アートメイク後のワセリンはいつからいつまで?塗り方と頻度

ワセリンを唇に塗る

ほとんどのクリニックでは、アートメイクのダウンタイム中に塗る目的で、施術後にワセリンを渡されます。

保湿力が高く、皮膚への安全性が確認されているワセリンですが、実際に使用するとなると細かな疑問もでてきますよね。

  • 「アートメイク後はワセリンを絶対に塗らなきゃダメ?」
  • 「いつからいつまで塗ればいいの?」
  • 「1日に何回くらい塗ると効果がある?」
  • 「アートメイクが長持ちする塗り方を教えてほしい!」

当ページでは、上記のような疑問をお持ちの方へ向けて、ワセリンが必要な理由塗らずに起こるトラブル塗る期間や効果的な塗り方・頻度をまとめています。

また、よくある質問として、ラップでの保護やワセリンの代わりになる軟膏についても解説していますので、ぜひ参考になさってください。

この記事の執筆者

石川 聡司
(新さっぽろウィメンズ ヘルス&ビューティークリニック 院長)

北海道大学医学部卒業後、北海道大学病院、帯広厚生病院など地域の中核病院に勤務。品川美容外科にて美容外科医として3年間の研鑽を積み、2021年に婦人科・美容外科を併設した当院を開業。

婦人科全般の診療のほか、美容医療では美肌治療、美容整形をはじめ脱毛・アートメイクなど幅広く対応する。

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この記事の監修者

齋藤隆文 美容外科医 形成外科専門医

齋藤 隆文
(日本形成外科学会認定専門医)

美容外科医。神戸大学医学部医学科卒業。東京大学医学部附属病院、杏林大学医学部附属病院の形成外科・美容外科での勤務を経て、現在は加藤クリニック麻布、聖路加国際病院形成外科に所属。

目次

なぜアートメイク後にワセリンを塗るの?

アートメイク後にワセリンを塗る理由は、大きく分けて3つあります。

ワセリンを塗る理由
  • 保湿
  • 保護
  • 色の定着を図る

この3つの働きを、一つずつ確認していきましょう。

保湿して傷を早く治すため

ワセリンの最も大切な役割は、施術箇所の保湿。

ワセリンは、皮膚表面に油の膜を張り、水分の蒸発を防ぐ効果の高い保湿剤です。

アートメイク後の肌には医療用針でついた細かな傷がある状態ですが、ほかの切り傷・刺し傷と同様に、保湿をすると傷の回復が良くなります

さらに、乾燥すると起こりがちなかゆみを軽減する効果も期待できます。

水分やほこりなどから保護するため

ワセリンには、外からの刺激や雑菌などからアートメイクを保護する役割が 。

アートメイク後の肌は、とても敏感な状態。水分やほこりも刺激になりやすく、傷のなかに雑菌が入ってしまうと感染症の恐れがあります。

このとき、デリケートな状態の肌にワセリンで油の膜を張ると、水分・ほこり・雑菌などから施術箇所を保護できます。

流出を防ぎ、色の定着を図るため

アートメイク後に塗るワセリンには、インクが流れ出すのを防ぎ、定着を図る効果も 。

施術後の肌の表面は、目には見えづらいですが、非常に細かな穴(傷)が開いており、インクが流出しやすい状態です。

ワセリンで細かな穴にフタをすると、インクの流出を防ぐのでインクがしっかり定着、アートメイクの持ちを良くする効果があります。

アートメイク後の色持ち

塗らないとどうなるか

アートメイクのダウンタイム中にワセリンを塗らないと、施術したばかりのアートメイクの持ちが悪くなります。

ほかにも起こりうるトラブルがありますので、一緒に確認しましょう。

ワセリンを塗らないと起こるトラブル
  • ダウンタイムが長引く
  • 色が消える・まだらになる
  • 感染症などの肌トラブルにつながる
  • 痛みやかゆみが強くなる

