「低用量ピルを飲んでいるけれど、マンジャロを始めても大丈夫?」
「避妊効果が弱くなるって本当?」
「服用をやめる必要はあるの?」
このような疑問をお持ちの方は多いのではないでしょうか。
マンジャロは高い体重減少効果が期待できる一方で、低用量ピルを服用している方は知っておきたい重要な注意点があります。
その理由は、マンジャロには胃の内容物が腸へ送られる速度(胃内容排出)を遅らせる作用があり、経口薬である低用量ピルの吸収に影響を与える可能性があるためです。実際に、マンジャロの添付文書では、治療開始後4週間および用量を増やした後4週間は、コンドームなどの別の避妊法を併用することが推奨されています。
ただし、「マンジャロを使ってはいけない」というわけではありません。正しい知識を持って適切に対策を行えば、低用量ピルを服用している方でもマンジャロによる治療を受けることは可能です。
この記事では、マンジャロが低用量ピルに与える影響や、避妊効果が低下する可能性がある理由、治療開始前に確認しておきたいポイント、安全に治療を続けるための注意点まで、わかりやすく解説します。
この記事の執筆者

石川 聡司
(新さっぽろウィメンズ ヘルス&ビューティークリニック 院長)
北海道大学医学部卒業後、北海道大学病院、帯広厚生病院など地域の中核病院に勤務。品川美容外科にて美容外科医として3年間の研鑽を積み、2021年に婦人科・美容外科を併設した当院を開業。
婦人科全般の診療のほか、美容医療では美肌治療、美容整形をはじめ脱毛・アートメイクなど幅広く対応する。
マンジャロ開始後は低用量ピルの避妊効果が低下する可能性がある
マンジャロを使用する場合、低用量ピルを服用している方は避妊方法について注意が必要です。
その理由は、マンジャロの有効成分であるチルゼパチドには、胃の内容物が腸へ送られる速度(胃内容排出)を遅らせる作用があり、飲み薬である低用量ピルの吸収に影響を及ぼす可能性があるためです。
実際にマンジャロの添付文書では、経口避妊薬(低用量ピル)を服用している場合は、マンジャロの投与開始後4週間、および用量を増量した後4週間は、コンドームなどの非経口避妊法を併用するか、別の避妊方法へ切り替えることが推奨されています。
これは「ピルが全く効かなくなる」という意味ではありません。しかし、通常より避妊効果が十分に得られない可能性があるため、妊娠を希望しない場合は追加の避妊対策が重要になります。
また、この注意喚起はすべてのGLP-1受容体作動薬に共通するものではありません。現在のところ、添付文書で経口避妊薬との併用について特に注意が記載されているのはマンジャロ(チルゼパチド)です。
マンジャロ開始前に知っておきたい3つのポイント
- マンジャロは低用量ピルの吸収に影響する可能性がある
- 投与開始後4週間・増量後4週間は追加の避妊法を併用する
- 自己判断でピルやマンジャロを中止せず、処方医に相談する
患者さんマンジャロを始めたら、ピルはもう効かないんですか?
