眉間にしわがあると、老けた印象を与えたり、表情が険しく見えたりします。
表情の癖や眼精疲労・肌の乾燥など、眉間のしわの原因はさまざま。
深刻化を防ぐためにも、原因に応じた正しいケアで改善・予防していきましょう。
今回は、眉間のしわができる原因と自宅でできる対策法、美容皮膚科での治療法についてまとめました。
この記事の執筆者
石川 聡司
(新さっぽろウィメンズ ヘルス&ビューティークリニック 院長)
北海道大学医学部卒業後、北海道大学病院、帯広厚生病院など地域の中核病院に勤務。品川美容外科にて美容外科医として3年間の研鑽を積み、2021年に婦人科・美容外科を併設した当院を開業。
婦人科全般の診療のほか、美容医療では美肌治療、美容整形をはじめ脱毛・アートメイクなど幅広く対応する。
眉間のしわができる原因
眉間にできるしわは、表情じわである場合がほとんどです。表情じわとは、怒ったり笑ったりなど表情をつくる際に一時的にできるしわですが、徐々に定着して深く刻まれてしまうおそれも。
眉間のしわをつくる主な原因としては、以下の4つが挙げられます。
- 筋肉の緊張
- 目の疲れ
- 乾燥や紫外線ダメージ
- 加齢による肌のたるみ
一つずつ詳しく見ていきましょう。
筋肉の緊張
眉間のしわを引き起こす最大の原因は、筋肉の緊張やコリ。これは、主に表情の癖によって起こります。
たとえば、「文字を見るときに目を細める」「いつも険しい表情をしている」などの癖があると、皺眉筋(しゅうびきん)が凝り固まり、いつの間にか眉間の縦じわが。
また、鼻の付け根の上にある鼻根筋(びこんきん)も、眉間のしわに影響する筋肉の一つ。鼻根筋が硬くなると、複数の横じわが形成されやすくなります。
表情の癖は、ストレスや不安・疲れなど体調や精神状態も関係しており、無意識のうちに眉間にしわが寄っている方も。
目の疲れ
目が疲れると、目元の血行やリンパの流れが悪くなり、しわを引き起こすリスクが高まります。また、無意識に目を細めたり、眉間に力が入ったりするため、筋肉が収縮して縦じわが定着しやすくなるでしょう。
とくにパソコン・スマートフォンなどデジタル機器の長時間にわたる使用は、眼精疲労や目の乾燥を加速させる大きな原因です。
乾燥や紫外線ダメージ
空気の乾燥や保湿不足によって肌の水分が失われることも原因の一つ。肌が乾燥するとキメが乱れ、細かいしわができやすくなります。
また、紫外線ダメージが蓄積すると、肌のうるおいを保つのに欠かせないコラーゲンやエラスチンが減少し、しわが深く刻まれてしまう危険性があります。
紫外線は肌の乾燥やバリア機能の低下を加速させ、さまざまな肌トラブルを招きやすくするため注意が必要です。
加齢による肌のたるみ
年齢を重ねるにつれて肌のハリや弾力が失われ、しわにつながるケースも考えられます。たるみからくる眉間のしわは、深く刻まれている場合が多く、セルフケアだけではなかなか改善しにくいでしょう。
今すぐできる眉間のしわ対策
眉間のしわができる原因を把握したら、深刻化させないためにも早めにケアを始めるべきです。自分でできる眉間のしわ対策と予防法をご紹介します。
クリーム・美容液
眉間のしわ対策に最も大切なのが肌の保湿。肌質に合った化粧水・乳液に加え、目元専用のクリームや美容液で集中的にお手入れしましょう。
とくに洗顔後やお風呂上がりは、肌の水分が失われ外部刺激を受けやすい状態のため、素早いケアが欠かせません。
クリームや美容液は、保湿力が高いだけでなく、しわの改善に特化したアイテムも多くあります。以下は、しわ改善効果が認められている有効成分です。
商品を選ぶ際には、これらの有効成分が配合されているかどうかもチェックするとよいでしょう。
成分名 | 効果 |
純粋レチノール | 資生堂が独自開発したしわ改善有効成分で、ビタミンAの一種。皮膚のターンオーバーを促進し、肌の水分量を高めてハリのある肌に導く。 |
ナイアシンアミド | コラーゲンとセラミドの産生を促し、しわやシミに働きかける有効成分。肌に浸透しやすく、表皮と真皮の両方へのアプローチが期待できる。メーカーの縛りなく配合可能なため、値段問わずさまざまな商品に配合されている。 |
ニールワン | 日本で初めてしわ改善効果が承認された、ポーラ独自の有効成分。4つのアミノ酸誘導体から成り、しわの原因となる酵素「好中球エラスターゼ」の働きを抑制する作用を持つ。 |
マッサージや筋肉トレーニング
血行を促すマッサージや、表情筋のトレーニングも効果的です。スキンケアのついでや、「目が疲れた」と感じるときに、眉間や目のまわりをほぐしましょう。
しわの予防だけでなく、目の疲れや肩こり解消にもつながるはずです。ただし、皮膚が薄くデリケートな部分のため、強く押したり擦ったりするのは厳禁。
皮膚ではなく、肌の奥の筋肉にアプローチする感覚でやさしく刺激してください。
表情の癖をチェック
「眉間に力を入れる」「目を細める」などの表情に気をつけましょう。
とくに、考えごとをしているときや、スマートフォン・パソコンの使用中は無意識のうちに眉間にしわが寄りやすいため、いま一度自分の表情を見直してみてください。
またストレスや疲れを溜めないように、趣味を楽しんだり、リラックスタイムを意識してつくったりすることも大切です。
眉間のしわ取りテープの効果は?
