その貧血、子宮筋腫が原因かも?子宮筋腫で起こる症状について解説!

貧血 女性

おはようございます。院長の石川(産婦人科専門医)です。

患者さん

「なんだか最近とてもフラフラする。」

患者さん

「家事をしているだけで息が上がって血の気がひいていく…。」

このような症状にお悩みではないですか?その症状、貧血によるものかもしれません。貧血と一口に言っても原因はさまざまなのですが、貧血に、子宮筋腫が関係しているかもしれません。

「筋腫って健診で見つかって様子見でいいって言われるやつじゃないの?子宮筋腫でどうして貧血になるの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。子宮筋腫は、産婦人科領域で最もよく出会う腫瘍であり、病理組織学的には良性です。しかし、だからと言って何も害のない病気ではないのです。

良性というのは、いわゆる「癌」などの悪性腫瘍と異なり、増殖・浸潤してどんどんと増え、命に関わる病気ではないというだけです。子宮筋腫も大きくなっていくことがあり、増大することによる症状(頻尿など)や、月経関連の症状、妊娠出産への悪影響を及ぼす可能性があります。

院長

今回はそんな子宮筋腫について、性質から症状、検査と治療法までわかりやすくまとめてみたいと思います。

目次

子宮筋腫とは、女性に最も多い良性腫瘍

子宮筋腫 イラスト

さて、子宮筋腫とは一体どのような病気でしょうか。

子宮筋腫とは、子宮の平滑筋細胞に由来する良性腫瘍です1) 。骨盤部分にできる腫瘍の中で最もポピュラーな腫瘍です。腫瘍というのは、ある細胞・組織が増殖して塊を作っていく病気のことで、良性腫瘍と悪性腫瘍に分かれます(たまに境界悪性も)。

良性か悪性かの違いは、増殖の異常さ、細胞の異型(顕微鏡で見ると顔つきが悪くなっていること)、周囲の臓器への浸潤や遠隔転移などの性質で分けられると思っていただければ大丈夫です。

子宮筋腫は、良性腫瘍に属し、最も頻度の高い疾患です。良性であり大きくなるのがゆっくりなぶん、正確な頻度は明らかではないのですが、妊娠可能な年代の女性の20〜30%に認めます2)

発育がゆっくりであり、すぐには症状も出ないので、多くの場合は別の病気に関して受診した際に行なった検査で、たまたま見つかります。また、子宮頸がん検診などを利用されている方は、その際に疑われることもあるでしょう。

エストロゲン(女性ホルモンの一種)に反応し、妊娠可能な年齢期に増大し、閉経後に小さくなっていく傾向があります。

子宮筋腫は出来る場所によって3種類あります。

子宮筋腫はできる場所によって分類することができます。

  1. 漿膜下筋腫
  2. 筋層内(壁内)筋腫
  3. 粘膜下筋腫

他にも、子宮頸部と体部で分けることもできます。

  • 漿膜下筋腫

子宮筋腫のうち、10〜20%程度を占めます。子宮の外寄り、漿膜という一番外側にある膜の、すぐ内側に発育するものを指します。月経関連症状などは起こさないことが多いタイプですが、グルンとねじれる茎捻転を起こすと、急激な腹痛を生じる可能性があります。

  • 筋層内(壁内)筋腫

子宮筋腫のうち、70〜80%程度を占めます。子宮筋層の内部に発育するものを指します。3つの中で最も多く、さらに多発しやすいタイプです。そのため、下腹部膨満感や頻尿といった圧迫症状が出やすくなります。

  • 粘膜下筋腫

子宮筋腫のうち、5〜10%程度を占めます。子宮の内寄り、子宮内膜のすぐ内側に発育するものを指します。子宮内膜と近いため、出血などを起こしやすく、月経関連の症状が最も強いタイプです。後ほど述べますが不妊の原因にもなりやすいです。

子宮筋腫が原因で起こる症状

過多月経 イラスト

難しい分類よりも、どんな症状があれば子宮筋腫を気にすればいいの?と思われる方もいらっしゃると思います。ここからは、子宮筋腫が原因で引き起こされる症状について詳しく解説していきます。

大事な基本として、子宮筋腫の約半数は無症状で経過します。ただ、筋腫のできる場所や大きさなどにより、様々な症状を生じるようになる可能性があります。

まずはじめに結論として、3大症状は以下の3つです。

  • 過多月経
  • 月経困難症
  • 不妊

他にも尿路系の症状や、貧血などが挙げられます。詳しくみていきますが、子宮自体の症状と、周辺臓器の症状とに分けて考えてみましょう。

子宮自体に関連する症状

先ほど述べたように、子宮関連の症状を起こしやすいのは粘膜下筋腫です。これは子宮の内側、子宮内膜のすぐ下にできるタイプの筋腫ですが、筋腫によって子宮内膜が引き伸ばされて薄くなることで、出血しやすくなります。また、筋腫自体もうっ血しているので出血が多くなりやすく、過多月経や不正性器出血の原因となります。