Dr.石川いいえ、効かなくなるわけではありません。ただし、飲み薬の吸収が一時的に変わる可能性があるため、避妊効果が十分でなくなるおそれがあります。そのため、開始後4週間と増量後4週間はコンドームなどを併用するよう推奨されています。
患者さんじゃあ、マンジャロをやめる必要はないんですね。
Dr.石川はい。正しく対策をすれば、多くの場合は安全に治療を続けられます。大切なのは、事前に知っておくことです。
マンジャロが低用量ピルに影響する理由
「なぜマンジャロだけ、低用量ピルとの併用に注意が必要なのでしょうか?」
その理由は、マンジャロの薬の働き方にあります。
マンジャロ(有効成分:チルゼパチド)は、食欲を抑えたり血糖値を改善したりする効果に加えて、胃の内容物が小腸へ送られる速度(胃内容排出)を遅らせる作用があります。
低用量ピルは、飲んだ後に胃から小腸へ移動し、小腸で有効成分が吸収されることで効果を発揮します。しかし、マンジャロによって胃内容排出が遅くなると、ピルの吸収速度や血中濃度に影響を及ぼす可能性があります。
実際に行われた臨床試験では、マンジャロ開始時に経口避妊薬の血中濃度が低下することが確認されており、この結果をもとに添付文書では追加の避妊法が推奨されています。
なお、この影響はマンジャロを開始した直後や、用量を増やした直後に最も大きいと考えられています。そのため、「投与開始後4週間」と「増量後4週間」という期間が設定されています。
マンジャロがピルへ影響する流れ
| 流れ | 起こること |
|---|---|
| ① マンジャロを注射する | 胃内容排出が遅くなる |
| ② ピルを服用する | 胃から小腸への移動が遅れる |
| ③ 吸収タイミングが変化する | 血中濃度が低下する可能性がある |
| ④ 避妊効果に影響する可能性 | 添付文書では追加避妊を推奨 |
マンジャロを始める前に知っておきたいポイント
- マンジャロが問題なのではなく、「飲み薬の吸収」に影響する可能性があることがポイントです。
- ピルをやめる必要はありませんが、開始後4週間・増量後4週間はコンドームなどの追加避妊が推奨されています。
- 自己判断で服用方法を変更せず、処方医の指示に従いましょう。
患者さんマンジャロとピルが飲み合わせで悪いってことですか?
Dr.石川薬同士が反応して効かなくなるわけではありません。マンジャロが胃の動きをゆっくりにすることで、ピルの吸収に影響する可能性があるんです。
患者さんだから追加の避妊が必要なんですね。
Dr.石川その通りです。特に治療を始めたばかりの時期や増量した直後だけ注意すれば、多くの場合は安心して治療を続けられます。
マンジャロ開始前に確認したいチェックリスト
マンジャロを安心して始めるためには、治療を開始する前にいくつか確認しておきたいポイントがあります。
特に低用量ピルを服用している方は、避妊方法や治療スケジュールを事前に確認しておくことで、慌てずに治療をスタートできます。
以下のチェックリストを参考に、ご自身の状況を確認してみましょう。
□ 現在服用しているのは経口避妊薬(低用量ピル)か確認する
マンジャロの添付文書で注意喚起されているのは、飲み薬である経口避妊薬です。
低用量ピルだけでなく、超低用量ピルや一部の経口ホルモン剤を服用している場合も、医師や薬剤師へ伝えておきましょう。
□ 妊娠を希望しているか確認する
近いうちに妊娠を希望している場合は、マンジャロを開始する前に主治医へ相談しましょう。
マンジャロは妊娠中の使用が推奨されておらず、妊娠を計画している場合は治療方針が変わることがあります。
□ コンドームなどの追加避妊法を準備する
マンジャロ開始後4週間、および増量後4週間は、コンドームなどの非経口避妊法を併用することが推奨されています。
治療を始めてから慌てないよう、事前にパートナーとも共有しておくと安心です。
□ 増量スケジュールを確認する
マンジャロは通常、少量から開始し、体調を見ながら段階的に増量します。
そのため、追加避妊が必要になるタイミングは開始時だけではありません。
用量を増やすたびに4週間は追加避妊が推奨されるため、診察時に今後のスケジュールを確認しておきましょう。
□ 吐き気・下痢などの副作用について理解しておく
マンジャロでは、治療開始直後や増量後に吐き気や下痢などの消化器症状がみられることがあります。
これらの症状が強い場合は、低用量ピルが十分に吸収されない可能性もあるため、症状が続くときは自己判断せず医療機関へ相談しましょう。
開始前チェックリスト
| チェック項目 | 確認できた? |
|---|---|
| 経口避妊薬(低用量ピル)を服用していることを医師へ伝えた | □ |
| 妊娠希望の有無を相談した | □ |
| コンドームなど追加避妊法を準備した | □ |
| 増量スケジュールを確認した | □ |
| 副作用と対処法を理解した | □ |
重要ポイント
マンジャロは低用量ピルを服用している方でも使用できますが、「開始前の準備」がとても大切です。あらかじめ追加避妊が必要な期間や増量スケジュールを理解しておくことで、安心して治療を継続しやすくなります。
患者さんマンジャロを始める前に、一番大事なことは何ですか?
