「ほうれい線が目立ってきた」「顔のしわやくぼみが気になる」そんな方におすすめの治療がヒアルロン酸注射です。
メスを使わないため肌への負担がほとんどなく、ダウンタイムを気にせずにエイジングケアが。
今回は、ヒアルロン酸の効果や持続期間・適応部位・料金などについて詳しくお伝えしていきます。気になる副作用やリスクについてもまとめましたので、ぜひ施術を受ける際の参考にしてください。
この記事の執筆者
石川 聡司
(新さっぽろウィメンズ ヘルス&ビューティークリニック 院長)
北海道大学医学部卒業後、北海道大学病院、帯広厚生病院など地域の中核病院に勤務。品川美容外科にて美容外科医として3年間の研鑽を積み、2021年に婦人科・美容外科を併設した当院を開業。
婦人科全般の診療のほか、美容医療では美肌治療、美容整形をはじめ脱毛・アートメイクなど幅広く対応する。
ヒアルロン酸注射とは?
ヒアルロン酸を皮膚の真皮層に注入して、しわを目立たなくしたり、気になる部位をリフトアップさせたりする治療法です。
ヒアルロン酸は人間の体内にもともと存在し、肌のうるおいや弾力を保つために欠かせない成分。しかし、年齢を重ねるごとにその量は減少していきます。
そこで、外部からヒアルロン酸を注入することで、肌の水分量や弾力性を補い、若々しさを保つ効果が期待できるのです。
体内に注入しても、アレルギー反応を引き起こす心配はほとんどありません。また、痛みや肌への負担・ダウンタイムが少なく、気軽に受けられると人気です。施術時間は約10分〜30分とスピーディに完了します。
ヒアルロン酸注射の効果と打てる部位
ヒアルロン酸注射の主な効果と、適応可能な部位について解説します。
効果
- しわやくぼみの改善
しわやくぼみ・凹みを目立ちにくくする効果があります。ほうれい線やゴルゴライン・目元の小じわなどが気になる方には特におすすめです。また、目の下のクマ改善にも有効。くぼみを盛り上げてふっくらさせ、明るく若々しい印象に導きます。
- リフトアップ
加齢などによるたるんだ皮膚を持ち上げ、顔全体をリフトアップさせます。ピンポイントではなく、しわの原因となる複数の箇所に注入する方法です。立体的な印象になり、より自然な若返り効果が期待できます。
- 顔の輪郭形成
アゴやこめかみ・額などボリュームが足りない部分に注射して、顔にメリハリを出します。アゴへの注入は、横顔が美しく見えるEラインの形成に効果的です。こめかみへは、目元のたるみが気になるときや、目を大きく見せたいときに注入します。
額への注入は、しわの改善やハリ感アップ、また顔のシルエットが整い女性らしい印象に見せる効果が。鼻筋や鼻根に注入して、鼻のライン・高さを整えることも可能です。
- 唇をふっくらさせる
唇をボリュームアップさせ、色味や縦じわ・乾燥を改善します。ハリやツヤが出るため、女性らしく健康的な印象に。アヒル口やM字リップを形成したい場合にも有効です。
打てる部分
ヒアルロン酸は主に以下のような部位に注入できます。
- 額
- こめかみ
- 眉間
- 目尻
- 目の下
- アゴ
- 頬(ゴルゴライン)
- ほうれい線
- 口角(マリオネットライン)
- 唇
- 鼻筋、鼻根
このように、ヒアルロン酸注射によって、さまざまな顔の悩みを改善できます。
ただし、ヒアルロン酸にも多くの製品があり、それぞれ硬度や粒子の大きさなどが違うため、注入できる部位も異なります。硬いタイプは鼻・アゴや輪郭形成に、中間タイプは眉間や額・ほうれい線に、柔らかいタイプは目尻や頬周辺の細かいしわに使われるのが一般的です。
また、注入する量によっても、効果のあらわれ方は変わってきます。まずは、どの種類のヒアルロン酸を取り扱っているのか、自分の希望する部位に打てるのかを、クリニックのホームページなどで調べておくとよいでしょう。
ヒアルロン酸注射の効果が持続する期間は?
