【ダーマペンの深さ】おすすめは?効果の違いやクレーター・毛穴・ニキビ跡など目的別に最適な深さを解説

ダーマペン

肌の自然治癒力を高めて肌トラブルを治療するダーマペンは、針を刺す深さを細かく調節できます。深さが違うと、効果はどのように変わってくるのでしょうか?

実は、針が深いほどダーマペンの効果が高まるわけではありません。肌の悩みに合わせた適切な深さに調節することで、肌への負担を抑えながら最大限の効果を得られます。

今回は、ダーマペンの深さによる効果の違いや、目的別に効果的な深さ、痛みやダウンタイムの違いなどについて詳しく解説していきます。

この記事の執筆者

石川 聡司
(新さっぽろウィメンズ ヘルス&ビューティークリニック 院長)

北海道大学医学部卒業後、北海道大学病院、帯広厚生病院など地域の中核病院に勤務。品川美容外科にて美容外科医として3年間の研鑽を積み、2021年に婦人科・美容外科を併設した当院を開業。

婦人科全般の診療のほか、美容医療では美肌治療、美容整形をはじめ脱毛・アートメイクなど幅広く対応する。

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目次

ダーマペンの深さによる効果の違いは?

ダーマペンでは、針を刺す深さを0.2〜3.0mmまで0.1mm単位で調節可能です。

皮膚は、大きく「表皮」「真皮」「皮下組織」の3層で構成されています。もっとも外側が表皮、その下が真皮、最下層にあり表皮と真皮を支えているのが皮下組織です。

さらに表皮は、外側から順に角質層・顆粒層(かりゅうそう)・有棘層(ゆうきょくそう)・基底層に分けられます。

肌トラブルの症状や原因はさまざま。ダーマペンの効果を十分に得るためには、肌の悩みに応じて適切な層へアプローチしなければなりません。

以下では、深さによる効果の違いについて解説します。

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0.2〜0.5mm

比較的浅い0.2〜0.5mmの深さでは、表皮にアプローチして、角質層を健全な状態へと導きます。

角質層が厚くなることが原因で生じる肌トラブルの改善に効果的です。

また、0.5mmまで針が到達すると、ダーマペンによってできた傷が治癒する過程でコラーゲンやエラスチンが生成されるため、肌質改善やエイジングケア効果も期待できます。

0.8〜1.5mm

表皮の基底層から、部位によっては真皮まで届くのが0.8〜1.5mmの深さ。表皮と真皮をつなぎ合わせている基底層では、シミや色素沈着のもととなる「メラニン」が生成。

基底層が乱れるとシミができやすくなるほか、肌のバリア機能が低下して、しわやたるみなどの肌老化にもつながってしまいます。

ダーマペンで基底層にアプローチし、肌のターンオーバーを促すことで、明るく若々しい肌へと導く効果が期待できるでしょう。

また、真皮まで針が到達すると、線維芽細胞が活性化してコラーゲンの生成を促すため、セルフケアでは改善しにくいニキビ跡や毛穴トラブルの改善も見込めます。

2.0〜3.0mm

2.0mm以上の深さになると、部位によっては真皮を超えて皮下組織まで届きます。重度のニキビ跡や深い傷跡にも高い効果を発揮します。

ただし、針が深くなるほど痛みを感じやすいほか、色素沈着や傷跡が残るリスクも。施術の際は慎重な判断が必要です。

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目的別に効果的なダーマペンの深さを紹介

次に、肌トラブル別に効果的なダーマペンの深さを紹介します。ご自身の肌の状態や希望する効果に合わせて、最適な深さで施術を受けましょう。

針の深さ(層)施術目的
表皮(約0.2〜0.5mm)・ニキビ・小じわ・たるみ
真皮(約0.8〜1.5mm)・しみ、色素沈着・くすみ・毛穴の開き、黒ずみ・ニキビ跡、クレーター・傷跡
皮下組織(約2.0〜3.0mm)・妊娠線・肉割れ
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ニキビ

ニキビの改善に効果的な深さは0.2〜0.5mm。ニキビは、過剰な皮脂や角質が毛穴に詰まり、アクネ菌が繁殖するために起こります。

角質層へのアプローチによって、過剰な皮脂分泌を抑え、ターンオーバーを整える効果が期待。とくに、初期段階である白ニキビの治療に有効です。

ダーマペンの施術直後は、好転反応によりニキビが悪化したり増えたりする可能性がありますが、一時的な症状のため心配はありません。時間の経過とともに改善していきます。

ただし、炎症を起こしている赤いニキビや、膿をもつニキビの場合は、ダーマペンで症状が悪化するおそれもあるため注意が必要です。

医師の診察を受け、施術が可能かどうかの判断を仰ぎましょう。

小じわ・たるみ

老化現象の一つである小じわやたるみは、表皮で発生している軽度のものであれば、0.5mmの針で対応可能です。ハリや弾力を向上させ、新たなしわやたるみの発生を予防する効果も期待できます。

