近年、医療脱毛クリニックの“突然の閉院”や“経営破綻”が相次いでいます。
一見、安心だと思われていた大手クリニックでさえ、経営不振により倒産してしまうケースが少なくありません。
こうした事態に巻き込まれた利用者は、すでに支払い済みのコース料金を取り戻すことができず、泣き寝入りせざるを得ない状況に追い込まれています。
「せっかく契約したのに、脱毛が受けられない」「返金ができない」といったトラブルは、もはや他人事ではありません。
そんな中で、利用者のお金を守るために生まれた新しい仕組みが 「前払い保証金制度」 です。
これは、クリニックが倒産しても支払い済みの金額が返金されるよう設計された、利用者にとって大きな安心材料となる制度です。
この記事の執筆者

石川 聡司
(新さっぽろウィメンズ ヘルス&ビューティークリニック 院長)
北海道大学医学部卒業後、北海道大学病院、帯広厚生病院など地域の中核病院に勤務。品川美容外科にて美容外科医として3年間の研鑽を積み、2021年に婦人科・美容外科を併設した当院を開業。
婦人科全般の診療のほか、美容医療では美肌治療、美容整形をはじめ脱毛・アートメイクなど幅広く対応する。
近年増える医療脱毛クリニックの倒産トラブル
ここ数年、医療脱毛業界ではクリニックの突然の閉院や倒産トラブルが相次いでいます。
「大手だから安心」「有名だから大丈夫」と思って契約したのに、気づけばクリニックがなくなっていた――そんな声が全国で増えているのです。
背景には、医療脱毛の需要拡大に伴う過当な価格競争があります。
一見お得に見える低価格プランや大幅な割引キャンペーンの裏では、運営コストを賄いきれずに経営が悪化するケースも少なくありません。
結果として、支払い済みのコース代金が返金されず、施術も受けられないまま泣き寝入りする利用者が増えているのです。
特に問題となっているのが、**「前払い一括契約」や「ローン契約」**をしていた場合。
クリニックが倒産してしまうと、支払い先が消え、返金を求めることもできません。
中には、ローンの返済だけが残ってしまうという深刻なケースもあります。
このように、いま医療脱毛業界では「倒産リスク」が決して他人事ではなくなっています。
安心して通うためには、“お金を守る仕組み”を備えたクリニックを選ぶことが欠かせません。
前払い保証金制度」とは、医療脱毛クリニックが利用者から受け取った前払い金の一部を、第三者機関(信託会社など)に預けておく仕組みのことです。
万が一クリニックが倒産してしまっても、その預けられたお金から利用者に返金が行われるため、安心して契約できる制度です。
通常、医療脱毛の契約は「コース一括払い」や「ローン契約」が一般的です。
この場合、支払いがすべてクリニックに渡ってしまうため、経営が悪化すると返金が困難になります。
しかし、前払い保証金制度を導入しているクリニックでは、あらかじめ顧客の支払いを“守る仕組み”が確保されているのです。
患者さん先生、最近クリニックの倒産トラブルって多いって聞いたんですけど……。
もし通ってる途中で倒産しちゃったら、支払ったお金ってどうなるんですか?
Dr.石川良い質問ですね。実は、その“もしも”に備えるために作られたのが
『前払い保証金制度』なんですよ。
患者さん前払い保証金制度?それってどういう仕組みなんですか?
Dr.石川簡単に言うと、あなたが支払ったお金を守る保険のような制度です。
クリニックが前払いで受け取ったお金の一部を、第三者の保証機関や信託会社に預けておくんです。
患者さんへぇ、じゃあクリニックがもし倒産しても……?
Dr.石川そう、その預けてあるお金から返金を受けられるんです。
つまり、“クリニックがなくなってもお金は消えない”という安心があるんですよ。
患者さんなるほど!じゃあ普通の“返金保証”とは違うんですね?
