マンジャロと低用量ピルは併用できる?知っておきたい注意点とは

「マンジャロを始めたいけれど、低用量ピルを飲んでいても大丈夫?」「マンジャロを使うとピルの避妊効果が落ちるって聞いたけれど本当?」と、不安に感じている方も多いのではないでしょうか。

マンジャロ(一般名:チルゼパチド)は、高い血糖改善効果や体重減少効果が期待できる一方で、胃の内容物が腸へ送られるスピード(胃排出)を遅らせる作用があります。そのため、飲み薬の吸収に影響を与える可能性があり、特に低用量ピル(経口避妊薬)については注意が必要です。

実際に、マンジャロの添付文書では、投与開始時や用量を増やした後の一定期間は、低用量ピル以外の避妊法を併用することが推奨されています。しかし、「絶対に一緒に使ってはいけない薬」というわけではなく、正しい知識を持って使用すれば、医師の管理のもとで併用することは可能です。

この記事では、マンジャロと低用量ピルは併用できるのか、なぜ注意が必要なのか、追加の避妊が必要な期間や具体的な対策まで、添付文書や医学的根拠をもとにわかりやすく解説します。これからマンジャロの治療を始める方や、現在ピルを服用している方は、ぜひ最後までご覧ください。

この記事の執筆者

石川 聡司
(新さっぽろウィメンズ ヘルス&ビューティークリニック 院長)

北海道大学医学部卒業後、北海道大学病院、帯広厚生病院など地域の中核病院に勤務。品川美容外科にて美容外科医として3年間の研鑽を積み、2021年に婦人科・美容外科を併設した当院を開業。

婦人科全般の診療のほか、美容医療では美肌治療、美容整形をはじめ脱毛・アートメイクなど幅広く対応する。

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目次

マンジャロと低用量ピルは併用できるが注意が必要

結論からお伝えすると、マンジャロと低用量ピルは併用することが可能です。
そのため、「マンジャロを使い始めたらピルは中止しなければならない」というわけではありません。

しかし、安心してよいという意味ではなく、併用する際には知っておくべき重要な注意点があります。

実際に、マンジャロ(一般名:チルゼパチド)の添付文書には、経口避妊薬(低用量ピル)を服用している患者さんに対して注意喚起が記載されています。その内容は、「マンジャロの投与開始時」と「用量を増量した後」の一定期間は、低用量ピルだけに頼った避妊では十分でない可能性があるため、コンドームなどの非経口避妊法を追加することが推奨されているというものです。

この注意喚起を見て、「マンジャロを使うとピルが効かなくなるのでは?」「妊娠するリスクが高くなるの?」と不安になる方もいるでしょう。しかし、これはマンジャロとピルの飲み合わせが悪いという意味ではありません。

マンジャロには胃の内容物が腸へ送られるスピードを遅らせる「胃排出遅延作用」があります。この作用によって、飲み薬の吸収タイミングが変化する可能性があり、その影響を最も受けやすい薬の一つが経口避妊薬です。

一方で、この胃排出遅延作用は、マンジャロを開始した直後や増量した直後に最も強く現れ、その後は体が薬に慣れるにつれて影響が小さくなることがわかっています。そのため、添付文書でも追加の避妊が必要なのは「投与開始後4週間」と「増量後4週間」に限定されています。

つまり、マンジャロを長期間使用しているからといって、ずっと避妊効果が落ち続けるというわけではありません。医師の指示どおりに使用し、必要な期間だけ追加の避妊を行えば、過度に心配する必要はないでしょう。

低用量ピルを治療目的で服用している方も要注意

低用量ピルは、避妊だけでなく、月経困難症や子宮内膜症、月経前症候群(PMS)、ニキビの改善などを目的に処方されることも少なくありません。

避妊を目的としていない場合でも、マンジャロを開始する際は、現在ピルを服用していることを医師へ伝えることが大切です。服用しているピルの種類や治療目的に応じて、必要な説明や対応を受けることができます。

自己判断でピルを中止するのは避けましょう

「マンジャロを始めるからピルは飲まない方がいいのでは?」と考える方もいますが、自己判断でピルを中止することはおすすめできません。

ピルを急に中止すると、避妊効果が失われるだけでなく、生理不順や月経痛の再発、ホルモンバランスの乱れにつながる可能性があります。

マンジャロと低用量ピルを併用する場合は、「どちらかをやめる」のではなく、必要な期間だけコンドームなどを併用するというのが現在推奨されている方法です。

マンジャロと低用量ピルは併用できます。
ただし、投与開始後4週間と増量後4週間は、低用量ピルだけに頼らず、コンドームなどの追加避妊を行うことが推奨されています。

患者さん

先生、マンジャロを始めることになったんですが、低用量ピルはもう飲めなくなりますか?

