アフターピルのオンライン処方は、病院に直接足を運ばなくてもインターネット上で診察・処方が可能です。
- 「出来る限り最速で受け取りたい」
- 「ネット通販でも安全に購入したい」
- 「どのクリニックを選べばいいか分からない」
ネット通販が不安な方向けに、当記事ではアフターピルがオンライン処方で受け取れるクリニック、即日発送に対応したクリニックを紹介しています。
アフターピルの効果と使用方法、申し込みから受け取りまでの流れ、かかる費用も解説していますので、アフターピルのオンライン購入を検討している方はぜひ参考にしてくださいね。
産婦人科専門医が執筆しています
この記事の執筆者
石川 聡司 日本産科婦人科学会認定 産婦人科専門医
(新さっぽろウィメンズ ヘルス&ビューティークリニック 院長)
北海道大学医学部卒業後、北海道大学病院、帯広厚生病院など地域の中核病院に勤務。2021年に婦人科・美容外科を併設した当院を開業。
- 資格:日本産科婦人科学会認定 産婦人科専門医
- 所属:日本美容外科学会JSAS、日本女性医学学会、日本産婦人科学会、日本周産期新生児学会
アフターピルとは
アフターピルは、避妊しなかったとき、または避妊に失敗したときに起こる妊娠を避けるために利用する薬です。
アフターピルやモーニングピルと呼ばれる場合が多いですが、正式には緊急避妊薬(Emergency Contraception)といい、最後の避妊手段とされています1)。
アフターピルは「飲めばすぐに避妊できる」との情報だけが一人歩きしていますが、副作用リスクもあり、正しく利用しなければ適切な効果が得られない場合があります。
アフターピルが市販の薬局でも販売される見通しが経っている今こそ、使用する前に、最低限の知識をもちましょう。
アフターピルの効果と使用方法
アフターピルには女性ホルモンの一種が成分として含まれています。
アフターピルを服用すると、薬の中の女性ホルモンが身体の中で作用し、排卵を遅らせたり、子宮内膜に卵子をつきにくくしたりし、妊娠を回避する仕組みです2)。
アフターピルは妊娠の可能性のある性行為の後、薬を飲むまでの時間が短いほど避妊効果が高くなります。
逆に時間が経てば経つほど妊娠率が上がるため、できるだけ早期に服用する必要があります2)。
アフターピルの種類
現在日本で認可されている緊急避妊薬は「レボノルゲストレル」で、下記2種類の薬があります。
- ノルレボ錠
- レボノルゲストレル(ノルレボのジェネリック医薬品)
ただし、現在認可申請中の「エラ」というお薬や、輸入薬の「アイピル」を取り扱っているクリニックもあります。
ノルレボ・レボノルゲストレル・アイピルを用いた処方が「レボノルゲストレル法」、エラを用いた処方を「ウリプリスタール法」です。
両者の効果に違いはないものの、レボノルゲストレル法に比べると、ウリプリスタール法の方が薬の有効時間が長いとされています。
アフターピルの特徴と使用方法、妊娠阻止率は以下のとおりです。
レボノルゲストレル法 (アフターピル) | ウリプリスタール法 (アフターピル) | ヤッペ法 (中容量ピル) | |
---|---|---|---|
使用方法 | 72時間以内に1錠 | 120時間以内に1錠 | 72時間以内に2錠 その12時間後に2錠 |
特徴 | 妊娠阻止効果が高い 副作用が少ない | 妊娠阻止効果が高い 副作用が少ない | 費用が安い 副作用が出やすい |
薬の種類 | ノルレボ レボノルゲストレル | エラ エラワン | プラノバール |
日本でアフターピルが使用される以前は、中容量ピルを通常とは異なる方法で服用し緊急避妊薬として利用していました。これをヤッペ法といいます。
ヤッペ法はアフターピルよりも妊娠防止率が劣り副作用出現率が高いため、用いられる機会は少なくなりました。
ただし、他のアフターピルと比べると安価のため、現在でも利用される場合もある緊急避妊方法です。
アフターピルの服用時間と妊娠率の関係
レボノルゲストレル法(ノルレボ・レボノルゲストレル)の妊娠阻止率
➡ 性交後24時間以内の服用で約95%、25~48時間以内で85%、49~72時間以内で58%
ウリプリスタール法(エラ・エラワン)の妊娠阻止率
➡ 性交後72時間までの服用であればレボノルゲストレル法と同等の効果。72時間~120時間以内の服用の場合はレボノルゲストレル法より妊娠阻止率は高くなる。
ヤッペ法の妊娠阻止率
➡ 性交後24時間以内の服用で77%、25~48時間以内で36%、49~72時間以内で31%
安全にネット通販でアフターピルを受け取るためのクリニックの選び方
オンライン診察でピルを購入できるクリニックはたくさんあるものの、アフターピルを購入する際には特に次のような点に気を付けながらクリニックを選ぶようにしましょう。
クリニック以外の通販でのアフターピル購入はやめよう!
