「マンジャロを使って痩せたら、なんだか気分が落ち込むようになった」「以前よりイライラしたり、不安を感じたりするようになった」――このような変化が気になっていませんか?
マンジャロ(チルゼパチド)は、食欲を抑えたり、食事量を減らしたりすることで体重減少につながる薬です。一方で、体重が短期間で大きく減った場合には、食事量や栄養状態、睡眠、体調などにも変化が起こることがあります。
そのため、「マンジャロを使うと精神的に不安定になる」と単純に考えるのではなく、薬の作用だけでなく、急激な体重減少や食生活の変化、もともとのストレスや精神状態などを含めて考えることが大切です。
この記事では、マンジャロと精神状態の関係について、現在わかっていることを整理しながら、急激な体重減少がメンタルに与える影響や、使用中に気分の落ち込みや不安を感じたときに確認したいポイントについて、わかりやすく解説します。
この記事の執筆者

石川 聡司
(新さっぽろウィメンズ ヘルス&ビューティークリニック 院長)
北海道大学医学部卒業後、北海道大学病院、帯広厚生病院など地域の中核病院に勤務。品川美容外科にて美容外科医として3年間の研鑽を積み、2021年に婦人科・美容外科を併設した当院を開業。
婦人科全般の診療のほか、美容医療では美肌治療、美容整形をはじめ脱毛・アートメイクなど幅広く対応する。
マンジャロで痩せると精神的に不安定になる?
まず結論からいうと、マンジャロを使用して痩せたからといって、必ず精神的に不安定になるわけではありません。
マンジャロ(チルゼパチド)は、食欲や食事量に影響することで体重減少につながります。その一方で、使用中に「気分が落ち込む」「イライラする」「不安を感じる」などの変化があった場合には、薬だけを原因と考えるのではなく、体重の減り方や食事量、栄養状態、睡眠、体調なども含めて考える必要があります。
特に、短期間で体重が大きく減った場合には、これまでの食生活や生活リズムが大きく変化していることがあります。
「マンジャロ=メンタルに悪い」とは限りません
インターネットでは、「マンジャロを使ったらうつになった」「GLP-1を使ってから不安定になった」といった体験談を見かけることがあります。
しかし、薬を使用した後に精神的な変化が起こったことと、その変化が薬によって直接引き起こされたことは同じではありません。
例えば、
- マンジャロによって食欲が大きく低下した
- 食事量が減った
- 急激に体重が減少した
- 吐き気などの副作用で十分に食べられない
- 睡眠や生活リズムが変化した
- ダイエットそのものがストレスになっている
など、複数の要因が重なっている可能性があります。
そのため、精神的な変化が気になった場合には、「マンジャロのせい」とすぐに判断するのではなく、身体と生活にどのような変化が起きているのかを確認することが大切です。
患者さんマンジャロを始めてから痩せたんですが、最近ちょっと気分が落ち込みやすい気がします。薬のせいでしょうか?
Dr.石川マンジャロだけが原因とは限りません。食事量がかなり減っていないか、体重が急激に減っていないか、睡眠や体調に変化がないかなども一緒に確認してみましょう。
患者さん痩せたこと自体が、精神面に影響することもあるんですね。
Dr.石川そうですね。体重の変化だけでなく、食事や栄養、生活リズムなどが一緒に変わることで、心身の状態が変化することがあります。
マンジャロ(チルゼパチド)はどのような薬?
マンジャロは、チルゼパチド(tirzepatide)を有効成分とする注射薬です。
チルゼパチドは、食事をしたときに分泌される消化管ホルモンに関連するGIP受容体とGLP-1受容体の両方に作用する薬で、「GIP/GLP-1受容体作動薬」と呼ばれています。
GLP-1は、食後の血糖値を調整する働きに加えて、食欲や満腹感にも関係しています。GIPもインスリン分泌などに関与しており、チルゼパチドはこれらの作用を利用することで、血糖コントロールや体重減少につながります。
食欲や食事量にも影響する
マンジャロを使用すると、食欲が低下したり、少ない食事量でも満腹感を感じやすくなったりすることがあります。
その結果、
マンジャロを使用
↓
食欲・食事量が低下
↓
摂取エネルギーが減少
↓
体重が減少
という変化が起こります。
つまり、マンジャロによる体重減少には、単純に「脂肪を燃焼させる」というだけではなく、食欲や食事量が変化することも大きく関係しています。
ここが今回のテーマである「急激な体重減少とメンタル」を考えるうえで重要なポイントです。
マンジャロで食べられなくなりすぎることにも注意
食欲が抑えられることは、体重管理においてメリットになる一方、食事量が極端に減ってしまうと注意が必要です。
例えば、
- 以前より食事量が大幅に減った
- 食事を抜くことが増えた
- タンパク質を十分に摂れなくなった
- 水分が不足している
- 吐き気などで食事が十分に取れない
といった状態が続けば、体重だけでなく体調にも影響する可能性があります。
そのため、マンジャロを使用する場合は、「体重が減れば減るほど良い」と考えるのではなく、必要な栄養や水分を確保しながら、無理のないペースで体重を管理することが重要です。
患者さんマンジャロは脂肪を直接燃やして痩せる薬なんですか?
