいわけではないんですね。
Dr.石川そうです。特に食事や水分が十分に取れているか、他の糖尿病薬を使っている場合は低血糖がないかなども確認する必要があります。
患者さん症状が続く場合はどうしたらいいですか?
Dr.石川自己判断で我慢したり薬を中止したりせず、処方した医師に相談してください。症状の原因を一つずつ確認していきましょう。
マンジャロで感情が変わる?「食べ物への興味がなくなった」の意味
マンジャロを使用した方からは、
といった変化が聞かれることがあります。
こうした変化は、「脳に何か悪いことが起きているのでは?」と不安になる原因にもなります。
しかし、食べ物への興味や欲求が減ること自体は、マンジャロの作用と矛盾するものではありません。
「食べたい」という気持ちが弱くなることがある
私たちの食欲は、「胃が空いている」という感覚だけで決まるものではありません。
食べ物の匂いや見た目、過去の経験、満腹感、血糖値など、さまざまな情報が脳で処理され、「食べたい」という欲求につながります。
マンジャロはGLP-1受容体とGIP受容体に作用し、食欲や満腹感に関係する仕組みに影響します。
そのため、
だけでなく、
「なんとなくお菓子を食べたい」
「テレビを見ながら何か食べたい」
「食後だけどデザートが欲しい」
といった食べ物への欲求が弱くなることがあります。
これは、必ずしも「感情がなくなった」ということではありません。
「食欲が減る」と「感情がなくなる」は違う
ここは区別しておきたいところです。
たとえば、
以前
↓
マンジャロ使用後
「今日は別に食べなくてもいいかな」
となったのであれば、食欲や食べ物への欲求が変化したと考えることができます。
一方で、
という状態であれば、単純に「食欲が抑えられた」とは考えないほうがよいでしょう。
このような場合には、精神状態の変化について医師に相談することが大切です。
食事の「楽しみ方」が変わる人もいる
マンジャロを使うことで、食事に対する価値観が変化したように感じる方もいます。
例えば、
- 大盛りを選ばなくなった
- 間食が減った
- 甘いものを以前ほど欲しくなくなった
- 食事の量よりも味や質を重視するようになった
- 「食べなければ」という感覚が減った
といった変化です。
こうした変化だけで「脳がおかしくなった」と判断する必要はありません。
むしろ、これまで強かった食欲や食べ物への欲求が、治療によって変化している可能性があります。
ただし「極端な無関心」には注意
一方で、食欲がなくなりすぎて食事や水分が十分に取れない場合には注意が必要です。
特に、
- 食事がほとんど取れない
- 水分も取れない
- 強い倦怠感がある
- 急激に体重が減っている
- 気分の落ち込みも強い
といった場合には、単なる「食欲抑制」と考えず、医師に相談しましょう。
患者さんマンジャロを使ってから、食べ物のことをあまり考えなくなりました。これって脳に悪いんでしょうか?
Dr.石川食欲や食べ物への欲求が減ることは、マンジャロの作用として考えられます。食べ物への興味が減ったことだけで、脳に悪影響が出ているとは言えません。
患者さんじゃあ、食事が以前ほど楽しみじゃなくなっても大丈夫ですか?
Dr.石川食べ過ぎたいという欲求が減ることと、生活全体の楽しみがなくなることは別です。もし食事以外のことまで楽しめなくなったり、気分が大きく落ち込んだりする場合は、医師に相談してください。
患者さん食欲の変化と、精神状態の変化は分けて考えたほうがいいんですね。
Dr.石川そうですね。その違いを見極めることが大切です。
マンジャロはアルコール・タバコなどの依存にも影響する?
