長さ・太さ・左右のバランスなど、普段のメイクの中でもより繊細な作業が必要なアイライン。
「太くなりすぎてしまう」
「左右の長さに違いが出てしまう」
「汗をかくとパンダ目になってしまう」
そんなお化粧時の悩みや目のコンプレックスを解消するのがアイラインアートメイクです。
ここでは、アイラインアートメイクについて、失敗しないための注意点やアイラインアートメイクの値段相場、デザインやデメリットをまとめました。
また、ダウンタイムや除去についてもわかりやすく解説しています。これからアイラインアートメイクに挑戦する方は、是非参考にしてください。
この記事の執筆者
石川 聡司
(新さっぽろウィメンズ ヘルス&ビューティークリニック 院長)
北海道大学医学部卒業後、北海道大学病院、帯広厚生病院など地域の中核病院に勤務。品川美容外科にて美容外科医として3年間の研鑽を積み、2021年に婦人科・美容外科を併設した当院を開業。
婦人科全般の診療のほか、美容医療では美肌治療、美容整形をはじめ脱毛・アートメイクなど幅広く対応する。
アイラインアートメイクで失敗しないための5か条
アイラインアートメイクをするなら、失敗は絶対に避けたいところ。失敗のリスクを最小限に減らすには、事前のリサーチや準備は必須!です。
ここでは、最低限知っておきたい、アイラインアートメイクで失敗しない5か条を一つずつ確認していきましょう。
クリニックで医師または看護師に施術してもらう
アイラインアートメイクを契約するときは、医師または看護師に施術してもらえるクリニックを選びましょう。
アートメイクは皮膚に傷をつけながらインクを注入するもので、専門知識や高い技術力が必要です。
無資格者の施術によって身体に被害を受けた、という事例が報告されていることを受け、厚生労働省は2001年に下記見解を示しました。
以降、「アートメイクは医療行為」との解釈が徹底され、医師または看護師免許をもつ人による施術でなければ、その行為は医師法違反となります。
最近増えてきているのは、施術者経験や技術に応じたランクを、契約者が選べるというケースです。当然、経験が豊富で技術力の高い施術者ほど料金も高くなります。
一方、経験が浅い施術者ほど料金が低い傾向がありますが、失敗リスクを避けるため、いくら安くても低いランクの施術者は選ばないようにしたいところです。
眉アートメイクではそれほど問題になりませんが、アイラインアートメイクでは目の付近に施術をしますので、特に伴うリスクも高くなります。
アイラインアートメイクを受けるときは、クリニックを選ぶだけではなく、知識・経験数・技術力を見て契約場所を選択することで失敗のリスクを減らすことができます。
カウンセリングをしっかり受ける
施術を受ける前の丁寧なカウンセリングが、アイラインアートメイクの失敗リスクを減らします。
カウンセリングでは、通常、アレルギーの有無や既往歴、服薬の有無、お一人おひとりの肌の状態を目視で確認してから具体的なデザイン決定にうつりますので、デザイン前の問診・診察を簡潔に行うクリニックは信頼性に欠けます。
さらに、希望のデザインが施術者に伝わっていなければ「思い通りのデザインにならなかった」という失敗につながりかねません。
「カウンセリングの時間が極端に短い」
「カウンセリングを受けても不安が解消できない」
「思い通りのデザインが伝わったか心配」
上記のような場合は、施術を取りやめるのも一つの方法です。カウンセリングで直接アイラインアートメイクのデメリットを含む説明を聞き、デザインについても丁寧に話し合ったうえで、納得してから施術に望みましょう。
また、アイラインアートメイクの失敗例として「すっぴんのときに不自然になってしまった」というものがあります。
メイクをしていない状態でアイラインアートメイクを太く長いラインにしてしまえば、眉・まつ毛・唇などのほかのパーツとのバランスがとれないので、不自然になりがちです。
デザインの失敗をなくすため、すっぴんのときに希望のデザインのアイラインだけ引いてみるという方法が有効なので、カウンセリング前に自宅でシミュレーションしておきましょう。
二回以上施術を受ける
アイラインのアートメイクは、多くのクリニックが二回以上の施術を推奨しています。
アイラインだけでなく唇や眉など他の施術箇所でも同じで、アートメイクのインクは一回では定着しづらいという特徴があります。