Dr.石川それだけではありません。食欲が抑えられたり、食事量が少なくなったりすることで、結果として摂取エネルギーが減り、体重減少につながります。
患者さんじゃあ、食べる量が減りすぎるのも良くないんですね。
Dr.石川はい。体重だけを見るのではなく、食事や水分をきちんと取れているか、体調に問題がないかも一緒に確認することが大切です。
マンジャロで体重が減る仕組み
マンジャロで体重が減る理由を理解するには、まず「なぜ食欲が変化するのか」を知っておくことが大切です。
マンジャロの有効成分であるチルゼパチドは、GIPとGLP-1という2種類の受容体に作用する薬です。これらのホルモンは、食事に伴うインスリン分泌や血糖値の調節に関わるだけでなく、食欲や満腹感にも関係しています。
そのため、マンジャロを使用すると、食事に対する欲求が弱くなったり、以前より少ない量で満腹感を得やすくなったりすることがあります。
食欲が抑えられることで自然と食事量が減る
マンジャロによる体重減少では、食べる量が減ることが大きなポイントです。
例えば、これまで1日3食しっかり食べていた人が、マンジャロを使用してから、
「以前ほどお腹が空かなくなった」
「一人前を食べきれなくなった」
「間食をしなくなった」
という変化を感じることがあります。
食事から摂取するエネルギーが少なくなれば、体に蓄えられているエネルギーが使われるようになり、結果として体重が減少していきます。
胃から腸への食べ物の移動にも関係する
チルゼパチドは、胃の内容物が腸へ移動する速度にも影響します。
食べたものが胃にとどまる時間が長くなることで、食後の満腹感が続きやすくなると考えられています。
ただし、この作用は一方で、吐き気、嘔吐、下痢、便秘などの消化器症状につながることがあります。
特に食欲が落ちているうえに、吐き気なども重なると、十分な食事や水分を取れなくなることがあります。
「体重が減ること」と「健康的に痩せること」は同じではない
ここで注意したいのが、体重の数字だけを見てしまわないことです。
マンジャロによって体重が減っていても、
- 必要な栄養を十分に取れているか
- 筋肉量が維持できているか
- 水分が不足していないか
- 強い疲労感がないか
- 睡眠に問題がないか
などを確認する必要があります。
特に今回のテーマである「精神的な不安定さ」を考える場合、単純に「マンジャロを使ったから気分が変化した」と考えるのではなく、食事量の減少や急激な体重変化によって身体全体にどのような変化が起きているのかを見ることが重要です。
患者さんマンジャロを使ってから、あまりお腹が空かなくなりました。
Dr.石川それはマンジャロの作用の一つです。ただ、食欲が落ちすぎて食事がほとんど取れなくなっていないかは確認しましょう。
患者さん体重が減っているから、たくさん食べなくても大丈夫だと思っていました。
Dr.石川体重が減ることだけが大切ではありません。必要な栄養や水分を確保しながら、体調を保って減量することが大切ですよ。
急激に痩せると精神的に不安定になることがある?
