完了後はお手入れの手間が省け、毛穴もきれいに見えるメリットのある腕脱毛。露出している部位なので、人気の脱毛部位です。
この記事では、腕脱毛に必要な回数や通う間隔、完了までにかかる期間や値段相場を解説しています。
腕脱毛が安いクリニック・脱毛サロンも紹介していますので、腕の脱毛を検討している方はぜひ参考にしてくださいね。
この記事の執筆者
石川 聡司
(新さっぽろウィメンズ ヘルス&ビューティークリニック 院長)
北海道大学医学部卒業後、北海道大学病院、帯広厚生病院など地域の中核病院に勤務。品川美容外科にて美容外科医として3年間の研鑽を積み、2021年に婦人科・美容外科を併設した当院を開業。
婦人科全般の診療のほか、美容医療では美肌治療、美容整形をはじめ脱毛・アートメイクなど幅広く対応する。
腕脱毛の効果実感までに必要な回数平均
腕脱毛の効果を実感するためには医療脱毛で5~8回、脱毛サロンでは16~24回ほどの回数がかかります。
腕はヒジ下とヒジ上で毛質が異なりますが、医療脱毛の場合気になりやすいヒジ下では5回程度でお手入れがかなりラクになったのを実感できます。
医療脱毛とエステサロン脱毛は使用される機械と目的が異なる
クリニックでの医療脱毛とエステサロンでの脱毛では、それぞれ使われている脱毛機が異なります。
医療脱毛のほうが高い出力で照射できるので、かかる回数が少なく済みます。
毛量が多い方や産毛まで脱毛したい方は、通常よりも多くの照射が必要となります。
少ない回数で腕脱毛を終わらせたい場合は、医療脱毛がおすすめです。
腕脱毛にかかる値段
腕脱毛にかかる値段は、脱毛する範囲や目指したい仕上がりによって異なります。
腕脱毛の範囲・パーツ
手指甲 | Sパーツ (ほかにも脇、頬、足指甲などの狭い部位などが挙げられる) |
ヒジ上(二の腕)、ヒジ下※ | Lパーツ (ほかにも胸、お腹、ヒザ下などの広い部位が挙げられる) |
腕全体 | 肩~手首、脇~指先、などクリニック・サロンにより範囲が異なる |
脱毛サロンでは一般的に、ヒジ上・ヒジ下・手指甲とパーツが分かれています。
一方、医療脱毛ではヒジ上・ヒジ下・手指甲に細かく範囲を選べる、肩~指先までの腕全体をまるっと脱毛できる、脇も脱毛範囲に含まれているなど、クリニックによってさまざまな規定があります。
前提として、脇脱毛のみを行うよりも全身脱毛をした方がコスパが良いです。
脱毛経験者の方で腕だけ残ってしまった場合は腕のみの脱毛でも良いかと思いますが、もしも他の部位も脱毛したいとお考えであれば手足全体のセットや全身脱毛もぜひ検討してみてくださいね。
医療脱毛は5回8~10万円
クリニックで腕全体の脱毛をする場合、5回コースで8~10万円が相場です。
医療の腕脱毛価格平均値
手指甲 | 2万5417円 |
ヒジ上 | 5万5372円 |
ヒジ下 | 5万3313円 |
腕全体 | 9万1491円 |
腕全体の場合、5回コースが8万以下のクリニックであれば安いといえます。
脱毛サロンは1回1万1000円~1万5400円
脱毛サロンの腕脱毛相場料金
ヒジ上またはヒジ下 | 5500~7700円(1回) 8~10万円(18回) |
ヒジ上+ヒジ下 | 1万1000~1万5400円(1回) 16~20万(18回) |
脱毛サロンでは、Lパーツ(ヒジ上・ヒジ下のどちらか)1回5500円~7700円、ヒジ上+ヒジ下では1回1万1000~1万5400円が相場です。
エステサロンでの脱毛は回数が多くかかるので、18回受けるとすれば8~10万円、ヒジ上+ヒジ下の脱毛では16~20万程度が目安となります。