Dr.石川その通りです。
普通の返金保証は“クリニック自身”が返金する約束ですが、
倒産してしまうとその約束自体が果たせなくなります。
でも前払い保証金制度は、第三者があなたのお金を守る仕組みなんです。
患者さんすごく安心ですね。そういう制度があるクリニックを選べば、トラブルも防げそう。
Dr.石川まさにその通り。
最近は、信頼できるクリニックほどこの制度を導入しています。
“安さ”だけでなく、“保証の仕組み”を確認することが、後悔しない医療脱毛の第一歩なんですよ。
医療脱毛業界の現状とリスク
◆ 業界の急成長と、その裏にある危うさ
ここ数年、医療脱毛は美容医療の中でも特に成長が著しい分野です。
SNSや口コミを通じて需要が高まり、全国各地で新しいクリニックが次々とオープンしています。
しかし、その急成長の裏側で次のような問題が顕在化しています。
【医療脱毛業界の主なリスク】
- 過当な価格競争による経営悪化
- 「月額○○円」や「通い放題」など、過剰な割引や広告競争が激化。
- 採算が合わず、運営が続けられなくなるクリニックも増加。
- 突然の倒産・閉院による利用者被害
- 経営破綻による突然の営業停止。
- すでに支払い済みのコース料金が返金されず、泣き寝入りするケースが多数。
- ローン契約・前払い制のリスク
- クリニック倒産後もローン返済だけが残るトラブルが発生。
- 「契約先=クリニック」なので、返金請求ができない。
- 無責任な新規参入業者の増加
- 医療脱毛を“ビジネスモデル”として参入する企業が増加。
- 医療体制よりも売上重視の運営に偏り、安全面・経営面の不安が残る。
お師匠さん最近は「直美」といって、医療保険診療の過酷さにビビり、医局に入らず、最初から自由診療の美容クリニックの道に進む医師が増えてきているからのう・・
🩺 医療脱毛業界の背景にも変化が
医療脱毛や美容医療の拡大にともない、
「直美(ちょくび)」と呼ばれる医師――
つまり、大学医局などの保険診療には入らず、
最初から美容クリニックなど自由診療の道に進む若手医師が増えています。
背景には、
- 保険診療の過酷な勤務環境
- 低い報酬と長時間労働
- SNSなどで個人でも発信・集客できる時代になったこと
があります。
この流れ自体は、医師の新しい働き方として前向きな一面もありますが、
一方で、経営面や医療体制が未熟なクリニックが急増する原因にもなっています。
医療行為である脱毛をビジネス感覚でスタートし、
マーケティング先行で急成長 → 経営が破綻 → 利用者トラブルへ……という構図も珍しくありません。
患者さん先生、最近のクリニックって、なんだか新しいところばかり増えてますね。
若い先生も多い気がするんですけど…。
Dr.石川そうですね。実は最近、美容医療業界では『直美』と呼ばれる若手医師が増えてきているんです。
患者さん直美?それって何ですか?
Dr.石川簡単に言うと、大学の医局や保険診療の過酷さにびっくりして、
最初から自由診療の美容クリニックに進む若手医師のことです。
患者さんへぇ、そういう先生たちが増えてるんですね。でもそれって良いことじゃないんですか?
Dr.石川もちろん、医師自身の働き方としては前向きな面があります。
でも一方で、経験や経営体制がまだ十分でないクリニックも増えているのが現実です。
患者さんなるほど…。経験が浅いと施術とか大丈夫なのかな…って心配になりますね。
Dr.石川そうなんです。さらに、マーケティングや広告で急成長を狙うクリニックも多く、
経営が安定していない場合、倒産のリスクもあります。
だから、安心して通えるクリニックを選ぶには、お金を守る仕組みをチェックすることが大切なんですよ。
患者さんあ、これが前払い保証金制度の話につながるんですね!
Dr.石川その通りです。次に、その制度について詳しく説明していきますね。
前払い保証金制度と返金保証の違い
医療脱毛では、契約途中でクリニックが倒産するリスクがあるため、支払ったお金をどう守るかが非常に重要です。
ここで出てくるのが、通常の返金保証と前払い保証金制度の違いです。
1. 通常の返金保証
- クリニック自身が返金を約束する制度
- 倒産や経営破綻時には返金ができないことが多い
- 利用者の安心度はクリニックの経営状態に依存する
2. 前払い保証金制度
- 利用者が支払ったお金の一部を第三者機関(信託会社など)に預ける仕組み
- クリニックが倒産しても、第三者機関から返金が行われる
- 利用者にとっての安全性が高く、安心して契約できる
違いをまとめると
| 比較項目 | 通常の返金保証 | 前払い保証金制度 |
|---|---|---|
| 保証主体 | クリニック自身 | 第三者機関(信託など) |
| 倒産時の返金 | 原則不可 | 可能(保証金から支払われる) |
| 安全性 | クリニック依存 | 高い・制度で保護される |
患者さん先生、前払い保証金制度はわかってきたんですけど、
普通の返金保証とは何が違うんですか?
Dr.石川いい質問ですね。簡単に言うと、誰が返金を約束するかがポイントです。
患者さん誰がって…?
