糖尿病治療薬の一つとして近年注目を集めている「リベルサス(セマグルチド)」は、食欲を抑えたり血糖値を安定させたりする効果が期待できるお薬です。特に、飲み薬として使えるGLP-1受容体作動薬ということで、「注射が苦手」という方にとっては心強い味方となっています。
しかし、そんな便利なリベルサスでも、「低血糖になった」「フラフラして怖かった」という声があるのも事実です。ネットやSNSでも「リベルサスで低血糖になった気がする」「ご飯を抜いたら倒れそうになった」といった体験談が投稿されています。
なぜリベルサスで低血糖が起こることがあるのでしょうか?
どんな症状に注意すればよいのでしょうか?
この記事では、リベルサスによって低血糖が起こる理由やその症状、さらに不安を感じたときの対処法について、できるだけわかりやすく解説します。リベルサスを服用している方や、これから始めようと考えている方にとって、不安を減らし、安心して使うためのヒントとなれば幸いです。
リベルサスで低血糖になる理由と症状
リベルサスは、血糖値を下げる効果を持つ一方で、状況によっては下がりすぎてしまうことがあります。それが「低血糖」と呼ばれる状態です。
ここでは、リベルサスで低血糖が起こる仕組みと、そのときに現れる症状について見ていきましょう。
低血糖になる理由
リベルサスの有効成分であるセマグルチドは、GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)というホルモンの働きを強める薬です。GLP-1は本来、食後に小腸から分泌され、血糖値の上昇に応じてインスリンの分泌を促します。同時に、血糖値が上がっていないときには働きにくくなる血糖依存性の特性があるため、単独で使う場合には低血糖のリスクは比較的少ないとされています。
ただし、以下のような条件が重なると、低血糖を引き起こす可能性があります。
インスリン製剤やスルホニル尿素系薬剤(SU薬)と併用している
これらは血糖値に関係なくインスリン分泌を促す作用があるため、リベルサスと併用するとインスリンが出すぎて血糖値が下がりすぎてしまうことがあります。
食事の時間が不規則、または食事を抜いてしまった
朝食を抜いたり、長時間何も食べなかったりすると、薬が効いていても血糖値を保つエネルギーが足りなくなり、低血糖に傾きやすくなります。
運動量が極端に増えた
普段よりたくさん体を動かした日は、それだけ血糖が消費されます。薬の作用と重なると、エネルギー不足を起こしやすくなります。
体調不良(風邪・胃腸炎など)
病気で食欲が落ちたり、食事量が減ったりすることで、血糖値を保つエネルギーが不足し、低血糖を招くことがあります。
こうした条件に当てはまる場合は、たとえリベルサス単独の服用であっても、低血糖のリスクがゼロではありません。
低血糖の症状
低血糖の初期症状は、人によって多少異なりますが、以下のような身体のサインが現れます。
- 手の震え、冷や汗
- 動悸、脈が速くなる
- 空腹感、胃のむかつき
- イライラ、不安感
- ぼんやりする、集中力が落ちる
- 顔が青白くなる
- 頭痛、ふらつき、めまい
これらの症状は、血糖値が70mg/dL以下になると出やすくなるといわれています。さらに血糖値が下がり続けると、意識がもうろうとしたり、ひどい場合は失神やけいれんを起こすこともあり、大変危険です。
特に、糖尿病の治療歴が長い方や過去に何度も低血糖を経験している方は、低血糖の自覚症状が出にくくなっていることがあります。これを「低血糖無自覚」と呼びます。そうなると、症状に気づかないまま血糖値がどんどん下がってしまい、重篤な事態を招くリスクが高くなります。

「なんとなく調子が悪い」
「急に動悸がしてきた」
といったときは、低血糖を疑ってみることが大切です。
特に、リベルサスと他の糖尿病薬を併用している方は、日ごろから症状に敏感になりましょう。
リベルサスで低血糖を起こしやすい飲み方
リベルサスはGLP-1受容体作動薬の一種で、血糖コントロールをサポートしてくれる便利な薬ですが、使い方を誤ると低血糖を引き起こすことがあります。
