この記事の執筆者

石川 聡司
(新さっぽろウィメンズ ヘルス&ビューティークリニック 院長)
北海道大学医学部卒業後、北海道大学病院、帯広厚生病院など地域の中核病院に勤務。品川美容外科にて美容外科医として3年間の研鑽を積み、2021年に婦人科・美容外科を併設した当院を開業。
婦人科全般の診療のほか、美容医療では美肌治療、美容整形をはじめ脱毛・アートメイクなど幅広く対応する。
避妊インプラントとは?

避妊インプラントは一度挿入すると最長3年間、99%の避妊効果を発揮する『腕に埋め込むタイプ』の避妊具です。
二の腕の内側に挿入します。

一度の挿入で99%の避妊効果が3年間も??

他にも月経痛の緩和も期待できますよ。
血栓症のリスクも少ないですし、低用量ピルの服用が難しい方も使用可能です。

効果があって手軽に見えますが、腕を切るんですか?
ちょっと怖い・・

避妊インプラントの挿入は専用の器具で行います。
局所麻酔で行いますので、その時だけチクっとした痛みがあります。
挿入部分の縫合の必要はありませんが、数日間は挿入部の周りに内出血が発生することがあります。

あまり聞いたことがないけど、安全面とか、大丈夫ですか?

アメリカを始め、海外100カ国以上で使用されていて、安全性も効果も認められていますのでご安心ください。
他の避妊法との違い

避妊インプラントは、柔らかく小さな棒状のロッドを、二の腕の皮下に埋め込む避妊具です。
一度挿入すると、3年の間99%の高い避妊効果を発揮し、月経痛や過多月経などの改善も期待できます。
避妊インプラントには、エトノゲストレル(人工的に合成されたプロゲスチン=黄体ホルモン)が配合されており、3年かけて体内にホルモンを放出します。
エストロゲン(卵胞ホルモン)が含まれていないため、体質や生活習慣を理由にピルが服用できなかった方も使用が可能ですし、血栓症のリスクも低下します。

肥満の方は避妊インプラントによる効果期間が短くなる傾向がありますので、注意が必要です。
安全性の高いネクスプラノン

避妊インプラントは複数種類の製品が存在し、挿入するロッド(細い棒状の器具)の本数や効果が持続する年数は製品によって異なります。
避妊インプラントを検討されている方には、安全性と高い避妊効果が認められているネクスプラノン(NEXPLANON)をお勧めしています。
ネクスプラノンは、腕に入れるロッドの本数が1本のみで、最長3年間ホルモンを放出して体内のホルモンバランスをコントロールします。
アメリカの『FDA 』でも、その避妊効果が認められている薬剤です。

FDA(Food and Drug Administration)は、アメリカ合衆国保健福祉省に属する政府機関で、食品や医薬品、化粧品などの安全性や有効性を確保する役割を担っています。
日本の厚生労働省に似た役割です。
避妊の仕組み

避妊インプラントを挿入すると、主成分であるプロゲスチン(プロゲステロン)が作用し、妊娠を促す黄体形成ホルモン(LH)の分泌が抑制されます。
この働きにより、体内が妊娠しにくい状態に保たれます。
女性ホルモンの分泌がコントロールされることで、『排卵が抑制』→『子宮頸部の粘膜の粘度が薄くなる』→『精子の侵入を防ぐ』→『子宮内膜が薄くなる』→『着床しにくくなる』という流れが避妊インプラントの仕組みです。

避妊インプラントを除去すると、身体は徐々に元のホルモンバランスの分泌サイクルに戻り、1カ月ほどで妊娠可能な身体になります。
避妊インプラントのデメリット

- 不正出血、頭痛、乳房の張り
- 皮膚にメスを入れる必要がある
- 性感染症を予防できない
- 保険適用外
- 体重が増加する
- ニキビが増える

どのデメリットも一時的な場合がほとんどです。