Dr.石川

いいえ、そのまま服用できますよ。マンジャロと低用量ピルは併用できます。

患者さん

ネットで『ピルが効かなくなる』って見たんですが……。

Dr.石川

正確には、マンジャロを始めたばかりの時や増量した時に、ピルの吸収へ影響する可能性があるんです。

患者さん

じゃあ、どうすればいいんですか?

Dr.石川

その期間だけコンドームなどを併用すれば大丈夫です。ピルをやめる必要はありませんよ。

なぜマンジャロは低用量ピルに影響するの?|胃排出遅延作用が関係している

「マンジャロを使うと、なぜ低用量ピルに影響が出る可能性があるの?」と疑問に思う方も多いでしょう。

その理由は、マンジャロが持つ「胃排出遅延作用(いはいしゅつちえんさよう)」にあります。

胃排出遅延作用とは、食べ物や飲み薬が胃から小腸へ送られるスピードをゆっくりにする働きのことです。マンジャロは血糖値の急激な上昇を抑えるために、この作用を利用しています。

マンジャロは胃の動きをゆっくりにする薬

私たちが食事や薬を口から摂取すると、まず胃に入り、その後、小腸へ送られます。多くの飲み薬は、小腸で吸収されて初めて効果を発揮します。

マンジャロは、GIP受容体とGLP-1受容体の両方に作用する薬であり、食後の胃の動きを抑えることで、食べ物がゆっくりと小腸へ送られるようになります。

この作用には次のようなメリットがあります。

  • 食後血糖値の急上昇を抑えられる
  • 少ない食事でも満腹感が続きやすい
  • 食欲が抑えられ、体重減少につながりやすい

一方で、飲み薬も胃にとどまる時間が長くなるため、一部の薬では吸収のタイミングや吸収量に影響が及ぶ可能性があります。

低用量ピルは一定量のホルモンが吸収されることが重要

低用量ピルは、エストロゲンやプロゲスチンといった女性ホルモンを一定量体内に取り込むことで、排卵を抑え、避妊効果を発揮しています。

毎日決まった時間に服用するよう指導されるのも、体内のホルモン濃度を安定させるためです。

そのため、マンジャロによって胃から小腸への移動が遅れると、ホルモンの吸収が通常とは異なるタイミングになる可能性があります。

実際に行われた臨床薬理試験では、マンジャロと経口避妊薬を併用した際に、避妊薬に含まれるホルモンの血中濃度(Cmax)が低下し、吸収までの時間(Tmax)が遅れることが確認されています。

つまり、「薬が全く効かなくなる」というわけではありませんが、避妊効果に影響する可能性を否定できないため、添付文書でも注意が促されているのです。

影響が大きいのは投与開始時と増量時

「マンジャロを使っている間は、ずっとピルの効果が落ちるの?」と心配になるかもしれません。

しかし、そうではありません。

マンジャロの胃排出遅延作用は、投与開始直後や増量直後に最も強く現れ、その後は徐々に弱まることが知られています。

これは、体が薬に適応していくためと考えられています。

そのため添付文書では、

  • 初めてマンジャロを使用したとき
  • 5mgから7.5mg、7.5mgから10mgなど、用量を増やしたとき

に、それぞれ4週間は追加の避妊法を併用することが推奨されています。

すべての飲み薬に大きな影響があるわけではない

マンジャロには飲み薬の吸収を遅らせる作用がありますが、すべての薬の効果が低下するわけではありません。

薬によっては、多少吸収が遅れても治療効果にほとんど影響しないものもあります。

一方で、次のような薬は注意が必要です。

  • 低用量ピル(経口避妊薬)
  • 効果の発現タイミングが重要な薬
  • 血中濃度の変化が治療効果に影響しやすい薬

現在服用している薬がある場合は、マンジャロを開始する前に、必ず医師や薬剤師へ相談しましょう。

マンジャロは胃排出を遅らせることで、低用量ピルの吸収タイミングに影響を与える可能性があります。
特に投与開始時と増量時は影響が大きいため、添付文書でも4週間の追加避妊が推奨されています。

患者さん

どうして注射なのにピルへ影響するんですか?

