マルシロンとは?マーベロンとの違い・避妊効果・副作用を医師監修データから解説

「マルシロンってどんな薬?」「マーベロンと何が違うの?」「エストロゲン量が20μgになっても避妊効果は変わらないの?」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。

マルシロンは、マーベロンと同じ黄体ホルモン(デソゲストレル)を配合しながら、エストロゲン(エチニルエストラジオール)の配合量を30μgから20μgへ減らした新しいLEP製剤です。そのため、「ホルモン量が少なくなると避妊効果も弱くなるのでは?」と不安に感じる方もいるかもしれません。

しかし、公開されている臨床試験や医学文献では、エストロゲン量を20μgに減らしても避妊効果は30μg製剤と同等であり、統計学的に有意な差は認められていません。一方で、エストロゲンに関連する吐き気や乳房の張り、むくみなどの副作用が軽減される可能性も期待されています。

この記事では、マルシロンとマーベロンの違いを比較しながら、避妊効果・副作用・期待できるメリット・注意点について、公開されている医学的根拠をもとにわかりやすく解説します。マーベロンからの切り替えを検討している方や、新しくLEP製剤を始める方は、ぜひ参考にしてください。

必要に応じて、各セクションの最後には「先生と患者さんの会話形式」でポイントをわかりやすく整理していきます。

この記事の執筆者

石川 聡司
(新さっぽろウィメンズ ヘルス&ビューティークリニック 院長)

北海道大学医学部卒業後、北海道大学病院、帯広厚生病院など地域の中核病院に勤務。品川美容外科にて美容外科医として3年間の研鑽を積み、2021年に婦人科・美容外科を併設した当院を開業。

婦人科全般の診療のほか、美容医療では美肌治療、美容整形をはじめ脱毛・アートメイクなど幅広く対応する。

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目次

マルシロンとは?

マルシロンは、エチニルエストラジオール(EE)20μgデソゲストレル(DSG)150μgを配合した新しいLEP(Low-dose Estrogen Progestin)製剤です。

LEP製剤は、女性ホルモンを補うことで排卵を抑制し、子宮内膜の増殖を抑えることで、月経困難症や子宮内膜症に伴う痛みの改善などを目的として使用されます。

マルシロンの大きな特徴は、長年使用されてきたマーベロンと同じ黄体ホルモン「デソゲストレル」を採用しながら、エストロゲン(エチニルエストラジオール)の配合量を30μgから20μgへ減量している点です。

マルシロンとマーベロンの共通点

マルシロンとマーベロンは、どちらもデソゲストレルを含むため、基本的な作用は共通しています。

  • 排卵を抑制する
  • 子宮内膜を薄く保つ
  • 子宮頸管粘液を変化させ、精子が子宮内へ入りにくくする
  • 月経困難症や月経周期の改善が期待できる

つまり、「効き方の仕組み」はほぼ同じであり、違いは主にエストロゲンの配合量にあります。

エストロゲン量を減らした理由

エストロゲンは、LEP製剤の効果を支える重要なホルモンですが、一方で吐き気や乳房の張り、むくみ、頭痛などの副作用に関与することがあります。

そのため近年は、十分な効果を維持しながら、できるだけエストロゲン量を少なくすることを目指した製剤の開発が進められています。

マルシロンもその考え方に基づいて開発されており、エストロゲン量を20μgへ減らしながら、避妊効果や排卵抑制効果は維持できることが臨床試験で確認されています。

マルシロンは「まったく新しいホルモン」を配合した薬ではなく、マーベロンで実績のあるデソゲストレルをそのまま使用し、エストロゲン量を20μgへ調整したLEP製剤です。そのため、マーベロンとの違いを理解することが、マルシロンの特徴を知る近道になります。

患者さん

マルシロンは新しい薬と聞きましたが、成分も全然違うんですか?

Dr.石川

いいえ。黄体ホルモンはマーベロンと同じデソゲストレルです。大きく変わったのは、エストロゲンの量が30μgから20μgになったことです。

患者さん

じゃあ、薬の働き方は同じなんですね?