「マンジャロで急激に体重が減ったら、精神的に不安定になるのでは?」と心配する方もいるかもしれません。
ただし、急激な体重減少そのものが、必ず不安や抑うつを引き起こすわけではありません。
一方で、短期間に体重が大きく減ると、食事量や栄養状態、体の水分量、睡眠、体力などが同時に変化することがあります。こうした身体的な変化が、結果として「疲れやすい」「集中できない」「イライラする」といった精神面の変化として感じられることはあります。
食事量が大きく減ることによる影響
マンジャロを使用すると食欲が低下し、以前より食べる量が少なくなることがあります。
適切な減量であれば問題ありませんが、食事量が極端に減ってしまうと、必要なエネルギーや栄養素を十分に摂取できなくなる可能性があります。
すると、
- 疲労感が強くなる
- 集中力が落ちる
- 体がだるく感じる
- イライラしやすくなる
などの変化を感じることがあります。
もちろん、これらの症状が出たからといって、必ず「栄養不足が原因」とは限りません。睡眠不足やストレス、別の病気など、さまざまな原因が考えられます。
脱水や体調不良にも注意
マンジャロの使用中には、吐き気や嘔吐、下痢などの消化器症状が起こることがあります。
こうした症状が続くと、食事だけでなく水分も十分に取れなくなり、脱水につながることがあります。
脱水や体調不良によって、
「なんとなく頭がぼんやりする」
「体が重い」
「集中しにくい」
と感じることもあります。
そのため、「精神的に不安定になった」と感じたときには、心の状態だけを見るのではなく、食事や水分が十分に取れているか、体調に変化がないかも確認することが大切です。
急激な減量では「体重以外」も確認する
ダイエットでは、どうしても「何kg減ったか」に注目しがちです。
しかし、健康状態を考えるなら、
- 体重の減少速度
- 食事量
- 水分摂取量
- 筋肉量
- 疲労感
- 睡眠
- 気分や精神状態
などを総合的に見る必要があります。
「体重が順調に減っている=体の状態も必ず良好」とは限りません。
特に、急激な体重減少に加えて強い倦怠感や気分の落ち込みなどが続いている場合には、自己判断で我慢せず、処方医に相談することが大切です。
患者さんマンジャロでかなり痩せたんですが、最近ちょっと疲れやすくて、イライラすることも増えました。
Dr.石川体重だけでなく、最近の食事量や水分、睡眠もしっかり確認してみましょう。急に食べる量が減っていないか、吐き気などが続いていないかも重要です。
患者さん精神的な問題だと思っていましたが、体の状態も関係するんですね。
Dr.石川そうです。心と体は別々ではありません。気分の変化があったときには、身体面も含めて原因を考えることが大切ですよ。
「マンジャロが精神を不安定にする」と言われる理由
インターネットやSNSでは、「マンジャロを使ってから気分が落ち込んだ」「不安が強くなった」「精神的に不安定になった」といった体験談を目にすることがあります。
こうした情報を見ると、「マンジャロには精神状態を悪化させる作用があるのでは?」と心配になるかもしれません。
しかし、ここで大切なのは、薬を使い始めた後に症状が起こったことと、その症状が薬によって直接引き起こされたことは同じではないということです。
体験談だけでは原因を判断できない
例えば、マンジャロを使い始めた後に気分の落ち込みを感じたとしても、その時期に、
- 急激に体重が減った
- 食事量が大幅に減った
- 吐き気や倦怠感があった
- 睡眠時間が変わった
- 仕事や家庭でストレスがあった
- もともと不安や抑うつ症状があった
など、別の変化が同時に起きていた可能性があります。
そのため、「マンジャロを使った後に気分が落ち込んだ」という事実だけから、「マンジャロが原因で精神状態が悪化した」と結論づけることはできません。
「薬の作用」と「痩せる過程」を分けて考える
マンジャロについて考えるときには、次の2つを分けて考えることが重要です。
① マンジャロそのものによる影響
薬の作用や副作用として、どのような症状が起こり得るのかを確認します。
② マンジャロによって起こった身体の変化
食欲が低下する
↓
食事量が減る
↓
体重が減少する
↓
栄養状態や体調、生活リズムなどにも変化が起こる
このような過程を通じて、精神的な変化を感じている可能性もあります。
つまり、「マンジャロで精神的に不安定になった」という場合でも、薬そのものだけでなく、薬によって起こった身体や生活の変化まで含めて考える必要があります。
では、精神的な変化は気にしなくてもいい?