ここまで「マンジャロに依存性はあるのか」という話をしてきましたが、もう一つ興味深い研究テーマがあります。
それが、GLP-1受容体に作用する薬が、アルコールやニコチンなどの「報酬行動」にも影響するのではないかという研究です。
「マンジャロを使うと、お酒を飲みたい気持ちまで減る」という体験談を見かけることがありますが、実際にはどうなのでしょうか。
GLP-1と「報酬」の関係が研究されている
食事をすると、「おいしい」「もっと食べたい」と感じることがあります。
こうした食べ物に対する欲求には、脳の報酬系が関係しています。
そして近年、GLP-1受容体を刺激する薬が、食べ物だけでなく、アルコールなどの報酬刺激に対する反応にも影響する可能性が研究されています。
そのため、
「GLP-1の薬は依存症にも効くのでは?」
という研究テーマが生まれています。
実際に、GLP-1受容体作動薬について、アルコール摂取量やアルコールへの欲求などを調べる研究が行われています。
では、マンジャロが依存症を治してくれるの?
ここは注意が必要です。
現時点では、マンジャロをアルコール依存症やニコチン依存症の治療薬として使用することが確立しているわけではありません。
2026年に報告された系統的レビュー・メタ解析でも、GLP-1関連薬がアルコールやタバコなどの使用量・依存度を改善する可能性について研究されていますが、臨床で依存症治療に広く推奨できるほどの質・量のRCT(ランダム化比較試験)の証拠は、まだ十分ではないとされています。
つまり、
「GLP-1系薬が報酬系に影響する可能性は研究されている」
ことと、
「マンジャロが依存症を治療できる」
ことは別です。
「依存性がある薬」とはむしろ逆の研究も
ここは少し面白いところです。
マンジャロについて「依存性があるのでは?」と心配する一方で、研究者の間では、
「GLP-1の作用によって、特定の報酬行動への欲求を抑えられるのではないか?」
という方向からも研究されています。
これは、GLP-1が食欲だけではなく、脳の報酬に関係する仕組みに影響する可能性があるためです。
ただし、まだ研究段階です。
「お酒を飲みたくなくなった」という個人の体験があったとしても、それだけでマンジャロが依存症を治療すると判断することはできません。
患者さんマンジャロを使ったら、お酒もあまり飲みたくなくなるって聞いたことがあります。
Dr.石川そうした可能性については研究されています。GLP-1が食べ物などの報酬に関係する脳の仕組みに影響する可能性があるためです。
患者さんじゃあ、マンジャロは依存症にも効くんですか?
Dr.石川現時点では、依存症の治療薬として確立しているわけではありません。研究は進んでいますが、まだ結論を出せる段階ではありません。
患者さん依存性があるかもしれない薬というより、逆に依存行動への影響が研究されているんですね。
Dr.石川そうですね。ただ、どちらについてもまだ研究途中です。今後の研究結果が注目されています。
マンジャロを長期間使うと脳はどうなる?まだわかっていないこと
ここまで読んで、「マンジャロは脳に悪いという証拠はないんだ」と安心した方もいるかもしれません。
ただし、ここで一つ大切なことがあります。
「現在までに明らかな悪影響が確認されていない」ことと、「脳への長期的な影響がすべて解明されている」ことは同じではありません。
マンジャロは比較的新しい薬であり、長期間使用した場合の脳への影響については、現在も研究が続いています。
長期間の使用については、まだ研究途上
マンジャロのチルゼパチドは、GLP-1受容体とGIP受容体に作用します。
これによって、
- 食欲
- 満腹感
- 食べ物への欲求
- エネルギー摂取
などに変化が起こります。
一方で、こうした作用が何年、何十年という長期間にわたって脳にどのような影響を与えるのかについては、まだ十分なデータがあるとはいえません。
特に研究が進められているのが、脳の「報酬系」との関係です。
食欲を抑え続けることで脳が変わる?
マンジャロを使用すると、食べ物に対する欲求や報酬反応が変化する可能性があります。
では、それを長期間続けたらどうなるのでしょうか。
現時点では、
といったことを示す確立した証拠はありません。
一方で、GLP-1系薬剤が脳の報酬関連領域の活動にどのような変化をもたらすのかについては、脳画像研究などを含めて研究が続いています。
2026年に発表されたレビューでも、GLP-1受容体作動薬による脳活動や食物関連の報酬反応の変化が検討されていますが、研究ごとに対象者や薬剤、投与期間、評価方法などが異なり、長期的な影響についてはまだ明確な結論が出ていません。
つまり、
「脳に変化が起こる可能性を研究している」ことと、「脳が傷つくことがわかっている」ことは別です。
特定の精神疾患がある人については?
