「最近、マンジャロという薬を使ったダイエットが話題になっているけど、どこで処方してもらえるの?」
「そもそも、私でも使えるの?」
そんな疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか?
マンジャロ(一般名:チルゼパチド)は、もともと2型糖尿病の治療薬として開発された注射薬ですが、その効果のひとつに「体重減少」があることから、メディカルダイエットとしての利用も広がりつつあります。
とはいえ、どのクリニックでもすぐに処方してもらえるわけではなく、保険が適用される場合・自由診療となる場合・処方が難しい場合など、さまざまな条件があります。
この記事では、「どこで処方してもらえるのか」「どんな場合に保険が適用されるのか」「処方してもらえないケース」などについて、分かりやすく解説していきます。
マンジャロを処方してもらう方法
保険診療、自由診療どちらの場合でもマンジャロを処方してもらうには、医療機関を受診する必要があります。受診の方法には、オンライン診療を利用する方法と、ダイエット外来などを設けているクリニックを受診する方法があります。
オンライン診療
自由診療での処方の場合ですが、最近では、オンライン診療を利用して、クリニックに直接行かずにお薬を処方してもらうことも可能になっています。
オンライン診療のメリット
一方で、オンライン診療ならではの注意点もあります。
マンジャロをオンライン診療で処方しているクリニックは増えてきていますが、診察の条件や料金が異なるため、事前に確認しておくことが大切です。
ダイエット外来などがあるクリニック
「対面でしっかり相談しながら進めたい」という方は、 ダイエット外来や肥満治療を行っているクリニックに行くのがオススメです。
このようなクリニックでは、
など、より安心して治療を受けられるというメリットがあります。
ただし、クリニックによってはBMIの基準が設けられている場合があるので、「どんな条件で処方してもらえるのか?」を事前に確認しておくと良いでしょう。
マンジャロが保険適応になる条件
マンジャロは 誰でも保険適応で処方してもらえるわけではありません。保険適応となるのは「病気の治療」として使う場合に限られます。「ダイエット目的」で使う場合では、自由診療となります。
例えば、2型糖尿病と診断されている方なら、医師の判断のもと保険適用で処方を受けられますが、単に体重を減らしたいという理由では、保険は使えず自費診療になるため注意が必要です。
2型糖尿病の治療目的
マンジャロは 2型糖尿病の治療薬として厚生労働省から正式に認められているため、医師が必要と判断すれば保険適用で処方されます。
保険が適用される条件の一例
✔ 2型糖尿病と診断されていること
✔ 血糖値(HbA1cなど)が一定の基準を超えていること
✔ 食事療法や運動療法だけでは血糖コントロールが難しい場合
たとえば、HbA1c(血糖値の指標)が7.0%以上の方や、「生活習慣の改善だけでは血糖値が下がらない」と医師が判断した場合、マンジャロを処方されることが多いです。すでに糖尿病の治療薬を使っている方でも、追加の治療としてマンジャロを使うことがあります。
自由診療でマンジャロを使う場合、1回の注射で数万円かかることもあります。しかし、保険適用なら自己負担額が3割になるため、続けやすくなります。
つまり、2型糖尿病の治療として使う場合は、医師の診断のもと、保険適用で処方を受けられるということですね。
自由診療:メディカルダイエット目的
一方、「ダイエット目的でマンジャロを使いたい」という場合は、保険は適用されず、自由診療(自費診療)となります。
マンジャロには 食欲を抑え、体重を減らす効果が期待できますが、肥満治療薬としての正式な承認はまだされていません。そのため、医師が自由診療として処方する場合のみ、ダイエット目的で使用できます。
【自由診療のポイント】
✔ クリニックによって価格が違う(1回の注射で数万円かかることも)
✔ 継続して使用する場合、費用がかなり高くなる可能性がある
✔ 定期的な診察が必要な場合が多い
たとえば、1回の注射で3万円~5万円程度かかるクリニックもあり、1ヶ月で10万円以上かかることも珍しくありません。
また、体重を落とすには一定期間使い続ける必要があるため、1回だけ試すよりも、数ヶ月継続する方が多いのも特徴です。