ネット通販でアフターピルを購入する方法には、クリニックのオンライン処方を受ける方法と、ネット通販で個人輸入の医薬品などを購入する方法との2種類があります。
クリニック以外で売られているアフターピルは安価なため、ついつい興味を持ってしまいがちです。
ただ、薬の品質には保証がなく、販売者は副作用が起こってしまった際などに責任を持ってはくれません。
また、個人輸入の薬の副作用により重いトラブルにかかってしまった場合、国からの援助は受けられません4)。
安全に利用するためにも、アフターピルは必ず医師に処方してもらうようにしてください。
即日発送のクリニックを選ぶ
アフターピルの利用で大切なのは「できるかぎり早く飲む」が一番です。
妊娠阻止率は薬の服用が早ければ早いほど高くなります。そのため、オンライン診察をした後に即日発送してくれるクリニックを選ぶようにしましょう。
「〇〇時までの診察で当日発送可能」としているクリニックもありますので、当日発送の条件まで調べておくとベストです。
医師の資格・経験を見る
アフターピルには副作用の可能性があり、妊娠に関する診察はとてもデリケートな問題でもあります。
緊急避妊法は身体と心、両方のケアが必要な分野となりますので、在籍している医師は婦人科や産婦人科を専門にしている医師を選ぶのが望ましいです。
「日本産婦人科学会認定医」の肩書を持つ医師はアフターピルに関しての知見が豊富であるため、こちらもチェックしておきたいポイントです。
クリニックの評判・口コミをチェックする
公式サイトのデザインがよく聞こえのいい文言が書かれているクリニックでも、いざ口コミを見てみるとあまり評価が良くなかった…というケースは少なくありません。
公式情報を参考にしてクリニックを選ぶのはもちろん大切ですが、外部の口コミサイトに掲載されているクリニックを利用した人の声や評判はとても参考になります。
実際にアフターピルを処方された方の口コミを探してみてください。
料金を確認する
アフターピルは自由診療のため、クリニックによってピルの値段に差があります。
また、別診察料金や配送料がかかる場合もあります。診察料や配送料もクリニックによって異なり、選ぶクリニックによってトータル料金にとても大きな差が生まれるケースもあります。
アフターピルの料金だけでなく、診察料、配送料、その他の手数料についても調べておくようにしましょう。
対応時間とサポート体制を確認する
アフターピルを飲んだあとは、副作用の不安、本当に避妊に成功したかどうかの不安、どれくらいで避妊に成功したか分かるのかの疑問など、自分一人で抱えるのが難しい感情に襲われる方も少なくありません。
処方後も不安や疑問をサポートしてくれるサービスがあれば安心です。
診察後に気軽に問い合わせできる窓口が設置されているかどうか、対応してもらえる時間帯なども調べておくと安心です。
アフターピルの副作用
アフターピルは安全性の高い薬ではあるものの、副作用が報告されています。また、体調や体質によっては服用できない場合もあります。
アフターピルの服用で考えられる副作用、服用する際の注意点は次の通りです。
アフターピルの服用で報告されている副作用
副作用が起こる方の割合は全体の数%から十数%とされており、アフターピル服用の際の消退出血が起こった人の割合は全体の約30%でした1-3)。
アフターピル服用2日~2週間後に2~3日続けておこる少量の出血で月経とは異なるものです。
さらっとした鮮血、茶色いおりもの状であることも。薬の効果で薄くなった子宮内膜が剥がれ落ち起こります。消退出血があったとしても、避妊に成功していれば生理予定日に生理がきます。
詳しくは下記の記事で解説しています。
アフターピルを服用できない可能性のある人
上記に該当する方はアフターピルが利用できない可能性がありますので、処方前には必ず医師に相談するようにしましょう3)。
また、特定の薬やサプリを利用している人(抗けいれん剤、HIVプロアテーゼ阻害剤、非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤、セイヨウオトギリソウ含入食品等)もそれぞれの効果を打ち消し合ってしまう可能性があるため注意が必要です。
利用している場合は、必ず医師に相談してください。
アフターピルを吐き出してしまった場合¹⁾
アフターピルの副作用には吐き気や嘔吐が報告されています。
薬の服用後すぐに嘔吐してしまった場合、十分に薬が身体に吸収されていない可能性が考えられます。
薬が身体に吸収されるまでに2時間はかかるとされていますので、嘔吐を我慢するか、どうしても吐いてしまった場合はもう1錠薬を飲む必要があります。
費用はいくらかかる?
