首イボを自分で取ることは可能?原因や皮膚科での治療法・費用を解説

首のイボ

「ふと気づいたら、首もとに小さなイボができていた」、そんな経験はありませんか?

首イボは、30代以降から発生しやすく、徐々に大きくなったり数が増えたりする場合もあります。

人目につきやすい部分のため、痛みやかゆみはなくても、つい気になってしまいますよね。

良性の首イボであれば、とくに治療は必要ありませんが、加齢に伴い、イボがどんどん成長していくおそれがあるため、気になる場合は早めの治療をおすすめします。

今回は、首イボの種類や原因・皮膚科での治療法・費用などをまとめました

また、首イボを自分で除去する危険性についてもお話ししていきますので、「自分で首イボを取っても大丈夫?」と疑問に思っている方は、ぜひ参考にしてください。

この記事の執筆者

石川 聡司
(新さっぽろウィメンズ ヘルス&ビューティークリニック 院長)

北海道大学医学部卒業後、北海道大学病院、帯広厚生病院など地域の中核病院に勤務。品川美容外科にて美容外科医として3年間の研鑽を積み、2021年に婦人科・美容外科を併設した当院を開業。

婦人科全般の診療のほか、美容医療では美肌治療、美容整形をはじめ脱毛・アートメイクなど幅広く対応する。

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目次

首イボの種類と原因

首イボは、大きく以下の3種類に分けられます。

  1. 軟性線維腫(スキンタッグ・アクロコルドン)
  2. 懸垂性軟線維腫
  3. 老人性イボ(脂漏性角化症)

それぞれの特徴、主な原因は下記のとおりです。

軟性線維腫(スキンタッグ・アクロコルドン)

軟性線維腫は、首や脇にできやすい1mm〜3mm程度の良性腫瘍です。

柔らかくて盛り上がりがあり、肌色〜茶褐色をしています。小さなものは、スキンタッグやアクロコルドンとも呼ばれます。

首のイボ

軟性線維腫ができる原因としては、主に以下が考えられます。

  • 摩擦
  • 紫外線ダメージ
  • 皮膚の老化
  • 遺伝

遺伝的に軟性線維腫ができやすい方もいますが、もっとも大きな原因は、長年蓄積した摩擦や紫外線ダメージによる皮膚の老化です。

30代以降から発症しやすく、更年期を過ぎた方や肥満体の方に多く見られます。また、年齢を重ねるにつれて数が増える傾向があります。

懸垂性軟線維腫

軟性線維腫がさらに大きくなり、垂れ下がったイボを懸垂性軟線維腫と呼びます。

軟性線維腫と同様にウイルス性ではないため、放置していても問題はありません

しかし、さらなる摩擦や紫外線などによって刺激を受けると、どんどん大きくなり目立ってしまうおそれがあります。

老人性イボ(脂漏性角化症)

老人性イボは、ホクロのように見える、茶色〜黒色のかたく盛り上がった良性腫瘍です。

首や顔・体幹部に発生しやすく、でき始めは1mm〜2mm程度ですが、放っておくと徐々に大きくなります。

老人性イボの主な原因は紫外線ダメージです。紫外線が当たると、メラニンが過剰に生成され、皮膚表面にシミとして現れます。

そして、さらに紫外線ダメージが蓄積すると、皮膚の基底細胞が異常を起こし、盛り上がって老人性イボになっていきます。

首のイボ

40代以降の方に発生しやすいですが、日常的に日焼けをする方は、20代の若いうちからできる可能性があるでしょう。

また、80代以降になると、ほぼすべての人に老人性イボがあらわれると言われています。

首イボの症状

首イボは、そのほとんどが良性の腫瘍のため、放置していても悪影響はありません

主に見られる症状は以下の通りです。

  • 数ミリ〜数センチの盛り上がり
  • 肌色や褐色・黒色
  • 皮膚が薄く柔らかい(軟性線維腫)
  • 表面がザラザラとしている(脂漏性角化症)

首イボの種類によって若干症状は異なりますが、基本的に痛みやかゆみはありません

ただし、衣類・アクセサリーの摩擦や、乾燥などが原因でかゆくなる場合があります。

また、首にできるケースは非常に稀ですが、痛みやかゆみを伴ったり、触るとイボが広がったりする場合は、ウイルス性のイボである可能性が高いです。 

ウイルス性のイボとは?