もちろん、そういう意味ではありません。
マンジャロを使用していて、明らかに気分や精神状態が変化した場合には、その変化を軽視しないことが大切です。
特に、
- 気分の落ち込みが続く
- 強い不安を感じる
- 眠れない状態が続く
- 日常生活や仕事に支障が出ている
- 食事や水分が十分に取れない
といった場合には、処方している医師に相談しましょう。
「薬のせいかもしれない」「気のせいかもしれない」と自己判断して、そのまま我慢する必要はありません。
患者さんSNSで、マンジャロを使ったら精神的に不安定になったという人を見ました。私も少し不安です。
Dr.石川そうした体験談はありますが、それだけでマンジャロが原因だと判断することはできません。薬を始めた時期に、食事量や体重、睡眠、体調などがどう変わったのかも確認する必要があります。
患者さんもし実際に気分が落ち込んできたら?
Dr.石川症状が続いたり、生活に支障が出たりする場合は、薬のせいだと決めつけず、まず相談してください。必要に応じて薬の使い方や体調を確認していきましょう。
急激な体重減少と「脳・心」の関係
急激に体重が減ったとき、「痩せたから気分が不安定になった」と感じることがあります。
ただし、体重が減少したこと自体が直接、精神状態を悪化させると単純に考えることはできません。
むしろ、体重が減る過程で起こる食事量や栄養状態、睡眠、体調などの変化が、心身の状態に影響する可能性があります。
脳もエネルギーを必要とする
脳は、体の中でも多くのエネルギーを消費する器官です。
極端な食事制限によって摂取エネルギーが大きく不足すると、体はエネルギー不足の状態になります。
その結果として、
- 疲れやすい
- 集中しにくい
- 頭がぼんやりする
- 眠気を感じる
- イライラする
などの不調を感じることがあります。
ただし、こうした症状があれば必ず「脳のエネルギー不足」が原因というわけではありません。睡眠不足、脱水、血糖値の変化、ストレスなど、さまざまな要因が考えられます。
血糖値の変化も確認したいポイント
マンジャロは血糖値を下げる作用を持つ薬です。
特に糖尿病の治療で使用している場合には、他の糖尿病治療薬との組み合わせなどによって、低血糖に注意が必要になるケースがあります。
低血糖では、
- 冷や汗
- 手の震え
- 動悸
- 強い空腹感
- 集中しにくい
- ぼんやりする
などの症状が現れることがあります。
「精神的におかしくなった」と感じていても、実際には血糖値の変化など身体的な原因が隠れている可能性もあるため、症状がある場合には自己判断せず医師に相談することが大切です。
睡眠や疲労もメンタルに影響する
急激な減量中は、食事だけでなく生活リズムが変化することもあります。
例えば、食事量が大きく減って体力が落ちたり、吐き気などの副作用で睡眠が妨げられたりすると、日中の疲労感が強くなることがあります。
睡眠不足や慢性的な疲労は、気分や集中力にも影響します。
そのため、
「マンジャロを始めた → 気分が落ち込んだ」
という時間的な関係だけを見るのではなく、
「マンジャロを始めた → 食事量が減った → 体重が急に減った → 疲れや睡眠の変化が出た → 気分にも変化を感じるようになった」
という可能性も含めて考えることが重要です。
患者さん最近、頭がぼんやりしたり、イライラしたりすることがあります。精神的な問題でしょうか?