Dr.石川普通の返金保証は、クリニック自身が『返金します』と約束するだけなんです。
でもクリニックが倒産してしまうと、その約束は意味をなさなくなります。
患者さんなるほど…。倒産したらお金は戻ってこないんですね。
Dr.石川その通りです。
一方、前払い保証金制度では、第三者の保証機関や信託会社があなたのお金を守ります。
もしクリニックが倒産しても、その第三者機関から返金が受けられるんです。
患者さんなるほど、だから安全性が全然違うんですね。
Dr.石川そうです。表で比べるとわかりやすいですよ。
| 比較項目 | 通常の返金保証 | 前払い保証金制度 |
|---|---|---|
| 保証主体 | クリニック自身 | 第三者機関(信託など) |
| 倒産時の返金 | 原則不可 | 可能(保証金から支払われる) |
| 安全性 | クリニック依存 | 高い・制度で保護される |
患者さんなるほど…安さや知名度だけで選ぶのは危険で、
こういう制度があるかどうかでクリニックを選ぶ方が安心ってことですね。
Dr.石川その通りです。
医療脱毛で後悔しないためには、『支払ったお金が守られているか』を必ず確認することが大切です。
前払い保証金制度があるクリニックの見分け方
前払い保証金制度を導入しているクリニックはまだ一部ですが、選ぶ際のチェックポイントを押さえることで、安心して契約できます。
クリニックを見分けるチェックポイント
- 公式サイトで制度の記載を確認
- 「前払い保証金制度」「信託」「保証金」などの表記があるか
- 契約条件や返金ルールが明確に書かれているか
- 契約前に必ず質問する
- 「倒産した場合、前払い金はどうなるのか?」
- 「第三者機関による保証か?」
- 契約書の確認
- 保証制度が明記されているか
- 条件(対象コース、返金の範囲・期限)が明確か
- クリニックの信頼性を総合的に判断
- 開院年数や口コミ・評判
- 医師や看護師の在籍状況
- 無理な広告や割引キャンペーンが過剰でないか
患者さん先生、じゃあ前払い保証金制度があるクリニックって、どうやって見つければいいんですか?
Dr.石川まずは公式サイトをチェックしてみましょう。
『前払い保証金制度』や『信託』といった記載があるかどうかが目安です。
患者さんなるほど。でも文章だけじゃよくわからないこともありそうですね。
Dr.石川その通りです。だから契約前に必ず質問することが大切です。
『倒産した場合に前払い金はどうなるのか』や『第三者機関が保証してくれるか』を確認してください。
患者さん契約書にも書いてあるかチェックした方がいいんですよね?
Dr.石川そうです。保証内容や条件が契約書に明記されているかも必ず確認してください。
患者さん他にはどうやって判断できますか?
Dr.石川口コミや開院年数、医師の在籍状況もチェックポイントです。
あとは、安さやキャンペーンだけに惑わされず、安全性・信頼性重視で選ぶことが大事ですね。
前払い保証金制度があるクリニックをご存知ですか?
倒産リスクから支払ったお金を守る、安心の仕組みです。
安心して医療脱毛を始める第一歩として、今回は前払い保証金制度を導入している「レジーナ」をご紹介いたします。






























安心できるクリニック選びのチェックリスト
医療脱毛で後悔しないためには、安さや広告だけで選ぶのではなく、安全性と信頼性を総合的に判断することが大切です。
以下のチェックリストを参考にしてください。
【信頼できるクリニックの5つの条件】
- 前払い保証金制度を導入している
- 倒産時でもお金が返ってくる安心の仕組みがある
- 医師・看護師が常駐し、カウンセリングが丁寧
- 医療行為としての安全性が確保されている
- 解約・返金ポリシーが明文化されている
- 契約書や公式サイトに条件が明記されている
- 継続年数が長く、口コミや評判が安定している
- 実績や評判から信頼性を確認できる
- 価格よりも安全性・対応品質を重視している
- 無理な割引やキャンペーンだけで選ばない
患者さん先生、安心して通えるクリニックって、結局どんなところを選べばいいんですか?
Dr.石川ポイントは5つあります。
まず、前払い保証金制度があること。倒産してもお金が守られる安心感ですね。
患者さんなるほど。それ以外は?
Dr.石川次に、医師・看護師が常駐していて、カウンセリングが丁寧なこと。
医療脱毛は立派な医療行為なので、技術と対応が重要です。
患者さん契約条件もちゃんと確認した方がいいんですよね?
Dr.石川その通りです。解約や返金ポリシーが明文化されているかもチェックポイントです。
患者さん口コミとかも参考になりますか?
Dr.石川ええ。開院年数や口コミの安定性も信頼性の目安になります。
最後に、安さよりも安全性や対応品質を重視することが重要です。
患者さんなるほど、これなら安心して選べそうです!