これはターンオーバー(皮膚の代謝)の影響を受ける、皮膚のごく浅い部分への施術であることが理由です。
一回目で入れたすべての色が消えてしまうわけではなく、残る色素もあるので、一回目の傷が回復した状態のときに二回目の染料を注入することで、インクが定着しやすくなります。
二回コースではなく一回料金の設定がしてあるクリニックもあり、当然その方が安いのですが、色が薄くなったり、まだらになるリスクを回避するためにも、二回以上の施術を受けるようにしましょう。
花粉症の時期は避ける(花粉症の方)
アートメイク後は、施術箇所をこすったり刺激することは厳禁。目をこすると感染症の危険性も高まり、消えたりまだらになったりする可能性があります。
花粉症の時期には無意識に目をこすってしまうことがありますので、花粉症の症状がでる時期のアイラインアートメイクは避けましょう。
クリニックでも「花粉症の症状がでている方は、アイラインアートメイクは施術できない」としているところがほとんどです。
花粉症の方は花粉が飛ばない2月ごろまでに、二回目の施術・ダウンタイム(施術から1週間)が終わっているようにスケジュールを調整しましょう。
あくまでベースメイク感覚で
濃く太いアイラインをアートメイクでつくってしまうと、どうしてもすっぴんのときに浮いてしまいがち。アイラインのアートメイクは「ベースメイク」の感覚で施術を受けるのがおすすめです。
とくに初めてアイラインアートメイクをする方は、細く短めのデザインで施術を受けるようにすると失敗しづらい傾向があります。
一回目に細く短めのデザインで施術を受けても、二回目の施術で太く長めに修正することが可能ですが、太すぎる(または長すぎる)ラインは、二回目の施術で修正できません。
まずは、メイクのベースをつくるという感覚でアイラインアートメイクの施術を受けると、失敗リスクを減らせます。
アイラインアートメイクの値段相場
アートメイクの価格はクリニックによって大きく差がありますが、アイライン(上)の場合、二回の施術で¥70,000~90,000が相場です。
アイラインアートメイクの平均価格
施術箇所 | 一回のみ施術 | 二回施術 |
アイライン(上) | ¥48,167 | ¥83,594 |
アイライン(下) | ¥43,593 | ¥70,189 |
アイライン(上下) | ¥58,380 | ¥111,631 |
同じアイラインへの施術であっても、施術者のランクによって料金が異なるクリニックもあります。
上記の表の価格の半額以下であるなど、相場を大きく下回るような価格設定のクリニックは、安いインクを使用している場合や過去の施術数が極端に少ない場合があるので、避けるようにすると失敗リスクを減らせます。
アイラインアートメイクのデメリットはある?
目を大きく見せ、汗をかいても落ちないアイラインを手に入れられるアートメイク。ただ、アイラインアートメイクにはデメリットもあります。
- 痛みを感じやすい
- デザインによっては不自然に
- 二回以上の施術が必要
目元の皮膚は、薄くデリケートな場所。痛みの感じやすさや痛みへの耐性は個人差がありますが、眉アートメイクとくらべると痛みを感じやすい傾向があります。
ただ、アイラインアートメイクは麻酔を施してから施術するクリニックがほとんどなので、痛みに弱い方や痛みが心配な場合は、カウンセリングのときに話しておくと安心です。
また、先ほど触れましたが、濃すぎたり太すぎたりするデザインは不自然になりがちです。
とはいえ、このデメリットもカウンセリングや事前のシミュレーションなどで解消できるので、しっかり準備をしてから望みたいですね。
さらに、二回以上施術が必要なことは、二回目の施術で修正できるメリットもありますが、施術に充てる時間・クールダウンの手間・費用という面ではデメリットともなります。
捉え方は人それぞれですが、一度では完成しないことを留意しておく必要があります。
デザインはどんなものがある?
アイラインアートメイクのデザインは、目の上・目の下・上下の箇所に施術可能です。目指すデザインの写真をカウンセリングで見せたり、一人ひとりの顔に合わせてデザインを提案してもらったりもできます。
目の下だけのアイラインアートメイクは可能?