【自由診療でマンジャロを使う際の注意点】
✔ 高額になるため、無理なく続けられるか確認する
✔ クリニックごとに価格や診察内容が違うので、事前に比較する
✔ 健康状態をしっかりチェックし、副作用やリスクについて医師と相談する
「ダイエット目的で使いたい!」という方は、クリニック選びや費用、治療の流れをしっかり確認することが大切です。
マンジャロを処方できないケース
マンジャロはすべての人が安全に使えるわけではなく、健康状態や既往歴によっては処方が難しい場合があります。自己判断で使用するのではなく、まずは医師に相談し、自分に適しているかを確認することが大切です。
ここでは、マンジャロを処方できない可能性がある代表的なケースを紹介します。
体重やBMIがクリニックの基準を満たしていない
マンジャロを自由診療で処方するクリニックの多くは、「BMI〇〇以上」などの独自の基準を設けています。そのため、標準体重に近い方は処方を受けられないことがあります。
BMI(Body Mass Index)は、身長と体重のバランスを数値化した指標のことです。これによって、「太りすぎ」「やせすぎ」などの判断ができます。
BMIの計算式:
👉 体重(kg)÷(身長(m)× 身長(m))
例えば、身長160cm(1.6m)、体重60kgの方なら、
60 ÷ (1.6 × 1.6) = BMI 23.4 となります。
【具体例】
✔ BMIが 22~23以下の方は、「ダイエット目的での使用は必要ない」と判断されることが多い
✔ すでに標準体重の範囲内である場合、「体重管理には生活習慣の改善が優先されるべき」と医師に判断されることがある
日本では BMIが18.5~24.9の範囲が「標準体重」とされ、これを超えると「肥満傾向」とみなされることが多いです。そのため、BMIが 22~23以下の方は「ダイエット目的での使用は不要」と判断されることが多く、処方されない可能性が高いのです。
例えば、「あと3kgだけ痩せたいからマンジャロを使いたい」と思っても、クリニックの基準を満たさなければ処方は難しくなります。まずは自分のBMIを計算して、処方の対象になりそうか確認するのが良いでしょう。
胃腸障害や膵炎・甲状腺疾患の既往がある
マンジャロは 胃腸の動きを遅くし、食欲を抑える効果があるため、消化器系に負担がかかることがあります。そのため、過去に膵炎や甲状腺疾患を経験したことがある方は、使用に注意が必要です。
膵炎とは、膵臓(すいぞう)に炎症が起こる病気です。膵臓は、消化液(膵液)を分泌して食べ物を消化したり、血糖値を調整するホルモンを作る役割を持っています。
膵炎の症状としては、
✔ みぞおちの激しい痛み
✔ 吐き気・嘔吐
✔ 発熱
などがあり、重症化すると命に関わることもあります。
【具体例】
✔ 慢性的な胃腸障害がある方は、マンジャロの影響でさらに症状が悪化する可能性がある
✔ 過去に急性膵炎を発症したことがある方は、マンジャロの使用で膵炎が再発するリスクがあるため、慎重に判断する必要がある
✔ 甲状腺の病気を持っている方(甲状腺腫瘍や甲状腺機能低下症など)は、ホルモンバランスに影響が出る可能性があるため、医師としっかり相談が必要
マンジャロは 膵臓にも影響を与える可能性があるため、過去に膵炎を経験したことがある方は、再発リスクがあるのです。「昔、膵炎になったけど、もう治ったし大丈夫かな?」と思っていても、必ず医師に相談しましょう。
また、甲状腺の病気を持っている方(甲状腺腫瘍や甲状腺機能低下症など)は、ホルモンバランスが崩れるリスクがあるため、慎重な判断が必要です。
妊娠中、または授乳中の方
マンジャロの妊娠・授乳中の安全性については、まだ十分なデータがありません。そのため、妊娠中や授乳中の方は原則として使用できません。
【具体例】
✔ 妊娠が判明した場合、使用をすぐに中止する必要がある
✔ 授乳中の方がマンジャロを使用すると、母乳を通じて赤ちゃんに影響が出る可能性があるため、安全性が確立されるまで避けるのが基本
✔ 妊娠を希望している方も、事前に医師に相談し、妊娠計画に合わせた治療を検討する必要がある
「まだ妊娠はしていないけど、そろそろ考えている」という方も、マンジャロの影響が気になる場合は、早めに医師に相談するのが安心です。
マンジャロの使用禁忌の条件に当てはまる方
以下のような方は、マンジャロ(チルゼパチド)の使用が禁止されています。