通う周期間隔と腕脱毛にかかる期間
効率の良い脱毛をするためには、毛周期に合わせた通院をしましょう。
毛周期は毛の生え変わるサイクルのこと。部位ごとに周期が違い、毛には「成長期・退行期・休止期」があります。
成長期にあたる毛は全体の20%といわれていますので、生え変わりに合わせて20%✕5回の通院でおおよそ全ての毛にダメージを与えられます。
脱毛後、次の成長期の毛が生えそろう3~4カ月のタイミングが最適な通う周期間隔です。
腕脱毛に通う周期間隔とかかる期間
通う場所 | 通う周期間隔 | かかる期間 |
---|---|---|
医療脱毛 | 3~4カ月ごと | 1年~1年4カ月 |
脱毛サロン | 2週間~3カ月ごと | 2~4年 |
医療脱毛の場合、毛周期に合わせて3~4カ月ごとに5回通ったとすると、1年~1年4カ月程度の期間が必要です。
対して脱毛サロンでは、肌への負担が少なく、医療脱毛と比べて機械のパワーが弱いため「最短2週間の間隔で通える」としているところもあります。
ただし脱毛サロンの場合は、短い間隔で通えばそれだけ早く脱毛が完了するわけではありません。
エステサロンで扱う脱毛機は発毛組織にダメージを与えるのみとなりますので、効果実感までには2~4年程度と長い期間が必要です。
脱毛は、あくまでも成長期の毛が生えそろってからの照射が基本。完了までには長期間かかるので、早めの脱毛スタートがおすすめです。
腕脱毛のメリット
腕脱毛を行うと、自己処理の手間がなくなり、肌荒れ防止にもなります。また、毛穴が目立ちにくくなりお肌がキレイに見えるメリットも。
腕脱毛のメリットを下記にまとめました。
ムダ毛のお手入れがラクになる
ヒジ周りや肩周りはカーブしているので、直線的なカミソリでは剃りにくいですよね。
急いでシェービングしていると、うっかりヒジや手首の骨が突き出た部分(尺骨茎状突起といいます)を傷つけてしまう、なんてことも。
また、腕の裏側は見えにくいので、ライン状の剃り残しも起こりがちです。
腕脱毛をすると、自己処理の頻度が極端に減る、または自己処理をほとんどしなくても良くなるので、手間が省けケガの危険もなくなります。
ムダ毛のお手入れがラクになるメリットはとても大きいです。
自己処理が原因の肌荒れがなくなる
肌が弱い方はとくに、ムダ毛の自己処理をすると肌が荒れやすくなります。
お風呂などでカミソリを使って自己処理して、毛穴に一致して赤いプツプツができてしまった経験のある方も少なくないのではないでしょうか。
いわゆる「カミソリ負け」の状態で、これはシェービングによって毛穴に細かな傷がついたり、必要以上に角質を削ったり、雑菌が毛穴に入り込んだのが原因です。
ムダ毛の自己処理は肌を乾燥させやすくするデメリットもありますが、腕脱毛を行うと自己処理が原因の肌トラブルがグッと減ります。
ムダ毛の自己処理が不要になれば、お肌が乾燥しにくくなり、肌荒れ防止になります。
毛穴が目立ちにくくなるので肌がきれいに見える
毛穴の目立ちには、以下のような原因が考えられます。
腕の毛穴が目立つ原因
- シェービングあとの毛穴に残る毛の断面が見えている
- 繰り返す自己処理や乾燥によって毛穴が開いている
- 皮膚の下に埋もれた埋没毛が毛穴の黒ずみに見える
- 二の腕にできやすい「毛孔性苔癬」の可能性も
腕脱毛をすると毛穴の中の毛がなくなり自己処理がいらなくなるため、上記の①~③は次第に改善します。
さらに、ムダ毛がなくなるので肌全体がトーンアップして腕がきれいに見えるメリットもあります。
④の毛孔性苔癬とは?
