「マルシロンはEE(エチニルエストラジオール)が20μgだけど、マーベロンの30μgより避妊効果が弱いの?」
マルシロンについて調べていると、そんな疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
マルシロンとマーベロンは、どちらも黄体ホルモンとしてデソゲストレルを含む低用量ピルです。一方で、エストロゲン成分であるEEの量には違いがあり、マルシロンは20μg、マーベロンは30μgとなっています。
では、エストロゲンが10μg少ないマルシロンは、マーベロンより避妊効果が低いのでしょうか?
結論からいうと、EEが20μgだからといって、それだけで避妊効果が弱くなるとは考えられていません。
ただし、EEの量が異なることで、出血パターンなどに違いがみられることがあります。
この記事では、マルシロンとマーベロンの成分の違いを比較しながら、「EE20μgでも避妊効果は変わらないのか?」という疑問をわかりやすく解説します。
この記事の執筆者

石川 聡司
(新さっぽろウィメンズ ヘルス&ビューティークリニック 院長)
北海道大学医学部卒業後、北海道大学病院、帯広厚生病院など地域の中核病院に勤務。品川美容外科にて美容外科医として3年間の研鑽を積み、2021年に婦人科・美容外科を併設した当院を開業。
婦人科全般の診療のほか、美容医療では美肌治療、美容整形をはじめ脱毛・アートメイクなど幅広く対応する。
マルシロンとマーベロン、何が違う?
マルシロンとマーベロンは、どちらもデソゲストレル+エチニルエストラジオール(EE)を配合した一相性の低用量ピルです。
大きな違いは、含まれているEEの量です。
| マルシロン | マーベロン | |
|---|---|---|
| デソゲストレル | 0.15mg | 0.15mg |
| EE | 0.02mg(20μg) | 0.03mg(30μg) |
| EEの量 | 少ない | 多い |
つまり、マルシロンとマーベロンは、黄体ホルモンであるデソゲストレルの量は同じで、エストロゲンであるEEの量が異なります。
「20μg」と「30μg」の違いは大きい?
10μgの違いを見ると、「マルシロンのほうがホルモン量がかなり少ないのでは?」と感じるかもしれません。
しかし、ここで大切なのは、EEの量が少ないことと、避妊効果がそのまま弱くなることは同じではないという点です。
低用量ピルの避妊作用は、エストロゲンの量だけで決まるものではありません。排卵を抑える作用をはじめ、黄体ホルモンによる子宮頸管粘液の変化など、複数の作用によって避妊効果が得られます。
そのため、
と単純に考えることはできません。
では、そもそもEEとはどのような成分なのでしょうか?
次のセクションでは、「EE20μgってどういう意味?エストロゲンが少ないと何が変わる?」について、もう少し詳しく見ていきます。
EE20μgってどういう意味?エストロゲンが少ないと何が変わる?
マルシロンとマーベロンの違いを理解するためには、まずEE(エチニルエストラジオール)について知っておくとわかりやすいでしょう。
EEは、低用量ピルに使われているエストロゲン成分です。
マルシロンにはEE 20μg、マーベロンにはEE 30μgが含まれています。
つまり、マルシロンはマーベロンと比べて、エストロゲンの配合量を少なくした製剤ということになります。
エストロゲンは何のために入っている?
低用量ピルには、エストロゲンと黄体ホルモンという2種類の女性ホルモンが使われています。
それぞれ単独で働くのではなく、組み合わせることでピルの作用を発揮します。
特に避妊において重要なのが、排卵を抑えることです。
ピルを服用すると、ホルモンの作用によって卵巣からの排卵が起こりにくい状態になります。
また、黄体ホルモンによって子宮頸管粘液が変化し、精子が子宮内へ入りにくくなる作用などもあります。
そのため、ピルの避妊効果を考えるときには、
「EEが何μg入っているか」だけを見るのではなく、ピル全体のホルモン作用を見ることが大切です。
では、EEを20μgまで減らすメリットは?
EEの量を少なくすることで、エストロゲンへの曝露量を抑えられるという考え方があります。
一方で、エストロゲン量を減らした製剤では、不正出血やスポッティングなど、出血パターンが安定しにくくなることがあります。
ここは、マルシロンを理解するうえで重要なポイントです。
つまり、
むしろ、20μg製剤と30μg製剤を比較するときには、避妊効果だけでなく、出血パターンや副作用、服用のしやすさなども含めて考える必要があります。
では、実際にEE20μgのピルは、EE30μgのピルと比べて避妊効果に違いがあるのでしょうか?
