全切開重瞼術の歴史は逆まつげ治療にある?変化が起きるポイント2つ

上の逆まつげ 術前後

東京で美容外科医をしている齋藤隆文(形成外科専門医)です。当サイトで、美容コラムを担当しています。この記事の一番最後に、現在の東京での診療案内を載せていますので、受診希望の方は私のホームページの問い合わせフォームからお問い合わせください。

今回は、上まぶたの逆まつげの治療についてのお話です。この方、実は下まつげにも逆まつげがあり、その治療については以前のポストで書いています。

このポストの術後写真では上まつげの治療を終える前なのですが、鋭い読者の方から、上まつげが良くなってない、とご指摘を受けました。さすがに、さすがです笑

上まぶた 逆まつげ 説明

ちなみに、上下ともに逆まつげがあるという人は少なくありません。どちらも眼球に当たっているケースはどちらとも手術をすることになります。

片方だけが眼球に当たっている場合はまずそちらを治療し、その後症状が消失すれば残りの側の治療は必須ではありません。

目次

上まぶたの逆まつげのポイントは穿通枝せんつうしと蒙古襞もうこひだ

さて、上まぶたの逆まつげですが、原理は下まつげの記事で説明したのと似ています。

下まつ毛の内反症(ないはんしょう)、いわゆる逆まつげは、皮膚よりも深い部分での睫毛を外に向かって支える部分がなかったり、弱かったりするのが原因と言われています。こういった構造を穿通枝(せんつうし)と呼びます。

上まぶたでも同じ穿通枝という構造の有無が、逆まつげに大きく影響しています。

まぶたの中には、まつ毛の根本が埋まっている部分のすぐ下に軟骨のような“けんばん”という板があり、これにまぶたを引き上げる筋肉がまぶたの奥深くから伸びてきています。この筋肉が収縮するとけんばんが上の方に引き上げられることになるので、まぶたが開きます。

そしてこの筋肉から、まつ毛の根本近くの皮膚に伸びていく枝があります。下の図でいうと、青い繊維が枝のように伸びている部分がそうです。

二重の構造 断面図 閉瞼

これが、“穿通枝せんつうし”です。この穿通枝がたくさん伸びていれば、まつ毛から離れたかなり上の方の皮膚まで一緒に引っ張り上げてくれることになります。図では、まつ毛の根元から黒点の部分まで穿通枝が伸びているのがわかります。

この黒点より下側がまぶたを開ける時に一緒に引き上がるため、

二重まぶた 断面図 開瞼

このようになりますね。

穿通枝のある睫毛側、図の中の②の部分と、穿通枝のない上の部分との境界、つまり①の点で、二重まぶたの線ができています。すごくざっくり言うとこんな感じです。

これに加えて、アジア人は蒙古ひだと言って上まぶたの皮膚が特に内側(鼻側)にかぶさっていることが特徴です。

蒙古ひだについてはまた改めて詳しく説明したいと思いますが、知らなかった人はひとまずググってみてください。

上ぶたの逆まつげ治療は、いわゆる全切開二重手術、ふたえ作成手術です

で、その治療です。

基本的には、まつげにのしかかってくる皮膚をどけてあげる、のが治療のコンセプトになります。

  1. 糸で二重を作って皮膚をとめておくだけ
  2. 皮膚を切開して、元々二重の人と同じような構造を作る
  3. 蒙古ひだが邪魔なので、目頭まで切開してまつげにかぶさる皮膚を取り除く。

という順に、その方のまぶたの状態を見て手術方法を変えていきます。

もちろん糸だけで行う、いわゆる埋没法、というのが一番お手軽なのですが、逆まつげで眼科的なトラブルが出ている今回のようなケースだと、初回手術で確実に、再発しにくい治療として下二つのどちらかをご提案することが多いです。

なので、痛み・かゆみなど症状のある場合の私の治療経験のほとんどは切開治療です。

あとは、よく診察で行われる、細い針金(ブジーといいます)を当てたシミュレーションの際に、皮膚の状態のせいで二重が作りにくい、すごく戻りやすい、という人も切開を検討した方がいいと考えています。糸だと、後戻りリスクが高くなります。

機能的には、まつげの向きが外を向いて眼球に当たらないようにする、というシンプルなコンセプトです。

あとは見た目のこだわり。

二重については、基本的にその人のまぶたの構造から考えられる自然なライン、というのが個人個人である程度決まっているので、それをお伝えするようにしています

そして、目頭まで切る場合、私は蒙古襞(もうこひだ)を“まぶたの構造のオプション的なもの”と考えています。

つまり、元々蒙古ひだが全くないまぶた(日本人ではむしろ少数派ですが)に、皮膚と筋肉で構成されたヒダが、様々な程度でくっついて蒙古襞になっているという考え方です。

なので、内側のまつげにかかっているヒダは取り除く、というのが最低ラインで、あとはどの程度そのヒダをなくしたいか、をお聞きしてデザインを決めるようにしています。

ただ、実際には、やはりこれも自然なラインというのが患者さんごとにあるにで、そのラインでプランが決まることが多いです。

この患者さんも、目頭切開を含めた切開重瞼作成を選択し、まつげの根元がきれいに出て、ご自身のまぶたの印象があまり変わらない程度に蒙古ひだを減らすことで、自然な仕上がりになりました。

上まぶた 逆まつげ 改善ポイント
上まぶた 逆まつげ きず 改善ポイント

お写真は上まつげ術前と、術後1年です。

外科医はなにかと切りたがると言われますが、私は蒙古ひだにも美しさがあると思っています。

上まぶた 逆まつげ手術 改善ポイント
ご注意いただきたいこと
  • 患者さんの個人情報の保護のため、ご本人とのお話の内容は一部変えています。あくまで、一般的な治療の流れを理解していただくための、イメージだと考えてください。
  • 治療の効果には個人差があります。主治医から十分な説明を受け、リスクや副作用についても納得してから手術を受けましょう。

治療についてのご相談や受診のお問い合わせについては、当HPトップページの予約フォームからご連絡ください。

今回の治療内容について

〈施術内容〉 睫毛内反症手術 

〈手術費用〉 約1.3~5万円(上下、および術式により費用は異なります。)

*保険適応の場合は定められた保険点数に従って費用が決まります。
*美容目的の場合、上眼瞼形成 約35万円(モニターなしの場合)

〈リスク〉  腫れ、内出血、感染、傷が開く、後戻り、左右差、疼痛や違和感などの残存

齋藤隆文医師には下記の医療機関で受診できます。HPトップページからご予約ください。
  • 加藤クリニック麻布 月曜日水曜日土曜日 初診外来 予約制
  • 聖路加国際病院 形成外科 金曜日 初診外来 予約制
    *HPトップページに予約可能なお日にちとクリニックのカレンダーを掲載しています

この記事を書いた人

齋藤 隆文(さいとう たかふみ)
日本形成外科学会認定専門医
神戸大学医学部医学科卒
現在は加藤クリニック麻布、聖路加国際病院に所属。専門はお顔の美容外科、特に鼻の治療。

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