近年、GLP-1関連薬による医療ダイエットが広がる中で、マンジャロを使用する人も急増しています。
その一方で、
といった不安の声をSNSや口コミで見かける機会も増えました。
実際、マンジャロで体重が減少すると、“脂肪だけ”ではなく筋肉量もある程度減るケースはあります。
しかし、ここで誤解されやすいのが、「マンジャロ自体が筋肉を直接溶かす薬ではない」という点です。
筋肉量の低下は、極端な食事制限やタンパク質不足、運動不足など、“痩せ方”によって起こることが多く、これはマンジャロに限らず一般的なダイエットでも見られる現象です。
特にマンジャロは食欲を抑える作用が強いため、食事量が大きく減り、「必要な栄養まで不足してしまう」ケースがあります。
その結果、脂肪と一緒に筋肉も落ちてしまい、「マンジャロ=筋肉が減る」というイメージにつながっているのです。
この記事では、医療現場でも実際によく相談される
- 「マンジャロで筋肉は本当に減るのか?」
- 「なぜ筋肉が落ちると言われるのか?」
- 「筋肉をできるだけ維持しながら痩せる方法」
について、医学的な視点からわかりやすく解説していきます。
この記事の執筆者

石川 聡司
(新さっぽろウィメンズ ヘルス&ビューティークリニック 院長)
北海道大学医学部卒業後、北海道大学病院、帯広厚生病院など地域の中核病院に勤務。品川美容外科にて美容外科医として3年間の研鑽を積み、2021年に婦人科・美容外科を併設した当院を開業。
婦人科全般の診療のほか、美容医療では美肌治療、美容整形をはじめ脱毛・アートメイクなど幅広く対応する。
マンジャロで「筋肉が落ちる」と言われる理由
「マンジャロを使うと筋肉が減る」と言われる背景には、いくつかの理由があります。
ただし重要なのは、マンジャロそのものが筋肉を破壊しているわけではないという点です。
多くの場合は、急激な減量や栄養不足など、ダイエット時によく起こる変化が関係しています。
ここでは、なぜ「筋肉が落ちる」と言われるのかを具体的に解説します。
患者さんなんで筋肉が落ちるって言われてるんですか?
Dr.石川マンジャロ自体が筋肉を直接壊すわけではありません。
ただ、食事量が減りすぎたり、運動不足になると、脂肪と一緒に筋肉も減ることがあります。
急激な体重減少で筋肉も一緒に減ることがある
特に短期間で急激に体重が減少した場合、脂肪と一緒に筋肉量(除脂肪体重)も減少することがあります。
これはマンジャロに限らず、糖質制限や食事制限ダイエットでも起こる一般的な現象です。
マンジャロは体重減少効果が比較的強い薬として知られているため、
- 「一気に痩せた」
- 「数ヶ月で大幅に体重が減った」
という人ほど、筋肉量低下を実感しやすい傾向があります。
特に運動をせず、食べる量だけ減らして痩せた場合には注意が必要です。
食欲低下でタンパク質不足になりやすい
マンジャロには、食欲を抑える作用があります。
そのため、
- 「お腹が空かない」
- 「1日1食でも平気」
- 「肉や魚を食べる気がしない」
という状態になる人も少なくありません。
しかし、筋肉を維持するためにはタンパク質が必要不可欠です。
食事量が減りすぎると、身体は必要な栄養を確保できず、筋肉を分解してエネルギーとして使おうとすることがあります。
特に、
- 高齢者
- もともと痩せ型の人
- 女性
- 極端な食事制限をしている人
は筋肉量が低下しやすいため注意が必要です。
運動不足になると筋肉は減りやすい
体重が減ると、「痩せたからもう十分」と感じ、運動をしなくなるケースもあります。
特にマンジャロ使用中は、
- 食事量減少
- 活動量低下
- エネルギー不足
が重なることで、筋肉量が落ちやすい状態になることがあります。
逆に言えば、
- タンパク質をしっかり摂る
- 軽い筋トレを行う
- 日常的に身体を動かす
といった対策を取りながら使用することで、筋肉減少リスクをある程度抑えることも可能です。
マンジャロ自体に「筋肉を減らす作用」はある?
「マンジャロを使うと筋肉が減る」と聞くと、薬そのものが筋肉を壊しているようなイメージを持つ人もいるかもしれません。
しかし、現在の医学的な考えでは、マンジャロ自体に直接筋肉を減らす作用があるとは考えられていません。
ここでは、誤解されやすいポイントを整理しながら解説します。
患者さんじゃあ、薬が筋肉を溶かしてるわけではないんですね?