次のセクションでは、この記事の核心である**「EE20μgでも避妊効果は変わらないの?」**について詳しく見ていきます。
EE20μgでも避妊効果は変わらない?
ここが、この記事で最も気になるところではないでしょうか。
マルシロンはEEを20μg含み、マーベロンは30μg含んでいます。
そのため、
と考えてしまうかもしれません。
しかし、EEの量だけを理由に、20μg製剤の避妊効果が30μg製剤より低いとはいえません。
避妊効果はEEの量だけで決まらない
低用量ピルの避妊作用には、複数の仕組みが関係しています。
代表的なのが、排卵を抑える作用です。
さらに、黄体ホルモンの作用によって子宮頸管粘液が変化し、精子が子宮内へ入りにくくなるなど、複数の作用が避妊につながります。
そのため、
「EEが30μgなら避妊効果が強く、20μgなら弱い」
というように、EEの量だけで単純に比較することはできません。
実際、20μg以下のEEを含む配合経口避妊薬と、それより多いEEを含む製剤を比較した研究では、避妊効果について明確な差は確認されていません。
ただし、ここで注意したいのは、
「20μgと30μgの避妊効果が完全に同じであることが証明されている」
という意味ではないことです。
研究によっては、避妊効果の違いを十分に検出できるだけのデータが不足しているとされています。
では、マルシロンは「避妊効果が弱いピル」なの?
そういうわけではありません。
マルシロンも、避妊を目的として使用される低用量ピルです。
むしろ注目したいのは、マルシロンとマーベロンでは、
- デソゲストレルの量は同じ
- EEの量が異なる
という点です。
つまり、マルシロンを「エストロゲンを減らしたことで避妊効果を犠牲にしたピル」と考えるのは適切ではありません。
EE20μgという少ないエストロゲン量でも、避妊目的で使用できるよう設計された製剤と考えるとわかりやすいでしょう。
患者さんマルシロンはEEが20μgですよね。マーベロンは30μgだから、マーベロンのほうが避妊効果が高いんじゃないですか?
Dr.石川EEの量だけを見て、そう判断することはできませんよ。ピルの避妊効果は、エストロゲンの量だけで決まるわけではありません。
患者さんじゃあ、20μgでも避妊効果は期待できるんですね。
Dr.石川はい。ただし、20μgと30μgの効果がまったく同じだと断定するのも適切ではありません。大切なのは、決められた方法で毎日きちんと服用することです。
患者さんなるほど。エストロゲンの量だけで避妊効果を判断しないことが大事なんですね。
Dr.石川その通りです。
マルシロンとマーベロン、避妊効果に違いはある?
ここまでの内容を踏まえると、次に気になるのが、
「実際にマルシロンとマーベロンを比べたら、避妊効果に差はあるの?」
という点です。
結論としては、EEが20μgのマルシロンだから、30μgのマーベロンより避妊効果が明らかに低い、と考える根拠はありません。
2つのピルは「黄体ホルモン」が同じ
マルシロンとマーベロンを比較すると、どちらも黄体ホルモンとしてデソゲストレル0.15mgを含んでいます。
一方、異なるのがエストロゲンであるEEの量です。
- マルシロン:EE 20μg
- マーベロン:EE 30μg
この違いから、「マルシロンはホルモン量が少ないから避妊効果も弱い」と思ってしまいがちです。
しかし、避妊作用はEEの量だけで決まるものではありません。
避妊効果を考えるときに重要なのは「正しく服用できているか」
ピルは、正しく継続して服用することで高い避妊効果が期待できます。
一方で、実際の服用では、
- 錠剤を飲み忘れた
- 服用時間が大きくずれた
- 服用後に嘔吐した
- 激しい下痢が続いた
- ピルの効果に影響する薬を併用した
などによって、避妊効果が低下する可能性があります。
つまり、「EE20μgか30μgか」という違いだけを気にするより、決められた方法で毎日きちんと服用することのほうが重要です。
マーベロンからマルシロンに変えたら妊娠しやすくなる?