Dr.石川

マンジャロは胃の動きをゆっくりにする作用があるからです。

患者さん

胃とピルって関係あるんですか?

Dr.石川

あります。ピルは胃を通って小腸で吸収されます。胃に長く留まることで、吸収のタイミングが変わる可能性があるんです。

患者さん

だから添付文書でも注意しているんですね。

Dr.石川

その通りです。

添付文書ではどのように注意喚起されている?|開始後・増量後4週間は追加の避妊が推奨

マンジャロと低用量ピルを併用する際に最も重要なのが、添付文書に記載されている注意事項です。

インターネット上では「マンジャロを使うとピルが効かなくなる」「絶対に併用してはいけない」といった情報を見かけることがありますが、実際の添付文書にはそのような記載はありません。

大切なのは、「どのタイミングで」「どのくらいの期間」注意が必要なのかを正しく理解することです。

添付文書には「非経口避妊法の併用」を推奨と記載

マンジャロの添付文書には、次のような内容が記載されています。

経口避妊薬を服用している患者では、マンジャロ投与開始後4週間および各増量後4週間は、非経口避妊法を追加するか、非経口避妊法へ切り替えることを考慮すること。

つまり、低用量ピルを服用している方は、

  • コンドームを併用する
  • 子宮内避妊具(IUD)などの非経口避妊法を利用する

といった追加の避妊対策が推奨されています。

これは「妊娠する危険性が高い」と断定しているわけではなく、万が一に備えるための安全対策として示されているものです。

なぜ「4週間」という期間なの?

添付文書で「4週間」とされている理由は、マンジャロの胃排出遅延作用が時間とともに弱まるためです。

マンジャロは投与開始直後に胃排出を強く遅らせますが、継続して使用しているうちに体が薬に適応し、その影響は徐々に小さくなることが知られています。

そのため、

  • 初回投与から4週間
  • 増量してから4週間

は追加の避妊を行い、その後は医師の指示に従って通常どおり服用を続けます。

この「4週間」という期間は、臨床試験の結果や薬の特性を踏まえて設定されています。

増量のたびに4週間の注意期間がある

マンジャロは副作用を抑えるために、通常は少量から開始し、徐々に用量を増やしていきます。

例えば、次のようなスケジュールで治療が進むことがあります。

マンジャロの用量追加避妊の必要性
2.5mg開始4週間必要
5mgへ増量4週間必要
7.5mgへ増量4週間必要
10mgへ増量4週間必要
用量が安定原則不要(医師の指示に従う)

「最初の1回だけ気を付ければよい」と思われがちですが、用量を増やすたびに同じ注意が必要である点は見落としやすいポイントです。

自己判断で「もう大丈夫」と考えないことが大切

マンジャロを数か月使用していると、「もう体が慣れたから追加避妊は不要だろう」と自己判断してしまう方もいるかもしれません。

しかし、増量後は再び胃排出遅延作用が強まる可能性があるため、その都度4週間の追加避妊が推奨されています。

また、治療中に用量を減らしたり、再開したりするケースでは、対応が異なる場合もあります。

治療スケジュールは患者さんごとに異なるため、自己判断せず、処方医や薬剤師の説明を受けながら治療を進めることが大切です。

「併用禁止」ではなく「適切な対応」が重要

添付文書を読むと、「マンジャロを使っている間は低用量ピルを飲んではいけない」と誤解してしまう方もいます。

しかし、実際には併用は禁止されておらず、一定期間だけ追加の避妊を行うことが推奨されているという内容です。

正しい知識を持って対応すれば、必要以上に不安になる必要はありません。むしろ、添付文書の内容を理解し、医師の指示どおりに対策を取ることが、安全に治療を続けるためのポイントといえるでしょう。

マンジャロの添付文書では、投与開始後4週間と各増量後4週間は、コンドームなどの非経口避妊法を追加することが推奨されています。
「併用禁止」ではなく、「一定期間は追加の避妊を行う」という点が重要です。

患者さん

『4週間』ってよく聞きますが、どうして4週間なんですか?