Dr.石川

その通りです。排卵を抑える仕組みや子宮内膜への作用は基本的に共通しています。次のセクションでは、『エストロゲンが少なくなっても避妊効果は変わらないのか』について詳しく解説します。

マルシロンとマーベロンの違いを比較

マルシロンとマーベロンは、どちらもデソゲストレル(150μg)を配合した製剤です。

最も大きな違いは、エストロゲン(エチニルエストラジオール:EE)の配合量です。

項目マルシロンマーベロン
エチニルエストラジオール(EE)20μg30μg
デソゲストレル(DSG)150μg150μg
排卵抑制
月経困難症の改善
避妊効果同等と報告されている同等
特徴エストロゲン量を減らした設計従来から広く使用されている

共通している点

マルシロンとマーベロンは、配合されている黄体ホルモンが同じであるため、基本的な作用は共通しています。

  • 排卵を抑える
  • 子宮内膜を薄く保つ
  • 子宮頸管粘液を変化させる
  • 月経困難症の症状改善が期待できる

そのため、「まったく別の薬」というよりも、マーベロンをベースにエストロゲン量を調整した製剤と考えるとイメージしやすいでしょう。

異なるのはエストロゲンの配合量

エストロゲン(EE)は、排卵抑制や月経周期の安定化に重要な役割を果たす一方で、吐き気や乳房の張り、むくみなどの副作用に関与すると考えられています。

マルシロンでは、このEEを30μgから20μgへ減量することで、十分な効果を維持しながら、副作用の軽減も期待できるよう設計されています。

ただし、副作用の感じ方には個人差があり、「必ず副作用が少なくなる」と断言できるわけではありません。

どちらが優れているというわけではない

マルシロンとマーベロンは、優劣をつける関係ではありません。

例えば、

  • マーベロンで問題なく服用できている方
  • エストロゲン量を減らした製剤を試したい方
  • 副作用とのバランスを考えて治療したい方

など、それぞれの体質や症状に応じて、医師が適切な製剤を選択します。

そのため、「新しい薬だから必ずマルシロンの方が良い」というわけではなく、自分に合った製剤を選ぶことが大切です。

ポイント

マルシロンとマーベロンの違いは、主にエストロゲン(EE)の配合量です。黄体ホルモンや基本的な作用は共通しており、目的や体質に応じて選択されます。

患者さん

マルシロンは新しい薬だから、マーベロンより効果が強いんですか?

Dr.石川

効果が強いというより、エストロゲン量を30μgから20μgに減らした製剤です。基本となる黄体ホルモンは同じなので、薬の働き方も共通しています。

患者さん

じゃあ、どちらを選べばいいんでしょう?

Dr.石川

副作用の出方や体質、治療目的などを総合的に判断して選びます。新しい・古いではなく、その方に合った製剤を選ぶことが大切です。

EE20μgでも避妊効果は変わらない?臨床試験からわかること

「エストロゲン(EE)の量が30μgから20μgに減ると、避妊効果も弱くなるのでは?」と心配される方は少なくありません。

しかし、現在公開されている臨床試験や医学文献では、EE20μg・デソゲストレル150μg配合製剤は、EE30μg・デソゲストレル150μg配合製剤と同等の避妊効果を示したことが報告されています。

避妊効果はどのように評価される?

経口避妊薬やLEP製剤の避妊効果は、「パール指数(Pearl Index)」という指標で評価されます。

パール指数とは、100人の女性が1年間使用した場合に、何人が妊娠したかを表す指標です。

この数値が低いほど、避妊効果が高いことを意味します。

複数の臨床試験では、EE20μg・デソゲストレル150μg配合製剤とEE30μg・デソゲストレル150μg配合製剤のパール指数を比較した結果、統計学的に有意な差は認められませんでした

つまり、エストロゲン量を20μgへ減らしても、避妊効果は維持されていると考えられています。

エストロゲンが少なくても排卵はしっかり抑えられる

避妊効果の中心となるのは、単純にエストロゲン量だけではありません。

マルシロンに配合されているデソゲストレルは排卵を抑制する作用が強く、さらに、

  • 排卵の抑制
  • 子宮頸管粘液を変化させて精子が通りにくくする
  • 子宮内膜を妊娠しにくい状態に保つ

といった複数の作用によって、高い避妊効果が得られます。

そのため、EEを20μgへ減量しても、これらの作用が維持されることで、十分な避妊効果が期待できます。

「20μgだから効き目が弱い」は誤解

「ホルモン量が少ない=効果が弱い」と考えてしまいがちですが、現在の低用量ピルやLEP製剤は、臨床試験によって有効性と安全性が確認されたうえで承認されています。

重要なのは、毎日決まった時間に正しく服用することです。

飲み忘れが増えると避妊効果は低下するため、ホルモン量よりも服薬を継続できるかどうかの方が、実際の避妊効果には大きく影響します。

EE20μg・デソゲストレル150μg配合製剤は、公開されている臨床試験において、EE30μg製剤と同等の避妊効果が示されています。エストロゲン量が少ないことだけを理由に、「避妊効果が弱い」と考える必要はありません。

患者さん

エストロゲンが少なくなると、避妊効果も下がるんじゃないですか?

