脱毛するとムダ毛がなくなると同時に、毛穴が目立たなくなる・肌がきめ細かくなったり、毛穴の赤いブツブツ・毛穴の黒ずみが目立ちにくくなったりする効果が期待できます。
このページでは、脱毛で毛穴や毛穴の黒ずみがなくなると言われる理由や脱毛後の毛穴の状態、脱毛後の毛穴にトラブルが起こさないための予防法を解説しました。
この記事の執筆者

石川 聡司
(新さっぽろウィメンズ ヘルス&ビューティークリニック 院長)
北海道大学医学部卒業後、北海道大学医学部附属病院、帯広厚生病院など地域の中核病院に勤務。品川美容外科にて美容外科医として3年間の研鑽を積み、2021年に婦人科・美容外科を併設した当院を開業。
婦人科全般の診療のほか、美容医療では美肌治療、美容整形をはじめ脱毛・アートメイクなど幅広く対応する。
- 所属:日本美容外科学会JSAS、日本女性医学学会、日本産科婦人科学会、日本周産期新生児学会
「脱毛すると毛穴・黒ずみがなくなる」と言われる理由
脱毛をしてムダ毛がなくなると、副次的な効果として毛穴や毛穴の黒ずみが目立ちにくくなります。
- 毛の根元が見えなくなるから
- 毛の周りについていた皮脂や汚れがなくなるから
- 自己処理が必要なくなり肌荒れしなくなるから
- 脱毛の美容効果によるもの

「脱毛すると毛穴がなくなる」と言われる理由には、上記の4つが挙げられます。
毛の根元が見えなくなるから





医療脱毛の場合は毛根の発毛組織が破壊され、光脱毛の場合は発毛組織が弱ることで毛が抜け落ちます。
カミソリでムダ毛を剃っても毛根の毛は残ったままなので、毛穴が黒っぽく見えがちです。一方、脱毛をすると1~3週間ほどで毛がポロポロと毛穴から抜け落ちます。
毛が生えていることが原因で毛穴が目立ってしまっていた方は、毛穴にあった毛が抜け落ちてなくなると、毛穴が目立ちにくくなる効果が期待できます。
毛の周りについていた皮脂や汚れがなくなるから


毛抜きでムダ毛を引き抜いたとき、抜けた毛の周りに皮脂や汚れがついているのに気づいた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ムダ毛が生えていると、その周りに皮脂や汚れが溜まりやすくなり、毛穴の詰まりに発展します。毛穴が詰まってしまうと毛穴自体も開いてしまい、目立って見える原因に。
脱毛で毛がなくなると、毛穴に溜まった皮脂や汚れを落としやすくなります。



毛穴が開いてしまうのを予防できるので、毛穴が小さくなったように見える効果が期待できます。
自己処理が必要なくなり肌荒れしなくなるから


カミソリや毛抜きなどで自己処理をすると、肌の角質も一緒に削ってしまったり、肌への負担が大きくなります。
いわゆる「カミソリ負け」の状態は、誰もが経験するもの。乾燥しやすくなってしまったり、埋没毛(皮膚の表面に毛が埋もれてしまい、黒いブツブツに見える)が起こりやすい状態です。
脱毛でムダ毛がなくなると、自己処理をしなくて良いため肌へのダメージがぐんと減少します。
また、毛穴の黒ずみは、乾燥・肌ダメージ・ターンオーバーの乱れなどによるもの。
脱毛で自己処理の回数が減ると乾燥・肌ダメージも少なくなるので、黒ずみや色素沈着が改善される効果が期待できます。



肌や毛穴に負担をかけないので、トラブルも起こりにくくなり、肌のキメも整って毛穴が目立ちにくくなります。
脱毛の美容効果によるもの
医療脱毛で使用される機械の中でも、「アレキサンドライトレーザー」を使用した機械での照射はムダ毛がなくなると同時に美容効果も期待できます。
- ジェントルレーズ
- ジェントルレーズプロ
- ジェントルマックス
- ジェントルマックスプロ
- ソプラノアイスプラチナム
- ソプラノチタニウム など
顔脱毛をすると毛穴の黒ずみや頬の毛穴が目立ちにくくなる効果が期待できるので、「お化粧で隠すよりも根本的に目立つ毛穴をなくしたい」と顔脱毛を希望する方もいます。
◎顔脱毛で毛穴の黒ずみや頬の毛穴が目立たなくなる理由
- シェービング(自己処理)によって毛の根元が残って黒く見えていたのが、脱毛で根元から毛がなくなり改善
- レーザーが黒ずみのメラニンに反応してトーンアップ(毛穴詰まりの改善)
アレキサンドライトレーザーは毛穴を引き締めるケア効果のほか、コラーゲンの生産を促進する効果もあり、リフトアップや肌質の改善にもつながります。



