ダーマペンは、髪の毛よりも細い針を用いて肌に微細な穴を形成し、ターンオーバーを促す治療法です。
ニキビやニキビ跡・色素沈着・毛穴の開き・小じわ・たるみなど、さまざまな肌の悩みを解消する効果が期待できます。
高い美肌効果を得られるダーマペンですが、施術直後は肌がダメージを受けた状態であるため、スキンケア方法には十分に注意しなければなりません。
どのようにケアを行うかによって、効果の現れ方やダウンタイムの期間が変わってきます。
そこで今回は、ダーマペン直後のスキンケア方法や注意点について詳しく解説。ダーマペンの施術を受ける前にぜひご一読ください。
この記事の執筆者
石川 聡司
（新さっぽろウィメンズ ヘルス＆ビューティークリニック 院長）
北海道大学医学部卒業後、北海道大学病院、帯広厚生病院など地域の中核病院に勤務。品川美容外科にて美容外科医として3年間の研鑽を積み、2021年に婦人科・美容外科を併設した当院を開業。
婦人科全般の診療のほか、美容医療では美肌治療、美容整形をはじめ脱毛・アートメイクなど幅広く対応する。
ダーマペン直後のお肌はどうなる？
ダーマペンの施術では、自然治癒力を高めるために肌をわざと傷つける必要があるため、直後は副作用が出やすくなります。
個人差はありますが、以下のような症状が現れるケースが多いでしょう。
- 赤み
- 腫れ
- むくみ
- ヒリヒリ感
- 発疹
- 出血
- 内出血
また、施術から数日経つと、肌が修復・再生する過程でかゆみや皮むけが起こる場合があります。
これらの症状は、時間の経過とともに自然と治まっていくため心配はいりません。かゆみや皮むけは1週間ほど経てば、ほとんどなくなります。
しかし、ダウンタイム中は肌が非常に乾燥しやすいデリケートな状態です。
刺激や紫外線を受けると炎症が長引いたり、肌トラブルが生じたりするリスクがあるため、適切なアフターケアを行い、肌を守ってあげることが大切です。
ダーマペン直後のスキンケアで注意する点と開始時期目安
さまざまな副作用が出やすいダーマペン後は、どのように過ごせばよいのでしょうか。
施術直後は肌がダメージを受けやすいため、普段どおりのスキンケアやメイクを行うとダウンタイムが長引くほか、ダーマペンの効果が薄れるおそれも。
ダーマペン直後のスキンケアで注意すべきポイントと、それぞれの開始時期について解説します。
洗顔
ダーマペンの施術当日は、洗顔を行ってはいけません。肌に無数の傷ができているため、水や石鹸がかかると、赤みや腫れ・痛みがひどくなってしまう危険性があります。
施術から12時間程度は、洗顔を控えるようにしましょう。
また、翌日以降は洗顔可能ですが、肌を強く擦ったり、刺激の強い洗顔料を使ったりするのは厳禁です。
洗顔料をしっかりと泡立てて、できるだけ手が肌に触れないようにやさしく洗ってください。
化粧水
施術後6〜12時間は、化粧水の使用は避けてください。
できればスキンケアは翌日から開始しましょう。肌への刺激を抑えるとともに、薬剤の浸透を妨げないようにするためです。
また、化粧水の使用を開始する際は、敏感肌用や低刺激タイプを選ぶことが大切です。
とくに、アルコール（エタノール）が配合されている化粧水は、肌に強い刺激を与えてしまうおそれがあります。
ニキビ肌用の化粧水や収れん化粧水など、アルコールが含まれている化粧水は意外と多いです。そのほかにも、洗顔料や乳液・美容液など、さまざまな化粧品に使用されています。
スキンケアを行う前に、成分表を確認しておくとよいでしょう。
パック
市販の美容パックは、肌への刺激を抑えるために当日は控えましょう。
クリニックによっては、ダーマペンの施術直後から使える鎮静パックのオプションを用意しています。
乾燥を防ぎ、赤みや腫れを緩和してダウンタイムを短くする効果が期待できるため、積極的に利用するのがおすすめです。
メイク・お化粧
メイクも施術当日（約12時間）は避けてください。
ダーマペンで開けた穴がふさがっていない状態でメイクをすると、細菌が傷口に入り込み、炎症を引き起こす危険性があります。肌を十分休ませるように心がけましょう。
ほとんどの場合、翌日からはメイクを再開できますが、赤みや腫れが強く出ているようであれば極力控えてください。