Dr.石川精神面だけとは限りません。食事量や水分、睡眠、体重の減り方、血糖値なども確認してみましょう。
患者さんなるほど。気分の問題だと思っていた症状にも、体の状態が関係していることがあるんですね。
Dr.石川そうですね。心と体は密接に関係しています。特に急激に痩せている場合は、体重だけでなく全身の状態を見ることが大切です。
マンジャロで「気分が落ち込む」ときに確認したいこと
マンジャロを使用しているときに、「最近なんとなく気分が落ち込む」「以前よりイライラする」と感じたら、すぐに薬だけを原因と考えるのではなく、体重や食事、睡眠、体調などに変化がないかを確認してみましょう。
特に、次のようなポイントが参考になります。
① 食事量が減りすぎていないか
マンジャロを使用すると食欲が低下するため、以前より食べる量が減ることがあります。
適度な食事量の減少は体重管理につながりますが、ほとんど食べられない状態が続く場合は注意が必要です。
「1日を通してほとんど食べていない」「食事をするのがつらい」という状態になっていないか確認しましょう。
② 体重が短期間で急激に減っていないか
体重が順調に減っていることを喜ぶあまり、減量のスピードを気にしなくなってしまうことがあります。
しかし、短期間で大きく体重が減っている場合には、食事量や水分量などにも大きな変化が起きている可能性があります。
「何kg減ったか」だけではなく、「どのくらいの期間で減ったのか」も確認することが大切です。
③ 水分は十分に取れているか
食事量が減ると、それに伴って水分摂取量まで減ってしまうことがあります。
また、吐き気、嘔吐、下痢などがある場合には、水分が失われやすくなります。
脱水によって体調が悪くなると、疲労感や集中力の低下などを感じることもあります。
④ 睡眠に変化はないか
「マンジャロを始めてから眠りが浅くなった」「夜中に目が覚める」など、睡眠に変化がないかも確認してみましょう。
睡眠不足が続けば、日中の疲労感だけでなく、気分や集中力にも影響することがあります。
⑤ 吐き気や胃腸症状が続いていないか
マンジャロでは、吐き気、下痢、便秘などの消化器症状がみられることがあります。
症状が強く、十分な食事や水分を取れない状態が続いている場合には、単純な「メンタルの問題」と考えず、身体的な状態についても医師に相談しましょう。
⑥ もともとのストレスや精神状態に変化はないか
精神的な変化は、薬や体重だけで決まるものではありません。
仕事や家庭、人間関係などのストレス、生活環境の変化なども影響します。
また、マンジャロを始める前から不安や気分の落ち込みがあった場合には、それらが重なっている可能性もあります。
そのため、「マンジャロを始めたから精神状態が悪くなった」とすぐに結論づけず、使用前と現在を比較してみることも大切です。
患者さん最近ちょっと気分が落ち込むので、マンジャロをやめたほうがいいでしょうか?
Dr.石川まずは、食事量や体重の減り方、水分、睡眠、吐き気なども確認しましょう。精神的な変化の原因は一つとは限りません。
患者さん薬だけを見るのではなく、体全体を見るんですね。
Dr.石川その通りです。特に急激に体重が減っている場合は、体調も含めて確認することが大切です。気になる症状が続く場合は、自己判断で薬を中止したりせず、処方医に相談してください。
「痩せれば痩せるほど健康」とは限らない
マンジャロを使っていると、体重が減ることが目に見えて分かるため、「もっと痩せれば、もっと健康になれる」と考えてしまうことがあります。
しかし、健康状態は体重の数字だけで判断できません。
特にマンジャロを使った減量では、体重がどのくらい減ったかだけでなく、食事や体調、筋肉量なども含めて確認することが大切です。
体重が減っていても、体調が悪いことはある
例えば、短期間で体重が大きく減っていても、
- 食事がほとんど取れない
- 水分が不足している
- 強い倦怠感がある
- 筋肉量が減っている
- 吐き気や下痢が続いている
- 睡眠の質が低下している
といった状態であれば、「健康的に痩せている」とは単純に判断できません。
体重計の数字だけでは、こうした変化までは分からないからです。
筋肉量にも目を向ける
ダイエットでは脂肪を減らすことが重要ですが、体重が減る過程では脂肪だけでなく、除脂肪量も減少することがあります。
筋肉量が大きく減ってしまうと、体力や日常生活にも影響する可能性があります。
そのため、マンジャロによる減量中も、十分なタンパク質を含むバランスのよい食事や、無理のない運動を意識することが大切です。
もちろん、具体的な食事量や運動内容は、年齢や体格、持病などによって異なります。必要に応じて医師や管理栄養士などに相談するとよいでしょう。
「何kg痩せたか」だけではなく「どう痩せたか」
健康的な体重管理を考えるときには、
体重の変化
+
食事の内容・量
+
筋肉量や体力
+
睡眠
+
日中の体調
+
精神状態
を総合的に見ることが重要です。
特に今回のテーマである「精神的な不安定さ」についても、体重だけを追いかけて無理な減量を続けるのではなく、心身ともに無理なく続けられているかを確認することが大切です。
患者さんマンジャロで体重が減っているので、もっと減らしたほうがいいですよね?
Dr.石川体重の数字だけで判断するのはおすすめできません。食事がきちんと取れているか、体力や筋肉量に問題がないか、体調や気分はどうか、といった点も大切です。
患者さん痩せることだけを目標にしないほうがいいんですね。
Dr.石川はい。大切なのは、体重を減らすことだけではなく、健康な状態を維持しながら適切に体重を管理することです。
マンジャロ使用中に精神的な変化があったらどうする?