まとめ:安心して医療脱毛を始めるために
医療脱毛は、ムダ毛の悩みを解消し、つるすべ肌を手に入れるための有効な手段として、近年多くの方に選ばれています。美容意識の高まりやSNSでの情報拡散もあり、若い世代から幅広い年齢層まで、医療脱毛に関心を持つ人は年々増えています。しかし、医療脱毛には美容効果や便利さだけでなく、契約やお金に関するリスクも存在します。特に注意したいのが、クリニックの突然の閉院や倒産です。昨今では、知名度が高いとされる大手クリニックであっても経営が不安定になり、利用者が支払った料金を返金してもらえず泣き寝入りするケースが報告されています。このようなトラブルは決して他人事ではなく、誰にでも起こり得る現実です。
医療脱毛は一度契約すれば、数回〜十数回の施術が必要なケースが多く、そのためコース料金を前払いする形態が一般的です。さらに、ローン契約を組む場合もあります。これらの契約形態は、施術途中でクリニックが倒産した場合に、利用者が大きな金銭的リスクを負うことにつながります。前払い金は返金されず、ローンの支払いだけが残るといった事態も実際に起きています。したがって、料金や広告の魅力だけでクリニックを選ぶことは、非常に危険だと言えます。
では、どうすれば安心して医療脱毛を受けられるのでしょうか。その答えの一つが、前払い保証金制度です。前払い保証金制度は、利用者が支払った前払い金を第三者機関に預けておく仕組みで、万が一クリニックが倒産した場合でも、その預けられた資金から返金が行われる安全な制度です。この制度が導入されているクリニックを選ぶことで、施術途中でクリニックが閉院してしまった場合でも、支払ったお金が失われるリスクを大幅に減らすことができます。制度の有無は、公式サイトや契約書で確認できることが多く、契約前にしっかりチェックすることが推奨されます。
また、医療脱毛業界には「直美」と呼ばれる新しいタイプの若手医師が増えてきています。これは、大学の医局や保険診療の過酷さに驚き、最初から自由診療の美容クリニックに進む医師のことです。こうした医師の増加は、業界の選択肢を広げる一方で、経験や経営面が十分でないクリニックの増加にもつながっています。そのため、施術の安全性や経営の安定性を見極めることも重要です。口コミや開院年数、医師・看護師の在籍状況など、信頼性の高い情報をもとに総合的に判断することが、後悔しないクリニック選びのポイントです。
具体的なチェックポイントとしては、まず契約書や公式サイトに前払い保証金制度が明記されているかを確認すること、契約前に「倒産した場合の返金はどうなるのか」「第三者機関による保証があるか」といった質問をすること、さらに医師・看護師の常駐状況やカウンセリングの丁寧さ、口コミや開院年数などを確認することが挙げられます。価格の安さやキャンペーンの魅力だけで選ぶのではなく、安全性や信頼性を重視してクリニックを選ぶことが、医療脱毛で後悔しないために最も重要なポイントです。
最後に強調したいのは、医療脱毛は美容医療である以上、施術の安全性とお金の安全性の両方を意識して選ぶ必要があるということです。前払い保証金制度の有無、医師やスタッフの経験、クリニックの経営状況、契約条件や返金ポリシーをしっかり確認することで、安心して通い続けることができます。自分の肌とお金を守るために、契約前の確認は決して怠ってはいけません。
患者さん先生、記事を読んで、クリニック選びって本当に慎重にしないといけないんだなって思いました。
Dr.石川その通りです。医療脱毛は美容効果が高い反面、契約やお金のリスクも伴います。
だからこそ、安さや広告の魅力だけで選ぶのではなく、安全性と信頼性を重視することが大切です。
患者さん具体的には、何をチェックすればいいんですか?
Dr.石川まずは、前払い保証金制度があるかどうか。
これがあるクリニックなら、万が一倒産しても支払ったお金は守られます。それから、医師や看護師が常駐しているか、カウンセリングは丁寧か、契約書に返金や解約のルールが明記されているかも確認してください。
患者さんなるほど…。価格だけじゃなくて、制度や安全性を見るんですね。
Dr.石川そうです。口コミや開院年数、クリニックの実績も参考になります。
大事なのは、『お金も肌も守れるクリニックか』を総合的に判断することです。
患者さんこれで安心して医療脱毛を始められそうです!
Dr.石川そうですね。皆さんが安心して通えることが一番大切です。
最後までお読みくださり、ありがとうございました!
参考文献
- レジーナクリニックの「前払金保証」について
https://reginaclinic.jp/guarantee/ - 割賦販売法施行令の一部を改正する政令等案の概要
https://www.jsas.or.jp/g_document/20171012.pdf