しみ・色素沈着

しみや色素沈着には、表皮の基底層や真皮に届く0.8〜1.5mmの針が適しています。

しみや色素沈着のおもな原因はメラニンの過剰生成。

基底層にあるメラノサイトが刺激を受け、メラニンが必要以上に作り出されると、ターンオーバーによる排出がうまくいかず、メラニンが肌に沈着してしまいます。

基底層や真皮に働きかけてターンオーバーを促せば、メラニンが剥がれ落ちやすくなり、しみや色素沈着の改善に。

毛穴の開き・黒ずみ

毛穴トラブルには、真皮にアプローチできる1.5〜2.0mmが効果的です。

毛穴の開きや黒ずみ・たるみ毛穴などは、真皮のコラーゲンやエラスチンが減少し、肌の水分や弾力が失われるために生じます。

真皮のコラーゲン・エラスチンを活性化させることにより、肌全体にハリとツヤが出て、毛穴が目立ちにくくなるでしょう。

また、ダーマペンには毛穴に詰まった黒ずみを直接取り除く効果はありませんが、ターンオーバーが促進されるため、黒ずみや角栓をスムーズに排出できるようになります。

ニキビ跡・クレーター

症状によっても異なりますが、ニキビ跡に効果的な深さはおおよそ1.5〜2.0mmです。

凸凹としたクレーターやケロイド状のニキビ跡など、症状が重くなるほど、肌の深部までダメージが及んでいるため、より深く針を刺す必要があります。

妊娠線・肉割れ

ダーマペンは、顔だけではなく体にも施術可能です。

一度できると自然には消えにくい妊娠線や肉割れは、回数はかかりますが、2.0〜3.0mmの深さで改善が期待できます。

妊娠線や肉割れは、皮膚が急激に伸長し、真皮が裂けてしまうために現れます。

真皮のダメージが原因といわれていますが、体は顔よりも皮膚の厚みがあるため、より深くまでのアプローチが必要です。

肌の再生力を高めてコラーゲンの生成を促し、裂けた真皮の正常化を図ります。

部位によっても適切な深さは異なる

治療目的別に効果的なダーマペンの深さを紹介してきましたが、実は施術を受ける部位によっても適切な深さは変わってきます。皮膚の厚さは、体の部位によって0.6~3mmと異なるためです。

皮膚が薄い部分は、表皮や真皮の厚みも少なくなるため、針を短くして施術する必要があります。

たとえば、顔のなかでも目の下や目尻は皮膚が非常に薄く、頬の半分ほどの厚みしかありません。額やアゴも、頬に比べると皮膚の薄い人がほとんどです。(※1)

ダーマペン

そのため、頬と同じ深さで施術をおこなえば、大きなダメージを与えてしまうおそれがあります。

つまりダーマペンでは、肌トラブルの症状と施術部位(皮膚の厚み)に応じて深さを調整する必要があると覚えておきましょう。

トラブルや失敗を回避しながら、効率的に症状を改善するためには、信頼のできる医療機関で治療を受けることが大切です。

実績が豊富で、丁寧なカウンセリングを行ってくれるクリニックを選ぶようにしてください。

深さの調整や適切なアフターケアが難しいセルフダーマペンは、肌トラブルを悪化させる危険性が高いためおすすめできません。

ダーマペンの深さによって痛み・ダウンタイムも変わる

ダーマペンの深さが変わると、痛みの強さやダウンタイムの長さにも違いが生じてきます。どのような違いがあるのかを見ていきましょう。

痛みの違い

痛みの感じ方には個人差がありますが、ダーマペンでは針を刺すため「チクチクとした痛み」があるといわれています。多くの場合、針を深く刺すほど痛みは強く。

しかし、施術中は麻酔を使用するため、深い場所に施術しても耐えられる方がほとんどです。

無理に我慢するのは禁物ですが、痛みを和らげるために針の深さを浅くすると、効果に影響が出るおそれもあるため注意しましょう。

さらに、痛みは施術中だけではなく施術後も続きます。麻酔が切れるタイミングで、ヒリヒリとした痛みを感じるケースが多いです。

針が長いほど肌へのダメージは大きくなるため、強い痛みが残るでしょう。

こちらも我慢できる程度で、1~3日ほど経てば落ち着いていきますが、日常生活に支障が出たり、痛みが長引いたりする場合は医師に相談してください。

ダウンタイムの違い

ダーマペンは、極細の針で肌に微細な穴を形成する治療法です。肌をわざと傷つけて自然治癒力を高めるため、ある程度のダウンタイム(肌が回復するまでの期間)は避けられません。

施術後から数日間は、赤みや腫れ・むくみ・皮むけ・かゆみなどの副作用が生じます。

以下は、ダーマペンのダウンタイムの目安です。

針の深さダウンタイム
0.2〜0.5mm約2〜3日
0.8〜1.5mm約4〜5日
2.0〜3.0mm約6〜7日

痛みの強さと同様、針を深く刺すほど副作用が出やすく、ダウンタイムも長引く傾向があります。

とくに1.5mm以上の深さになると出血が起こりやすく、肌トラブルのリスクも高まるため、適切なアフターケアが欠かせません。

施術後の注意事項をきちんと守り、安静に過ごしましょう。

施術の主な副作用・リスク

痛み:施術中、お肌の状態によってピリピリ感やヒリヒリ感などの刺激を感じることがあります。術後にピリピリと熱いような感じがすることがあります。通常1日程度で改善します。

ダウンタイム:施術後12時間は洗顔やメイクは避けて下さい。術後、かさぶたや皮むけができることがあります。無理にはがすと痕になることもありますので、自然にはがれるまでさわらないようにしてください。どうしても気になる場合や、ひどくなる場合はご相談ください。

腫れや赤み:術後はほてりを感じたり赤みを生じたりすることがあります。通常2~3日でおさまります。施術の影響で数日はお肌が乾燥した状態が続きます。しっかり保湿してください。

参考文献

※1 Surg Radiol Anat. 2002 Aug-Sep;24(3-4):183-9.

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