ここもよくある疑問です。
マーベロンからマルシロンに変更すると、EEは30μgから20μgになります。
そのため、
と心配になるかもしれません。
しかし、EEが10μg少なくなることだけを理由に、マーベロンからマルシロンへ変更すると妊娠しやすくなる、と考えることはできません。
ただし、薬を変更するときは、いつから新しいピルを開始するのか、休薬期間をどうするのかなど、正しい切り替え方法を確認することが大切です。
患者さん今までマーベロンを飲んでいたんですが、マルシロンに変えたら避妊効果が落ちるのが心配です。
Dr.石川マルシロンはEEが20μgなので、マーベロンの30μgより少ないですね。ただ、それだけで避妊効果が弱くなると考える必要はありません。
患者さんじゃあ、10μg少なくても大丈夫なんですね?
Dr.石川はい。ただし、ピルは正しく服用することがとても重要です。特に変更するときは、開始するタイミングを間違えないようにしましょう。
患者さんホルモン量の違いより、飲み方のほうが重要なんですね。
Dr.石川そうですね。避妊効果を考えるときは、成分量だけでなく、正しい服用ができているかも非常に重要です。
EE20μgにするメリットは?エストロゲン量が少ないことに意味はある?
ここまで、「EE20μgだからといって、避妊効果が弱いとは限らない」ということを見てきました。
では、マーベロンの30μgに対して、マルシロンではなぜEEを20μgにしているのでしょうか?
ポイントは、「必要な避妊効果を確保しながら、エストロゲンの量をできるだけ少なくする」という考え方です。
エストロゲン量を減らすことで期待できること
低用量ピルに含まれるエストロゲンは、ピルの作用に重要な成分である一方、エストロゲンに関連した副作用にも関係します。
そのため、必要な作用を維持しながらエストロゲン量を抑えることには、一定の意味があります。
たとえば、ピルを服用すると、
- 吐き気
- 胸の張り
- 頭痛
- むくみ
などの症状が気になる方もいます。
ただし、「EEが20μgなら、これらの副作用が必ず少なくなる」というわけではありません。
副作用の出方には個人差があり、ホルモンの種類や体質など、さまざまな要因が関係するためです。
では、30μgより20μgのほうが「良い」の?
ここは少し注意が必要です。
20μgだから30μgより優れている、という単純な話ではありません。
エストロゲン量を少なくするとメリットが期待できる一方で、後ほど詳しく説明するように、不正出血やスポッティングなどが起こりやすくなる傾向があります。
つまり、
EE 20μg
→ エストロゲン量を抑えた設計
EE 30μg
→ 出血パターンの安定性なども含め、それぞれに特徴がある
というように考えるとわかりやすいでしょう。
ピルは「ホルモンが少なければ少ないほど良い」というものではありません。
避妊効果、副作用、出血パターン、服用のしやすさなどを総合的に考えて、自分に合った製剤を選ぶことが大切です。
患者さんじゃあ、マルシロンはEEが20μgだから、マーベロンより副作用も少ないんですか?
Dr.石川エストロゲンの量が少ないことには意味がありますが、20μgだから副作用が必ず少ない、とは言えません。
患者さんそうなんですね。少なければ少ないほど良いわけではないんですね。
Dr.石川その通りです。ホルモン量を減らすことで期待できるメリットがある一方、出血が不安定になることもあります。
患者さん避妊効果だけじゃなくて、出血のことも考えたほうがいいんですね。
Dr.石川はい。ピル選びでは、避妊効果だけでなく、飲み続けやすいかどうかも大切ですよ。
EE20μgなら全部同じ?フリウェルULDは避妊目的では使わない理由
ここで、ひとつ注意しておきたいことがあります。
この記事では、
「EE20μgだからといって、避妊効果が弱いとは限らない」
と説明してきました。
しかし、これを読んで、
患者さん「じゃあ、EEが20μgのピルなら、どれも避妊用として同じように使えるの?」
と思った方もいるかもしれません。
これは違います。
代表的なのが、月経困難症などの治療に使用されるフリウェルULDです。
フリウェルULDもEE(エチニルエストラジオール)を20μg含む「超低用量」の製剤ですが、避妊目的で使用する薬ではありません。
実際、フリウェルULDの添付文書には、重要な基本的注意として「本剤を避妊目的で使用しないこと」と明記されています。
同じ「EE20μg」でも、マルシロンとは目的が違う
ここが非常に重要です。
| マルシロン | フリウェルULD | |