肌質が良くなると、自然と毛穴も目立ちにくくなる効果が期待できます。
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脱毛しても毛穴が「消える」わけではない



毛穴は人の身体にとって大切な役割を果たしているもの。なくなってはいけない身体の機能です。


毛穴の働き
毛穴の奥には皮脂腺があり、汗や皮脂、老廃物を排出。毛穴から出る皮脂は皮膚の水分が蒸発しないように保護していて、毛穴は開いたり閉じたりすることで体温調整をしている。
脱毛の仕組み
- 医療レーザー脱毛:毛乳頭・毛母細胞・バルジ領域を熱によって破壊。ムダ毛が生えてこないようにする。
- 光脱毛:発毛に関わる組織にダメージを与えて弱らせ、一時的に毛を減らす・生えないようにする。
「いっそのこと毛穴が消えたほうが、きめの細かいきれいな肌になれるのでは?」と思う方もいらっしゃるでしょう。でも、毛穴は人の身体にとってなくなってはいけない身体の機能です。
脱毛は毛穴を破壊したり取り除いたりする施術ではないので、レーザーや光を照射しても毛穴が消えるわけではありません。



あくまで”目立ちにくくなる”のみで、脱毛で毛穴が消える!は誤りです。
毛が抜けたあとの毛穴はちゃんと閉じるの?
脱毛で毛が抜けると、ぽっかり穴が空き逆に毛穴が目立つようになるのでは?と思われる方もいらっしゃると思いますが、脱毛後は毛穴が徐々に縮小していきます。
特に医療脱毛では、いちど発毛組織が破壊されたあとは再生しませんので、次第に毛穴が小さくなります。
- 脱毛直後は冷やす
- 強い刺激を与えない
- しっかりと保湿する
光やレーザーによる脱毛は、熱によって発毛組織を破壊、または弱らせて脱毛・除毛・減毛する仕組みです。
脱毛後は肌がダメージを受けた状態ですので、強い刺激を与えてしまうと肌トラブルの原因となり、毛穴が閉じづらくなってしまいます。
脱毛後はクーリングや保湿をしっかり行い、こする・掻くなどの強い刺激を与えないようにしましょう。



じゅうぶんな睡眠をとったり、ビタミン・ミネラルなどの栄養バランスのとれた食事で肌の再生力をアップさせる方法も有効です。
毛穴の赤いブツブツ(毛孔性苔癬・さめ肌)は脱毛で改善する?


肌の代謝が滞ってしまい、毛穴部分の角質が厚くなってしまった状態で、さめ肌と呼ばれることもあり、見た目は肌色または赤いブツブツ、触った感じもザラザラです。
ときには軽い炎症を伴う場合もあり、二の腕やおしり、背中などができやすい箇所です。
遺伝やアトピー、乾燥肌が原因とも言われていますが、痛みやかゆみなどはありません。見た目や肌触りなどによって、悩みを抱える方も少なからずいらっしゃいます。
医療脱毛で使用されるものと同じレーザー(アレキサンドライトレーザー・ダイオードレーザー・ヤグレーザー)で、毛孔性苔癬が改善したという論文がいくつかあります1) 2) 3)。
毛孔性苔癬に脱毛を行うと、毛と一緒に毛穴に詰まった角質が取り除かれるために、ブツブツやザラザラが改善する可能性があります。
一方、毛孔性苔癬に数例の蓄熱式脱毛(医療脱毛)を試みたが劇的な改善が見られなかったといった報告もあり4)、必ず症状が治るわけではありません。



毛穴の赤いブツブツがひどい、または肌状態が良くないけれど脱毛を希望する方は、サロンで行う光脱毛ではなく、クリニックで医師の判断のもと医療脱毛を行うようにしましょう。
多くのクリニックでは、無料カウンセリングを行っています。毛孔性苔癬の脱毛に関しても診察してもらえますので、いちど相談に足を運んでみましょう。
脱毛後は毛穴が目立つケースもある
脱毛後は、一時的に赤みや毛穴の盛り上がり、鳥肌が立ったときのように見えることがあります。高い出力で施術を受けたときに起きるケースが多いですが、時間が経つごとに落ち着いていきます。
照射後、数日~1週間程度たっても治らない・痛みや強い赤みなどがある場合は、クリニックに相談しましょう。
脱毛された毛は放っておくと自然に抜け落ちていきますが、それまでの間に毛穴に残った毛が黒くポツポツと見える場合も。医療脱毛でポップアップした毛はとくに、黒く目立って見えることがあります。
ポップアップでは、毛穴のなかの毛が完全に外に飛び出すとは限らず、表面にポツポツと黒く残っているケースも少なくありません。



自己処理でシェービングをしたときよりも黒く目立って見える場合もあるため、心配になるかもしれませんが、ほかの毛と同様に1~3週間程で自然と抜け落ちます。
脱毛後、毛穴にブツブツや赤みが起きたら毛嚢炎を疑う
脱毛の副反応に「毛嚢炎」があります。脱毛後の毛穴にブツブツや赤みが起きたら、毛嚢炎を疑いましょう。