目の下だけのアイラインアートメイクも施術可能です。
目の下のアイラインは、長さや太さによっては不自然になりがちですが、適度なデザインはクールな印象をもたせることや目を大きく見せることができます。
目の下全体にアートメイクをするよりも「目尻だけ」「黒目の部分だけ」というデザインのほうが、より自然に目元を強調できるのでおすすめです。
クリニックによりますが、目の上だけの施術とくらべ、同価格かそれより低い価格で施術を受けられます。
目頭や粘膜へのアートメイクは可能?
目頭・粘膜へのアートメイクに関しては、クリニックにより意見が分かれるというのが現状です。
- アウトライン
まつ毛の生え際より外側・ラインの太さを好みに合わせて調節可能 - インライン
まつ毛の生え際・まつ毛の根元を埋めるように着色していくと自然に目が強調される - 粘膜
インラインより内側のピンクの部分・クリニックにより、インラインに含められることもある
まつ毛の生え際よりも内側(粘膜)にはマイボーム腺があり、涙の成分となる油を常に排出し目の表面を覆っている涙液の蒸発を防ぎます。
マイボーム腺の働きが妨げられると、涙の蒸発を防げずにドライアイの原因となります。
マイボーム腺の機能を低下させる可能性があるという理由から、粘膜や目頭への施術はおこなっていないクリニックが多くあります。
目頭・粘膜への施術の可否はクリニックにより異なりますので、事前に確認しましょう。
色はどうする?茶色(ブラウン)は可能?
アイラインアートメイクのインクの色は基本的には黒を使用して施術しますが、ダークブラウン・ブラウンなどの色を選ぶこともクリニックによっては可能です。
化粧で使用するアイライナーには、黒やブラウン以外にさまざまな色が販売されていて、凛とした印象をつくる青や血色感をだす赤のアイライナーを使用している方もいらっしゃいます。
一方、アートメイクのアイラインは、まつ毛を多く見せて目元を強調させる施術であるため、まつ毛の色に合わせるのが基本です。
そのため、基本的には黒、明るめの色でもダークブラウンやブラウンが使用されます。
失敗することはある?
アイラインアートメイクの「失敗リスク」として考えられるのは、身体的なリスクとデザインの失敗です。
身体的なリスク
アイラインへのアートメイクは眼球に近い場所への施術ということもあり、眉毛や唇といった他の箇所に比べ、より注意が必要な部位です。
身体へのリスクについて理解し、納得した上で施術をしましょう。
フリーペーパーの広告に載っていたエステサロンでアイラインのアートメイクをした。施術中に痛みがあり、痛いと言ったにもかかわらずそのまま施術された。終了後、軟膏のようなものを塗られ、視界が曇っていると言ったら、軟膏のせいだと言われ帰宅した。しかし、痛みと涙が止まらないので救急で眼科に行ったところ、角膜が傷ついていることがわかった。
出典:アートメイクの危害(国民生活センター資料)/厚生労働省
アートメイクの事故事例として国民生活センターに届いている相談は、眉とアイラインアートメイクの事例が多くあります。
その多くがサロンや美容院など、資格をもたない人による施術によるもの。アートメイクは必ず医師・看護師の資格者に施術してもらうようにしましょう。
デザインの失敗
皮膚が薄い場所であるまぶたはインクがにじみやすい傾向があり、アイラインアートメイクには高い技術力が必要です。
安さだけでクリニック選びをすると失敗リスクが高まるため、クリニックの症例数やデザイン力、技術力、診察の丁寧さや衛生面、施術者の経験など、価格だけではなく総合的に見て比較してみましょう。
アイラインアートメイク後の経過・ダウンタイム
アートメイクには「ダウンタイム」と呼ばれる、施術後の傷が落ち着くまでの期間があります。アイラインアートメイクの施術後の経過やダウンタイムについて、詳しく見ていきましょう。
腫れる可能性は?どのくらい・何日くらい腫れる?
アートメイクは医療用の針を使用してインクを注入するので、肌に細かな傷がつきます。
そのため、アイラインアートメイクをしたあとは、施術箇所に腫れ・かゆみ・赤みなどの症状がでるケースがあります。
腫れの度合いとして、よくいわれるのが「泣いたあとの腫れ」。個人差はありますが、その程度の腫れ具合と考えていただいて問題ありません。
施術後のまぶたの腫れは2・3日から、長くても1週間程度です。腫れ・かゆみ・赤みのある場合は、冷やすことで治まりやすいので、保冷剤を上手に利用しましょう。
※腫れやかゆみがひどい場合には、必ずクリニックに相談してください。
コンタクトはしてもいい?