もう一つ注意したいのが、精神疾患を持っている人への影響です。
これまでの大規模な臨床試験では、精神疾患の重い既往がある人が十分に含まれていない場合があります。
そのため、
- うつ病
- 不安障害
- 摂食障害
- 双極性障害
- その他の精神疾患
などがある人について、マンジャロが長期的にどのような影響を与えるのかは、すべてが明らかになっているわけではありません。
もちろん、これは「精神疾患がある人はマンジャロを使用できない」という意味ではありません。
自分の病歴や服用している薬を医師に伝えたうえで、個別に判断することが大切です。
「わかっていない」ことを過度に怖がらない
医療では、新しい薬について「まだわかっていないこと」があるのは珍しいことではありません。
重要なのは、
「わからない=危険」ではない
ということです。
現在の研究で確認されている安全性と、まだ研究が必要な部分を分けて考える必要があります。
マンジャロについても、
- 現時点で脳を損傷させるという確立した証拠はない
- 精神症状や自殺念慮のリスク増加は確認されていない
- 一方で、非常に長期的な脳への影響などには研究の余地がある
という整理が適切でしょう。
患者さんじゃあ、マンジャロを何年も使った場合の脳への影響は、全部わかっているわけではないんですね。
Dr.石川そうですね。現在の研究で大きな問題が確認されているわけではありませんが、非常に長期間使用した場合の影響など、これから研究が必要な部分もあります。
患者さん『わかっていない』ということは、危険という意味ではないんですよね?
Dr.石川その通りです。わかっていないことと、危険であることは別です。現在わかっている安全性と、今後研究される部分を分けて考えることが大切です。
患者さん安心しました。ネットの『脳が壊れる』という情報だけで判断するのはよくないですね。
Dr.石川はい。薬については、個人の体験談だけではなく、臨床試験や安全性評価などの医学的な情報も含めて判断しましょう。
ここでお知らせをさせていただきます。
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近隣にマンジャロを取り扱っているクリニックがない、クリニック受診に抵抗がある、多忙で受診する時間がない、安くマンジャロを手に入れたい、そんな方におすすめです!






























こんな精神症状が出たら医師に相談しましょう
ここまで見てきたように、現在の研究では、マンジャロ(チルゼパチド)がうつ病や不安症、自殺念慮などのリスクを一律に高めるとは確認されていません。
ただし、マンジャロを使用している本人に精神面の変化が起こった場合は、「薬のせいではない」と決めつけて放置する必要もありません。
次のような変化が続く場合は、処方した医師に相談しましょう。
- 気分が落ち込む、何をしても楽しく感じない
- 強い不安や焦りを感じる
- イライラしやすくなった
- 眠れない、または睡眠リズムが大きく変わった
- 以前より何もする気が起きない
- 趣味や人付き合いなど、日常生活への興味がなくなった
- 自分でも「いつもと違う」と感じるような行動や性格の変化がある
- 「消えてしまいたい」「死にたい」などの考えが浮かぶ
特に、自殺したい、自分を傷つけたいという気持ちがある場合は、様子を見ずに早めに医療機関へ相談することが重要です。切迫している場合は、身近な人に助けを求め、救急医療につながることもためらわないでください。
マンジャロを自己判断で中止・増量しない
精神的な変化があると、「マンジャロが原因かもしれないから、すぐにやめよう」と考える方もいるかもしれません。
しかし、マンジャロを中止するか、投与量を変更するかは、自己判断ではなく処方医と相談して決めることが大切です。
精神症状には、マンジャロ以外にも、睡眠不足、食事量の大きな変化、急激な体重減少、仕事や生活上のストレス、ほかの薬など、さまざまな要因が関係する可能性があります。
そのため、
「マンジャロを使い始めてから症状が出た」=「マンジャロが原因」
とは限りません。
医師に相談するときは、
- いつから症状が出たのか
- マンジャロを開始・増量した時期
- 食事量や体重の変化
- 睡眠状態
- ほかに使用している薬
- どの程度、日常生活に影響しているか
などを伝えると、原因を考えるうえで役立ちます。
患者さんマンジャロを始めてから、なんとなく気分が落ち込む気がします。薬のせいでしょうか?