Dr.石川

そう思われる方は多いですが、臨床試験では20μg製剤と30μg製剤で避妊効果に大きな差は認められていません。

患者さん

じゃあ、20μgでもしっかり効果が期待できるんですね。

Dr.石川

はい。ただし、どのピルでも飲み忘れがあると避妊効果は低下します。決められた方法で毎日服用することがとても大切ですよ。

エストロゲン量が少なくなるメリット|副作用は軽くなる?

マルシロンの大きな特徴は、エストロゲン(エチニルエストラジオール:EE)の配合量が30μgから20μgへ減量されていることです。

では、エストロゲン量が少なくなることで、どのようなメリットが期待できるのでしょうか。

エストロゲンに関連する副作用が軽減する可能性

LEP製剤や低用量ピルを飲み始めた頃には、次のような症状がみられることがあります。

  • 吐き気
  • 乳房の張りや痛み
  • むくみ
  • 頭痛
  • 軽い不正出血

これらの症状は時間の経過とともに落ち着くことも多いですが、一部はエストロゲンの影響が関係していると考えられています。

そのため、EEを20μgへ減量したマルシロンでは、こうした副作用が軽減される可能性があります。

血栓症リスクをゼロにするわけではない

エストロゲン量が減ることで安全性の向上が期待される一方で、血栓症のリスクがなくなるわけではありません。

LEP製剤や低用量ピルを服用している方は、製剤の種類にかかわらず血栓症に注意が必要です。

特に次のような症状が現れた場合は、服用を続けず、速やかに医療機関を受診してください。

  • 片足の強い痛みや腫れ
  • 突然の息切れや胸の痛み
  • 激しい頭痛
  • 見えにくい、視野が欠ける
  • ろれつが回らない、手足の麻痺

頻度は高くありませんが、早期発見・早期対応が重要です。

副作用には個人差がある

「EEが20μgだから、誰でも副作用が少なくなる」とは言い切れません。

体質や年齢、服用目的、生活習慣などによって感じ方は異なります。

例えば、

  • マーベロンで全く副作用がなかった方
  • マーベロンでは吐き気がつらかった方
  • 他のLEP製剤の方が体質に合う方

など、人によって相性はさまざまです。

そのため、服用後に気になる症状がある場合は、自己判断で中止せず、処方した医師へ相談しましょう。

「効果」と「副作用」のバランスを考えた製剤

近年のLEP製剤は、「できるだけホルモン量を少なくしながら、十分な効果を維持する」という考え方で開発が進められています。

マルシロンもその流れに沿った製剤の一つです。

エストロゲン量を減らしながらも、避妊効果や排卵抑制効果を維持し、副作用とのバランスを考慮した選択肢として期待されています。

マルシロンは、EEを20μgへ減量することで、吐き気や乳房の張りなどエストロゲンに関連する副作用の軽減が期待されます。ただし、副作用の現れ方には個人差があり、血栓症などの重大な副作用への注意はこれまでと同様に必要です。

患者さん

エストロゲンが少なくなると、副作用はなくなるんですか?

Dr.石川

なくなるとは言えませんが、吐き気や乳房の張りなど、エストロゲンに関連する副作用が軽減される可能性はあります。

患者さん

じゃあ、血栓症の心配もしなくていいですか?