ほとんどの場合、施術後すぐに効果を実感でき、その後はゆっくりと体内に吸収されていきます。
吸収された後は元の状態に戻るため、「効果がなくなってきた」と気になり始めたら追加注入が必要です。適切なタイミングで施術を受けることで、効果を継続でき、良好な状態が保てるでしょう。
ヒアルロン酸注射の料金相場
注入量は部位や肌の状態によって異なります。1cc必要ない場合でも、基本的に他の人への使いまわしはできないため、1本分を購入するケースが多いでしょう。
1回の施術で1本すべて使いきれなかった場合は、他の部位への注入も可能です。(ただし、部位ごとの料金となっていることもあります。)また、別の日に同じ部位に追加注入するケースもあります。
クリニックよって料金設定や施術方法はさまざまですので、詳しくはホームページやカウンセリングで確認してください。
「効果なし」という声があるのはどうして?
ヒアルロン酸注射は即効性のある治療ではありますが、気になる部位を自然にボリュームアップして改善するのが特徴です。
そのため、劇的な変化はあらわれにくく、「効果がなかった」と感じる方も。また、部位によっては効果が分かりづらい場合もあります。 効果の感じ方・あらわれ方には個人差があることを理解しておきましょう。
保険は適用される?
美容医療におけるヒアルロン酸注射は、保険が適用されません。前述した、しわの改善や輪郭形成・唇のボリュームアップなどを目的とした治療は、すべて保険適用外の自由診療となります。
ヒアルロン酸注射のリスク・副作用
ここでは、ヒアルロン酸注射のリスクや副作用について解説します。
内出血
ヒアルロン酸注射の副作用で最も多いのが内出血です。皮膚の毛細血管に注射針があたるのが原因で、医師の技術にかかわらず一定の確率で発生します。通常は1週間程度で自然に消失するため心配はありません。気になる場合は、ファンデーションやコンシーラーでカバーも可能です。
赤み・腫れ
注入部位に発赤や腫れが生じることもあります。どちらも一時的なもので、数日で治まるでしょう。
できるだけ触ったり刺激を与えたりしないように注意してください。症状があるうちは、激しい運動やサウナなど体温が上がりやすい行動も避けたほうがよいです。
アレルギー反応
ヒアルロン酸はもともと体内に存在する成分のため、アレルギー反応が起こりにくいのが特徴ですが、絶対に起きないわけではありません。アレルギー反応が出た場合には、ヒアルロン酸を溶解して、必要に応じて薬を投与します。
とはいえ、クリニックで取り扱っているヒアルロン酸は高品質で安全性の高いものばかりなので、アレルギー反応が起こるケースはきわめて稀と言ってよいでしょう。
しこり・硬さ
注入直後はヒアルロン酸がまだ馴染んでいないため、しこりや硬さを感じる場合があります。通常は約1〜2週間で自然な仕上がりになりますので、様子をみてください。
また、まれに注入から数ヶ月〜数年たった後にしこりができるケースも。これは、ヒアルロン酸が完全に吸収されず、体内に残っているのが原因です。この場合にも、まずはしばらく様子を見ましょう。それでも気になるときは、ヒアルロン酸を溶解する注射によって改善が可能です。
チンダル現象
肌が青みがかって見える現象です。特に目の下など皮膚の浅い層へ多量にヒアルロン酸を注入すると発生しやすく、逆にクマが目立つようになります。ヒアルロン酸は自然と吸収されるため、それに伴い青みも消えていきますが、早く治したいのであれば一度ヒアルロン酸を溶かす必要があるでしょう。
塞栓症
頻度は非常に低いですが、ヒアロン酸注射による副作用として最も重大なものです。ヒアルロン酸が血管内に入ることにより動脈を塞栓し、血流がなくなるため、その部位の壊死をおこしてしまいます。
特に鼻根部や鼻翼基部(ほうれい線の付け根の部分)はリスクが高い部位とされており、目への動脈を塞栓してしまうことによる失明はもっとも重大な副作用と言って良いでしょう。
ヒアルロン酸注射は安全性が高くダウンタイムが少ない治療です。しかし、医療行為であるため、これらの副作用が起こる可能性はゼロではありません。トラブルを防ぐためにも、デメリットについてしっかりと理解しておきましょう。
ヒアルロン酸注射は痛い?
注射によるチクッとした痛みはあります。しかし、非常に細い針を使用するためほとんど痛みを感じない方も多いです。注入中は、肌が張る感覚が生じる場合はありますが、ヒアルロン酸に含まれる麻酔成分によって痛みが軽減。
ただし、痛みの感じ方には個人差があり、ヒアルロン酸の種類や注入部位によっても痛みの強さは変わってきます。どうしても不安なときは、麻酔クリームの使用も可能ですので、カウンセリング時にご相談ください。