|---|---|---|
| EE | 20μg | 20μg |
| 主な目的 | 避妊 | 月経困難症などの治療 |
| 避妊目的で使用 | ○ | × |
| 分類 | 低用量ピル(OC) | 超低用量ピル(LEP) |
つまり、
「EEが20μg」という数字だけでは、その薬が避妊用なのか、治療用なのかは判断できません。
含まれている黄体ホルモンの種類や量、製剤としての位置づけ、承認された効能・効果などを含めて考える必要があります。
フリウェルULDは「避妊用ピル」として推奨されていない
フリウェルULDは、月経困難症などの治療を目的として使用されるLEPです。
そのため、
という使い方はできません。
避妊を主な目的としてピルを選ぶ場合は、避妊目的で承認されているOCを選択する必要があります。
これは、今回の記事のテーマである「EE20μg」という数字を考えるうえでも、とても大切なポイントです。
「EE20μg=避妊効果が弱い」ではない
ここで、記事の最初からの話に戻ります。
マルシロンがEE20μgだからといって、
「30μgのマーベロンより避妊効果が弱い」
と単純に考えることはできません。
一方で、
「EE20μgなら、フリウェルULDもマルシロンと同じように避妊に使える」
ということでもありません。
つまり、
EEの量だけで避妊効果や薬の目的を判断してはいけない
ということです。
ピルを選ぶときは、その薬が何を目的として承認されているのかまで確認することが大切です。
患者さんフリウェルULDもEE20μgなんですよね?じゃあ、マルシロンと同じように避妊に使えるんですか?
Dr.石川いいえ。ここは注意が必要です。フリウェルULDは月経困難症などの治療に使うLEPで、避妊目的では使用しないことになっています。
患者さん同じ20μgでも違うんですね。
Dr.石川そうです。ピルはEEの量だけで判断できません。薬の種類や含まれているホルモン、承認されている目的が違います。
患者さんじゃあ、避妊したい場合は、避妊目的で使えるピルを選ばないといけないんですね。
Dr.石川その通りです。『EE20μg』という数字だけで薬を選ばないことが大切ですよ。
EE20μgで注意したいのは「避妊効果」よりも出血パターン?
マルシロンとマーベロンを比較するとき、避妊効果と同じくらい注目したいのが、服用中の出血パターンです。
「EEが20μgなら避妊効果が弱いのでは?」と心配される方は多いですが、実際には、EEの量が少ない製剤では不正出血やスポッティングなどが起こりやすくなる傾向が知られています。
EEが少ないと、なぜ出血が不安定になるの?
ピルを服用すると、ホルモンの作用によって子宮内膜の状態が変化します。
エストロゲンであるEEには、子宮内膜を安定させる働きもあります。
そのため、EEの量を少なくすると、服用中の子宮内膜が十分に安定せず、
- 少量の出血が続く
- 生理ではない時期に出血する
- 茶色のおりもののような出血がある
- スポッティングが起こる
といったことがあります。
20μg以下のEEを含む配合ピルと、それより多いEEを含む製剤を比較した研究でも、低用量の製剤では出血パターンの乱れが増える傾向が報告されています。
ここは、
と理解するとわかりやすいでしょう。
不正出血があったら、避妊効果も落ちている?
これは非常に気になるところですが、不正出血が起こったことだけで、避妊効果が低下したとは判断できません。
ピルを正しく服用しているにもかかわらず、服用開始後に不正出血が起こることはあります。
そのため、
「出血したからピルが効いていないのでは?」
とすぐに考える必要はありません。
ただし、飲み忘れがあった場合や、嘔吐・激しい下痢、相互作用のある薬の使用などがある場合は話が別です。
その場合は、出血の有無だけではなく、服薬状況などを含めて避妊効果への影響を考える必要があります。
出血が続く場合はどうすればいい?
服用開始後しばらくは、身体がホルモン環境の変化に慣れるまで出血が不安定になることがあります。
そのため、少量の出血があったからといって、自己判断で服用を中止しないことが大切です。
一方で、出血が長期間続く、量が多い、強い腹痛などを伴う場合には、ピル以外の原因が隠れている可能性もあります。
気になる症状がある場合は、処方した医師に相談しましょう。
患者さんマルシロンを飲み始めてから、少し出血があるんです。避妊効果が弱いってことですか?
Dr.石川不正出血があることだけで、避妊効果が弱くなったとは判断できませんよ。
患者さんEEが20μgだから出血しやすいこともあるんですか?