月経量が増加すればそれだけ血液を失ってしまうので、貧血が生じます。体は血を補うために赤血球を増産するように働きますが、鉄分の摂取が十分でないと赤血球を作ることができませんから、鉄欠乏性貧血になります。

また、筋腫を子宮から排除しようと子宮が収縮することで月経痛が強くなり、ときには陣痛のような下腹部痛が生じたり、筋腫が子宮から出てくる筋腫分娩という症状が起こったりします。

大まかな症状は以上のようになり、そのほかに以下のような症状が生じる可能性があります。

  • 過多月経
  • 不正性器出血
  • 帯下の増加
  • 月経困難症(月経痛が強いなど)
  • 過長月経
  • 陣痛様の下腹部痛
  • 筋腫分娩
  • 茎捻転→急性腹症、ショック1, 2)  

周囲の臓器に関連する症状

子宮筋腫が大きくなっていく過程で、周囲の臓器にも影響を及ぼし始めます。子宮は骨盤の真ん中にあり、その前には膀胱、後ろには直腸といったように、さまざまな臓器に取り囲まれています。

そのため、筋腫の増大により周囲の臓器を圧迫することでさまざまな症状が引き起こされます。例えば、膀胱が圧迫されることで尿を溜めにくくなり頻尿になったり、残尿感を感じたります。

膀胱の手前、尿管が圧迫された場合には、膀胱まで尿を運ぶことができずに、うっ滞してしまい尿閉、水腎症になります。直腸を圧迫することで、便秘の原因にもなります。

また、骨盤の背側には腰仙骨神経叢という神経が集まっている部分があり、ここを圧迫することで腰痛を引き起こすこともあります。このように、圧迫する部分により以下のような広い症状が起こります。

  • 頻尿
  • 残尿感
  • 尿閉
  • 水腎症
  • 便秘
  • 排便痛
  • 腰痛
  • 下腹部圧迫感1, 2)  

妊娠と関連する症状

妊婦

子宮の病気ですから、妊娠に関して一番気になるという方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

子宮筋腫は、妊娠に関してもさまざまな症状を引き起こす可能性があります。まず、筋腫により子宮の中が変形している場合には、不妊(赤ちゃんができない)の原因になります。また、それ以上に関連性が高いのが流産 3) です。

妊娠中に切迫流早産、胎位異常、前置胎盤、常位胎盤早期剥離など、様々な影響を及ぼします。さらに、分娩時には陣痛異常、異常出血などを生じたり、産褥期にも腹痛や悪露排出障害を及ぼす可能性があります4)

子宮筋腫と合併することが多い病気

子宮筋腫は単体だけでなく、他の疾患と合併して生じることもあります。

特に多いのが、子宮内膜症子宮腺筋症です。子宮内膜症とは、子宮内膜類似の組織が子宮外にできることで悪さをする疾患であり、子宮筋腫の約20%に子宮内膜症が合併していると言われています2)。子宮腺筋症とは、子宮内膜類似の組織が子宮の内面だけでなく厚い筋肉の中にまでできる疾患であり、これも子宮内膜症と同じように子宮筋腫と高頻度に合併します。

子宮筋腫と似た症状が出る病気

子宮筋腫の診療において、鑑別しなければならない疾患がいくつかあります。

子宮腺筋症、子宮内膜ポリープ、子宮体癌、子宮肉腫などがその代表です。以下に症状ごと、部位ごとの鑑別疾患の例を並べてみます。

症状別の鑑別疾患

過多月経:子宮腺筋症、子宮内膜ポリープ、血液凝固異常 など

不正性器出血:子宮内膜増殖症、子宮内膜癌、子宮頸がん、絨毛性疾患 など

月経困難症:子宮腺筋症、子宮内膜症、原発性月経困難症 など

圧迫症状:充実性卵巣腫瘍、子宮平滑筋肉腫 など

部位ごとの鑑別疾患

漿膜下筋腫:充実性卵巣腫瘍、子宮形態異常 など

筋層内筋腫:子宮腺筋症、子宮平滑筋肉腫、進入奇胎 など

粘膜下筋腫:子宮内膜ポリープ、子宮内膜癌、子宮内膜間質肉腫、子宮癌肉腫 など 

これらの、さまざまな鑑別疾患を内診、超音波検査(経腹、経膣)、MRI検査などを駆使しながら診断を進めていきます。

筋腫が見つかったら?