ウイルス性イボとは、皮膚表面の傷からウイルスが感染してできるイボのことです。

非常に多くの種類が存在しますが、代表的なものとして以下の3種類が挙げられます。

ウイルス性イボの種類特徴
尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)ヒトパピローマウイルスが皮膚表面の傷から感染して生じるイボ。手指や足の裏に多発する。表面にザラつきがある。
扁平疣贅(へんぺいゆうぜい)ヒトパピローマウイルス感染によるイボ。顔や腕にできやすく、若い女性に多く見られる。平らでシミと間違われやすい。
水イボ・伝染性軟属腫軟属腫ウイルス感染が原因で生じる、1mm〜5mm程度の水っぽいイボ。皮膚のバリア機能が低い乳幼児に発症しやすく、夏場によく流行する。

これらのイボはウイルス感染が原因であるため、イボに触った手でほかの部位に触れると飛び火しやすいです。また、周囲の人にも感染するおそれがあります。

ウイルス性イボは、手の指や足の裏・顔・腕などにできやすく、首にできるケースは少ないものの、絶対にできないとは言いきれません。

痛みやかゆみなどの症状がないものも多いため、軟性繊維種や老人性イボとの見分けは難しいですが、イボが多発したり、どんどん大きくなったりする場合には早めに皮膚科を受診しましょう。

ウイルス性イボ

首イボは自分で取れる?

首イボは放置しても問題ないとはいえ、人目につきやすい部分であるため、どうしても気になってしまう方が多いでしょう。

しかし、自分で取るのはおすすめできません

まず、ハサミやピンセットを使って無理に取ろうとするのは絶対にやめましょう。

出血したり、感染を起こしたりして、逆に悪化してしまう危険性があります。また、万が一ウイルス性のイボだった場合、刺激によってさらにイボを増やしてしまいます

そのほか、イボに効くと謳っている市販薬やクリームもありますが、これらは基本的にウイルス性イボの症状緩和に用いられるものです。

炎症のない首イボに塗っても効き目がないだけではなく、薬の強い作用によって肌荒れにつながるおそれがあるため、自己判断での使用は避けてください。

なお、「オロナインでイボが取れる」という噂があるようですが、残念ながら効果は期待できません。

オロナインは、傷やにきびなどの化膿を防ぐための皮膚疾患・外傷治療薬です。良性腫瘍である軟性線維腫や老人性イボに塗っても、取れることはないでしょう。

首イボが気になる場合は、自己流のやり方で取ろうとせずに、皮膚科で適切な治療を受けるのが安全です。

皮膚科での治療・取り方

皮膚科でのイボ治療にはいくつかの種類があり、イボの大きさや部位などに合わせて医師が最適な治療法を検討します。

ここでは、代表的な3つの治療法について解説します。

炭酸ガスレーザー(CO2レーザー)

レーザー照射後、約2日〜3日でかさぶたができ、1週間〜10日程度で自然に剥がれ落ちます。

炭酸ガスレーザーは、水分に反応すると熱に変換されるレーザー光線です。

イボに照射すると、細胞内の水分がレーザーのエネルギーを吸収して蒸散作用を起こし、瞬時にイボの体積を縮小させて除去します。

真皮や患部周辺にはほとんどダメージを与えないため、ダウンタイムが少なく跡も残りにくい点がメリットです。

レーザー照射後、約2日〜3日でかさぶたができ、1週間〜10日程度で自然に剥がれ落ちます。

イボを除去した後は一時的に凹みが生じる場合がありますが、3ヶ月〜6ヶ月かけて元の肌の状態に戻っていきます。小さいイボであれば、1回の施術で取れる可能性が高いです。