Dr.石川

マンジャロは開始直後や増量直後に胃への作用が最も強くなるからです。

患者さん

ずっと影響するわけじゃないんですね。

Dr.石川

はい。だから4週間だけ追加の避妊を行うよう推奨されています。

追加の避妊はいつまで必要?|開始時・増量時のスケジュールを確認しよう

マンジャロと低用量ピルを併用する際、「追加の避妊が必要なのは分かったけれど、具体的にいつからいつまで?」と疑問に思う方も多いでしょう。

実際には、マンジャロを使用している期間中ずっと追加避妊が必要なわけではありません。

添付文書で推奨されているのは、**「投与開始後4週間」と「用量を増量した後4週間」**です。この期間を正しく理解しておけば、必要以上に心配することなく治療を続けられます。

マンジャロ開始後は4週間追加避妊を行う

マンジャロを初めて使用する場合、胃排出遅延作用が最も強く現れるため、低用量ピルの吸収にも影響する可能性があります。

そのため、初回投与の日から4週間は、低用量ピルに加えてコンドームなどの非経口避妊法を併用することが推奨されています。

例えば、

  • 毎日決まった時間に低用量ピルを服用する
  • 性交時にはコンドームも使用する

というように、二重の避妊を行うことで、万が一の妊娠リスクをより低くすることができます。

用量を増やした場合も、再び4週間の追加避妊が必要

マンジャロは、副作用を抑えながら効果を高めるために、通常は4週間ごとに増量していきます。

例えば、次のような治療スケジュールが一般的です。

治療期間マンジャロの用量追加避妊
1〜4週2.5mg必要
5〜8週5mg必要
9〜12週7.5mg必要
13〜16週10mg必要
用量固定後維持量原則不要(医師の指示に従う)

このように、増量するたびに新たな4週間の注意期間が始まります。

そのため、「開始して1か月経ったからもう安心」と考えるのではなく、自分が現在どの用量で治療を受けているのかを確認しておくことが大切です。

用量が安定すれば、追加避妊は原則不要

マンジャロの用量が決まり、その後しばらく同じ用量で治療を続ける場合は、胃排出遅延作用も安定すると考えられています。

そのため、添付文書では追加避妊が必要なのは開始時と増量時のみとされています。

もちろん、低用量ピルはこれまでどおり毎日正しく服用することが前提です。

飲み忘れがあった場合や、嘔吐・下痢などで十分に吸収されなかった可能性がある場合は、マンジャロとは別に追加の避妊が必要になることがあります。

こんな場合は追加避妊期間が変わることも

患者さんによっては、予定どおりに増量せず、同じ用量を長く続けたり、副作用のために減量したり、一度中断して再開したりするケースもあります。

こうした場合は、追加避妊が必要な期間について個別の判断が必要になることがあります。

特に次のようなケースでは、自己判断せず医師へ相談しましょう。

  • 副作用が強く、一時的にマンジャロを休薬した
  • 数週間以上中断した後に治療を再開する
  • 用量変更のスケジュールが通常とは異なる
  • 妊娠を強く希望している、または確実な避妊が必要である

ピルの飲み忘れにも注意

マンジャロによる影響だけでなく、低用量ピルの飲み忘れも避妊効果を低下させる大きな原因です。

「マンジャロを使っているから追加避妊をしている」と安心してしまい、ピルの服用がおろそかになると、本来得られる避妊効果が十分に発揮されません。

マンジャロを使用している期間も、

  • 毎日同じ時間にピルを服用する
  • 飲み忘れた場合は添付文書どおりに対応する
  • 必要に応じてコンドームを併用する

という基本を守ることが大切です。

追加の避妊が必要なのは、マンジャロの投与開始後4週間と、各増量後4週間です。
用量が安定した後は原則として追加避妊は不要ですが、ピルの飲み忘れや嘔吐・下痢などがある場合は別途注意が必要です。

患者さん

最初の4週間だけ気を付ければいいですか?

Dr.石川

実は増量した時も同じです。

患者さん

5mgから7.5mgに増えた時も?