施術中はコンタクトを外す必要があるので、普段度入りコンタクトを利用している方はメガネの持参を忘れないようにしましょう。
施術後は「直後または翌日からコンタクトをしても良い」というクリニックもありますが、雑菌が入って化膿したりインクが消えてしまったりする可能性があるため、施術箇所に強い刺激を与えることは厳禁です。
コンタクトのつけ外しの際にまぶたを抑える必要があることから、可能であれば1週間ほどはコンタクト装着は避けるのが無難といえます。
お化粧はいつからできる?
普段のお化粧を参考にデザインを考えていく目的で、施術当日は普段のメイクを通常通りしてくるよう推奨しているクリニックがほとんどです。
アイラインアートメイクの施術後は目以外のお化粧であれば翌日から可能ですが、クレンジングには毛穴の汚れを掻きだす成分が入っていて、色素が流れて消えてしまう可能性があります。
マスカラ・アイシャドウなどは落とすときにクレンジングをする必要があるため、避けましょう。
また、クレンジング時に、まぶたをこする(強い刺激を与える)ことになるため、目のまわりのお化粧は1週間程度我慢したほうが良いでしょう。
ファンデーションやアイブロウ、チークやリップなどは翌日からできますので、ダウンタイム中はベースメイクにとどめ、アイラインアートメイクの定着を図りましょう。
アイラインアートメイクを除去することはできる?薄くする方法は?
最後に、もしもアイラインのアートメイクを除去したくなったら、消したり薄くしたりできるのか解説します。
除去する方法
アートメイクの除去には、以下の4つの方法があります。
レーザー除去 | レーザーを当てて除去する |
切除 | 施術箇所を切り取る |
除去液 | インクの色素を除去する薬剤を注入する |
カモフラージュ | 肌色のインクを注入して目立たなくする |
アイラインの除去でよく利用されるのが、レーザーによる除去です。ただ、眼球に近いことから難しいとされ、除去には対応していないクリニックもあります。
また、除去の際のレーザーに毛根のメラニン色素が反応し、まつ毛が生えなくなってしまう可能性もあります。
薄くする方法
応急処置としてですが、アイラインアートメイクを薄くする方法もいくつかあります。
ダウンタイム後であれば、コンシーラーで隠すなどの方法があります。
なかでも舞台メイク用のコンシーラーは、油分がおおく汗や水で落ちにくいので、応急処置として使うことができます。
アートメイクを長持ちさせるため、アートメイク後はピーリング効果のある化粧品の使用を控える必要があります。
即効性のあるものではありませんが、これを逆に利用し、施術箇所の角質と一緒に色素を落とす方法もあります。
肌のターンオーバーを促すと細胞が生まれ変わり、アイラインアートメイクが次第に薄くなっていきます。
ターンオーバーを促すためには、栄養のとれた食事や睡眠、適度な運動などの健康的な生活が有効です。
アートメイクは、強く刺激を与えると薄くなる可能性があります。
ただし肌を傷つける可能性があるので、薄くするためにクレンジングやピーリング効果のある化粧品を使用してこするのはやめましょう。
また、ピーリング効果はありますが目に入り眼球を傷つける危険があるため、スクラブ入りの洗顔料はおすすめできません。
アートメイクの持ちは1~3年ほどであり、半年や数カ月で消えてしまうのは失敗であるといえます。基本的にアイラインアートメイクは、短くても1年は残ると思っていただきたいです。
除去はアートメイクの施術よりも肌への負担が大きく、料金も高い傾向があります。
着色するよりも消すほうがリスクが高いので、アイラインアートメイクをする際は、デザインの流行など2・3年後のこともよく考え、後悔しないアートメイクをしましょう。
アートメイクは皮膚表皮層から0.02~0.03mmの部分にニードル(針)を用いて人体に安全な色素を注入する医療美容技術です。日本では、アートメイクは医療機関で行わなければならない医療行為とされています。
アートメイク施術後および施術の1~2日後に以下のような副作用があらわれる可能性がございます。
- 腫れ、痛み
- アレルギー
- 出血、内出血
- かさぶた、赤み、熱感
- 色素のムラや変色、にじみ
- ケロイド
- ヘルペス、感染症、ケロイド
- 角膜損傷