下まぶたのたるみ、ふくらみの3大原因とは?医学的にクマを理解する

下まぶたタイトル クマたるみの説明

東京で美容外科医をしている齋藤隆文(形成外科専門医)です。当サイトで、美容コラムを担当しています。この記事の一番最後に、現在の東京での診療案内を載せていますので、受診希望の方は私のホームページの問い合わせフォームからお問い合わせください。

まぶた 老け ショック
患者さん

なんだか最近下まぶたのクマが目立ってきた気がする

下まぶたのたるみやクマは、少しずつ私達のお顔に影を落とし始めます。そして、ある日、ふとその変化に気づくものです。

加齢性変化というものは必ずしも好ましくないものばかりではないと信じたいですが、この下まぶたのたるみやクマは厄介です。というのも、ただ老けた印象を作るだけでなく、疲れた感じ、やつれた感じ、不健康はイメージ、を作り出すからです。

特に、クマに関しては若いうちから目立ってくる方もいらっしゃいますから注意が必要です。

さて、今回はこの下まぶたのたるみについて、特に形の変化に的をしぼって解説してみたいと思います。というのも、美容外科で治せるのは、まさにこの形の問題だからです。

美容外科治療で下まぶたのたるみ、クマを治したいと考えているみなさんがこの記事を読むことで、下まぶたのたるみの3大原因を確実に理解でき、なぜ美容手術でこれらが改善するのかをスッキリと理解できるかと思います。

ずばり、下まぶたのたるみ、クマの3大原因とは、次の3つです。

  1. 眼球の周りの脂肪が前にでてくる
  2. そのすぐ下にある骨と筋肉の付着部(靭帯じんたい)が凹む
  3. 頬の皮膚、お肉が垂れ下がる

これらの変化がお一人お一人によって違ったバランスで起こってくるため、適切な診断とそのバランスに対してオーダーメイドの治療戦略を立ててもらうことが大事になります。

それでは、下まぶたのたるみ撃退に向けて、3大ポイントを中心に解説していきます。

目次

お顔の形の変化はお顔の真ん中で起き始める

下まぶたの加齢性変化かれいせいへんかを正しく治療するためには、まずお顔の真ん中1/3、いわゆる中顔面ちゅうがんめんになにが起きてくるのかを理解する必要があります。

若々しい中顔面というのは、頬が丸く、顎先と両側の頬の丸みをつないだ時にハート型になるようなラインが理想的だと言われています。

また、下まぶたと頬の間の境界が滑らかに続いて、いわゆるクマのようなラインが出ないことも若々しさの条件です。

これ以外にも様々な若さの条件が外科医の間では言われていますが、これらが年齢とともに変化していくと、いわゆるお顔の老けが進行していきます。

  • 目尻にシワが入るようになる
  • ゴルゴラインやほうれい線、マリオネットラインが長く、深くなってくる
  • 下まぶたがふくらんでくる
  • 頬の丸い高まりはなくなって頬骨が目立つようになり、丸く頬骨を包んでいた脂肪は垂れ下がってくる
  • 口角が下がってくる

そして、若かった頃はハート型をしていたのが、最終的には洋梨のように下にふくらんで垂れ下がったお顔の形への変わっていきます。

お伝えしたいことは、上に挙げたような様々な変化が、おおよそ同時並行でお顔の老化として進んでいくということです。ただ、皮膚や脂肪、骨など、いわゆるお顔の形の違いにより、最初に目立ってくるものが違うだけなのです。

なので、冒頭に挙げたように、お顔のエイジングに急に、ハッ、とさせられたときは、一度立ち止まって、自分のお顔にどんな加齢性変化が起きているのか、そしてそれらにどうアプローチすれば効率よく改善できるのかを診断する必要があります。

下まぶたのふくらみ、クマが目立つのは、頬の痩せも原因になりうる

お顔の真ん中半分にどのような変化が起きるかを理解できたところで、下まぶたにフォーカスを当てていきたいと思います。

下まぶた 正面術前後

いきなり、術前後のお写真です。上が手術の前の状態になりますが、下まぶたがふくらんでいますね。そして、そのふくらみの下にはうすく影ができてクマになっています。

この下まぶたの変化は、典型的なエイジングによる変化です。これをもう少しわかりやすくするために、タイトル画像にある横からのお写真を確認して見ましょう。

下まぶたタイトル クマたるみの説明

横からのお写真でも、やはり下まぶたは前にふくらんでいるのがわかります。そして、そのふくらみが終わる頬のあたりで影ができているという状態です。この変化を言葉で表すと、一番最初に挙げた3大ポイントということになります。

  1. 眼球の周りの脂肪が前にでてくる
  2. そのすぐ下にある骨と筋肉の付着部(靭帯じんたい)が凹む
  3. 頬の皮膚、お肉が垂れ下がる

つまり、下まぶたのふくらみは、脂肪が前に出てくるという変化を反映しているということが言えるのです。これについてはなんとなくイメージがつくのではないでしょうか?