ここでは、低血糖を招きやすい代表的な飲み方について解説します。
他の薬と一緒に飲む
リベルサスは、他の糖尿病治療薬と併用することがあります。とくに、スルホニル尿素系薬(グリメピリド、グリベンクラミドなど)やインスリン製剤と一緒に使っている場合には、注意が必要です。これらの薬はインスリンの分泌を強く促す働きがあり、リベルサスと併用することで血糖値が必要以上に下がってしまうことがあります。
スルホニル尿素系薬
主な薬剤名(例) | 主な作用 | 処方される代表的な症状・疾患 |
グリメピリド(アマリール) グリベンクラミド(オイグルコン) | 膵臓に働きかけてインスリン分泌を促進 | 2型糖尿病(特にインスリン分泌能力が残っている場合) |
インスリン製剤
主な薬剤名(例) | 主な作用 | 処方される代表的な症状・疾患 |
ヒューマログ ノボラピッド ランタス | 外部からインスリンを補充 | 1型糖尿病、 2型糖尿病の進行例、 妊娠糖尿病、 糖尿病性ケトアシドーシス |
また、DPP-4阻害薬やSGLT2阻害薬など、異なる作用を持つ糖尿病治療薬と併用することもありますが、個人差によって低血糖のリスクが高くなるケースも報告されています。特に複数の薬を使っている人は、自分が何を飲んでいるのか、どのような作用を持っているのかを医師や薬剤師にしっかり確認することが大切です。
DPP-4阻害薬
主な薬剤名(例) | 主な作用 | 処方される代表的な症状・疾患 |
シタグリプチン(ジャヌビア) アログリプチン(ネシーナ) | インクレチンを分解する酵素を阻害し、インスリン分泌を促進 | 2型糖尿病(比較的初期段階〜中期) |
SGLT2阻害薬
主な薬剤名(例) | 主な作用 | 処方される代表的な症状・疾患 |
ダパグリフロジン(フォシーガ) カナグリフロジン(カナグル) | 尿から糖を排出させる作用 | 2型糖尿病、 慢性心不全、 慢性腎臓病(適応拡大中) |
さらに、リベルサスは空腹時に服用することが推奨されていますが、他の薬との飲み合わせによっては消化吸収や代謝に影響が出る場合もあるため、必ず医療機関の指示に従うようにしましょう。
過度な食事制限
ダイエットや血糖コントロールを意識するあまり、食事量を極端に減らしてしまうことがあります。しかし、必要なエネルギーが足りない状態でリベルサスを服用すると、血糖値が下がりすぎて低血糖のリスクが高まります。
リベルサスには食欲を抑える作用があるため、服用を続けるうちに「食べなくても平気」と感じる人も少なくありません。ところが、食事を抜いたり、糖質を極端に制限したりすると、体内の糖の供給が不足し、低血糖につながることがあります。
特に朝食を抜く人は要注意です。リベルサスは起床後すぐの空腹時に飲む必要がある薬ですが、その後に朝食を摂らないと、体がエネルギー不足に陥ってしまう恐れがあります。
また、糖質制限をしている人は、主食や果物などからの糖分が不足してしまい、低血糖の自覚症状が出やすくなる傾向があります。自己流のダイエットや糖質制限は避け、医師や管理栄養士と相談しながら行うようにしましょう。
アルコールの多飲
アルコールには肝臓の糖新生(糖を作り出す働き)を抑える作用があります。そのため、空腹時や糖の摂取が少ないときに多量に飲酒すると、肝臓からの糖の供給が抑えられ、血糖値が急激に下がることがあります。
リベルサスを服用している人がアルコールを多量に摂取すると、薬の作用と重なって低血糖を起こすリスクが一段と高くなります。とくに、食事をとらずにお酒だけを飲んだり、糖分の少ないおつまみしか口にしていない場合などは、体の中で血糖値を支える材料が不足し、低血糖状態に陥りやすくなります。
また、アルコールによって酔っている状態では、低血糖の初期症状に気づきにくくなるという問題もあります。手の震えやめまいなどが起きても「酔っているだけ」と思い込んでしまい、適切な対処が遅れるケースもあります。
アルコールを楽しむ際は、適量を守ることが基本です。空腹での飲酒を避け、糖質やタンパク質を含む食事と一緒に摂取することを心がけましょう。