Dr.石川

はい。そのたびに4週間、コンドームなどを併用してください。

患者さん

なるほど。開始時だけじゃないんですね。

コンドームなど追加の避妊は必要?|低用量ピル以外の避妊法も検討しよう

マンジャロの投与開始後4週間、または増量後4週間は、低用量ピルだけに頼らず、追加の避妊を行うことが推奨されています。

では、具体的にどのような避妊方法を選べばよいのでしょうか。

添付文書では、「非経口避妊法(飲み薬以外の避妊法)を追加する、または切り替えることを考慮する」と記載されています。

ここでいう非経口避妊法とは、口から服用する薬以外の避妊方法を指します。

最も手軽なのはコンドームの併用

追加避妊として最も一般的なのがコンドームです。

コンドームはドラッグストアなどで手軽に購入でき、マンジャロや低用量ピルとの相互作用もありません。

また、避妊だけでなく性感染症(STI)の予防にも役立つため、多くの医療機関でも推奨されています。

マンジャロ開始後や増量後の4週間だけコンドームを併用する方法であれば、大きく生活を変えることなく対応できるでしょう。

長期間の避妊には子宮内避妊具(IUD)という選択肢も

妊娠を確実に避けたい方や、長期間にわたって避妊を希望する方には、**子宮内避妊具(IUD)**という選択肢もあります。

IUDは子宮内に装着する避妊具で、飲み薬ではないため、マンジャロの胃排出遅延作用の影響を受けません。

また、ホルモンを放出するタイプ(IUS)も、消化管を通らないため、経口避妊薬とは異なる仕組みで避妊効果を発揮します。

ただし、装着には産婦人科での処置が必要となるため、希望する場合は医師に相談しましょう。

避妊インプラントや注射薬も影響を受けにくい

海外では、

  • 避妊インプラント
  • 避妊注射

なども広く利用されています。

これらも経口薬ではないため、マンジャロによる胃排出遅延の影響を受けません。

日本では選択肢が限られる場合がありますが、海外で生活している方や、これらの避妊法を利用している方は、低用量ピルほど心配する必要はないと考えられています。

「ピルをやめる」のではなく「追加する」という考え方が大切

マンジャロを始めることをきっかけに、「低用量ピルを中止した方がいいのでは?」と考える方もいます。

しかし、添付文書で推奨されているのは、ピルを中止することではありません。

あくまでも、

  • 低用量ピルはこれまでどおり服用する
  • 必要な期間だけコンドームなどを追加する

という対応です。

特に、月経困難症や子宮内膜症などの治療目的でピルを服用している場合は、自己判断で中止すると症状が悪化する可能性があります。

避妊目的・治療目的を問わず、服用を続けるかどうかは必ず処方医と相談して決めましょう。

妊娠を強く希望しない方ほど、正しい対策が重要

マンジャロは近年、ダイエット目的で使用する女性も増えています。

そのため、「避妊についてはあまり意識していなかった」という方も少なくありません。

しかし、予定外の妊娠を避けたい場合は、添付文書どおりの追加避妊を行うことが大切です。

また、体重減少によって排卵機能が改善し、これまで妊娠しにくかった方が妊娠しやすくなるケースも報告されています。

「ピルを飲んでいるから大丈夫」と思い込まず、マンジャロ開始時や増量時には一時的に避妊方法を見直すことが安心につながります。

マンジャロ開始後・増量後の4週間は、低用量ピルを続けながらコンドームなどの非経口避妊法を追加することが推奨されています。
自己判断でピルを中止するのではなく、必要な期間だけ避妊を強化することが、安全な治療につながります。

患者さん

追加避妊って、コンドームだけですか?

Dr.石川

一番取り入れやすいのはコンドームですね。

患者さん

ピルは飲み続けるんですよね?

Dr.石川

もちろんです。ピルは続けて、必要な期間だけコンドームを追加するという考え方です。

患者さん

ピルをやめる必要はないんですね。

Dr.石川

はい。自己判断で中止するのは避けましょう。

吐き気や嘔吐がある場合はさらに注意|ピルが十分に吸収されない可能性も

マンジャロで注意したいのは、胃排出遅延作用だけではありません。

マンジャロは効果が高い一方で、治療開始直後や増量後には、

  • 吐き気
  • 嘔吐
  • 下痢
  • 食欲不振
  • 腹部の不快感

といった消化器症状が比較的多くみられます。

これらの症状が続くと、低用量ピルが十分に吸収されず、本来の効果が得られない可能性があります。

そのため、マンジャロを使用している方は、ピルの飲み合わせだけでなく、体調の変化にも注意を払うことが大切です。

ピルを飲んだ直後に吐いてしまった場合はどうなる?