マンジャロを使用している中で、「最近気分が落ち込む」「不安を感じやすくなった」「以前よりイライラする」といった変化があった場合、まず大切なのは、自己判断で薬の量を変更したり、中止したりしないことです。
精神的な変化にはさまざまな原因が考えられるため、現在の体調や生活の変化を含めて、処方した医師に相談しましょう。
まずは体調の変化を確認する
気分の変化が気になったら、次のような点を振り返ってみましょう。
- 体重が短期間で大きく減っていないか
- 食事量が極端に少なくなっていないか
- 水分を十分に取れているか
- 吐き気や嘔吐、下痢などが続いていないか
- 睡眠時間が減っていないか
- 強い疲労感がないか
- 日常生活や仕事に支障が出ていないか
これらを確認することで、単純に「メンタルの問題」と考えるのではなく、身体面を含めて現在の状態を整理できます。
軽い変化でも、続くなら相談を
一時的に少し気分が落ち込む程度であれば、睡眠不足や疲労、仕事などのストレスが関係していることもあります。
しかし、症状が何日も続く、徐々に強くなる、日常生活に影響するという場合には、医師に相談しましょう。
診察では、
などを伝えると、状況を把握しやすくなります。
自己判断で増量・減量しない
「早く痩せたいから増量する」「気分が悪いから急に中止する」など、自己判断で投与量を変更することは避けましょう。
マンジャロの投与量や増量のタイミングは、治療目的や体調などを考慮して医師が判断します。
精神的な変化がある場合も、薬を続けるか、用量を調整するか、別の原因を調べるかを医師と相談しながら判断することが大切です。
強い精神症状がある場合は早めに相談
もし、
- 強い抑うつ状態が続く
- 強い不安や恐怖感が続く
- 日常生活ができないほどつらい
- 自分を傷つけたい気持ちがある
といった症状がある場合には、単に「ダイエットの影響かもしれない」と様子を見るのではなく、速やかに医療機関へ相談してください。
自分を傷つける可能性があるなど、緊急性が高い場合には、周囲の人にも助けを求め、地域の救急医療などにつなげることが重要です。
患者さん最近、気分が落ち込むのでマンジャロをやめようか迷っています。
Dr.石川自己判断で中止する前に、一度相談してください。体重の減り方や食事量、睡眠、体調なども確認したうえで、今後の治療について考えましょう。
患者さん症状が続く場合は、早めに相談したほうがいいんですね。
Dr.石川はい。特に日常生活に支障が出ている場合や、強い不安・抑うつがある場合は、早めに医療機関へ相談してください。
マンジャロと精神疾患について現在わかっていること
ここまで、「マンジャロを使用してから気分が落ち込んだ」という場合でも、薬そのものだけでなく、急激な体重減少や食事量、睡眠、体調などを含めて考える必要があることを説明してきました。
では、実際にマンジャロの有効成分であるチルゼパチドと、うつ病や不安、自殺念慮などの精神面との関係について、現在どこまで分かっているのでしょうか。
現在のところ、チルゼパチドによる精神症状の増加を示す明確な結果は確認されていません
米国FDAがチルゼパチドの体重管理に関する臨床試験を評価した資料では、チルゼパチド群とプラセボ群を比較して、精神疾患関連の有害事象や自殺念慮・自殺行動が増加したことを示す結果は確認されませんでした。
また、GLP-1受容体作動薬全体について、FDAは2026年1月に、臨床試験や市販後情報などを包括的に評価した結果、自殺念慮・自殺行動のリスクが増加することを示す証拠は確認されなかったとしています。臨床試験91件、約10万8千人を含むメタ解析でも、うつ、不安、易刺激性などの精神症状について、GLP-1受容体作動薬によるリスク増加は確認されませんでした。
「自殺念慮との関係」が調べられた背景
GLP-1関連薬については、過去に使用者から自殺念慮や自傷行為に関する報告があったことから、海外の規制当局が安全性の検討を行いました。
欧州医薬品庁(EMA)も検討を行い、2024年には、入手できるデータからGLP-1受容体作動薬と自殺念慮・自傷行為との因果関係を支持する証拠はないと結論づけています。
ここで重要なのは、「報告があった」ことと「薬が原因だと確認された」ことは別であるという点です。
薬を使用している人にある症状が起こった場合、その中には薬とは関係なく起こったものも含まれます。そのため、臨床試験や大規模なデータを使って、薬を使用していない場合と比較する必要があります。
では、マンジャロを使っていて気分が落ち込んだら?