しかしながら、下の2つについてはピンとこない方も多いかもしれません。これらについて、もう少し噛み砕いて説明してみたいと思います。

脂肪・骨の痩せ、靭帯じんたいのゆるみが老化を加速させる

②と③の理解には、骨の写真が助けになります。ということで、ガイコツのお写真に直接説明を書いてみます。

骨 下まぶたクマの説明

下まぶたのふくらみの原因となっている脂肪は、赤色で囲った範囲に存在しています。つまり、目のくぼみ部分の中におさまるような状態です。そして、年齢とともに前に前に出てこようとします。

一方、その下の青く線を引いた骨の部分はどうなるのでしょうか?

実は、年齢とともに骨は痩せて小さくなっていくことが一般に知られています。皆さん、骨粗鬆症こつそしょうしょうという言葉を聞いたことがありますか?

日本整形外科学会のホームページで骨粗鬆症を検索すると、次のように説明されています。

骨粗鬆症とは、骨の量(骨量)が減って骨が弱くなり、骨折しやすくなる病気です。

日本には約1000万人以上の患者さんがいるといわれており、高齢化に伴ってその数は増加傾向にあります。

日本整形外科学会ホームページ

ここでは、病気として表現されていますが、程度の差があるだけで、ほとんどの人が年齢とともに骨は減っていきます。おじいちゃんおばあちゃんになると背が低くなるのはこれが原因の一つです。

また、特に女性は閉経に伴うホルモンの変化により、男性よりも骨が減りやすいことが知られています。

これはもちろん、同じようにお顔にも起こってくるわけです。上にあげたお写真の青い部分も徐々に痩せて、奥に沈んでいってしまいます。

そうなるとどうでしょう。下まぶたの脂肪は前に出て、その下にある骨は痩せていくわけです。

下まぶたタイトル クマたるみの説明

まさにこのような変化が起きてくるわけです。そして追い打ちをかけるように、長年の重力による影響で、頬の皮膚や脂肪や下に垂れ下がっていくので、この骨の青い部分にいた脂肪や筋肉がいなくなってしまい、状況はますます悪化します。

なお、青い部分の内側には特に皮膚と骨を強くくっつけておく靭帯じんたいという硬い構造物がいるため、骨が痩せるとくぼみによるクマが早い時期からわかりやすくなってきます。

これが、年齢とともに下まぶたに起こってくる変化なのです。

下まぶたに起こる脂肪・骨の変化を一つ一つ改善させる実際の治療

この方は、先に挙げたように、下まぶたの脂肪のふくらみを目立たせている、靭帯や頬の痩せにも注意して、全体のバランスを改善させる治療を行いました。

具体的には、下まぶたの余分な脂肪は切除し、骨の痩せに伴って皮膚を奥に引き込んでいる靭帯を処理することで、皮膚が奥に引き込んでくぼみができないように調整します。

さらに、この靭帯があった部分に、下まぶたから採取した脂肪を移植することで、また皮膚が骨にくっついて奥に沈まないような処置もしています。

手術は全て下まぶたの裏側の結膜けつまくという部分に小さい切り込みを入れて、その窓からの操作で行っているため、お顔の表面にはキズは残りません。

通常は数日から1週間程度で大きな腫れは引き、内出血などが出ることは少ないです。術後の変化をお見せします。

下まぶた術前後 説明
下まぶた 術前後 上方視 説明

まとめ

下まぶたの治療で大事なことは、下まぶただけの問題として捉えるのではなく、お顔の真ん中部分、中顔面ちゅうがんめん全体の治療としてプランを建てることです。

今回の記事でお顔の真ん中に起こってくる変化は正しく理解できたと思いますので、あとはこれらの変化を実際にドクターに診断してもらい、効率よく解決できる治療プランを一緒に相談してください。

皆さんの良き美容治療の参考になれば幸いです。

参考文献
  1. Mendelson B, Wong C, Hsieh M. The tear trough ligament: anatomical basis for the tear trough deformity. Plast Reconstr Surg 2012;129(6): 1392–402.
  2. Goldberg RA. The three periorbital hollows: a para- digm for periorbital rejuvenation. Plast Reconstr Surg 2005;116(6):1796–804.
  3. Freeman MS. Transconjunctival sub-orbicularis oculi fat (SOOF) pad lift blepharoplasty: a new technique for the effacement of nasojugal defor- mity. Arch Facial Plast Surg 2000;2(1):16–21.
ご注意いただきたいこと
  • 患者さんの個人情報の保護のため、ご本人とのお話の内容は一部変えています。あくまで、一般的な治療の流れを理解していただくための、イメージだと考えてください。
  • 治療の効果には個人差があります。主治医から十分な説明を受け、リスクや副作用についても納得してから手術を受けましょう。

治療についてのご相談や受診のお問い合わせについては、当HPトップページの予約フォームからご連絡ください。

今回の治療内容

<施術内容> 経結膜的脱脂+脂肪移転(裏ハムラ変法)

<手術費用> 約38万円 
*モニター制度あり今回は30%off適応費用
*これ以外に検査費用・麻酔費用などがかかる場合があります。

<リスク>  術後出血・血腫、感染、キズが開く、左右差、一時的な違和感やしこり、など

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  • 加藤クリニック麻布 月曜日水曜日土曜日 初診外来 予約制
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この記事を書いた人

齋藤 隆文(さいとう たかふみ)
日本形成外科学会認定専門医
神戸大学医学部医学科卒
現在は加藤クリニック麻布、聖路加国際病院に所属。専門はお顔の美容外科、特に鼻の治療。

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