骨切り・顎変形症手術を形成外科・美容外科医に相談するメリット

骨 OGS 骨切りの説明 解説

東京で美容外科医をしている齋藤隆文(形成外科専門医)です。当サイトで、美容コラムを担当しています。この記事の一番最後に、現在の東京での診療案内を載せていますので、受診希望の方は私のホームページの問い合わせフォームからお問い合わせください。

ここ数年でお顔における骨の手術の需要じゅようが大きく増えてきています。特に、お顔のバランスを骨切り手術によって整えたいと希望する方が増えてきていると感じています。

ここでは、見た目を専門にする形成外科・美容外科医の視点から、お顔の骨切り手術について解説したいと思います。

目次

そもそも骨切り手術ってなに?上下のアゴのバランスを整える手術です

この記事にたどり着いた方の中には、おそらくお顔の見た目の問題で骨切り手術、とか顎変形症手術がくへんけいしょうしゅじゅつといったキーワードを知ったものの、いまいちその言葉にピンときていない方も多いのではないでしょうか?

骨切り・顎変形症手術とは、上アゴ、下アゴの位置関係を整えることで、お顔の形・バランスを整えたり、噛み合わせなどの機能的な問題を解決するための治療です。図にすると骨のここの部分になります。

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つまり、歯科矯正だけはうまく治療できないかみ合わせを整えたり、口元が出ている口ゴボを治したり、しゃくれアゴを改善したりすることができます。あとは、睡眠時無呼吸すいみんじむこきゅうの治療として行われることもありますが、今回は省略します。

この手術を受けることで改善が期待できるトラブルは以下のものです。

  1. かみ合わせのトラブル:矯正だけは改善しきらない出っ歯、反対咬合、上下の歯の真ん中のラインがズレている状態です。
  2. お顔のバランスの乱れ:しゃくれアゴ、顎なし、と呼ばれる上下のアゴの前後関係のズレです。上下のアゴの成長が不十分だったり、逆に成長しすぎることでも起こります。

この中でも、特に形成外科医はお顔全体のバランスに関するスペシャリストと考えることができます。

ですので、歯のスペシャリストである矯正歯科のドクターとタッグを組んで治療に当たることが一般的であり、こうすることで、上記の2つの問題点をどちらも考えながら最適なプランを立てていくことができます。

私のもとには②のお顔のバランスのご相談がほとんどですが、大事なことは、お顔のバランスが乱れている場合にはかみ合わせの問題が同時に起こっている可能性があるということです。

特に、かみ合わせは機能的な問題であるため、健康保険治療の適応となっています。

形成外科では、鼻・口元・アゴ先などあらゆる治療を含めてお顔の骨切りを考える

顔の左右差 非対称 診断 骨切り

上記のことを踏まえて、主にお顔のバランスについて相談したい場合には、形成外科、あるいは形成外科専門医のいる美容外科に受診することになります。

基本的には担当するドクターが初歩的な部分から解説してくれるのですが、予めご自身の情報をちゃんと伝えられるようにしておくとスムーズです。以下のことは最低限答えられるようにしてから受診するのがベターです。

  • 自分の言葉でいいので、どこのバランスが悪いと思っていて、どのような形になるのがゴールなのか
  • 今までどのような手術を受けたことがあるのか
  • 普段飲んでいるお薬やサプリメント、漢方など

この辺りは、どのような手術を相談に行く場合でも必要になる情報なので、お顔の治療を考えている場合はメモにしておくと便利です。

ドクターは、以下のような流れで、あなたのお顔の美容的な問題、機能的な問題について検討します。

  1. まずは上記に挙げたことを中心にあなたのご希望や状況についてお話をお聞きします
  2. 実際にお顔の診察をします。形成外科・美容外科では特に目や鼻も含めた全体のバランスを見ながら、お顔全体に関しての分析としての診察になります。また、歯並びについても必ずチェックをしています。
  3. 上下のアゴのバランスや、お顔の非対称ひたいしょうといった問題がある場合には、歯とお顔の骨の精密な検査としてレントゲンやCT検査を行います。
  4. かみ合わせの問題がある場合には、矯正歯科きょうせいしかの先生にご紹介させていただきます。保険治療も含めた、歯とお顔のバランスを同時に治療するご相談を進めることになります。
  5. かみ合わせに問題がない場合は、美容的な問題としてさらに検討を進めます。本当に骨の手術が必要なのか、鼻や頬の治療だけで改善できないか、なども検討していきます。

ここで大事なことは、主に骨切り手術で改善できるのは上下のアゴのバランスやお顔の非対称であるということです。

しゃくれアゴや口ゴボ、アゴ無しさんといった、いわゆる上下のアゴのバランスの問題がはっきりしている場合は骨切り手術をするかしないか、という問題だけを相談すれば良いかもしれません。