低用量ピルは服用後、小腸で吸収されて効果を発揮します。

そのため、服用して間もないうちに嘔吐してしまうと、薬が十分に吸収されない可能性があります。

一般的には、服用後2〜3時間以内に嘔吐した場合は、1錠分を飲み忘れた場合と同様に考えられることが多く、追加の対応が必要になる場合があります。

ただし、対応方法は服用しているピルの種類や服用周期によって異なるため、添付文書や処方医・薬剤師の指示に従うことが重要です。

下痢が続く場合も吸収に影響することがある

嘔吐だけでなく、激しい下痢が24時間以上続く場合も、低用量ピルの吸収が十分でなくなる可能性があります。

マンジャロでは下痢の副作用も報告されているため、

  • 水のような下痢が続いている
  • 食事や水分も十分に摂れない

といった場合には、避妊効果への影響も考慮する必要があります。

症状が改善するまでは、コンドームなどの追加避妊を検討し、必要に応じて医療機関へ相談しましょう。

副作用は治療開始時や増量時に起こりやすい

マンジャロの副作用は、投与開始後や増量直後に起こりやすく、時間の経過とともに軽減することが多いとされています。

これは、体が薬に慣れてくるためです。

副作用を軽減するためには、

  • 脂っこい食事を控える
  • 一度にたくさん食べない
  • ゆっくりよく噛んで食べる
  • 十分な水分を補給する

といった工夫も役立ちます。

症状が強い場合は無理をせず、処方医へ相談してください。

避妊だけでなく脱水にも注意

嘔吐や下痢が続くと、脱水症状を起こしやすくなります。

特に夏場や食事量が減っているときは、

  • のどの渇き
  • 尿量の減少
  • めまい
  • 強い倦怠感

などが現れることがあります。

脱水は体調悪化だけでなく、治療の継続にも影響するため、経口補水液などを活用しながら水分補給を心掛けましょう。

症状が続く場合は自己判断しない

「少し気持ち悪いだけだから大丈夫」と我慢してしまう方もいますが、

  • 嘔吐を繰り返す
  • 水分も摂れない
  • 下痢が何日も続く
  • 強い腹痛を伴う

といった場合は、マンジャロの副作用だけでなく、他の病気が隠れている可能性もあります。

また、低用量ピルの効果にも影響する可能性があるため、自己判断で様子を見るのではなく、早めに医師へ相談しましょう。

マンジャロによる吐き気や嘔吐、下痢があると、低用量ピルが十分に吸収されない可能性があります。
服用後2〜3時間以内に嘔吐した場合や、激しい下痢が続く場合は、添付文書を確認し、必要に応じて追加の避妊や医療機関への相談を検討しましょう。

患者さん

ピルを飲んですぐ吐いてしまったらどうなりますか?

Dr.石川

十分に吸収されていない可能性があります。

患者さん

その日は避妊効果も下がりますか?

Dr.石川

可能性があります。添付文書を確認して、必要なら追加服用や追加避妊を行いましょう。

患者さん

下痢でも同じですか?