Dr.石川はい。現在の医学的には、マンジャロが直接筋肉を壊す薬とは考えられていません。
問題になりやすいのは、栄養不足による筋肉低下です。
現在の医学的には 直接筋肉を減らす薬 ではない
マンジャロは、「GIP/GLP-1受容体作動薬」と呼ばれるタイプの薬です。
主な作用は、
- 食欲を抑える
- 血糖値を改善する
- 胃の動きをゆっくりにする
- 満腹感を持続させる
といったものです。
つまり、筋肉を直接分解したり、筋肉細胞を壊したりする薬ではありません。
そのため、「マンジャロ=筋肉を溶かす薬」というイメージは、やや誤解が含まれていると言えます。
問題は「痩せ方」にある
ではなぜ、筋肉が落ちると言われるのでしょうか。
大きな理由は、「痩せ方」にあります。
マンジャロを使用すると食欲が低下し、自然と摂取カロリーが減少します。
その結果、体重が落ちるのですが、栄養管理が不十分だと、脂肪だけではなく筋肉量も減少してしまうことがあります。
特に、
- タンパク質不足
- 運動不足
- 極端な食事制限
- 急激な減量
が重なると、身体は筋肉をエネルギー源として利用しやすくなります。
つまり、マンジャロが筋肉を減らしているというより、「不健康な減量によって筋肉も減ってしまう」という方が実際に近いイメージです。
実際の研究では 脂肪減少が中心
マンジャロを含むGLP-1関連薬の研究では、体重減少の中心は「脂肪量の減少」であることが示されています。
一方で、除脂肪体重(筋肉や水分を含む組織)も一定割合減少することは確認されています。
ただし、これは一般的なダイエットでもよく見られる変化であり、特別マンジャロだけに起こるものではありません。
重要なのは、
- どれくらいのペースで痩せるか
- 栄養をしっかり摂れているか
- 運動習慣があるか
によって、筋肉減少の程度が大きく変わるという点です。
適切な食事管理と運動を組み合わせることで、筋肉をできるだけ維持しながら減量することも十分可能です。
筋肉を落とさずにマンジャロを使う方法
マンジャロを使いながら減量する場合、「ただ体重を落とす」のではなく、筋肉をできるだけ維持しながら痩せることが重要です。
筋肉量が大きく減ってしまうと、
- 基礎代謝の低下
- リバウンドしやすくなる
- 疲れやすくなる
- 見た目が老けて見える
- 将来的なサルコペニアリスク
などにつながる可能性があります。
ここでは、筋肉を守りながらマンジャロを使用するために意識したいポイントを解説します。
患者さん筋肉を落とさずに痩せるには、何を意識したらいいですか?
Dr.石川タンパク質をしっかり摂ることと、軽い筋トレを続けることです。
食べないだけのダイエットにならないよう注意しましょう。
タンパク質を意識する
筋肉を維持するうえで最も重要なのが、タンパク質の摂取です。
マンジャロ使用中は食欲が低下しやすいため、気づかないうちにタンパク質不足になっている人も少なくありません。
特に、
- 肉
- 魚
- 卵
- 大豆製品
- 乳製品
などを十分に摂れていない場合は注意が必要です。
一般的には、減量中でも体重1kgあたり1.0〜1.5g程度のタンパク質を目安にすることがあります。
食事だけで不足する場合は、プロテインを活用する方法もあります。
「食べないダイエット」ではなく、必要な栄養を確保しながら痩せる意識が大切です。
軽い筋トレを組み合わせる
筋肉は、使わないと減っていきます。
そのため、マンジャロ使用中も適度な運動を取り入れることが重要です。
といっても、本格的なハードトレーニングが必要なわけではありません。
まずは、
- スクワット
- 軽い筋トレ
- ウォーキング
- 階段を使う
- 日常的に身体を動かす
といった軽めの運動でも十分意味があります。
特に下半身の筋肉は量が多いため、脚を使う運動は筋肉維持に役立ちやすいと言われています。
急激に痩せすぎない
短期間で急激に体重を落とすほど、筋肉量も減りやすくなります。
「早く痩せたい」という気持ちから、
- 食事を極端に減らす
- 用量を急いで増やす
- ほとんど食べない状態になる
というケースもありますが、これは筋肉減少リスクを高める原因になります。
理想的なのは、“無理なく継続できるペース”で体重を落としていくことです。
必要に応じて医師と相談しながら、用量や食事内容を調整することも大切です。
水分・栄養不足を防ぐ
マンジャロ使用中は、
- 食欲低下
- 胃もたれ
- 吐き気
などによって、食事や水分摂取が不足することがあります。
すると、
- 倦怠感
- 脱水
- 栄養不足
- 筋力低下
につながることもあります。
特に「食べられない状態」が長く続いている場合は注意が必要です。
体重だけを見るのではなく、
- 疲れやすくないか
- 筋力が落ちていないか
- ふらつきがないか
など、身体の状態全体を確認しながら使用することが重要です。
「筋肉が落ちやすい人」の特徴
マンジャロを使用しても、すべての人が大きく筋肉量を減らすわけではありません。
一方で、体質や生活習慣によっては、筋肉が落ちやすくなる人もいます。
特に以下の特徴に当てはまる人は、減量中の筋肉低下に注意が必要です。
患者さん筋肉が落ちやすい人っているんですか?