どうしてもメイクをしなければならない場合でも、濃くしすぎないように。肌に負担がかかり、ダウンタイムが長引いてしまうおそれがあります。
数日間はノーメイクで過ごしても問題がないよう、施術後に大切な用事を入れないなど、スケジュールを調整しておくと安心です。
日焼け止め
日焼け止めも施術当日は使用できません。ダーマペンで開けた穴に日焼け止めが入り込むと、炎症が長引くおそれがあります。
翌日以降は穴がある程度塞がるため、外出の際は日焼け止めをしっかりと塗って肌を紫外線から守りましょう。
スキンケア用品と同様、肌への刺激が少ないタイプを選ぶのがおすすめです。
ワセリン保湿のタイミングは？いつからいつまで塗るの？
クリニックによってはアフターケア用に医療用ワセリン（白色ワセリン）を出してもらえることもあります。
ワセリンは、基本的に施術直後（当日）から使用して問題ありません。化粧水や保湿剤は使えないため、ワセリンのみを塗布して保湿を心がけてください。
翌日以降は市販のスキンケア用品を使用できますが、乾燥が気になったり、かゆみを感じたりする部分にはワセリンも効果的です。
肌の状態に応じて取り入れるとよいでしょう。医療用ワセリンは純度が高く刺激が少ないため、安心して使えます。しかし、ニキビ肌など状態によっては毛穴詰まりの原因となるため、使わない良い場合もあります。詳しい使用方法については、カウンセリング時に確認してください。
その他ダーマペン直後にやってはいけないこと
ダーマペンを受けたあとは、スキンケアやメイク以外にも控えるべきことがあります。ダーマペン直後にやってはいけないことを4つ紹介します。
入浴
ダーマペンを受けた当日は、入浴を控えましょう。入浴すると体温が上がり、血行がよくなるため、ダーマペン後の赤みや腫れが長引きやすくなります。
また、洗顔と同様に、水や石鹸が傷口に入り込んで炎症を起こすおそれも大きいです。
シャワー浴は可能ですが、短時間で済ませ、顔に水がかからないように注意してください。
激しい運動
運動は血行を促すため、ダウンタイム後の副作用を悪化させる原因となります。また、汗が傷口に入り込むと、炎症の悪化につながるため注意が必要です。
赤みや腫れが引くまでは激しい運動を避け、自宅でゆっくりと過ごすのがおすすめです。
飲酒
飲酒も体温を上げ、血行をよくする行為です。赤みや腫れ・内出血などが長引くリスクがあるため、飲酒は症状が落ち着くまでは控えましょう。
日焼け
ダーマペン直後に過度の紫外線を浴びると、炎症が悪化したり、色素沈着が生じたりする危険性があります。
施術当日は日焼け止めを使用できませんが、日傘や帽子などで紫外線対策をしっかりと行ってください。
また、施術直後だけではなく、治療期間中はできるだけ日焼けをしないように注意しましょう。UVケアは、乾燥や肌トラブルを防ぎ、ダーマペンの効果を高めるために重要なポイントです。
ダーマペン直後にニキビができたら？
ダーマペンの施術後は、好転反応としてニキビが発生する場合があります。
好転反応とは、肌トラブルが改善する過程で一時的に起こる症状です。
ニキビが大量に発生するケースもあり、症状が悪化したように見えてしまいますが、ニキビが出る好転反応は治療の効果が出ている証拠であるため、それほど心配はいりません。
刺激を与えない・紫外線を避けるなど、適切なアフターケアを行っていれば、自然と改善していくでしょう。
なお、ニキビ治療薬は、ダーマペン後の肌には強い刺激となるおそれがあります。ダウンタイム中は使用しないほうが安心です。
なかなかニキビが治らない場合は、医師に相談しましょう。
施術の主な副作用・リスク
痛み：施術中、お肌の状態によってピリピリ感やヒリヒリ感などの刺激を感じることがあります。術後にピリピリと熱いような感じがすることがあります。通常1日程度で改善します。
ダウンタイム：施術後12時間は洗顔やメイクは避けて下さい。術後、かさぶたや皮むけができることがあります。無理にはがすと痕になることもありますので、自然にはがれるまでさわらないようにしてください。どうしても気になる場合や、ひどくなる場合はご相談ください。
腫れや赤み：術後はほてりを感じたり赤みを生じたりすることがあります。通常2～3日でおさまります。施術の影響で数日はお肌が乾燥した状態が続きます。しっかり保湿してください。