Dr.石川

激しい下痢が続く場合も注意が必要ですよ。

こんな人は必ず医師へ相談しよう|自己判断での併用は避けることが大切

マンジャロと低用量ピルは基本的に併用できますが、すべての方が同じ対応でよいわけではありません。

年齢や健康状態、ピルを服用する目的、妊娠の希望などによって注意すべきポイントは異なります。

そのため、不安なことがある場合は自己判断せず、マンジャロを処方する医師や、低用量ピルを処方している産婦人科医へ相談することが大切です。

ここでは、特に相談をおすすめしたいケースをご紹介します。

① 妊娠を希望している方

近いうちに妊娠を考えている方は、マンジャロの使用について事前に医師へ相談しましょう。

マンジャロは妊娠中の安全性が十分に確立されておらず、妊娠を希望する場合は計画的に治療を進める必要があります。

また、マンジャロによる体重減少によって排卵機能が改善し、これまでより妊娠しやすくなるケースもあります。

「妊娠しにくいと思っていたから避妊は気にしていなかった」という方でも、予定外の妊娠を防ぐためには適切な避妊が重要です。

② 避妊を確実にしたい方

妊娠を絶対に避けたい事情がある方は、マンジャロ開始前に避妊方法を見直しておくと安心です。

例えば、

  • コンドームを併用する
  • 子宮内避妊具(IUD)を検討する
  • パートナーとも避妊方法について話し合う

など、自分に合った方法を選ぶことが大切です。

③ 低用量ピルを飲み忘れることが多い方

低用量ピルは毎日決まった時間に服用することで、高い避妊効果を維持できます。

しかし、

  • 飲み忘れが多い
  • 飲む時間が毎日バラバラ
  • シートの途中で飲み忘れることがある

という方は、もともと避妊効果が低下するリスクがあります。

そこにマンジャロ開始時の影響が重なると、さらに避妊効果が不安定になる可能性も考えられます。

ピルの服用管理が苦手な方は、スマートフォンのアラーム機能や服薬管理アプリを活用するとよいでしょう。

④ 嘔吐や下痢などの副作用が続いている方

前の章で紹介したように、マンジャロの副作用によってピルが十分に吸収されないことがあります。

特に、

  • 繰り返し嘔吐している
  • 激しい下痢が続いている
  • 食事がほとんど摂れない

という場合は、避妊効果だけでなく、脱水や栄養不足にも注意が必要です。

症状が強い場合は、無理に我慢せず医療機関を受診しましょう。

⑤ 他にも飲み薬を服用している方

マンジャロは低用量ピルだけでなく、飲み薬の吸収に影響する可能性があります。

例えば、

  • 糖尿病の飲み薬
  • 甲状腺の薬
  • 抗てんかん薬
  • 抗凝固薬(血液をサラサラにする薬)

などを服用している方は、飲み合わせについて医師や薬剤師へ相談しておくと安心です。

服用中の薬がある場合は、お薬手帳を持参するとスムーズです。

「大丈夫だろう」と自己判断しないことが何より大切

インターネットやSNSには、「私は問題なかった」「そのまま飲んで大丈夫だった」という体験談も多く見られます。

しかし、薬の効果や副作用には個人差があり、同じような状況でも全く同じ経過になるとは限りません。

特に、妊娠に関わる問題は一度起きてしまうと取り返しがつかない場合もあります。

そのため、マンジャロと低用量ピルを併用する際は、医師や薬剤師の説明を受けたうえで、添付文書に沿った対応を行うことが最も安全な方法です。

マンジャロと低用量ピルを併用する際は、妊娠を希望している方、確実な避妊が必要な方、副作用が強い方などは必ず医師へ相談しましょう。
自己判断ではなく、医師や薬剤師のアドバイスを受けながら治療を進めることが、安全で安心な治療につながります。

患者さん

私は避妊目的じゃなく、生理痛でピルを飲んでいます。

Dr.石川

その場合でも、マンジャロを始めることは必ず処方医へ伝えてください。

患者さん

治療用でも相談した方がいいんですね。

Dr.石川

はい。服用目的に合わせて適切なアドバイスを受けられます。

よくある質問(FAQ)

マンジャロと低用量ピルの併用については、多くの方が同じような疑問や不安を抱えています。ここでは、特によくある質問についてお答えします。

マンジャロを打つ日は、低用量ピルを飲まない方がいいですか?

いいえ、その必要はありません。

マンジャロを使用するからといって、低用量ピルを休薬したり、服用時間を変更したりする必要はありません。

むしろ、低用量ピルは毎日決まった時間に継続して服用することが重要です。

ただし、マンジャロを開始した後4週間と、用量を増やした後4週間は、コンドームなどの非経口避妊法を追加することが推奨されています。

ピルを飲む時間をずらせば影響はなくなりますか?

現時点では、服用時間をずらすことで影響を避けられるという十分な根拠はありません。

マンジャロは数時間だけ胃の動きを遅らせる薬ではなく、持続的に胃排出へ影響を与えます。

そのため、

  • 朝マンジャロを注射したから夜にピルを飲む
  • ピルを先に飲んでからマンジャロを注射する

といった方法で、影響を確実に避けられるとは考えられていません。

自己判断で服用方法を変えるのではなく、添付文書どおりに追加の避妊を行うことが大切です。

超低用量ピルや治療用ピルも同じように注意が必要ですか?