Dr.石川低用量ピルを飲んでいることを必ず伝えることです。そして、開始後や増量後には追加の避妊が必要になることを理解しておきましょう。
患者さん準備しておけば、慌てずに始められそうですね。
Dr.石川その通りです。事前にスケジュールや避妊方法を確認しておくことが、安全に治療を続けるためのポイントです。
マンジャロ開始後に避妊で注意すること
マンジャロを開始した後は、低用量ピルを普段どおり服用するだけでなく、一定期間は追加の避妊対策を行うことが重要です。
添付文書では、マンジャロによる胃内容排出の遅延が経口避妊薬の吸収に影響する可能性があるため、投与開始後および増量後には別の避妊法を併用するよう推奨されています。
ここでは、具体的にどのような点に注意すればよいのかを解説します。
コンドームなど他の避妊法を併用する
マンジャロを開始したら、投与開始後4週間はコンドームなどの非経口避妊法を併用しましょう。
また、経口避妊薬ではなく、子宮内避妊具(IUD)や避妊インプラントなどの非経口避妊法を選択することも一つの方法です。
避妊方法を変更したい場合は、自己判断ではなく婦人科や処方医へ相談しましょう。
増量のたびに4週間は追加避妊が必要
「開始後4週間だけ気を付ければよい」と思われがちですが、それだけではありません。
マンジャロは通常、2.5mgから開始し、効果や副作用を見ながら段階的に増量します。
用量を増やすたびに胃内容排出への影響が強くなる可能性があるため、増量後4週間も追加避妊が推奨されています。
追加避妊が必要なタイミングの例
| マンジャロの治療経過 | 追加避妊の目安 |
|---|---|
| 治療開始 | 4週間 |
| 2.5mg→5mgへ増量 | 4週間 |
| 5mg→7.5mgへ増量 | 4週間 |
| 7.5mg→10mgへ増量 | 4週間 |
※実際の増量スケジュールは、医師の判断や体調によって異なります。
飲み忘れや副作用にも注意する
低用量ピルは、毎日決まった時間に服用することで安定した避妊効果が期待できます。
マンジャロ開始後は、吐き気や嘔吐、下痢などの副作用が現れることがあります。これに加えてピルの飲み忘れが重なると、避妊効果がさらに低下する可能性があります。
そのため、
- ピルはできるだけ毎日同じ時間に服用する
- 飲み忘れた場合は添付文書の指示に従って対応する
- 嘔吐や激しい下痢が続く場合は医療機関へ相談する
といった点を心がけましょう。
重要ポイント
- マンジャロ開始後4週間は追加避妊が必要
- 用量を増やした後も、その都度4週間は追加避妊を行う
- ピルの飲み忘れや消化器症状がある場合は、避妊効果への影響に注意する
- 不安がある場合は自己判断せず、医師や薬剤師へ相談する
患者さん開始して1か月過ぎたら、もうコンドームはいらないんですか?
Dr.石川開始後4週間が過ぎても、その後にマンジャロを増量した場合は、増量後4週間も追加避妊が必要です。
患者さんなるほど。増量のたびに気を付けるんですね。
Dr.石川はい。治療スケジュールに合わせて避妊対策も考えることが大切です。不明な点があれば、受診時に確認しておきましょう。
下痢・嘔吐があるとピルの効果はどうなる?