Dr.石川はい。高齢者や、もともと筋肉量が少ない人、極端な食事制限をしている人は注意が必要です。
運動不足も筋肉低下につながりやすいですね。
もともと筋肉量が少ない人
筋肉量が少ない人は、少しの体重減少でも筋力低下を感じやすい傾向があります。
特に、
- 痩せ型体型
- 運動習慣が少ない
- デスクワーク中心
- 体力に自信がない
という人は、減量によってさらに筋肉量が低下しやすくなります。
という場合は、筋肉量低下が関係している可能性もあります。
高齢者
高齢になると、もともと筋肉量が減少しやすくなります。
これは「サルコペニア」と呼ばれる加齢性の筋肉減少とも関係しています。
そこに、
- 食欲低下
- 栄養不足
- 活動量低下
が加わると、筋肉が急激に落ちてしまうことがあります。
特に高齢者では、体重が減ることよりも、筋力を維持できているかが重要になるケースも少なくありません。
そのため、医師管理のもとで慎重に使用することが大切です。
極端な食事制限をしている人
マンジャロ使用中に、
- ほとんど食べない
- 1日1食だけ
- 炭水化物を完全カット
- タンパク質不足
といった極端な食事制限を行うと、筋肉量低下リスクは高くなります。
体重を早く落としたい気持ちから、必要以上に食事を減らしてしまう人もいますが、これは健康的な痩せ方とは言えません。
運動習慣がない人
筋肉は、刺激がなければ徐々に減っていきます。
そのため、運動習慣がない人は、減量中に筋肉量も落ちやすい傾向があります。
特に、
- 長時間座りっぱなし
- 歩く量が少ない
- 筋トレを全くしない
という生活が続くと、体重減少とともに筋肉量も低下しやすくなります。
逆に言えば、軽い運動を取り入れるだけでも、筋肉維持には大きな意味があります。
「痩せること」だけでなく、健康的に痩せることを意識することが重要です。
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よくある誤解Q&A(FAQ)
マンジャロをやめれば筋肉は戻る?
筋肉量は、適切な栄養摂取と運動によってある程度回復が期待できます。
ただし、「やめれば自動的に元通りになる」というわけではありません。
特に、
- タンパク質不足
- 運動不足
- 急激な減量
が続いていた場合は、筋力低下が残ることもあります。
そのため、マンジャロ使用中から、
- 栄養管理
- 軽い筋トレ
- 適度な活動量
を意識することが大切です。
- プロテインは飲んだほうがいい?
-
食事だけで十分なタンパク質を摂れていない場合は、プロテインを活用するのも一つの方法です。
特にマンジャロ使用中は、
- 食欲低下
- 食事量減少
- 肉や魚を食べにくい
と感じる人もいるため、タンパク質不足を補いやすくなります。
ただし、プロテインだけに頼るのではなく、できるだけ普段の食事から栄養を摂ることも重要です。
- 有酸素運動だけでも大丈夫?
-
ウォーキングなどの有酸素運動も健康維持には役立ちます。
ただし、筋肉維持という観点では、軽い筋トレも組み合わせたほうが効果的です。
特に減量中は、何もしないと筋肉量が落ちやすいため、
- スクワット
- 軽い自重トレーニング
- 階段を使う
など、筋肉へ刺激を入れる習慣が重要になります。
「運動=ハードなジム通い」と考える必要はありません。
まずは無理なく続けられる範囲で身体を動かすことが大切です。 - 体重は減ったのに見た目が老けたのはなぜ?