二の腕は太ももにできやすい細かなブツブツで「さめ肌」とも呼ばれます。
かゆみや痛みはありませんが、毛穴が赤や薄い茶色でザラザラと肌ざわりも悪いため、気にする方が大変多いです。
毛孔性苔癬は毛穴に角質が詰まってしまい起こりますが、医療脱毛に使用されるレーザーを毛孔性苔癬に照射したところ、症状が改善したといった研究結果も。¹⁾²⁾
ただし、脱毛は毛孔性苔癬の治療ではないため、改善しないケースもあります。毛孔性苔癬が気になる方は、医療脱毛クリニックでカウンセリング時に相談するのがおすすめです。
腕脱毛のデメリット
腕脱毛は回数が必要、ある程度の期間がかかるなど避けられないデメリットもあります。
行う前に知っておきたい腕脱毛のデメリットをまとめました。
痛みを感じる場合がある
腕は痛みを感じにくい部位ではあるものの、毛質や体質、使用する脱毛機によっては痛みを感じる場合があります。
腕脱毛で痛みを感じるケース
- 太い毛が生えているところ
- 日焼け肌や色黒肌の方
- 熱破壊式(医療脱毛)やIPL(脱毛サロン)の脱毛機
- 体調不良時や生理前
ただし、腕脱毛の痛みは強くてもゴムでパチンと弾かれる程度です。
痛みの感じ方は人それぞれですが、麻酔を使用するほどの痛みではなく、我慢できないほどの痛みを感じる心配はあまり必要ありません。
痛みが心配な方は、蓄熱式(医療脱毛)、SHR・THR・s.s.c(脱毛サロン)の脱毛機を扱っているところを選ぶと安心です。
二の腕は硬毛化・増毛化が起こりやすい部位
逆に毛が濃くなる現象「硬毛化」や「増毛化」が起こる可能性がデメリットとして挙げられます。
硬毛化・増毛化は二の腕や背中、顔などの産毛が生えている部位で起こりやすく、脇やヒザ下、VIOのような剛毛な部位では起こりにくい傾向があります。
硬毛化・増毛化の原因は現時点では解明されていないため、明確な予防法はありません。
とはいえ、硬毛化・増毛化は非常に稀なケースであり、照射を重ねると濃くなった毛もなくせますので、過度な心配はいらないでしょう。
そのほか、脱毛には赤み・腫れ・やけど・毛嚢炎(赤いプツプツ)などのリスクや副作用もあります。
硬毛化、赤みなどの副作用は一時的なものがほとんどです。
副作用までしっかりと説明してくれるクリニックや脱毛サロンを選んでくださいね。
脱毛のリスク・副作用
- 硬毛化・増毛化
- 赤みや腫れ
- やけど
- 毛嚢炎
日焼けをしている場合は効果を実感しにくい
日焼けをしている方は、脱毛の効果を実感しにくいので注意が必要です。
脱毛のレーザーや光はメラニンに反応するのですが、メラニンは毛だけでなく、日焼けした肌に多く含まれます。
肌の色が変わるほど日焼けをした場合、レーザーや光が皮膚にも分散されるので脱毛の効果が減少します。
また、日焼けした直後やあまりにもひどい日焼けは、脱毛自体ができません(その際は日焼けが落ち着いてからの照射となります)。
腕は日焼けしやすい部位なので、脱毛を検討し始めた段階で紫外線対策を行いましょう。
腕脱毛の流れと経過
いざ腕脱毛をするとなると、実際にどのような流れで照射してどのような経過をたどるのか、気になりますよね。
ここでは、腕脱毛の流れ・経過をまとめていますので、実際に脱毛に通うのをイメージしながら読み進めてみてください。
腕脱毛の前日や当日の流れ
腕脱毛の一般的な流れを見ていきましょう。
腕脱毛の流れ
脱毛2日前~前日までに脱毛部位の毛を処理しておきます。
自己処理の道具はカミソリでもかまいませんが、おすすめは肌への負担が少ない電気シェーバーです。
肌を傷つけてしまうとその部分には照射できなくなりますので、慎重にシェービングしましょう。
自己処理が終わったら、保湿も忘れずに行ってください。
腕脱毛当日にクリニックや脱毛サロンに着いたら受付を済ませ、着替えを行います。
腕脱毛のみの場合は、キャミソールやノースリーブを着たまま照射する、上だけ脱いでガウンを胸の位置で巻いて照射する、など脱毛する場所によって格好が異なります。
着替えが終わったら、いよいよ脱毛の照射です。
1ショットずつ位置をずらしながら、またはジェルを塗ってその上を滑らせるように照射。
腕全体の脱毛にかかる時間は30~60分程度で、使用される脱毛機によってかかる時間が異なります。
照射が終わり次第、アフターケアや着替えをして脱毛が終了です。