「現在の研究で明確なリスクが確認されていないなら、気分の変化は気にしなくてもいい」という意味ではありません。
実際にマンジャロを使用している本人に、
- 気分の落ち込み
- 強い不安
- 不眠
- イライラ
- 日常生活への支障
などが現れているのであれば、その症状そのものについて医師に相談することが大切です。
薬との因果関係が明確でないことと、症状を放置してよいことは別の問題だからです。
特に、自分を傷つけたい気持ちや自殺を考えるような状態がある場合には、マンジャロとの因果関係を自分で判断せず、速やかに医療機関や緊急の相談先につながることが重要です。
患者さんマンジャロでうつになったという話を見たので心配です。
Dr.石川これまでの研究では、チルゼパチドやGLP-1関連薬が自殺念慮などを増やすという明確な因果関係は確認されていません。ただし、実際に気分の変化がある場合は、その症状を軽視してはいけません。
患者さん薬が原因かどうか分からなくても、相談していいんですね。
Dr.石川もちろんです。体重の減り方や食事、睡眠、体調なども含めて確認しながら、原因を一緒に考えていきましょう。
※医療情報は更新されることがあります。本記事では2026年時点で公表されている海外規制当局などの情報をもとに整理しています。
ここでお知らせをさせていただきます。
GLP-1注射薬「マンジャロ」がオンラインで購入できるクリニック「レバクリ」のご紹介です。
近隣にマンジャロを取り扱っているクリニックがない、クリニック受診に抵抗がある、多忙で受診する時間がない、安くマンジャロを手に入れたい、そんな方におすすめです!






























マンジャロで健康的に痩せるために大切なこと
マンジャロによって体重が減っていても、「体重が減れば減るほど良い」というわけではありません。
特に、急激に体重が減っている場合には、食事量や栄養状態、筋肉量、体調などにも目を向けることが大切です。
また、今回のテーマである精神面についても、無理な減量によって疲労や睡眠不足などが重ならないよう、体重以外の変化にも注意しましょう。
① 必要な栄養を確保する
マンジャロを使用すると食欲が低下するため、「お腹が空かないから、ほとんど食べなくてもいい」と考えてしまうことがあります。
しかし、体重を減らす場合でも、身体を維持するために必要な栄養素まで極端に減らしてしまうのは避けたいところです。
特に、肉や魚、卵、大豆製品などに含まれるタンパク質は、筋肉など身体の組織を維持するうえで重要です。
食欲がなくても、できる範囲で栄養バランスを意識しましょう。
② 水分をしっかり取る
マンジャロの使用中に吐き気や嘔吐、下痢などがある場合は、脱水にも注意が必要です。
「食べる量が減った」だけでなく、「飲む量まで減っていないか」を確認しましょう。
特に暑い時期や、発汗が多い場合には水分不足になりやすいため注意が必要です。
③ 体重の数字だけを追いかけない
ダイエット中は毎日の体重に一喜一憂しやすくなります。
しかし、体重は水分量などによっても変動します。
「昨日より500g減った」「今週は○kg減った」という数字だけではなく、
- 体調は良好か
- 食事は取れているか
- 疲れすぎていないか
- 睡眠は取れているか
- 日常生活に支障がないか
といった点も確認しましょう。
④ 無理のない運動を取り入れる
体重を減らすことだけを目的に、食事を極端に減らして運動量まで増やすのはおすすめできません。
体調に問題がなければ、ウォーキングなどの有酸素運動に加えて、筋肉を維持するための筋力トレーニングを取り入れる方法もあります。
ただし、強い倦怠感がある場合や、食事・水分が十分に取れていない場合には、無理に運動するのではなく、まず体調を整えることが大切です。
⑤ 自己判断で投与量を変更しない
「もっと早く痩せたい」と考えて、自己判断でマンジャロの投与量を増やすのは避けましょう。
反対に、気分の変化や体調不良があるからといって、自己判断で急に中止するのではなく、処方した医師に相談してください。
マンジャロは、体重だけではなく、全身の状態を確認しながら使用することが重要な薬です。
患者さんマンジャロで食欲がなくなったので、あまり食べなくてもいいですよね?