Dr.石川はい。エストロゲン量が少ない製剤では、出血パターンが不安定になることがあります。
患者さんじゃあ、出血していても、飲み忘れがなければ避妊効果は期待できるんですね。
Dr.石川基本的にはそうです。ただし、飲み忘れなどがあった場合は別なので、そのときは対応を確認しましょう。
EEの量よりも注意したい「ピルの飲み忘れ」
ここまで読んで、
「マルシロンはEEが20μgだから、避妊効果が弱いのでは?」
と心配していた方もいるかもしれません。
しかし、実際にピルの避妊効果を考えるうえでは、EEが20μgか30μgかという違いだけでなく、決められた方法で正しく服用できているかが非常に重要です。
飲み忘れがあると、避妊効果に影響することがある
低用量ピルは、毎日継続して服用することで排卵を抑える状態を維持します。
そのため、服用を忘れたり、飲み方を誤ったりすると、避妊効果が低下する可能性があります。
特に注意したいのが、
- 2日以上続けて飲み忘れた
- 新しいシートの開始が遅れた
- 休薬期間を予定より長くしてしまった
- 服用後に嘔吐した
- 激しい下痢が続いている
- ピルの効果に影響する薬を併用している
といったケースです。
つまり、
「マルシロンはEE20μgだから避妊効果が心配」
と考えるより、
「毎日正しく服用できているか」
をまず確認することが大切です。
「1錠飲み忘れた」と「何日も飲み忘れた」は同じではない
ここも重要なポイントです。
ピルの飲み忘れは、何錠飲み忘れたのか、いつ飲み忘れたのかによって対応が変わります。
そのため、飲み忘れがあった場合には、
と自己判断するのではなく、製品の添付文書や医療機関の指示を確認するようにしましょう。
また、飲み忘れに気づいたからといって、自己判断で複数錠を一度に服用するなど、通常とは異なる飲み方をするのも避けたほうが安心です。
マルシロンでも、マーベロンでも「正しく飲む」が基本
マルシロンとマーベロンではEEの量が異なります。
しかし、どちらを選んだとしても、
正しい服用を継続することが避妊の基本
であることに変わりはありません。
「20μgだから弱い」「30μgだから絶対に安心」というように、EEの数字だけで考えないことが大切です。
患者さんマルシロンは20μgだから、飲み忘れてもマーベロンより避妊効果が落ちにくい、みたいなことはありますか?
Dr.石川いいえ。EEの量だけで飲み忘れへの影響を判断することはできません。
患者さんじゃあ、マルシロンでもマーベロンでも、飲み忘れには注意が必要なんですね。
Dr.石川そうです。特に複数日続けて飲み忘れたり、休薬期間が長くなったりすると、避妊効果に影響する可能性があります。
患者さんホルモン量を気にするより、まず毎日きちんと飲むことが大切なんですね。
Dr.石川その通りです。
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マルシロンとマーベロン、結局どちらを選べばいい?
ここまで、マルシロンとマーベロンの違いを見てきました。
大きな違いのひとつは、エストロゲン成分であるEEの量です。
- マルシロン:EE 20μg
- マーベロン:EE 30μg
では、20μgのマルシロンと30μgのマーベロン、どちらを選べばよいのでしょうか?
実は、「こちらのほうが優れている」と一概に決めることはできません。
「避妊効果の強さ」だけで選ばない
まず押さえておきたいのは、
EEが30μgだから避妊効果が高く、20μgだから低い
という単純な比較はできないということです。
そのため、
「できるだけ避妊効果の高いピルを選びたいから30μg」
という考え方だけで決める必要はありません。
ピルを選ぶときには、避妊効果だけでなく、副作用や出血パターン、これまでの服用経験なども含めて総合的に判断します。
マルシロンが選択肢になるケース
マルシロンはEE 20μgの製剤です。
そのため、
- エストロゲン量を抑えた製剤を検討したい
- マーベロンなどから別の製剤への変更を考えている
- 自分に合うピルを医師と相談して選びたい
という場合に、選択肢のひとつになります。
ただし、「20μgだから副作用が必ず少ない」というわけではありません。
また、20μg製剤では不正出血などが気になる場合もあります。
マーベロンが合っている人もいる
一方、マーベロンはEE 30μgの製剤です。
これまでマーベロンを服用していて、
「避妊効果に問題がない」
「出血パターンも安定している」
「特に気になる副作用がない」
という場合には、無理にマルシロンへ変更する必要があるとは限りません。
現在のピルで問題なく過ごせているかどうかも、製剤を選ぶうえで大切なポイントです。
ピル選びは「自分に合っているか」が大切
マルシロンとマーベロンを比較すると、つい「20μgと30μgのどちらが良いの?」という数字に目が行きます。
しかし、本当に大切なのは、
自分の体質や症状、服用目的に合ったピルを、無理なく継続できるか
ということです。
また、ピルには血栓症など注意すべき副作用もあります。
そのため、初めて服用する場合や、ほかのピルから変更する場合には、医師に相談したうえで自分に合った製剤を選ぶことが大切です。
患者さんマルシロンとマーベロン、結局どっちがいいんですか?