液体窒素

1週間〜2週間に一度のペースで、複数回繰り返す必要があります。

マイナス196℃ほどの液体でイボを凍結させて取り除く冷凍凝固術です。

凍傷を起こした患部は、やがて壊死してかさぶたになって剥がれ落ち、その後、イボの下の皮膚が細胞分裂を起こして増殖し、新たな皮膚の再生を促します。

施術後は、凍傷による炎症でヒリヒリとした痛みが生じますが、2日〜3日で治まるでしょう。

ただし1回の治療でイボを完全に取り除くのは難しく、通常は1週間〜2週間に一度のペースで、複数回繰り返す必要があります。

外科的切除(手術)

局所麻酔を行ったあとに、メスやハサミを使ってイボを取り除く方法です。大きめのイボを除去する場合に多く用いられます。

1回の治療で確実に除去できる点がメリットですが、皮膚の切除・縫合を伴うため、線状の傷跡が残る可能性が高いです。

皮膚科での首イボ治療の費用

首イボ治療の費用相場は以下の通りです。保険が適用されるかは、治療法によって異なります。

治療法費用相場
炭酸ガスレーザー(自費診療)約5,000円~10,000円/1個
液体窒素(保険適用)約700円~2,000円/1個
外科的切除(保険適用)約5,000円~15,000円/1個

液体窒素による治療の場合は、すべて保険適用となります。また、大きいイボであれば、外科的切除も保険がきく可能性が高いです。

ただし、液体窒素は複数回の治療が必要となる点、外科的切除は傷跡が残りやすい点を考慮した上で選択しましょう。

炭酸ガスレーザーは、美容目的の場合は基本的に保険が適用されませんが、短時間かつきれいにイボを取るには良い治療法と言えます。

イボの状態やクリニックによっても値段は異なるため、まずはカウンセリングを受けて確認しましょう。

首イボは自然治癒する?

一度できた首イボが自然に消えることはありません。

良性のイボであればそのまま放置しても問題ありませんが、加齢に伴いイボが大きくなったり垂れ下がったりするケースもあるため、見栄えを気にするのであれば早めの治療がおすすめです。

首イボの予防法

年齢とともに増えやすい首イボですが、できるだけ発生を防ぐためにも、以下のようなセルフケアを実践してみてください。

  • 紫外線対策を行う
  • 肌を保湿する
  • 睡眠をたっぷりととる
  • イボに刺激を与えない

紫外線対策を行う

紫外線ダメージは、日々の生活のなかで少しずつ蓄積されていきます。首はつい日焼け止めを塗り忘れがちな部位のため、とくに気を付けましょう。

1年を通して、日焼け止めや日傘・帽子などで紫外線対策を行ってください。

また、一度イボを治療した後も、紫外線ケアをしっかりと行うことで再発防止につながります。

肌を保湿する

乾燥は皮膚の老化を早め、首イボをできやすくしてしまいます。洗顔後やお風呂上がりには、顔だけではなく首もとのスキンケアも忘れずに行いましょう。

できてしまったイボを悪化させないためにも保湿ケアは重要です。

睡眠をたっぷりととる

質のよい睡眠は、肌のターンオーバーを促し、皮膚老化を防ぐのに効果的です。

お風呂にゆっくり入る・寝る前のスマホやテレビは控えるなど、睡眠の質を向上させる工夫をしてみてください。

1日の終わりに意識してリラックスタイムをつくると、疲労やストレス解消につながるとともに、ぐっすりと眠れるようになります。

イボに刺激を与えない

すでに首イボがある場合は、これ以上大きくさせないために、衣服やアクセサリーによる摩擦に注意しましょう。

とくに、タートルネックの服や襟付きの服・マフラーなどを着用する際は、イボが擦れて刺激を与えるおそれがあります。

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