アフターピルは自由診療にあたるため、保険が適用されません。
クリニックによって料金にバラつきがありますが、相場は1~2万円程度で、ジェネリック医薬品(後発医薬品)の方が料金が安い傾向にあります。
ヤッペ法を用いるプラノバールであれば5000円~1万円と、ノルレボやエラと比べると安価です。
アフターピルのオンライン処方のメリット
アフターピルは、婦人科をはじめとする全国のクリニックで処方が受けられます。
ただ、中には「すぐには病院に行けない」「人に見られたくない」などの事情があり、来院できない・しにくい方もいます。
そんな方に向いているのがオンライン処方です。
オンライン処方とは、オンラインサービスを利用し、自宅で診察と薬の処方をしてもらえるサービスです。
アフターピルのオンライン処方には次のようなメリットがあります。
プライバシーが確保されている
ピルのオンライン処方は自宅でテレビ電話や電話などを用いて診察を行うため、病院側と自分以外の人にアフターピルの処方を知られずに利用できます。
完全にプライバシーを確保できる状態で診察できるのは、アフターピルをオンライン診察で処方してもらう上でのもっとも大きなメリットです。
直接病院や薬局に行かなくてもよい
オンライン処方は診察が自宅でできるだけでなく、アフターピルを自宅まで郵送してくれます。
病院や薬局に行く手間や精神的な負担が軽減され、移動や待ち時間も拘束されません。
薬の郵送には時間がかかるのでは?と心配に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、即日発送に対応しているオンラインクリニックが多くあり、都内を中心に当日配達を行っているクリニックもあります。
24時間対応している
アフターピルのオンライン処方を行っているクリニックでは、休日や24時間対応をしているクリニックもあります。
土日にアフターピルが必要になったけれど月曜日までクリニックへ行けない、そんな事態が回避できます。
特にアフターピルは72時間以内に薬を服用しなければならず、妊娠阻止率を上げるためにもできるだけ早い段階での薬の服用が望まれます。
申込みから受け取りまでの流れ
ここでは、アフターピルの申込みから受け取りまでの流れ、診察では何を聞かれるのか、ピルはいつ届くのかを解説します。
申し込み~ピル受け取りまでの流れ
クリニックの公式サイトやアプリから診察の予約をします。
専用フォーム、LINE、電話などクリニックによって予約方法は異なります。
予約時に必要なピルの種類を問われた際には、アフターピルを選択しましょう。
ピルのオンライン診察の前には、問診票への回答を求められます。
年齢、体調、基礎疾患の有無、服用中の薬や身体の状態など、ピルを処方しても良い状態にあるのか、どのようなピルを処方するかどうかの判断材料として用いられます。
テレビ電話や通話でオンライン診察が行われます。
予約時間になるとクリニック側から連絡が来て、問診やアフターピルの説明があります。
問診時に必ず聞かれる項目は以下のとおりです1)。
- 最後に妊娠の可能性のある行為をした日時と避妊方法
- 最終生理日
- 月経周期
上記の項目は、すぐに答えられるよう準備をしておきましょう。
支払い方法はクレジットカード、銀行振込、後払い、オンライン決済などクリニックにより異なります。
アフターピルがいつ届くのかはクリニックによって差があるもの、多くは診察や決済完了後、即日から翌日に発送されます。
診察の翌日から2、3日以内に手元に届くのが一般的です。
東京をはじめとする関東首都圏や大阪ではバイク便による特急便を選択できるクリニックがあり、その場合は最短当日に受け取れます。(別途料金が必要)
まとめ
アフターピルは服用が早ければ早いほど避妊阻止率が高くなるため、できるだけ早い処方が避妊成功のカギとなります。
すぐに病院に行けない方や病院に行きづらい方は、自宅に居ながら診察と処方をしてもらえるオンライン診察で迅速にアフターピルを処方・郵送してもらいましょう。
お薬には72時間高い効果が発揮できるものと120時間のものがありますが、72時間用のレボノルゲストレルやノルレボを取り扱っているクリニックが多いです。
すでに時間がたってしまっている方は120時間高い避妊効果が期待できるエラやエラワンを取り扱っているクリニックを探しましょう。
アフターピルは100%妊娠阻止できるわけではなく、稀ではありますが副作用なども報告されているため、服用後はしばらく不安な時間が続くかと思います。
そんな時には、オンラインクリニックに併設されているサポート窓口に相談もできます。
副作用や心配な方は、あらかじめアフターフォローが充実しているオンラインクリニックを選ぶようにしましょう。
クリニックを選ばれる際にはぜひ今回ピックアップしたオンラインクリニックを参考にしてみてください。
アフターピルでよくある質問Q&A
さいごに、アフターピルに関してよくある質問に回答します。
参考文献
1) 緊急避妊法の適正使用に関する指針(平成 28 年度改訂版)日本産科婦人科学会 編https://www.jsog.or.jp/activity/pdf/kinkyuhinin_shishin_H28.pdf
2) 日産婦誌59巻9号研修コーナー 緊急避妊法
http://fa.kyorin.co.jp/jsog/readPDF.php?file=to63/59/9/KJ00004974374.pdf
3) ノルレボ錠 0.75mg(レボノルゲストレル)株式会社そーせい
https://www.pmda.go.jp/drugs/2011/P201100047/39014900_22300AMX00483000_K102_1.pdf
4) 医薬品等を海外から購入しようとされる方へ |厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/kojinyunyu/index.html