ただ、そういったバランスの乱れが軽度だったり、なんとなくお顔全体のバランスが良くない気がする、といった方は、問題がおでこや鼻、頬など違う部分に隠れていることも少なくありません。

ですので、顎変形症やお顔の骨切り手術だけを手掛けている形成外科医ではそういった問題に気づけない可能性があります。お顔全体の治療を手掛けているドクターに相談をすることが大事です。

骨切り手術の治療プランは幅が広い。出来上がるお顔もドクターによって大きく異なる

今回はあくまで骨切り手術にフォーカスを当てて解説をしていますので、実際に治療プランが骨切り手術に決まったあとの話についてもう少し掘り下げてみたいと思います。

基本的には骨切り手術が必要になる患者さんは、矯正歯科の先生にご紹介し歯科的な診断を受けていただくことになります。その上で、形成外科医と歯科医で治療ゴールを決めていくことになります。

骨切り手術の歴史的な流れを考えると、昔は主に噛み合わせに重点を置いた治療として進歩を遂げてきたという背景があります。つまり、噛み合わせに問題がある人に、良い噛み合わせを得るための手段として手術が行われていました。

しかしながら、骨を動かすということは、お顔の形、バランスが変わることを意味します。良い噛み合わせを維持しながらも、より見た目にも美しい仕上がりとなるプランを立てていくという視点は、実は後から出てきた考え方なのです。

なので、お顔の形についてトータルなバランスを改善するという治療プランについては、ガイドラインや教科書的な答えは出ていないのが実情です。

よって、それぞれのドクターの考え方、視点によって、出来上がるプラン、最終的なお顔の仕上がりは違いが出てきます。

形成外科医に相談することのメリットは、こういったお顔の形の問題について特に気をつけながらプランを立ててくれることにあると思います。

それは、骨の移動によって、鼻は頬の形がどのように変化するか、それによってお顔全体のバランスが良くなるのか悪くなるのかについて、日々考えることを専門としている分野だからこそ可能になる視点なのです。

また、骨切りによって受ける鼻などのパーツの悪影響を事前に予測しそういったトラブルを未然に防ぐだけでなく、避けられない変化が起きた場合にも、それを正しく修正できるのも形成外科医のメリットです。

外科医 風景

手術費用は保険治療か自費治療によって異なります。保険だと約60万円が一つの目安

さて、最後に費用のことについてもまとめておきたいと思います。

顎変形症がくへんけいしょうの治療は、手術の前後に行う歯科矯正しかきょうせい治療と、入院手術に健康保険を使うことができます。

健康保険を使って治療を受ける場合(自己負担額が3割の場合)は術前後の矯正歯科治療が30万円程度、高額療養費こうがくりょうようひ制度利用にて入院手術が約30万円、それ以外に、初回手術で使ったプレートなどを抜去する場合には追加の費用がかかります。

医療費控除いりょうひこうじょ、高額療養費といった減額が受けられるシステムがありますので、手術の前に担当窓口へご案内しています。

美容目的の治療については、自費・自由診療のためそれぞれのクリニックや病院で設定された費用がかかることになります。

まとめ

今回は、骨切り手術、顎変形症がくへんけいしょう手術を考えている場合に、形成外科医がどのようなことを考えて治療しているのかについて解説しました。

骨切り手術の2つの大きなゴールは、良好な噛み合わせを得ることと、バランスのとれたお顔に近づけることにあります。噛み合わせに特に問題を抱えている場合には、まず歯科医に受診されることをおすすめします。

また、口元が出ている、しゃくれたアゴが気になる、お顔の左右差を治したい、など、お顔のバランスについて悩んでいる場合にはお顔を専門としている形成外科専門医に受診することをオススメします。

特に、お顔のバランスは、おでこ・鼻・くちびる・アゴ先のそれぞれの位置関係により目まぐるしく印象が変化します。噛み合わせの治療だけを重視しているプランニングでは、思わぬお顔の変化が起こってします可能性もあります。

今までお話してきたような注意点を頭に入れた上で、お顔を専門とする形成外科医と、予想されるゴールについてしっかりとご相談していただくようにしてください。

ご注意いただきたいこと
  • 患者さんの個人情報の保護のため、ご本人とのお話の内容は一部変えています。あくまで、一般的な治療の流れを理解していただくための、イメージだと考えてください。
  • 治療の効果には個人差があります。主治医から十分な説明を受け、リスクや副作用についても納得してから手術を受けましょう。

治療についてのご相談や受診のお問い合わせについては、当HPトップページの予約フォームからご連絡ください。

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この記事を書いた人

齋藤 隆文(さいとう たかふみ)
日本形成外科学会認定専門医
神戸大学医学部医学科卒
現在は加藤クリニック麻布、聖路加国際病院に所属。専門はお顔の美容外科、特に鼻の治療。

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