具体的な内容を下記にまとめました。

ダウンタイムが長引く

保湿と傷の治りについて先で触れましたが、ワセリンを塗らないと傷の治りが悪く、ダウンタイムが長引く可能性があります。

ダウンタイムは、細かな傷が修復する期間。保湿しないと傷がなかなか治らず、長引いてしまうケースがあります。

色が消える・まだらになる

ダウンタイムはインクを排出しやすい期間ですが、ワセリンを塗らないと、色が消えたりまだらになってしまいます。

また、予想外に汗をかいてしまったりお風呂のときでも、インクの流出が考えられるので、ワセリンは必須です。

とくに、乾燥しやすいリップアートメイクの場合は、唇の表面が切れて(ひび割れて)出血する可能性も。

出血もインクが流出する原因となりますので、出血箇所だけアートメイクがまだらになる可能性があります。

感染症などの肌トラブルにつながる

さらに、雑菌や水、外的刺激にさらされるので、感染症など肌トラブルの危険性もあります。

その場合、施術箇所が化膿してしまい色が定着しません。

ほこりや雑菌、水などの外的刺激からアートメイクを保護するためにも、欠かさずにワセリンを塗ります。

痛みやかゆみが強くなる

傷が空気に触れると、皮下神経が刺激されて痛みが強くなるケースがあります。

施術翌日以降は痛みがない方も多くいらっしゃいますが、ワセリンを塗らないとヒリヒリとした痛みがでてしまう可能性が。

また、乾燥はかゆみの引き金にもなり、寝ているときなどに無意識に掻いてしまうことも。

ダウンタイム中(とくに施術から3~4日後)にはかゆみを感じる方が多く、かゆみを軽減させるためにもワセリンをこまめに塗ります。

アートメイク後のワセリンはいつからいつまで必要か

施術後自宅に帰ってから、ダウンタイムが終わる1週間後くらいまで

施術直後のアフターカウンセリングやアフターケアでは、クリニックでクーリング(冷やす)やワセリンの塗布が行われます。

ですので、ご自身でのワセリン塗布は、自宅に帰ってからです。

また、「ワセリンはいつまで塗ればいい?」といった疑問をお持ちの方もたくさんいらっしゃいますが、ワセリンを塗る期間はクリニックや施術を行う部位により異なります。

クリニックごとのワセリンを塗る期間(例)

クリニックA2日間ほど、1日2~3回薄く伸ばして塗る。
クリニックB最低3日、支障がなければ1週間程度。
クリニックC渡されたワセリンがなくなるまで。

ワセリンを塗る期間が施術後2~3日程度のクリニックもありますが、色をしっかり定着させるために、当院ではダウンタイムが終わるまでをおすすめしています。

期間にするとおよそ1週間ほどですが、個人差もあり、唇のように皮膚が薄くダウンタイムが長めな部位だと10日かかるケースも。

途中で塗らなくなってしまうとトラブルにつながりますので、ワセリンの塗布は自己判断で辞めずに、クリニックの説明に従いましょう。

処方されるワセリン

長持ちさせるための塗り方と頻度

つづいて、アートメイクを長持ちさせるためのワセリンの塗り方と頻度をまとめました。

1日3回以上、こまめに塗る

ワセリンを塗る頻度は、1日3回を目安 に。

また、『ワセリン塗布による皮膚保湿時間の検討』の研究結果では、「6時間ごとに塗ると皮膚の保湿効果を維持できる」とされています。

ライフスタイルによって違いはありますが、朝・昼・夜の3回塗ると、だいたい6時間ごとの塗布になると思います。

とはいえ、リップアートメイクのように乾燥しやすい部位や冬の時期などは、こまめな塗布が色を長持ちさせるカギです。

効果的な塗り方

ワセリンを塗るまえに、まずは手と施術箇所を清潔にします。

暑い時期は液状になる場合もありますが、寒い時期はワセリンが固くなりますので、手で温めてからの使用がおすすめです。

細かい部分は、綿棒・コットンなどを使って、力を入れすぎず優しくなでるように、肌に乗せる感覚で行います。

また、使用する量は、薄く伸ばす程度で充分ですので、優しくていねいに塗りましょう。

シーン別おすすめの塗り方

STEP

お仕事やお出かけの約束など外出予定がある際は、薄めに塗るとテカリやベタベタが気になりません。
(ワセリンと綿棒を持って出かけましょう)