はい。経口で服用するホルモン製剤であれば、同様に注意が必要と考えられます。

月経困難症や子宮内膜症の治療に使用される超低用量ピルも、口から服用する薬であるため、マンジャロの胃排出遅延作用の影響を受ける可能性があります。

ただし、治療目的で服用している場合は「避妊効果」ではなく「治療効果」への影響が気になるケースもあります。

服用中の薬について不安がある場合は、処方医へ相談しましょう。

ミレーナや子宮内避妊具(IUD)にも影響しますか?

いいえ、基本的には影響しません。

ミレーナやIUDは子宮内で作用する避妊法であり、口から服用する薬ではありません。

そのため、マンジャロによる胃排出遅延作用の影響を受けることはないと考えられています。

確実な避妊を希望する方にとっては、有力な選択肢の一つです。

他のGLP-1受容体作動薬でも同じ注意が必要ですか?

薬によって対応が異なります。

マンジャロは、GIP受容体とGLP-1受容体の両方に作用する薬であり、胃排出遅延作用が比較的強いことが特徴です。

そのため、添付文書でも経口避妊薬について具体的な注意喚起が記載されています。

一方で、他のGLP-1受容体作動薬では、同じような注意喚起がないものや、内容が異なるものもあります。

現在使用している薬がマンジャロ以外の場合は、自己判断せず、それぞれの添付文書や医師・薬剤師の説明を確認しましょう。

まとめ|マンジャロと低用量ピルは正しい知識があれば併用できる

マンジャロと低用量ピルは、基本的に併用することが可能です。

しかし、マンジャロには胃排出を遅らせる作用があるため、投与開始後4週間と各増量後4週間は、低用量ピルの吸収に影響する可能性があります。

そのため、添付文書では、この期間はコンドームなどの非経口避妊法を追加することが推奨されています。

また、吐き気や嘔吐、下痢などの副作用がある場合には、ピルが十分に吸収されない可能性もあるため、体調の変化にも注意が必要です。

最後に、本記事のポイントをまとめます。

  • マンジャロと低用量ピルは併用できる
  • 併用禁止ではないが、開始後4週間・増量後4週間は追加避妊が推奨される
  • コンドームなどの非経口避妊法を併用すると安心
  • 嘔吐や下痢がある場合は、ピルの吸収が低下する可能性がある
  • 妊娠を希望している方や不安がある方は、必ず医師・薬剤師へ相談する

マンジャロは、糖尿病治療や肥満治療において非常に有効な薬ですが、安全に使用するためには正しい知識が欠かせません。

低用量ピルを服用している方は、自己判断で中止したり服用方法を変えたりするのではなく、添付文書や医師・薬剤師の指示に従いながら、適切な避妊対策を行いましょう。これにより、安心してマンジャロによる治療を継続することができます。

患者さん

結局、一番大切なことは何ですか?

Dr.石川

マンジャロと低用量ピルは併用できますが、開始後4週間と増量後4週間は追加避妊を行うことです。

患者さん

ピルをやめる必要はありませんか?

Dr.石川

ありません。自己判断で中止せず、医師の指示どおり服用を続けましょう。

患者さん

今日で疑問が全部解決しました!

Dr.石川

それなら安心です。正しい知識を持って、安全に治療を続けていきましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!

参考文献

  1. 日本イーライリリー株式会社
    「マンジャロ®皮下注アテオス® 添付文書」
    https://medical.lilly.com/jp/products/mounjaro/package-insert
  2. 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)
    「マンジャロ皮下注 添付文書・インタビューフォーム」
    https://www.pmda.go.jp/
  3. 医薬品医療機器総合機構(PMDA)
    「医療用医薬品情報検索」
    https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuSearch/
  4. 日本糖尿病学会
    『糖尿病診療ガイドライン』
    https://www.jds.or.jp/
  5. American Diabetes Association (ADA)
    Standards of Care in Diabetes
    https://diabetesjournals.org/care
  6. Eli Lilly and Company
    Mounjaro (tirzepatide) Prescribing Information
    https://pi.lilly.com/us/mounjaro-uspi.pdf
  7. Faculty of Sexual & Reproductive Healthcare (FSRH)
    Drug Interactions with Hormonal Contraception
    https://www.fsrh.org/
  8. Centers for Disease Control and Prevention (CDC)
    U.S. Medical Eligibility Criteria for Contraceptive Use
    https://www.cdc.gov/contraception/
  9. World Health Organization (WHO)
    Family Planning Handbook
    https://www.who.int/
  10. 日本産科婦人科学会
    https://www.jsog.or.jp/
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