-
急激な体重減少では、脂肪だけでなく筋肉や皮下組織も減少することがあります。
その結果、
- 顔がこける
- ハリが減る
- 疲れて見える
と感じる人もいます。
特に短期間で大幅に痩せた場合は、“やつれた印象”になることもあります。
これを防ぐためにも、
- 急激に痩せすぎない
- タンパク質をしっかり摂る
- 適度に運動する
といった健康的な減量が重要です。
医師が実際によく受ける質問
「マンジャロって筋肉を溶かす薬なんですか?」
患者さんSNSで「マンジャロを使うと筋肉が落ちる」って見たんですが、本当なんですか?
Dr.石川よくある誤解ですが、マンジャロ自体が筋肉を直接溶かすわけではありません。
ただ、食事量が減りすぎたり、運動不足になると、脂肪と一緒に筋肉も減ることがあります。
「筋肉を落とさずに痩せることはできますか?」
患者さんできれば筋肉は落としたくないんですが…。
Dr.石川十分可能です。
大切なのは、
タンパク質をしっかり摂る
軽い筋トレをする
急激に痩せすぎない
という点です。
食べないだけのダイエットになると、筋肉が落ちやすくなるので注意しましょう。
「プロテインは飲んだほうがいいですか?」
患者さん食欲がなくて、あまり食べられません…。
Dr.石川その場合は、プロテインを活用するのもおすすめです。
特にマンジャロ使用中は、必要なタンパク質まで不足してしまう人がいます。
ただし、プロテインだけに頼るのではなく、できるだけ普段の食事からも栄養を摂ることが大切です。
「体重は減ったのに、なんだか老けて見えます…」
患者さん顔がこけた感じがして、少し心配です。
Dr.石川急激に痩せると、脂肪だけでなく筋肉や皮下組織も減ることがあります。
その結果、やつれた印象になることもあります。
健康的に痩せるには、適切なペースで減量することが重要です。
体重だけでなく、「体調」や「見た目の変化」も確認しながら進めましょう。
まとめ
マンジャロは、高い体重減少効果が期待できる一方で、「筋肉まで落ちるのでは?」と不安に感じる人も少なくありません。
しかし、現在の医学的な考えでは、マンジャロ自体が筋肉を直接減らす薬ではないとされています。
実際に筋肉量が低下するケースの多くは、
- 急激な減量
- タンパク質不足
- 運動不足
- 極端な食事制限
など、痩せ方に原因があることが多いのです。
特にマンジャロ使用中は食欲が低下しやすいため、「体重だけを落とす」ことに意識が向きすぎると、筋肉量低下につながる可能性があります。
筋肉をできるだけ維持しながら健康的に減量するためには、
- タンパク質をしっかり摂る
- 軽い筋トレを取り入れる
- 急激に痩せすぎない
- 無理な食事制限をしない
といったポイントが重要です。
「ただ痩せる」のではなく、健康的に痩せることを意識しながら、医師と相談して適切に使用することが大切です。
患者さん結局、マンジャロって安全に使えるんですか?
Dr.石川適切な栄養管理と運動を組み合わせれば、筋肉減少リスクを抑えながら使用することは可能です。
自己流ではなく、医師と相談しながら使うことが大切ですね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
参考文献・リンク
- Mounjaro(マンジャロ)公式情報|Eli Lilly Japan
マンジャロ(チルゼパチド)の作用機序・適応・副作用などの公式医療情報。 - Mounjaro Prescribing Information|Eli Lilly and Company
海外版添付文書。体重減少や臨床試験データについて掲載。 - SURMOUNT-1 Trial|New England Journal of Medicine
チルゼパチドによる体重減少効果を検証した代表的臨床研究。 - STEP 1 Trial(セマグルチド研究)|New England Journal of Medicine
GLP-1受容体作動薬による減量と体組成変化に関する参考研究。 - Obesity Medicine Association
肥満治療・減量時の筋肉維持に関する情報を掲載。 - 日本肥満学会
日本国内の肥満治療ガイドライン・医学情報。 - e-ヘルスネット(厚生労働省)|サルコペニア
加齢や栄養不足による筋肉量低下についての公的解説。 - 日本サルコペニア・フレイル学会
筋肉量低下やフレイルに関する専門学会情報。 - National Institute on Aging|Sarcopenia and Aging
加齢による筋肉減少と予防についての解説。