Dr.石川体重を減らすことは大切ですが、必要な栄養まで不足させないことも大切です。特にタンパク質や水分などは意識して取りましょう。
患者さん体重だけを見ないほうがいいんですね。
Dr.石川はい。体重の変化だけでなく、体調や筋肉量、食事、睡眠、そして気分の変化も含めて、健康的に減量できているかを確認しましょう。
まとめ|マンジャロで痩せると精神的に不安定になる?
マンジャロを使用して体重が減ったからといって、必ず精神的に不安定になるわけではありません。
また、現時点では、マンジャロの有効成分であるチルゼパチドが、うつ病や自殺念慮などの精神症状を直接増加させるという明確な因果関係は確認されていません。
一方で、マンジャロによって食欲が低下し、食事量が大きく減ったり、短期間で体重が減少したりすると、栄養状態や体調、睡眠などに変化が生じることがあります。
その結果として、疲れやすい、集中しにくい、イライラする、気分が落ち込むなどの変化を感じることはあります。
そのため、マンジャロ使用中に精神的な変化を感じた場合は、
- 体重が急激に減っていないか
- 食事量が減りすぎていないか
- 水分を十分に取れているか
- 吐き気や下痢などが続いていないか
- 睡眠が取れているか
- 日常生活に支障が出ていないか
などを確認することが大切です。
そして、症状が続く場合や強くなっている場合には、「マンジャロのせいだから」と自己判断せず、処方している医師に相談しましょう。
患者さんマンジャロで痩せると精神的に不安定になるのかと思っていました。
Dr.石川マンジャロを使ったから必ず精神的に不安定になるわけではありません。ただ、食事量が大きく減ったり、急激に体重が減ったりすると、体調や生活リズムが変化することがあります。
患者さん体重だけではなく、食事や睡眠、気分の変化も見たほうがいいんですね。
Dr.石川その通りです。無理に体重だけを減らすのではなく、心身の状態を確認しながら、安全に体重を管理することが大切です。
参考文献
- 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)|マンジャロ皮下注アテオス 添付文書
マンジャロ(チルゼパチド)の効能・用法・副作用などを確認するための一次資料です。2026年9月15日付の添付文書が掲載されています。 PMDA
PMDA|マンジャロ皮下注アテオス 医療用医薬品情報 - FDA|GLP-1受容体作動薬と自殺念慮・自殺行動に関する安全性評価(2026年)
FDAによる包括的な評価では、GLP-1受容体作動薬について、自殺念慮・自殺行動のリスク増加を確認できなかったとされています。チルゼパチド(Zepbound)も対象に含まれています。 U.S. Food and Drug Administration
FDA|GLP-1受容体作動薬の自殺念慮・自殺行動に関する安全性評価 - Jastreboff AM, et al.|Tirzepatide Once Weekly for the Treatment of Obesity
New England Journal of Medicine. 2022;387:205-216.
チルゼパチドによる体重減少効果と安全性を評価した代表的なSURMOUNT-1試験です。消化器症状などについても報告されています。 ニューイングランド医学雑誌
NEJM|Tirzepatide Once Weekly for the Treatment of Obesity - Jastreboff AM, et al.|Tirzepatide for Obesity Treatment and Diabetes Prevention
New England Journal of Medicine. 2025;392:958-971.
3年間のチルゼパチド治療について、体重減少の持続性や安全性などを検討した研究です。 ニューイングランド医学雑誌
NEJM|Tirzepatide for Obesity Treatment and Diabetes Prevention - Frías JP, et al.|Tirzepatide versus Semaglutide Once Weekly in Patients with Type 2 Diabetes
New England Journal of Medicine. 2021;385:503-515.
2型糖尿病患者を対象に、チルゼパチドとセマグルチドを比較したSURPASS-2試験です。体重変化や副作用について参考になります。 ニューイングランド医学雑誌
NEJM|Tirzepatide versus Semaglutide Once Weekly in Patients with Type 2 Diabetes - European Medicines Agency(EMA)|GLP-1受容体作動薬と自殺念慮・自傷行為に関する安全性評価
GLP-1受容体作動薬と自殺念慮・自傷行為との関連について欧州で検討された際の資料です。 European Medicines Agency (EMA)
EMA|GLP-1 receptor agonistsの安全性評価