Dr.石川どちらが良いかは、人によって違いますよ。
患者さん20μgのマルシロンのほうが、ホルモンが少ないからいいんじゃないんですか?
Dr.石川ホルモン量が少ないことにもメリットはありますが、少なければ必ず良いというわけではありません。不正出血などが増えることもあります。
患者さんじゃあ、避妊効果だけじゃなくて、出血や副作用も見て選ぶんですね。
Dr.石川そうですね。これまでの服用経験や体質なども含めて、自分に合ったピルを選ぶことが大切です。
マルシロンに変えたら生理が来ない・不正出血が続く場合は?
マルシロンを飲み始めてから、
「生理が来なくなった」
「少量の出血が続いている」
「今までと出血の仕方が違う」
といった変化があると、「ピルが効いていないのでは?」と不安になるかもしれません。
しかし、ピル服用中の出血パターンは、服用前の月経とは同じではありません。
ピルを飲むと「生理」が変わることがある
低用量ピルを服用すると、ホルモンの作用によって子宮内膜が厚くなりにくくなります。
そのため、休薬期間などに起こる出血が、
- 以前より少なくなる
- 出血する日数が短くなる
- 少量の出血だけになる
- ときには出血が起こらない
といった変化がみられることがあります。
これは、「子宮の中に経血がたまっている」ということではありません。
ピルによって子宮内膜が薄い状態になっているため、出血する量そのものが少なくなることがあります。
不正出血があっても、すぐに「ピルが効いていない」とは限らない
一方で、服用中に生理とは関係ないタイミングで少量の出血が起こることもあります。
特にピルを飲み始めたばかりの時期や、製剤を変更した直後には、出血パターンが安定しないことがあります。
そのため、
「出血した=避妊効果がなくなった」
というわけではありません。
ただし、飲み忘れがあった場合などは別です。
生理が来ないときに確認したいこと
「出血が来ない」ときは、まずピルを正しく服用できていたかを確認しましょう。
特に、
- 飲み忘れがあった
- 新しいシートの開始が遅れた
- 嘔吐や激しい下痢があった
- ピルの効果に影響する薬を服用した
などがあれば、避妊効果への影響を考える必要があります。
服用状況に問題がなくても、妊娠の可能性が少しでも気になる場合には、妊娠検査薬の使用や医療機関への相談を検討しましょう。
また、出血が長く続く、出血量が多い、強い腹痛などを伴う場合には、自己判断で服用を中止せず、医師に相談してください。
患者さんマルシロンに変えてから、生理がほとんど来なくなりました。避妊効果がなくなったんでしょうか?
Dr.石川出血が少ないことだけで、避妊効果がなくなったとは判断できませんよ。ピルを服用すると、子宮内膜が薄くなって出血量が少なくなることがあります。
患者さんじゃあ、生理が少なくても問題ないことがあるんですね。
Dr.石川はい。ただし、飲み忘れがあった場合などは別です。妊娠の可能性が気になる場合は確認しましょう。
患者さん不正出血がある場合も同じですか?