Dr.石川

いいえ。エストロゲン量が少なくなっても、血栓症のリスクがゼロになるわけではありません。体調の変化に気付いたら、早めに受診することが大切です。

マーベロンからマルシロンへ変更する人は?切り替え時の注意点

マルシロンの発売により、「現在マーベロンを服用しているけれど、マルシロンへ変更した方がいいの?」と考える方もいるでしょう。

結論からいうと、すべての方がマルシロンへ変更する必要はありません。

どちらの製剤が適しているかは、症状や体質、副作用の有無などを総合的に判断して決定します。

マーベロンで問題なく服用できている場合

マーベロンを長期間服用し、

  • 副作用がほとんどない
  • 月経困難症などの症状が十分に改善している
  • 飲み忘れなく継続できている

という場合は、必ずしもマルシロンへ変更する必要はありません。

治療では「新しい薬」よりも、「現在の治療で良好な状態が維持できていること」が重要です。

マルシロンが選択肢になるケース

一方で、次のような場合には、マルシロンへの変更を検討することがあります。

  • マーベロンで吐き気や乳房の張りが気になる
  • エストロゲンに関連する副作用をできるだけ軽減したい
  • 医師からマルシロンへの切り替えを提案された

エストロゲン量が20μgへ減量されているため、副作用とのバランスを考えて選択されることがあります。

自己判断で切り替えないことが大切

「副作用が少なそうだから」と自己判断で服用を中止したり、市販薬のように自由に変更したりすることはおすすめできません。

LEP製剤は、服用するタイミングや切り替え方法によっては、

  • 不正出血
  • 排卵抑制が不十分になる可能性
  • 避妊効果への影響

などが生じる場合があります。

切り替えを希望する場合は、現在服用している製剤や服用状況を医師へ伝え、適切な方法で変更することが大切です。

マルシロンがすべての人に合うとは限らない

新しい製剤であっても、すべての方に最適とは限りません。

人によっては、

  • マーベロンの方が体質に合う
  • 他のLEP製剤の方が症状をコントロールしやすい

ということもあります。

そのため、「どちらが優れているか」ではなく、自分に合った製剤を選ぶことが治療を続けるうえで最も重要です。

マルシロンは新しい選択肢ですが、マーベロンから全員が切り替える必要はありません。副作用や体質、治療目的などを踏まえ、医師と相談しながら自分に合った製剤を選びましょう。

患者さん

新しいマルシロンが出たなら、すぐに変更した方がいいですか?

Dr.石川

マーベロンで問題なく過ごせているなら、無理に変更する必要はありません。

患者さん

副作用が少ないなら、変えた方がいいのかと思いました。

Dr.石川

副作用が軽減する可能性はありますが、感じ方には個人差があります。今の治療状況や体質を考慮して、一緒に判断していきましょう。

よくある質問(FAQ)

マルシロンはマーベロンより避妊効果が弱いですか?

いいえ。

公開されている臨床試験では、エチニルエストラジオール(EE)20μg・デソゲストレル150μg配合製剤は、EE30μg・デソゲストレル150μg配合製剤と同等の避妊効果が示されています。

「エストロゲン量が少ない=避妊効果が低い」というわけではありません。

マルシロンは副作用が少ない薬ですか?

エストロゲン量を20μgへ減量しているため、吐き気や乳房の張りなど、エストロゲンに関連する副作用が軽減される可能性があります。

ただし、副作用の感じ方には個人差があり、すべての方で症状が軽くなるとは限りません。

マーベロンからマルシロンへ変更できますか?

変更できる可能性はあります。

ただし、変更するタイミングや服用方法は治療目的や体調によって異なります。

自己判断で切り替えるのではなく、処方している医師に相談しましょう。

マルシロンの飲み方はマーベロンと同じですか?

基本的な服用方法はマーベロンと同様です。

毎日できるだけ同じ時間に1錠ずつ服用することが大切です。

飲み忘れがあると、治療効果や避妊効果に影響する可能性があります。

マルシロンは避妊目的でも使えますか?

マルシロンはLEP製剤ですが、排卵を抑制する作用などにより避妊効果も期待できます。

ただし、日本ではLEP製剤とOC(経口避妊薬)は承認されている効能・効果が異なります

避妊を主な目的としてピルを希望する場合は、医師と相談し、ご自身に適した製剤を選択することが大切です。

マルシロンはどんな人に向いていますか?

次のような方に選択肢となる可能性があります。

  • マーベロンで吐き気や乳房の張りなどが気になっていた方
  • エストロゲン量を抑えた製剤を希望する方
  • 医師から切り替えを提案された方

一方で、マーベロンで問題なく服用できている方が、必ず変更する必要はありません。

マルシロンは、デソゲストレル150μgはそのままに、エチニルエストラジオール(EE)を30μgから20μgへ減量した新しいLEP製剤です。

公開されている臨床試験では、EE20μg製剤でも30μg製剤と同等の避妊効果が示されており、エストロゲン量が少ないからといって避妊効果が低下するわけではありません。

また、エストロゲン量を減らすことで、吐き気や乳房の張りなどの副作用が軽減される可能性も期待されています。

ただし、副作用の現れ方には個人差があり、血栓症などの重大な副作用への注意は従来と同様に必要です。

マルシロンとマーベロンには、それぞれ特徴があります。「新しい薬だから良い」「古い薬だから劣る」ということではなく、自分の体質や治療目的に合った製剤を選ぶことが最も重要です。

気になることがある場合は、自己判断で変更せず、処方医に相談しながら、自分に合った治療を続けていきましょう。

参考文献

  1. Fruzzetti F, Ricci C, Fioretti P, et al. Comparison of two monophasic combined oral contraceptives containing desogestrel 150 μg with either ethinylestradiol 20 μg or 30 μg. Contraception. 1996;53(1):13-18.
    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/8830960/
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  3. Faculty of Sexual & Reproductive Healthcare. Combined Hormonal Contraception Guideline.
    https://www.fsrh.org/standards-and-guidance/documents/combined-hormonal-contraception/
  4. PMDA「マルシロン配合錠 電子添文」
    https://www.pmda.go.jp/
  5. PMDA「マーベロン28 電子添文」
    https://www.pmda.go.jp/
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