マンジャロでは、治療開始直後や増量後に吐き気・嘔吐・下痢などの消化器症状が現れることがあります。
これらの副作用は多くの場合、一時的なものですが、症状が強い場合には低用量ピルが十分に吸収されず、避妊効果に影響する可能性があります。
特に服用後すぐに嘔吐した場合や、激しい下痢が続く場合は注意が必要です。
ピル服用後に嘔吐した場合
一般的に、低用量ピルを服用してから約2〜3時間以内に嘔吐した場合は、有効成分が十分に吸収されていない可能性があります。
この場合は、服用しているピルの添付文書に従って追加服用を行うか、処方医・薬剤師に相談しましょう。
一方、服用から数時間以上経過している場合は、すでに薬が吸収されている可能性が高く、通常は避妊効果への影響は少ないと考えられます。
激しい下痢が続く場合
水のような下痢が24時間以上続く場合も、ピルの吸収が不十分になる可能性があります。
そのため、低用量ピルの添付文書では、激しい下痢が続く場合は飲み忘れた場合と同様の対応を推奨している製品があります。
また、マンジャロ開始後や増量後は、もともと追加避妊が推奨される期間です。
下痢や嘔吐が重なった場合は、コンドームなどの避妊法を併用し、必要に応じて医療機関へ相談しましょう。
こんな症状があれば医療機関へ相談を
次のような症状がある場合は、副作用が強く出ている可能性があります。
- 嘔吐が何度も続いて水分が取れない
- 激しい下痢が1日以上続く
- 強い腹痛がある
- 脱水症状(めまい・尿量の減少・強い口の渇き)がある
- ピルを服用できない状態が続いている
これらの症状がある場合は、無理に様子を見るのではなく、早めに医療機関へ相談してください。
症状別の対応一覧
| 症状 | 避妊への影響 | 対応 |
|---|---|---|
| ピル服用後2〜3時間以内の嘔吐 | 吸収されない可能性がある | 添付文書を確認し、必要に応じて追加服用・医師へ相談 |
| 激しい下痢が24時間以上続く | 吸収が低下する可能性がある | 飲み忘れ時と同様に対応し、追加避妊を行う |
| 軽い吐き気のみ | 基本的に影響は少ない | ピルを継続して服用する |
| 水分が取れないほどの嘔吐・下痢 | 避妊だけでなく体調管理も重要 | 速やかに医療機関へ相談 |
重要ポイント
マンジャロそのものだけでなく、副作用による嘔吐や下痢も低用量ピルの効果に影響する可能性があります。体調が悪いときは「少し様子を見よう」と自己判断せず、添付文書を確認し、不安があれば医師や薬剤師に相談しましょう。
患者さんマンジャロを打ってから吐いてしまったんですが、ピルは大丈夫でしょうか?
Dr.石川ピルを飲んですぐに吐いてしまった場合は、十分に吸収されていない可能性があります。服用しているピルの添付文書に従って対応し、必要であれば追加の避妊も行いましょう。
患者さん下痢が続いているときも同じですか?
Dr.石川はい。激しい下痢が続く場合も吸収に影響する可能性があります。症状が長引く場合は、早めに受診することをおすすめします。
他のGLP-1ダイエット薬ではどうなの?