Dr.石川不正出血だけで避妊効果が落ちたとは限りません。特に飲み始めや製剤変更後には起こることがあります。ただ、出血が続く場合は一度相談してくださいね。
マルシロンとマーベロンの違いを一覧で比較
ここまでの内容を、もう一度シンプルに整理してみましょう。
マルシロンとマーベロンは、どちらもデソゲストレルを含む低用量ピルですが、エストロゲン成分であるEEの量に違いがあります。
| 比較項目 | マルシロン | マーベロン |
|---|---|---|
| デソゲストレル | 0.15mg | 0.15mg |
| EE(エチニルエストラジオール) | 20μg | 30μg |
| EEの量 | 少ない | 多い |
| 避妊効果 | 正しく服用することで避妊効果が期待される | 正しく服用することで避妊効果が期待される |
| 出血パターン | 不正出血などがみられることがある | 製剤によって異なる |
| 大きな違い | EEの量 | EEの量 |
※実際の効果や副作用の出方には個人差があります。
一番覚えておきたいのは「20μg=避妊効果が弱い」ではない
今回の記事で最も伝えたいのは、ここです。
マルシロンはマーベロンよりEEが10μg少ないため、
と考えてしまいがちです。
しかし、ピルの避妊効果はEEの量だけで決まるものではありません。
20μg以下のEEを含む配合ピルと、それより多いEEを含む配合ピルを比較した研究でも、避妊効果について明確な差は確認されていません。
ただし、研究データには限界があるため、
「20μgと30μgの避妊効果は完全に同じ」
と断定するのではなく、
「EE20μgだから避妊効果が低いとはいえない」
と理解するのが適切です。
むしろ注目したいのは「出血パターン」
EE20μgの製剤では、避妊効果とは別に、不正出血やスポッティングなどの出血パターンに違いが出ることがあります。
そのため、マルシロンを選ぶときには、
「避妊効果が弱くならないか?」
だけではなく、
「自分にとって服用を続けやすいか?」
という視点も大切です。
患者さんマルシロンとマーベロンって、結局はEEの量が大きな違いなんですね。
Dr.石川そうですね。どちらもデソゲストレルを含んでいますが、EEの量が20μgと30μgで異なります。
患者さんでも、20μgだから避妊効果が弱いわけではない。
Dr.石川はい。そこは誤解しないでくださいね。避妊効果はEEの量だけで決まるものではありません。
患者さんじゃあ、自分に合うかどうかを考えて選ぶことが大切なんですね。
Dr.石川その通りです。避妊効果だけでなく、出血の状態や副作用なども含めて考えていきましょう。
マルシロンとマーベロンについてよくある質問
マルシロンとマーベロンを比較すると、「EEが20μgと30μgで違うけれど大丈夫?」という疑問が出てきます。
ここでは、実際に気になりやすいポイントをQ&A形式で整理します。
- マルシロンはマーベロンより避妊効果が弱いですか?
-
EEが20μgだからといって、避妊効果が弱いとは一概にいえません。
マルシロンとマーベロンは、どちらもデソゲストレルを含む低用量ピルです。
避妊効果はEEの量だけで決まるものではないため、「20μgだから避妊効果が低い」と考えるのは適切ではありません。
ただし、20μgと30μgの避妊効果が完全に同じだと断定できるわけではありません。
- マーベロンからマルシロンに変えると妊娠しやすくなりますか?
-
EEが30μgから20μgになったことだけを理由に、妊娠しやすくなるとは考えられていません。
ただし、ピルを変更するときは、切り替えるタイミングや服用方法を正しく守ることが重要です。
自己判断で休薬期間を長くしたり、新しいシートの開始を遅らせたりしないようにしましょう。
- マルシロンはエストロゲンが少ないから副作用も少ないですか?
-
必ずしもそうとは限りません。
EEの量が少ないことには、エストロゲンへの曝露を抑えるという意味があります。
一方で、低用量の製剤では不正出血やスポッティングなどが増える傾向も報告されています。
そのため、
「ホルモンが少ない=すべての副作用が少ない」
というわけではありません。
- マルシロンを飲んでいて不正出血があったら、避妊効果が落ちていますか?
-
不正出血があることだけで、避妊効果が落ちたとは判断できません。
ピルを飲み始めたばかりの時期や、製剤を変更したときには、出血パターンが変化することがあります。
ただし、飲み忘れがあった場合などは別です。
飲み忘れや嘔吐・激しい下痢などがあった場合は、服用状況に応じた対応が必要になります。
- マルシロンを飲んでいて出血が来なかったら妊娠していますか?
-
出血がないことだけで妊娠とは判断できません。
低用量ピルを服用すると子宮内膜が薄くなり、休薬期間などの出血が少なくなったり、起こらなかったりすることがあります。
ただし、飲み忘れがあった場合や妊娠の可能性が気になる場合は、妊娠検査薬を使用するなどして確認することをおすすめします。
- マルシロンとマーベロン、どちらが自分に合っていますか?