脱毛後も日焼けは厳禁ですので、紫外線対策をして帰宅しましょう。
さらに、肌トラブル予防として、いつもよりもていねいに保湿を行います。
腕脱毛の経過
腕脱毛1回目から完了までの経過をまとめました。照射を重ねるごとに段々と効果を実感できるようになります。
目指したい仕上がりや予算に合わせて照射回数を選びましょう。
照射1回目(医療脱毛・脱毛サロン)
毛が抜け落ちるまでの期間は脱毛機によって異なり、熱破壊式/IPLは1~2週間、蓄熱式/SHR/THR/s.s.cでは3~4週間ほどが目安です。
その後少しずつ新たな毛が生え始め、3カ月くらい経ったころには脱毛前と変わらない毛量になります。
この段階では脱毛効果はほとんど実感できません。不安になるかと思いますが、照射を重ねていきましょう。
医療脱毛3~5回目・脱毛サロン10~15回目
お手入れがとてもラクになり、シェービングにかける時間も手間も少なくなる時期です。
もともと毛量が少ない方やお手入れがラクになる程度の仕上がりを目指す方であれば、この段階で脱毛を終了させてもよいでしょう。
医療脱毛では1年程度、脱毛サロンでは1~2年程度通った状態ですが、毛量が減らない・効果を全く実感できない状態であれば問題があります。
自分の毛質や肌質に合った脱毛機であるか、照射出力は適正であるか、といった点をチェックして、クリニックや脱毛サロンに相談するべきです。
医療脱毛6~8回目・脱毛サロン16~24回目
この時期には、多くの方がしっかりとした脱毛効果を実感できます。
ただし、もともとの毛量が多い、二の腕の産毛までツルツルにしたい場合はさらに追加照射をする方もいます。
基本的には、脱毛を始めてから医療脱毛では2年程度、脱毛サロンでは3~4年程度の期間があればほとんどの場合、腕脱毛は完了できるでしょう。
医療脱毛の持続期間は10年程度ということまでしか分かっていないのですが、いちど破壊された発毛細胞は再生しませんので、元の毛量に戻ることはありません。
参考文献
- Sang Ju Lee et al. 2013. Combination of 595-nm pulsed dye laser, long-pulsed 755-nm alexandrite laser, and microdermabrasion treatment for keratosis pilaris: retrospective analysis of 26 Korean patients. PMID: 23464682 DOI: 10.3109/14764172.2013.769276 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23464682/
- Omer Ibrahim et al. 2014. Treatment of keratosis pilaris with 810-nm diode laser: a randomized clinical trial. PMID: 25372313 DOI: 10.1001/jamadermatol.2014.2211 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25372313/
医療レーザー脱毛は、レーザーをメラニン(黒い色)に反応させることで発生する熱により、発毛組織を破壊し脱毛します。
レーザー照射後は、以下のような副作用があらわれる可能性があります。
- 赤み、腫れ
- やけど
- 毛嚢炎
- 硬毛化、増毛化
- 埋没毛(埋もれ毛)
- 皮膚や毛の状態によっては、赤いブツブツが出ることがありますが、数時間~数日で消失します。
- 脱毛部分に赤みがある時は日焼けを避けてください。通常脱毛3週間は外出の際、脱毛部を露出する服装を控えていただくか、日焼け止めクリームなどをご使用ください。それでも稀に色素沈着が生じたり、逆に色素が抜けたりすることがあります。
- 脱毛部位にあるホクロ・シミ・あざなどは、レーザー脱毛に伴い取れてしまったり薄くなったり、あるいは濃くなることがあります。
- 毛穴に残った毛が黒く見えることがありますが、徐々に外に出て行きます。毛抜きで抵抗感なく抜けるものは抜いて構いませんが、無理に取ろうとして先の尖ったピンセットなどで掘ったりしないでください。