服用後に二度寝する
リベルサスは、朝起きてすぐ、空腹の状態で服用することが推奨されています。これは、薬の成分がしっかり吸収されるために必要な条件です。しかし、薬を飲んでから再び眠ってしまう、いわゆる「二度寝」の習慣がある方は注意が必要です。
なぜなら、薬を飲んだあとに何も食べずに長時間寝てしまうと、体内の糖が消費される一方で、新たなエネルギー補給がされず、低血糖状態に陥るリスクが高くなるからです。睡眠中は自律神経の働きで血糖が自然に下がることもあり、これが薬の作用と重なることで、思わぬ低血糖を引き起こしてしまうことがあります。
さらに、寝起き直後は低血糖の症状に気づきにくく、自分では異変に気づかないまま状態が悪化することもあります。
低血糖時の対処法
リベルサスを服用していて「なんだかフラフラする」「冷や汗が止まらない」といった不調を感じたら、それは低血糖のサインかもしれません。低血糖は放っておくと重大なトラブルにつながることもあるため、早めの対処がとても大切です。
ここでは、リベルサスを服用中に低血糖の兆候が出たときに、どう対応すればよいかをわかりやすく解説します。
ブドウ糖を摂取する
低血糖を感じたとき、最初にすべきことは「ブドウ糖を口にする」ことです。
なぜブドウ糖が有効なの?
ブドウ糖は、体がすぐにエネルギーとして使える単純な糖分です。血糖値が急激に下がったときにすぐに吸収され、体内でエネルギーとして働いてくれるため、症状を素早く改善するのに適しています。チョコレートやスナック菓子では代用できそうに感じますが、脂質が多く吸収に時間がかかるため、応急処置としては適していません。
どのくらい摂ればいいの?
一般的には「ブドウ糖を10〜15g程度」摂取することが推奨されています。市販のブドウ糖タブレットであれば2〜3粒、または市販のゼリー飲料などでも対応可能です。コンビニで手に入るオレンジジュース(100mlほど)でも代用できます。
ただし、摂取後15分ほど待っても症状が改善しない場合は、再度ブドウ糖を摂るか、医療機関に相談することが必要です。

繰り返し低血糖を起こしている場合は、自己判断せず早めに受診してください。
他の薬と併用する際は医師へ相談しておく
リベルサス自体は、比較的低血糖を起こしにくい薬とされていますが、他の薬と併用することでそのリスクが高まることがあります。とくに注意が必要なのが、以下のような薬剤です。
- スルホニル尿素系薬(例:グリメピリド、グリベンクラミド)
- インスリン製剤
- DPP-4阻害薬
- SGLT2阻害薬
これらの薬剤は、それぞれの働きによって血糖値を下げる効果を持っており、リベルサスと一緒に使うと、その効果が重なってしまうことがあるのです。
医師に伝えるべき情報
薬の併用に関しては、服用を始める前に必ず医師へ以下の情報を伝えておきましょう。
- 現在服用している薬の名前と用量
- 市販薬やサプリメントも含めたすべての薬剤
- 生活習慣や、最近の体調の変化
「医師に話すのは大げさかな」と思う方もいるかもしれませんが、こうした情報共有があることで、医師は安全な処方を行いやすくなります。とくに糖尿病や肥満、妊娠を希望している女性の場合は、ホルモンバランスや他の薬との関係も複雑になるため、正確な情報が欠かせません。
今回はリベルサス「内服薬」についての解説記事ですが、リベルサス「内服薬」をオンライン診療で処方してもらえるクリニックをご紹介させていただきます。
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リベルサス服用に関するよくある質問
リベルサスは糖尿病や肥満治療の新しい選択肢として注目されている経口GLP-1受容体作動薬です。
しかし、服用に関して「これで合っているの?」「こういう時はどうすればいいの?」と不安を感じる方も少なくありません。
ここでは、リベルサスを服用中の方やこれから服用を検討している方が疑問に感じやすいポイントについて、医療的な観点から丁寧にお答えします。