毛穴の奥の毛根を包む部分(毛嚢)で起こる炎症。毛穴の小さな傷から細菌感染すると起こります。
毛穴が赤や茶褐色にブツブツした状態であったり、ニキビのように膿がぽつんと溜まった状態などがあります。
カミソリで毛を剃ったときに起こるケースも多いですが、脱毛でも起こることもあります。とくに顔やワキ、VIOなどは毛嚢炎が起こりやすい部位です。
毛嚢炎が起きてしまったら?
もしも毛嚢炎が起きてしまったら、毛患部を清潔に保ち、余計な刺激を与えないようにします。
ほとんどの場合では数日~1週間ほどで治癒しますが、赤みや痛み、毛嚢炎が起きている場所が広い場合は、放置せずに受診するようにしましょう。
毛嚢炎の治療薬には、抗真菌薬・ステロイド軟膏・抗生物質の飲み薬などがあります。



クリニックでは、脱毛後に「リンデロン」「デルモゾール」などの抗炎症作用・抗菌作用のある外用薬を処方されるケースもあります。
脱毛後、毛穴にトラブルを起こさないための予防法
脱毛後、毛穴にトラブルが起こる理由
- 肌の乾燥
- 間違ったケア
- 細菌感染
- 強い刺激



毛穴を目立ちにくくするため、脱毛後は保湿をしっかり行い、お肌への負担を最小限にしましょう。
毛穴のトラブルを予防する方法
- 保湿やクーリングをする
- 紫外線対策をする
- 刺激を与えない
- 清潔にする
- もらった薬をしっかり塗る(クリニックでの脱毛の場合)
- 剃毛には電気シェーバーやシェービングクリームを使用する
脱毛前後はしっかりと保湿をし、脱毛後に肌が熱を持っている場合はクーリングをしましょう。
また、脱毛期間中の紫外線対策は必須です。日焼け止めクリーム・日傘や帽子などを上手に使用しながら、肌が紫外線にさらされないようにします。
さらに、脱毛後の敏感な肌には強い刺激を与えず、清潔に保つようにしてください。
脱毛前の自己処理で肌や毛穴を傷つけてしまっているケースも見られますので、脱毛前にシェービングをする際は、電気シェーバーやシェービングクリーム、ソープ・スムーサー付きのカミソリを使用するなど、肌への負担を少なくする方法を選びましょう。



脱毛プラスアルファの美容効果としては光脱毛がおすすめですが、脱毛後の毛穴トラブルへの対応や脱毛効果の高さといった面から、まずは医療脱毛の検討を推奨します。
医療レーザー脱毛は、レーザーをメラニン(黒い色)に反応させることで発生する熱により、発毛組織を破壊し脱毛します。
レーザー照射後は、以下のような副作用があらわれる可能性があります。
- 赤み、腫れ
- やけど
- 毛嚢炎
- 硬毛化、増毛化
- 埋没毛(埋もれ毛)
- 皮膚や毛の状態によっては、赤いブツブツが出ることがありますが、数時間~数日で消失します。
- 脱毛部分に赤みがある時は日焼けを避けてください。通常脱毛3週間は外出の際、脱毛部を露出する服装を控えていただくか、日焼け止めクリームなどをご使用ください。それでも稀に色素沈着が生じたり、逆に色素が抜けたりすることがあります。
- 脱毛部位にあるホクロ・シミ・あざなどは、レーザー脱毛に伴い取れてしまったり薄くなったり、あるいは濃くなることがあります。
- 毛穴に残った毛が黒く見えることがありますが、徐々に外に出て行きます。毛抜きで抵抗感なく抜けるものは抜いて構いませんが、無理に取ろうとして先の尖ったピンセットなどで掘ったりしないでください。
参考文献
- J Cosmet Laser Ther . 2013 Jun;15(3):150-4. doi: 10.3109/14764172.2013.769276. Epub 2013 Mar 6. Combination of 595-nm pulsed dye laser, long-pulsed 755-nm alexandrite laser, and microdermabrasion treatment for keratosis pilaris: retrospective analysis of 26 Korean patients
- JAMA Dermatol . 2015 Feb;151(2):187-91. doi: 10.1001/jamadermatol.2014.2211. Treatment of keratosis pilaris with 810-nm diode laser: a randomized clinical trial
- J Dermatolog Treat . 2013 Aug;24(4):318-22. doi: 10.3109/09546634.2012.660518. Epub 2012 Mar 4. Long-pulsed 1064-nm Nd:YAG laser significantly improves keratosis pilaris: a randomized, evaluator-blind study
- 塚原孝浩:よくわかる医療脱毛ーテクニックとトラブル対策 pp188