STEP
日中

外出先でも、しっかり手を洗ってから塗ります。

STEP
お風呂まえ

少し厚めに塗って、水や洗顔料、シャンプーなどからアートメイクを保護します。

STEP
お風呂上り・寝るまえ

お風呂上りに水滴を優しく押さえながら拭き、その後ワセリンをしっかり塗ります。

アートメイクはどのくらい持つ?
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よくある質問Q&A

さいごに、よくある質問についてまとめました。細かな疑問を解決して、上手にワセリンを使用しましょう。

塗りすぎてベタベタするときは拭き取り可能?

塗りすぎてベタベタやテカリが気になり、拭き取りたい場合があるかもしれません。

できればそのままにしていただきたいところですが、気になるときは優しく押さえるようにティッシュオフします。

こするように拭き取ると、施術箇所へ刺激を与えてしまう可能性も

色が定着しなかったりかゆみを引き起こす原因となりますので、ティッシュにワセリンを染み込ませるイメージで、うえから軽く押さえるだけにとどめましょう。

ラップで保護しても良い?

眉毛や唇の場合、シャワーを浴びるときなどにラップを貼って保護してもよいでしょう。

ですが、ラップが施術を終えた箇所の刺激にならないように注意してください。

サランラップ

ラップで保護するやり方

  1. 手と施術箇所を清潔にする
  2. アートメイクの大きさより5mm程度大きくラップを切る
  3. 施術箇所に少し厚めにワセリンを塗る
  4. うえから優しくラップを貼る

ラップは、大きすぎると邪魔になり、ふいに手があたって剥がれてしまうことも考えられます。

一方、小さすぎても保護しきれませんので、ちょうど良い大きさに調整します。

ワセリンを塗るとき綿棒やティッシュに色がついた。これって色落ち?

ダウンタイムは色を流出させないよう気をつけなければなりませんが、ワセリンを塗る際に綿棒やティッシュに色がつくと、色落ちが心配になりますよね。

ワセリンを塗るときに綿棒・ティッシュに色がつくのは、色落ちではありません

インクには、来院後自然に流れ出るものや、剥がれ落ちるかさぶたとともに流れ出るものもあります。(個人差がありますが、半分程度のインクが定着します)

注入したすべてのインクが定着する訳ではないので、クリニックでもインクの量を計算して施術をしています。

優しくワセリンを塗っていれば色がついても問題ありませんので、今まで通りにていねいなケアを行ってください。

ワセリンの代わりになるものはある?

ワセリンの代わりに、アートメイクのダウンタイム中に使用できる軟膏があります。

ワセリンの代わりになる軟膏の例

オロナイン殺菌成分を含む消毒用軟膏
マイシン殺菌成分を含む外傷薬
ゲルナート軟膏殺菌効果のある軟膏

多くのクリニックではワセリンを使用しますが、ワセリンの主成分は油で、殺菌成分は含まれていません。

一方、上記のような殺菌効果のある軟膏を渡される、または塗るように説明されるクリニックもあります。

クリニックにより使用する軟膏が異なるので、指示通りに塗りましょう。

ワセリンと異なり、とくにオロナインは匂いが強いため、顔に使用する場合は気になってしまうかもしれません。

しかし「ワセリンを渡されたけど、オロナインを塗りたい」といった場合は、クリニックに確認してから使用すると安心です。

アートメイクのリスク・副作用

アートメイクは皮膚表皮層から0.02~0.03mmの部分にニードル(針)を用いて人体に安全な色素を注入する医療美容技術です。日本では、アートメイクは医療機関で行わなければならない医療行為とされています。

アートメイク施術後および施術の1~2日後に以下のような副作用があらわれる可能性がございます。

  • 腫れ、痛み
  • アレルギー
  • 出血、内出血
  • かさぶた、赤み、熱感
  • 色素のムラや変色、にじみ
  • ケロイド
  • ヘルペス、感染症、ケロイド
  • 角膜損傷
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