不正出血

不正出血とは

生理の時期以外で膣から出血した場合のことを「不正出血」といいます。
鮮血や茶色っぽい血が出る場合、おりものに血が混ざったような場合も、不正出血に該当します。
不正出血は重大な疾患が隠れているサインのこともあります。

出血している場所と原因を見つけ丁寧に診察していきます。

自己判断はせずに、不正出血がある場合は婦人科を受診することを強くおすすめします。

不正出血の原因はなに??

不正出血の原因は、大きく分けて4つあります。
  1. 器質性出血:何らかの病気が原因の場合に起こる出血です。主な原因として、・腟子宮・卵巣などに異常があり、出血している場合が考えられます。考えられる疾患として、子宮頸がんなどの「がん」や、子宮頚管ポリープ、腟炎、子宮内膜症などがあります。
  2. 機能性出血:ホルモンバランスの乱れが原因の出血です。病的な原因ではなく、体のホルモンバランスの乱れたときに起こります。環境の変化によるストレスがある時や、思春期や更年期などに起こりやすくなります。
  3. 中間期出血:排卵期に出血している場合生理と生理の間で、排卵の時期に出血がある場合があります。生理的な出血で病的なものではありません。
  4. その他出血:妊娠による出血や、性交などで腟内が傷ついたことによる出血不正などが考えられます。にもさまざまな原因が考えられます。妊娠初期の症状として出血する場合もあれば、甲状腺などの全身の病気が原因で出血することもあります。

不正出血の原因となる疾患

不正出血の原因はホルモンバランスの乱れ以外に、怖い病気が潜んでいる可能性もあります

子宮・卵巣でおこる出血①②

・機能性出血…無排卵やホルモンバランスの乱れで起こります。
・卵巣腫瘍…卵巣にできる腫瘍で、どの年代でもできる可能性があります。

子宮頸部・腟部・腟でおこる出血③⑦⑧

・子宮頸管ポリープ…子宮の入口付近にできる良性の腫瘍です。少しの刺激で出血することがあります。
・頸管の炎症…子宮の入口に細菌が入って起きる炎症です。
・子宮頸がん…子宮の入口付近に起こるがんです。若年層での罹患が増加していています。
・腟部びらん…内膜が赤くただれた状態になることです。性交時の出血や、炎症による不正出血を引き起こします。
・腟炎…腟内部で起こる炎症です。原因はさまざまで、かゆみをともなったり、おりものに異常がみられる場合もあります。
・腟がん…腟の内壁に発生するがんです。

子宮体部でおこる出血④

・子宮体がん…子宮の内部にできるがんです。自覚症状として不正出血や、血の混じったおりものが出ることがあります。

子宮筋層でおこる出血⑤

・子宮筋腫…子宮にできる良性の腫瘍です。不正出血のほかに、月経量が増加(月経の異常)がみられることもあります。

子宮内膜でおこる出血⑥

・子宮内膜ポリープ…子宮内部の良性の腫瘍です。増殖した細胞が内側に突出してできます。
・子宮内膜炎…子宮内に細菌などが入り込んで炎症して起こります。発熱や激しい腹痛、おりものの異常を伴う場合があります。

不正出血があった場合、どうすればよいですか??

不正出血があった場合、出血の様子を見て病気によるものなのか自己判断することは大変危険です。


不正出血には、子宮頸がんや子宮体がんといった大きな病気から、子宮筋腫や子宮内膜症などの治療が必要な病気もあります。


ホルモンバランスの乱れからくるものだと自己判断したりせず、原因を特定するために、おかしいと思ったらすぐに婦人科を受診しましょう。

不正出血の治療

不正出血があった場合、原因を特定するために検査(子宮がん検診など)をする場合があります。
年齢や症状、性交経験の有無によって検査の内容は変わります。

*不正出血の原因がわかったら、症状に応じて治療を行います

原因が、ホルモンバランスの乱れによる場合

・すぐに出血が止まるようなら経過観察となる場合があります。長期間出血が続く場合、ホルモン剤による止血を行います。

ポリープなどが見つかった場合

・部位によっては簡単な処置で当日中に摘出することができます。

膣炎など炎症があった場合

・炎症の原因となっている菌に対する抗生剤を処方します。

悪性腫瘍(がん)の可能性があった場合

・適切な処置ができる病院に紹介します。

妊娠による出血の場合

・妊娠初期として診察します。その後は産科で継続した診察が必要になります。分娩を希望される医院へ紹介状をお出ししています。