Dr.石川マンジャロが直接の原因とは限りませんが、精神面の変化があるなら一度確認しましょう。いつから症状が出たのか、睡眠や食事、体重の変化なども含めて一緒に考えていきましょう。
患者さん自分で薬をやめたほうがいいですか?
Dr.石川まずは自己判断で中止や増量をせず、処方した医師に相談してください。ただし、死にたい、自分を傷つけたいという気持ちがある場合は、通常の受診を待たず、すぐに医療機関へ相談してください。
マンジャロは「脳に悪い薬」なの?現在の研究から考える
ここまで、マンジャロ(チルゼパチド)の脳への作用、依存性、ドーパミン、うつや不安、自殺念慮などについて見てきました。
結論からいうと、現在の研究から「マンジャロは脳に悪い薬」と判断できる根拠はありません。
マンジャロはGIP受容体とGLP-1受容体に作用し、食欲や満腹感などの調節に関わります。そのため、「脳に作用する薬」であることは確かです。
しかし、
ではありません。
現在わかっていること
現在までの研究では、マンジャロを含むGLP-1関連薬について、うつ病や不安、自殺念慮などの精神症状が一般的に増えることを示す結果は確認されていません。
また、「マンジャロを使うと依存症になる」「ドーパミンが壊れて何も楽しめなくなる」といったことを示す確立した医学的根拠もありません。
一方で、マンジャロを使用すると、
- 食欲が大きく減る
- 食べ物への関心が変化する
- 食事量が減る
- 体重が大きく減少する
といった変化が起こるため、それを「脳がおかしくなった」と感じてしまうことはあるかもしれません。
しかし、こうした変化は、マンジャロが本来持っている食欲・満腹感への作用として説明できる場合があります。
まだわかっていないこともあります
ただし、「現在問題が確認されていない」ことと、「将来にわたってすべてが完全にわかっている」ことは別です。
マンジャロを何十年にもわたって使用した場合の脳への影響や、特定の精神疾患を持つ人に対する長期的な影響などについては、今後も研究が必要です。
医学では、
とは考えません。
現在の研究結果をもとに安全性を評価しながら、新しいデータが出れば評価を更新していくことが大切です。
患者さん結局、マンジャロは脳に悪い薬ではないんですか?
Dr.石川現時点では、マンジャロが脳を傷つけたり、精神疾患を一律に増やしたりすることを示す根拠はありません。ただ、長期的な影響については、まだ研究が続いている部分もあります。
患者さんじゃあ、食べ物への興味がなくなったのは大丈夫ですか?
Dr.石川食欲が減ること自体はマンジャロの作用として考えられます。ただし、食事や水分がほとんど取れない、強い気分の落ち込みがある、日常生活に支障が出ている、といった場合は相談してください。
まとめ|マンジャロは脳に悪い?依存性や精神への影響を整理
マンジャロ(チルゼパチド)は、血糖値を下げるだけでなく、脳にも作用して食欲や満腹感を調節する薬です。
そのため、「脳に作用するなら、脳に悪いのでは?」「依存症にならない?」と心配になる方もいるかもしれません。
しかし、現在までの研究からは、マンジャロが脳を傷つける薬であることや、一般的に依存症を引き起こすことを示す根拠はありません。
また、うつ病や不安、自殺念慮などの精神面についても、現時点の大規模な研究や安全性評価では、マンジャロなどのGLP-1関連薬によってこれらのリスクが一律に高くなることは確認されていません。
一方で、マンジャロを使用すると、
- 食欲が大きく減る
- 食べ物への興味が変化する
- 食事量が減る
- 体重が減少する
などの変化が起こります。
こうした変化を「脳がおかしくなった」と感じることがありますが、マンジャロの薬理作用によって説明できる場合があります。
ただし、医学的にすべてが解明されているわけではありません。特に非常に長期間使用した場合の脳への影響などについては、今後も研究が続いていくと考えられます。
そして、マンジャロを使用している中で強い気分の落ち込み、不安、無気力、興味の喪失、行動の変化などが出てきた場合は、薬のせいだと自己判断せず、処方した医師に相談することが大切です。
患者さんマンジャロは脳に悪い薬ではないんですね?