「低用量ピルへの影響があるのはマンジャロだけ?」
この点が気になる方も多いでしょう。
結論からいうと、現在、経口避妊薬(低用量ピル)との併用について特に注意喚起されているのはマンジャロ(チルゼパチド)です。
GLP-1受容体作動薬はいずれも胃内容排出を遅らせる作用がありますが、その程度や持続時間は薬剤によって異なります。
マンジャロでは臨床試験で経口避妊薬の血中濃度が低下することが確認されたため、添付文書に「開始後4週間・増量後4週間は追加避妊を行うこと」が明記されています。
一方、他のGLP-1受容体作動薬では、現時点では同様の注意喚起は添付文書に記載されていません。
主なGLP-1関連薬と低用量ピルへの影響
| 薬剤 | 有効成分 | ピルへの影響 | 添付文書での追加避妊の推奨 |
|---|---|---|---|
| マンジャロ | チルゼパチド | 影響する可能性あり | あり |
| オゼンピック | セマグルチド | 明確な影響は示されていない | なし |
| ウゴービ | セマグルチド | 明確な影響は示されていない | なし |
| リベルサス | セマグルチド | 明確な影響は示されていない | なし |
| ビクトーザ | リラグルチド | 明確な影響は示されていない | なし |
※2026年時点の添付文書・公表されている情報に基づきます。今後、新たな知見により内容が変更される可能性があります。
「他の薬なら安心」と自己判断しないことも大切
他のGLP-1受容体作動薬では追加避妊は推奨されていませんが、だからといって絶対に影響がないと断言できるわけではありません。
例えば、
- 激しい嘔吐や下痢が続いた場合
- ピルを飲み忘れた場合
- 他の薬との飲み合わせがある場合
などは、マンジャロ以外の薬を使用していても避妊効果に影響する可能性があります。
また、薬の選択は体重や血糖値、持病、妊娠希望の有無などを総合的に判断して決めるため、「ピルに影響しないから」という理由だけで変更することはおすすめできません。
重要ポイント
- 低用量ピルとの併用で追加避妊が推奨されているのは、現時点ではマンジャロです。
- 他のGLP-1受容体作動薬では同様の注意喚起はありません。
- ただし、嘔吐や下痢などの副作用がある場合は、どの薬でもピルの吸収に影響する可能性があります。
- 治療薬を変更する際は、自己判断ではなく医師に相談しましょう。
患者さんじゃあ、オゼンピックやリベルサスなら気にしなくていいんですか?
Dr.石川現時点では、マンジャロのような追加避妊の推奨はありません。ただし、体調不良でピルが十分に吸収されない場合は、どの薬でも注意が必要です。
患者さん薬を変えたほうが安心なのかなと思っていました。
Dr.石川薬にはそれぞれ特徴があります。避妊だけでなく、治療効果や副作用も含めて、主治医と相談しながら選ぶことが大切ですよ。
よくある質問(FAQ)
- 低用量ピルを飲んでいてもマンジャロは使用できますか?
-
はい、使用できます。
低用量ピルを服用していることだけを理由に、マンジャロが使用できなくなるわけではありません。
ただし、マンジャロ開始後4週間、および増量後4週間は、低用量ピルの吸収に影響する可能性があるため、コンドームなどの非経口避妊法を併用することが推奨されています。
- マンジャロを使うと、低用量ピルの避妊効果は完全になくなりますか?
-
いいえ、完全に避妊効果がなくなるというわけではありません。
マンジャロは胃内容排出を遅らせることで、ピルの吸収に影響する可能性があります。
そのため、避妊効果が十分に得られない可能性を考慮して、追加の避妊法が推奨されています。
- 追加の避妊はいつまで必要ですか?
-
マンジャロの投与開始後4週間と、用量を増やした後4週間です。
この期間を過ぎれば、通常は追加避妊は不要とされています。
ただし、嘔吐や下痢が続く場合や、ピルを飲み忘れた場合などは、別途注意が必要です。
- 超低用量ピルでも同じですか?
-
基本的な考え方は同じです。
超低用量ピルも経口薬であり、小腸で吸収されるため、マンジャロによる胃内容排出の遅延の影響を受ける可能性があります。
服用中の薬の種類にかかわらず、医師や薬剤師へ相談しましょう。
- マンジャロをやめれば追加避妊は必要ありませんか?
-
マンジャロの使用を終了した後は、開始時や増量時のような追加避妊は通常必要ありません。
ただし、治療終了直後の対応や妊娠を希望するタイミングについては、個々の状況によって異なるため、主治医の指示に従ってください。
- アフターピル(緊急避妊薬)にも影響がありますか?