ドラッグストアや通販サイトなどでは、寝ている間に眉間のしわにアプローチする「しわ取りテープ」が売られています。
テープの粘着力を利用して物理的にしわを引っ張り、翌朝のしわを目立たなくする効果を謳っていますが、本当にしわを改善できるのでしょうか?
結論からいうと、しわ取りテープで眉間のしわをなくすことは難しいです。
しわを引っ張った状態で固定するため、一時的にはしわが消えたように見える場合もあるでしょう。しかし、数時間ですぐに元の状態に戻ってしまいます。
また、効果が期待できないだけでなく、貼り方を間違えれば肌への負担となる危険性も。しわ取りテープは、しわを長時間伸ばし続けられるように、強い粘着力で作られています。
テープをはがす際の刺激が強く、赤みやかぶれが生じやすいです。無理に引っ張ると、逆にしわを深刻化させてしまうおそれもあるため、使用はできるだけ控えてください。
美容皮膚科の眉間のしわ治療
日々のセルフケアも大切ですが、より早く確実に眉間のしわを改善したいのであれば、美容皮膚科での治療が効果的です。ここでは、代表的な2つの治療法をご紹介します。
- ボトックス注射
- ヒアルロン酸注射
ボトックス注射
ボツリヌス菌から抽出した毒素成分「ボツリヌストキシン」を、しわのある部分に注入する治療法。筋肉の働きを弱める作用があり、とくに眉間や目元・額などに生じる表情じわの改善に効果を発揮します。
効果のあらわれかたには個人差がありますが、注射後2〜5日でしわが目立たなくなり、約3ヶ月〜半年持続します。
施術を繰り返し受けるほど、効果が長く持続する傾向があります。副作用として稀に腫れや異物感がでる場合がありますが、通常は数日で治まり、ダウンタイムもほとんどありません。
参照:
施術の主な副作用・リスク:施術中、チクっとした痛みを感じることがあります。術後、多少の赤み・腫れ・硬結・かゆみ・疼痛がでることがあります。
ヒアルロン酸注射
細い針でヒアルロン酸を注入し、皮膚の内側からハリやボリュームを与えてしわを目立たなくします。表情の変化によってできるしわではなく、無表情のときでも存在している深いしわの改善に有効です。
ヒアルロン酸はもともと人間の体内に存在しており、肌のうるおいを保つのに欠かせない成分。
ヒアルロン酸注射によって肌を乾燥や外部刺激から守り、新たなしわを予防する効果も期待できます。また、アレルギー反応が起きにくい点も特徴です。
効果は注射後すぐに実感できる方が多く、6ヶ月〜2年かけて徐々にヒアルロン酸が体内に吸収されて元の状態に戻ります。
参照:
施術の主な副作用・リスク:施術中、チクっとした痛みを感じることがあります。術後、注射部分にわずかに赤みを生じることがあります。注入部位の血行が良くなると、腫れや赤み・かゆみが出ることがあります。その他におこる可能性のある症状には、内出血、違和感、血管塞栓、血流障害、感染などがあります。
眉間のしわに関するよくあるご質問
眉間のしわについて、よくあるQ&Aをご紹介します。
完全に消すことはできますか。
残念ながら、一度できてしまった眉間のしわを完全に消すのは困難です。
しかし、日々のケアや生活習慣の見直し・美容皮膚科での治療によって、しわを目立たなくするとともに、深刻化や新たなしわの発生を防ぐことはできます。また、最近は培養上清などを使用した再生医療的アプローチで治療を行っているクリニックも出てきています。
深いしわの改善は可能ですか。
深いしわの改善も可能です。ただし、長年にわたる表情の癖や紫外線ダメージ・たるみが原因であるケースが多く、セルフケアでの改善は時間がかかるでしょう。
深く刻まれたしわに最も効果的なのが、ヒアルロン酸注射です。しわによってくぼんだ部分にヒアルロン酸を注入して、肌をふっくらと盛り上げます。
効果の持続期間は6ヶ月〜2年ほどですが、定期的な施術によってきれいな状態を長く保てます。