Dr.石川現在の研究では、マンジャロが脳を傷つけたり、依存症を引き起こしたりすることを示す根拠はありません。食欲を抑えるために脳の働きに関わる薬ですが、それは脳を壊すという意味ではありません。
患者さん食べ物への興味がなくなったのも、薬の作用なんですね。
Dr.石川その可能性があります。ただ、気分が大きく落ち込んだり、何も楽しめなくなったりするなど、生活に影響する変化があれば相談してください。
患者さんネットにはいろいろな情報があるので、不安になっていました。
Dr.石川薬について不安になるのは自然なことです。『脳に悪い』『依存する』という言葉だけで判断せず、医学的にわかっていることと、まだ研究中のことを分けて考えることが大切ですよ。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
記事全体で使いやすいように、**「脳への作用」「精神症状」「自殺念慮」「依存・報酬系」**をカバーする主要文献を中心にまとめます。特に2026年の最新評価も入れておくと、記事の信頼性を出しやすいです。
参考文献
- FDA(米国食品医薬品局)
FDA Requests Removal of Suicidal Behavior and Ideation Warning from GLP-1 RA Medications
2026年1月、FDAはGLP-1受容体作動薬について、自殺念慮・自殺行動のリスク増加を確認しなかったとして、関連する警告表示の削除を要請しました。
FDA公式:GLP-1受容体作動薬と自殺念慮・自殺行動に関する安全性評価 - Wadden TA, et al. / SURMOUNT-1, SURMOUNT-2, SURMOUNT-3 post hoc analysis
Psychiatric Safety of Tirzepatide in People With Obesity and No Known Major Psychopathology: A Post Hoc Analysis of SURMOUNT
チルゼパチド使用者4,056人を対象に、抑うつ症状や自殺念慮・自殺行動などを評価した研究。
PubMed:Psychiatric Safety of Tirzepatide - FDA(米国食品医薬品局)
Certain Type of Medicines Approved for Type 2 Diabetes and Obesity: Drug Safety Communication
GLP-1受容体作動薬と自殺念慮・自殺行動についてFDAが行った安全性評価。2024年の段階でも明確な因果関係は確認されていないとしています。
FDA公式:GLP-1受容体作動薬の自殺念慮に関する安全性情報 - Nasrollahizadeh A, et al.
Repurposing GLP-1 receptor agonists for alcohol use disorder: a systematic review and meta-analysis.
Diabetology & Metabolic Syndrome. 2026;18(1):29.
GLP-1受容体作動薬とアルコール使用障害との関連について検討したシステマティックレビュー・メタ解析。現時点ではさらなる大規模研究が必要とされています。
PubMed:GLP-1受容体作動薬とアルコール使用障害に関するメタ解析 - Patel S, et al.
GLP-1 receptor agonists and alcohol use disorder: a systematic review.
Alcohol and Alcoholism. 2025.
GLP-1受容体作動薬とアルコール使用障害に関する臨床研究をまとめたレビュー。
PubMed:GLP-1受容体作動薬とアルコール使用障害に関するシステマティックレビュー - GLP-1 receptor agonists and substance use disordersに関するシステマティックレビュー・メタ解析
2026年の研究では、アルコールや喫煙などの物質使用に対するGLP-1受容体作動薬の効果について、現時点のランダム化比較試験はまだ限られており、明確な治療効果を確立するにはさらなる研究が必要とされています。
PubMed:GLP-1受容体作動薬と物質使用障害に関するメタ解析 - Patil S, et al.
Glucagon-like peptide 1 receptor agonists in substance use disorders: A systematic review of ClinicalTrials.gov.
Addictive Behaviors Reports. 2026.
GLP-1受容体作動薬と依存・物質使用障害に関する臨床試験の状況を整理したレビュー。
PubMed:GLP-1受容体作動薬と物質使用障害に関する臨床試験レビュー