告知 女性

子宮筋腫があると言われたらどうしたらよいのでしょうか?

子宮筋腫が見つかっても、症状が無くそれほど大きくなければ、多くの場合には治療を必要としません。厳密なルールはありませんが、一つの目安としては、だいたい握りこぶしよりも大きいかどうかが分かれ目になります5)

定期的に検診を受けていただき、どんどん大きくなってくるようであれば治療を考慮します。また、先ほど述べたような症状が出始めた場合にも、治療の適応となります。

定期検診は各国のガイドラインにもよりますが、6〜12ヶ月毎が提案されています6) 。似た症状が出る病気に悪性疾患もありますので、最初は2, 3ヶ月といった短いスパンで経過観察し始め、落ち着いているようなら6ヶ月、12ヶ月と伸ばしていくのがよいでしょう。

治療については別の記事で詳しく解説しています。大まかにまとめると、

  • 薬物療法
    1. 偽閉経療法/GnRH(ゴナドトロピン放出ホルモン)アゴニスト療法:「女性ホルモンを分泌させるホルモンを分泌あるいは中断させる薬剤」によって、卵巣のエストロゲン産生を抑えて筋腫の縮小を目指す方法です。
    2. 対症療法:貧血に対して鉄剤を内服したり、月経痛に鎮痛薬を内服したり、月経困難症状に対してホルモン製剤を使用したりして症状の改善を図ります。
  • 手術療法
    1. 筋腫核出術:筋腫のみをくり抜いて摘出する方法です。
    2. 子宮全摘術:子宮全体を摘出することで根治が望める手術です。

といった治療が挙げられます。

それぞれにメリットとデメリットがありますので、症状の強さや筋腫の大きさ、今後の妊娠の予定などに合わせて、担当医と相談しながらプランを考えていく必要があるでしょう。

妊娠希望がある女性の治療 

妊婦 家族

近年、晩婚化および晩産化が進んでいることにより、ちょうど妊娠を希望する年齢と子宮筋腫ができやすい年齢が重なってきています8) 。 妊娠を希望する状態で子宮筋腫の治療を行う場合、薬物療法と筋腫核出術が候補になります。

ただ、子宮にメスを入れるとなると分娩時の子宮破裂のリスクが上がるため、自然分娩が選択できずに帝王切開が必要になることもあります。そのため、今すぐにでも妊娠したいというわけでなければ、まずはGnRHアゴニストなどの薬物療法を行い、筋腫の縮小を目指すのがよいでしょう。

また、子宮頸部(入口付近)の筋腫や粘膜下筋腫であれば、膣式もしくは子宮鏡式筋腫核出術が選択でき、子宮破裂のリスクを抑えることができます。しかし、手術を行なった場合には、術後3〜6ヶ月は避妊期間をもうける必要があります4)

子宮筋腫以外の不妊因子がないかも確認しながら、妊娠スケジュールを考えて、パートナーや担当医と治療を作り上げていく必要があります。

まとめ

今回は子宮筋腫の概要、とくに症状などについて解説してきました。子宮筋腫は子宮平滑筋から発生する良性腫瘍であり、基本的には経過観察可能ですが大きくなってきたりさまざまな症状を生じる可能性があります。

主な症状には、過多月経、月経困難症、貧血、頻尿、不妊などがあります。症状が出てくるようになれば、内服や手術といった治療を考えていく必要があります。

健診で突然指摘されたり、全然関係ないと思っていた症状と関連しているかもしれなかったりと、不安になる要素が多くあると思います。わからないことがあれば、ぜひ一度産婦人科で相談してみることをおすすめします。

参考文献

  1. NEWエッセンシャル産科学・婦人科学. 第3版. 池ノ上克ら. 医師薬出版. 2007. 
  2. 病気が見える vol.9 婦人科・乳腺外科. 第3版. 医療情報科学研究所 編. メディックメディア. 2016. 
  3. Elizabeth A Pritts, et al. Fibroids and infertility: an updated systematic review of the evidence. Fertil Steril 91(4):1215-1223, 2009. doi: 10.1016/j.fertnstert.2008.01.051.Epub 2008 Mar 12.
  4. 産婦人科診療ガイドライン婦人科外来編2020. 2020年. https://www.jsog.or.jp/activity/pdf/gl_fujinka_2020.pdf
  5. 産婦人科診療ガイドライン産科編2020. 2020年.  https://www.jsog.or.jp/activity/pdf/gl_sanka_2020.pdf
  6. George A Vilos, et al. The management of uterine leiomyomas. J Obstet Gynecol Can 37(2):157-178, 2015. doi: 10.1016/S1701-2163(15)30338-8.
  7. 母子保健の主なる統計ー令和3年度. 2021.
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