-
アフターピルも飲み薬であるため、マンジャロによる胃内容排出の遅延が影響する可能性は否定できません。
緊急避妊が必要な場合は自己判断せず、できるだけ早く医療機関を受診し、マンジャロを使用していることを必ず伝えましょう。
重要ポイント
マンジャロを使用していても、低用量ピルを中止する必要はありません。大切なのは、開始後・増量後の一定期間は追加避妊を行うことと、気になることがあれば自己判断せずに医師や薬剤師へ相談することです。これらを守ることで、安心して治療を継続できます。
患者さん思っていたより『マンジャロは使えない』という話ではないんですね。
Dr.石川その通りです。正しくは『一定期間は追加の避妊が必要』ということです。必要以上に心配する必要はありません。
患者さん事前に知っておけば、安心して治療を始められそうです。
Dr.石川はい。治療を始める前に正しい知識を持っておくことが、安心につながります。
まとめ
マンジャロは、高い減量効果が期待できる治療薬ですが、低用量ピルを服用している方は、治療開始前に知っておきたい重要な注意点があります。
マンジャロには胃内容排出を遅らせる作用があり、飲み薬である低用量ピルの吸収に影響を与える可能性があります。そのため、添付文書では投与開始後4週間および用量を増量した後4週間は、コンドームなどの非経口避妊法を併用することが推奨されています。
一方で、「マンジャロを使用してはいけない」という意味ではありません。事前に正しい知識を身につけ、必要な期間だけ追加の避妊対策を行えば、多くの場合は安心して治療を継続できます。
本記事のポイント
- マンジャロは低用量ピルの吸収に影響する可能性がある
- 特に投与開始後4週間と増量後4週間は追加の避妊が推奨される
- 嘔吐や下痢などの副作用がある場合は、ピルの吸収がさらに低下する可能性がある
- 他のGLP-1受容体作動薬では、現時点でマンジャロと同様の追加避妊は推奨されていない
- 不安なことがあれば自己判断せず、医師や薬剤師へ相談することが大切
マンジャロによるダイエットや糖尿病治療を安全に続けるためには、薬の効果だけでなく、避妊や妊娠に関する知識も重要です。
これからマンジャロの使用を検討している方や、すでに低用量ピルを服用している方は、治療開始前の診察で現在服用している薬について医師へ伝え、自分に合った治療方法を相談するようにしましょう。
参考文献
- マンジャロ皮下注アテオス 添付文書(チルゼパチド)
https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/2499410G1022_1_11/ - マンジャロ皮下注 医薬品インタビューフォーム(日本イーライリリー)
https://www.lillymedical.jp/ja-jp/answers - 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)
医薬品情報検索
https://www.pmda.go.jp/ - 日本産科婦人科学会
https://www.jsog.or.jp/ - 日本産婦人科医会
OC(低用量経口避妊薬)に関する情報
https://www.jaog.or.jp/ - Faculty of Sexual and Reproductive Healthcare (FSRH)
GLP-1 agonists and oral contraception Patient Information Leaflet
https://fsrh.org/ - Faculty of Sexual and Reproductive Healthcare (FSRH)
Clinical Guidance: Combined Hormonal Contraception
https://fsrh.org/ - U.S. Food and Drug Administration (FDA)
Mounjaro (tirzepatide) Prescribing Information
https://www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/ - Eli Lilly and Company
Mounjaro (tirzepatide) Prescribing Information
https://pi.lilly.com/ - Jastreboff AM, et al.
Tirzepatide Once Weekly for the Treatment of Obesity.
New England Journal of Medicine. 2022;387:205-216.
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2206038 - Frias JP, et al.
Tirzepatide versus Semaglutide Once Weekly in Patients with Type 2 Diabetes (SURPASS-2).
New England Journal of Medicine. 2021;385:503-515.
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2107519
執筆時に特に根拠として使用した資料
本記事の内容は、主に以下の資料を根拠としています。
- マンジャロ皮下注アテオス 添付文書(開始後4週間・増量後4週間は経口避妊薬に加えて非経口避妊法を推奨)
- マンジャロ インタビューフォーム(経口避妊薬との薬物相互作用試験)
- FDA Prescribing Information(海外添付文書)
- FSRH(英国)GLP-1受容体作動薬と経口避妊薬に関するガイダンス
これらの資料は、マンジャロと低用量ピルの併用について現時点で最も信頼性の高いエビデンスとなっています。