✔ マンジャロの成分にアレルギーがある方
(過去に薬剤アレルギーの経験がある場合は要注意)
✔ 1型糖尿病の方
(マンジャロは2型糖尿病の治療薬であり、1型糖尿病には効果がない)
✔ 糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡または前昏睡の方
(血糖値の急激な変化で意識を失う危険な状態になるため、医師の適切な治療が必要)
✔ 重症感染症にかかっている方
(感染症が悪化するリスクがあるため)
✔ 手術後や体調が不安定な方
(体力の低下やホルモンバランスの変化によるリスクがある)
✔ 手術などの緊急対応が必要な場合
(急な体調変化に対応するため、使用は避けるべきとされている)
1型糖尿病は、体がインスリンを作れなくなる病気で、自己免疫が原因となることが多いです。治療にはインスリン注射が必須になります。
2型糖尿病は、生活習慣や遺伝が原因で、インスリンの働きが悪くなる病気です。食事管理や運動療法が基本で、薬で血糖値をコントロールすることもあります。
マンジャロは2型糖尿病の治療薬なので、1型糖尿病の方には適用されません。
また、チルゼパチド(マンジャロの有効成分)は、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡または前昏睡の方、1型糖尿病の方、重症感染症、手術などの緊急時には禁忌とされています。そのため、これらの病気や状況に該当する方は、医師と相談のうえ、他の治療法を検討する必要があります。
マンジャロの薬価
マンジャロの価格は、保険適用の有無や処方されるクリニックによって大きく異なります。2型糖尿病の治療目的で処方される場合は健康保険が適用され、自己負担額が軽減されます。一方、ダイエット目的などの自由診療の場合は、全額自己負担となり、費用が高額になることがあります。
保険適用の価格
マンジャロが2型糖尿病の治療薬として処方される場合、健康保険の適用を受けることができます。日本の健康保険制度では、一般的に自己負担額は3割(高齢者や特定の条件に該当する場合は1割~2割)となります。
厚生労働省の定めるマンジャロの薬価は、用量によって異なり、以下の通りです。(2025年3月現在)
マンジャロ皮下注2.5mgアテオス:1,924円/キット
マンジャロ皮下注5mgアテオス:3,848円/キット
マンジャロ皮下注7.5mgアテオス:5,772円/キット
マンジャロ皮下注10mgアテオス:7,696円/キット
マンジャロ皮下注12.5mgアテオス:9,620円/キット
マンジャロ皮下注15mgアテオス:11,544円/キット
※これらの価格は、患者さんの自己負担割合によって実際の支払額は異なります。
使用する用量が増えると価格も上がるため、医師と相談のうえ、適切な量を決めることが大切です。また、診察料や血液検査代などの診療費用が別途かかるため、実際の負担額はさらに高くなる可能性があります。
自由診療の価格
ダイエット目的でマンジャロを使用する場合は、健康保険の適用が受けられず、全額自己負担(自由診療)となります。クリニックによって価格設定が異なるため、事前に確認しておくことが重要です。
1ヶ月あたりの費用
自由診療の場合、マンジャロの価格は1回の注射で数万円かかることが一般的です。例えば、1週間に1回の注射を行う場合、1ヶ月(4回分)の費用は以下のようになります。
- マンジャロ2.5mg: 約25,900円~31,000円(1ヶ月分)
- マンジャロ5mg: 約41,800円~58,300円(1ヶ月分)
- マンジャロ7.5mg: 約56,980円~74,800円(1ヶ月分)
また、クリニックによっては、診察料や追加の検査費用が別途かかる場合があります。自由診療でのマンジャロは高額になりやすいため、継続する場合のコストをよく検討することが大切です。また、クリニックによっては定期的な診察やカウンセリングを行うため、単に薬の費用だけでなく、トータルの治療費を考慮する必要があります。
マンジャロの処方に関するよくある質問
マンジャロは2型糖尿病の治療に使用される薬として注目されていますが、実際に処方を受ける際に不安や疑問を感じる方も多いのではないでしょうか?
そこで、よくある質問を取り上げ、安心していただけるように詳しくお答えします。