-
一概にどちらが良いとはいえません。
マルシロンはEE20μg、マーベロンはEE30μgと、それぞれ特徴があります。
これまでの服用経験や副作用、出血パターン、体質、既往歴などを考慮し、医師と相談しながら選択することが大切です。
患者さん結局、マルシロンは20μgだから避妊効果が弱い、というわけではないんですね。
Dr.石川はい。EEの量だけで避妊効果を判断することはできません。
患者さんじゃあ、マーベロンから変更しても大丈夫ですか?
Dr.石川変更そのものは選択肢になりますが、切り替え方は大切です。自己判断で変更するのではなく、医師に相談してください。
患者さん20μgと30μg、数字だけで判断しないことが大事なんですね。
Dr.石川そうですね。避妊効果だけでなく、副作用や出血パターンなども含めて、自分に合ったピルを選ぶことが大切ですよ。
まとめ|EE20μgだから避妊効果が弱い、とは限らない
マルシロンとマーベロンを比較すると、どちらもデソゲストレル0.15mgを含んでいますが、エストロゲン成分であるEEの量が異なります。
- マルシロン:EE 20μg
- マーベロン:EE 30μg
この違いから、「マルシロンはEEが少ないから避妊効果も弱いのでは?」と考えてしまうかもしれません。
しかし、ピルの避妊効果はEEの量だけで決まるものではありません。
20μg以下のEEを含む配合ピルと、それより多いEEを含む製剤を比較した研究でも、避妊効果について明確な差は確認されていません。
一方で、EEの量が少ない製剤では、不正出血やスポッティングなど、出血パターンが不安定になることがあります。
そのため、マルシロンを検討するときは、
という点だけを心配するのではなく、
という視点で考えることが大切です。
また、どちらのピルを服用する場合でも、飲み忘れや服用方法の間違いは避妊効果に影響する可能性があります。
患者さんマルシロンは20μgだから、マーベロンより避妊効果が弱いと思っていました。
Dr.石川EEの量だけで避妊効果を判断することはできませんよ。
患者さんじゃあ、20μgでも避妊目的で使えるんですね。
Dr.石川はい。ただし、どちらを選ぶ場合でも、正しく継続して服用することが大切です。
患者さんなるほど。20μgと30μgの数字だけで判断しないことが大事なんですね。
Dr.石川その通りです。自分に合ったピルを医師と相談しながら選んでいきましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
マルシロンとマーベロンは、単純に「どちらが強い・弱い」という違いではありません。
EEの量や出血パターンなど、それぞれの特徴を理解したうえで、自分に合った選択肢を検討することが大切です。
参考文献
- マルシロン配合錠 添付文書・インタビューフォーム
マルシロンの成分(デソゲストレル0.15mg+EE 20μg)や用法・用量などを確認するための基本資料です。
マルシロン配合錠|オルガノン プロフェッショナル - マーベロン21/マーベロン28 製品情報|オルガノン
マーベロンに含まれるデソゲストレル0.15mg+EE 30μgについて確認できます。
マーベロン|オルガノン プロフェッショナル - Gallo MF, et al. Low-dose combined oral contraceptives: 20 μg versus >20 μg of estrogen. Cochrane Database of Systematic Reviews.
EE 20μg以下の配合経口避妊薬と、20μgを超える製剤を比較し、避妊効果や出血パターンなどを検討したレビューです。今回の記事の「EE20μgだから避妊効果が弱いとは一概にいえない」という説明の重要な根拠になります。
Cochrane|Low-dose combined oral contraceptives: 20 μg versus >20 μg of estrogen - Low-dose combined oral contraceptives: 20 μg versus >20 μg of estrogen – PubMed
上記CochraneレビューのPubMed掲載情報です。20μg以下の製剤では、出血パターンに関する違いがみられることなどがまとめられています。
PubMed|Low-dose combined oral contraceptives: 20 μg versus >20 μg of estrogen - World Health Organization (WHO)|Family planning: a global handbook for providers
経口避妊薬を含む各種避妊法について、作用や使用方法、飲み忘れ時の対応などをまとめた国際的な資料です。
WHO|Family Planning: A Global Handbook for Providers - 日本産科婦人科学会|OC・LEPガイドライン
日本における経口避妊薬(OC)・低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP)の使用に関する重要な指針です。ピルの適正使用や副作用、禁忌などを確認する際の参考になります。
日本産科婦人科学会|OC・LEPガイドライン




