シミ・そばかすやニキビ・毛穴などさまざまな肌トラブルを改善に導くIPL。レーザーよりも肌への負担が少なく、総合的な美肌効果が得られると人気の治療法です。
しかし、「やめると元の肌の状態に戻ってしまう?」「どのくらい続ければいいの?」このような疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。
IPLの治療を途中でやめても、すぐに効果がなくなる心配はありません。しかし、よい状態を保つためには、適切な施術頻度と回数を守る必要があります。
今回は、IPLの最適な間隔や回数を紹介していきます。
料金目安やIPLの種類、施術後の注意点などの基礎知識についてもまとめましたので、ぜひ施術を受ける前の参考にしてください。
この記事の執筆者
石川 聡司
(新さっぽろウィメンズ ヘルス&ビューティークリニック 院長)
北海道大学医学部卒業後、北海道大学病院、帯広厚生病院など地域の中核病院に勤務。品川美容外科にて美容外科医として3年間の研鑽を積み、2021年に婦人科・美容外科を併設した当院を開業。
婦人科全般の診療のほか、美容医療では美肌治療、美容整形をはじめ脱毛・アートメイクなど幅広く対応する。
IPLの料金
基本的にIPLは美容目的での治療となるため、保険は適用されません。
クリニックによってはトライアルキャンペーンやクーポンが用意されているため、複数のクリニックを比較してみるとよいでしょう。
エステと比べると医療は高い?
エステでもIPLのような光を使った美容施術が行われており、医療と比較して安い料金で提供されている場合が多いです。
サロンによって料金設定はさまざまですが、5,000円〜10,000円程度で施術を受けられるでしょう。
ただし、エステで行われているものは、厳密に言うとIPLではありません。
IPL | 皮膚科や美容クリニックなどの医療機関でのみ受けられる。1回15,000円〜30,000円が相場 |
光フェイシャル | 光フォト・光エステ・IPLとも呼ばれ、エステサロンで施術可能。1回5,000円〜10,000円が相場 |
両者とも特殊な光を肌に照射する点は共通していますが、光の「出力」が大きく異なります。エステの光フェイシャルは、医療用の機械に比べて出力が制限されています。
そのため、多くの照射回数が必要となるほか、肌トラブルの症状によっては十分な効果を得られない可能性があります。
1回の施術料金は医療のほうが高いものの、多くの施術回数が必要になれば、その分費用がかさむため、結果的にエステのほうが高額となってしまうケースも少なくありません。
料金が安いからといって安易にエステへ通うのではなく、効果や安全性も考慮して最適な方法を選択しましょう。
IPLの種類
IPLにはさまざまな種類があり、機械によって特徴が異なります。
以下の表に、おすすめの機械の特徴をまとめました。
機械 | メーカー | 波長 | 特徴 |
---|---|---|---|
M22 | ルミナス社 | 560nm〜1,200nm | ・肌の悩みに合わせて選択できる、最大8種類の波長フィルターを搭載 ・分割された光の強さが均一化されるため、痛みが少ない |
ステラM22 | ルミナス社 | 560nm〜1,200nm | ・M22の進化機種 ・最大9種類の波長フィルターを搭載し、幅広い肌トラブルに対応 |
オーロラ (フォトRF) | シネロン社 | 580nm〜980nm | ・光エネルギーとRF(高周波)エネルギーにより線維芽細胞を刺激して、コラーゲンを活性化 ・肌の表面に近い部分のトラブルに効果的 |
ナチュライト | ルミナス社 | 560nm〜1,200nm | ・日本人向けに開発された、元祖と言われているIPL機器 ・肌への負担が少なく、総合的な美肌効果が期待できる |
ライムライト (フォトブライト) | キュテラ社 | 520nm〜1,100nm | ・日本人医師とキュテラ社が共同で開発した、日本人の肌に合うIPL機器 ・従来のIPLでは残りやすい色の薄いシミにも効果的 |
アキュチップ | キュテラ社 | 500nm〜635nm | ・色素の薄いシミ・そばかすに高い効果を発揮 ・気になる部分のみにアプローチするスポット照射が可能 |
フォトシルクプラス | デカ社 | 500nm〜950nm | ・パルス幅が長く、複数の肌トラブルにアプローチ ・肌へのダメージが少ない |
サイトンBBL | サイトン社 | 400nm〜1,000nm | ・BBL(ブロード・バンド・ライト)を用いた光治療で、IPLの5倍の威力といわれている ・肌表面から深部まで働きかけてあらゆる肌トラブルを改善 |
IPLはシミやそばかす・しわ・たるみ・ニキビ・ニキビ跡など幅広い肌の悩みに対応できる点が特徴です。
しかし、機械によって光の種類や波長(肌に到達する光の長さ)・パルス幅(光を照射する時間)・照射できる範囲などが異なるため、効果のあらわれ方も多少変わってきます。
それぞれの機械の特徴やメリット・デメリットをよく理解したうえで、自分の肌質や悩みに合わせて選びましょう。
なお、フォトブライトはIPL(インテンス・パルス・ライト)の光を使った治療法ですが、濃いシミだけではなく、従来のIPLでは治療が困難だった薄いシミにも高い効果を発揮します。
IPLをやめると元の肌に戻ってしまう?
IPLは、しみやそばかす・色素沈着・赤ら顔・小じわ・毛穴の開きなど、さまざまな肌トラブルにアプローチする治療法です。
施術を重ねるほど高い効果が期待でき、定期的に通うことでよい状態をキープできます。しかし、「やめると元の肌の状態に戻ってしまうのでは?」と不安に感じる方もいるでしょう。
IPLを途中でやめても、すぐに元の肌に戻ったり、症状が悪化したりする心配はありません。
ただし、やめた後も肌の老化は進んでいくため、数ヶ月〜数年経つとシミや小じわなどの新たな肌トラブルが発生する可能性は考えられます。
IPLの効果をできるだけ長持ちさせ、肌の老化を遅らせるためにも、日々の保湿ケアや紫外線対策をしっかりと行いましょう。
最適なIPLの間隔・頻度
「肌トラブルを早く改善するために集中して通いたい」場合でも、最低2~3週間は間隔を空けてください。
逆に、間隔をあけすぎてしまうと、十分な効果が期待できなくなるためおすすめできません。
肌の状態や機械によっても最適な間隔・頻度は異なるため、まずは医師に確認しましょう。
やりすぎは良くないって本当?
IPLは施術を繰り返すほど美肌に近づくため、「長期にわたって続けたい」と思う方も多いでしょう。
しかし、IPLのやりすぎは、肌への負担が大きくなり「ビニール肌」になるおそれがあります。ビニール肌とは、皮膚が薄くなり、キメがなくなっている状態です。
表現がツルッとしており、一見きれいな肌に感じるのですが、肌のバリア機能が低下して刺激を受けやすいため、肌トラブルを招く危険性が高いです。
また、細かいシワができやすくなると言われています。
IPLをやりすぎると角質が必要以上に剥がれ、水分を保持できない状態となり、ビニールのように人工的で不自然な肌に見えてしまうのです。
肌の状態にもよりますが、一般的には5回程度施術を繰り返すのが効果的とされています。
やりすぎには十分に注意して、最適な頻度と回数を守ってください。
IPL後の注意点
IPLはダウンタイムがほとんどない治療法ですが、アフターケアの方法によっては肌トラブルの悪化につながるおそれがあるため、以下のような点に注意して過ごしましょう。
- 十分な紫外線対策を行う
- 念入りに肌を保湿する
- 施術直後は激しい運動やサウナ・飲酒を控える
IPL後の肌は、乾燥しやすく刺激に弱い状態のため、紫外線対策を徹底するとともに、しっかりと保湿ケアを行うことが大切です。
また、血行がよくなると、赤みやヒリヒリ感・肌荒れを引き起こすリスクが高まります。施術直後は、激しい運動やサウナ・長時間の入浴・飲酒などは控えてください。
IPLでよくある質問Q&A
IPLの施術に関して多く寄せられる質問をまとめました。
- IPLは痛いですか。
- ダウンタイムはどのくらいですか。
- ニキビがあるときはできないのでしょうか。
- IPL後にニキビができたという声が気になります。
- IPLでやけどが起きる可能性はありますか。
IPLは痛いですか。
照射する際に、パチパチと輪ゴムで弾かれたような刺激があります。
痛みの感じ方には個人差があるため一概にはいえませんが、我慢できないほどの痛みではないでしょう。最近では、肌を冷却しながら照射する機能を搭載し、痛みに配慮した機械も増えています。
また、当院では推奨しておりませんが、麻酔クリームを使用してもらえるクリニックもあるため、心配な場合はカウンセリング時に伝えておきましょう。
ダウンタイムはどのくらいですか。
IPLは「ダウンタイムなし」が魅力の治療法です。
日常生活に支障をきたす副作用はほとんどありません。ただし、肌質や機械の種類によっては以下のような症状があらわれます。
- 赤み
- かゆみ
- ほてり感
- かさぶた
赤みやかゆみ・ほてり感は、数時間〜数日で治まる場合がほとんどです。
かさぶたができると、剥がれるまでに1〜2週間ほどかかります。無理に剥がすと色素沈着を起こすおそれがあるため、自然に剥がれるのを待ちましょう。
ニキビがあるときはできないのでしょうか
ニキビがあるときでもIPL美肌治療は可能です。
殺菌効果や皮脂の抑制効果により、炎症を起こしているニキビの沈静化が期待できます。
IPL後にニキビができたという声が気になります。
IPL後にニキビが増えたり、悪化したりするケースは確かにあります。しかし、これらは治療の過程で一時的に症状が悪化する「好転反応」であるため、心配はありません。
IPLで肌の新陳代謝が活発化し、肌の内側に潜んでいたニキビが表面に出るために起こります。
通常は1週間ほどで改善に向かい、施術を重ねていけば新たなニキビもできにくくなります。
IPLでやけどが起きる可能性はありますか。
やけどを起こす可能性はゼロではありません。過剰に日焼けをしていたり、必要以上に出力を上げたりすると、やけどしやすくなります。
医師が肌の状態を確認したうえで、適正な出力で照射するため、あまり心配する必要はありませんが、万が一施術後にヒリヒリ感が続いたり、水ぶくれができたりした場合は、できるだけ早く受診してください。
施術の主な副作用・リスク
・弱いかゆみを感じることがあります
・施術後一次的な反応として赤みがでることがあります
・肌質、日焼けの具合などによっては、火傷状態になることがあります