医療脱毛は保険適用される?保険証は必要か

院長 石川

おはようございます。新さっぽろウィメンズ ヘルス&ビューティークリニック院長の石川です。

年齢・性別問わずに注目を集めている医療脱毛は、医療機関で医師または看護師によって行われるため、「保険が適用されれば安く済む?」「保険証の提示は必要?」と疑問を持たれる方もいらっしゃると思います。

ただ、残念ながら医療脱毛は、基本的に保険が適用されません。保険証の提示は基本的に必要ありませんが、何らかの肌トラブルが起きて、治療を受けるときに必要な場合もあります。

このページでは、医療脱毛に保険が適用されない理由やアトピー・多毛症・ワキガ、多毛症など症状がある場合の保険適用について医療脱毛時の保険証の提示について解説しています。

目次

「保険がきく・きかない」ってどういうこと?健康保険の仕組み

現在の日本は、すべての国民が公的医療保険(以下「健康保険」と表記)に加入し、お互いの医療費を支え合う「国民皆保険制度」を採用しています。

「国民皆保険」は、収入や年齢に応じた保険料を支払う⇒病気・ケガなどの不測の事態に対して、医療費を軽減・医療給付や手当を受け取れるようにする、国民のセーフティーネットです。

健康保険の仕組み

風邪をひいた時やケガのときなど、病院に行ったときに窓口で支払うお金は、医療費の総額のうち3割(その方により負担額は異なります)ですね。

健康保険制度があるからこそ負担が少なくて済み、支払いが3000円のとき、実際は1万円かかっている、ということになります。

残りの7割はどうするかというと、いつも保険料を支払っている国や自治体・組合などの保険者へ、医療機関が請求することで後日支払われます。

健康保険の仕組みまとめ

  • 健康保険はすべての国民が加入するもの
  • 基本的な窓口負担は3割・家計を圧迫しないセーフティーネットの役割
  • 保険が適用されるものを「保険がきく」といい、適用されないものを「保険がきかない」という

医療脱毛は保険が適用されない「自由診療」の扱い

院長 石川

医療機関に行ったからといって、すべての治療に健康保険制度の仕組みが使えるわけではありません。

医療脱毛は法律で定めのある医療行為 1) ですが、保険が適用されません。したがって、窓口での負担額は10割(すべて自己負担)となります。

保険診療と自由診療のちがい

美容目的の整形手術や歯の矯正、レーシックなど、「病気・ケガを治すために行うものではない」ものに関しては、保険は適用されず全額自分で支払う必要があります。

一般的に「保険がきかない」といわれるのは、健康保険が適用にならない診療のことです。

また、このような保険が適用されないものを「自由診療」と言い、どこの医療機関に行っても同じ料金で同じ治療が受けられる「保険診療」とは異なり、クリニックによって自由に金額を設定できるようになっています。

自由診療って何?

院長 石川

自由診療とは「自費診療」とも呼ばれ、保険が適用されない(保険がきかない)医療技術や薬剤による治療です。

「自由診療=高額」といったイメージをお持ちの方も少なくないと思います。

診療自体が高額なのではなく、医療機関で行う治療費の100%を自己負担するため、どうしても窓口での支払い額が大きくなってしまうのです。

自由診療(保険がきかない診療)の例

  • 病気やケガの治療と関係のないもの
  • 単なる疲労や倦怠
  • 美容を目的とする整形手術
  • 研究中の高度医療
  • 予防注射
  • 人間ドック
  • 正常な妊娠・出産
院長 石川

健康上必須ではない治療や、現在国内では未承認の治療
が自由診療になっています。

それぞれに例外はありますが、基本的には上記のような診療が自由診療となり、保険が適用されません。

具体的には、歯の矯正やレーシック、胃内視鏡検査や男性型脱毛症(AGA)治療などが分かりやすいと思います。

自由診療のメリット
  • 治療の選択肢が増え、自分の体質や病気の合った治療を制限なく受けられる
  • 新しい医療技術や医薬品に挑戦できる

たとえば、海外では有効と認められている抗がん剤でも、国内では未承認のものがあります。国内では認められていない治療なので、もしも自由診療のシステムがなかったらその治療は受けられません。

しかし、日本では自由診療の制度があるため、「保険はきかないけど、本人の希望により治療が受けられる」といったメリットがあります。

院長 石川

医療脱毛の値段がクリニックによってさまざまなのは、医療脱毛は自由診療であり、料金を自由に決められる仕組みだからです。

医療脱毛はなぜ保険適用外なの?

医療脱毛はなぜ保険が使えないのでしょうか。それは、医療脱毛をする理由は主に美容目的であり、受けなくても健康上の問題がなく、行わなければならないものではないからです。

医療脱毛をする理由は・・

  • ムダ毛をなくしたい
  • 肌のお手入れをラクにしたい
  • コンプレックスを解消したい
  • きれいになりたい
院長 石川

医療脱毛は自由診療の「美容を目的とした整形手術」に分類されるので、保険適用外なのです。

※整形手術のなかでも、ケガの処置のための整形手術や先天性の四肢欠損・口唇裂などは保険が適用されます。

アトピーや多毛症、ワキガの場合も保険適用にはならない

アトピー・多毛症・ワキガといった場合でも、基本的に医療脱毛には保険がききません。

皮膚疾患であるアトピーやワキガに対して、医療レーザー脱毛を行うことで症状が改善された事例が報告されていますが、保険診療にはあたらず全額自己負担となるのが一般的です。

医療レーザー脱毛で期待される効果

アトピーカミソリなどを使用したムダ毛のお手入れでは、肌への負担が大きいためアトピーが悪化する恐れがある。
医療脱毛をすることでお手入れが必要なくなり、肌へのダメージを減らせる。ロングパルスアレキサンドライトレーザーの照射より、症状の改善も期待できる 4)
(重度のアトピーの場合、医療脱毛を受けられないケースも)
多毛症医療脱毛をすると発毛組織である毛乳頭・毛母細胞・バルジ領域を破壊するため、症状の改善が見られる。
(多毛症をきたす薬剤の使用や原疾患がある場合は、医療脱毛を行えない場合が)
ワキガアポクリン腺(汗腺)が原因であるワキガは、ワキの医療脱毛をすると症状が改善することがある。
医療レーザーの照射でアポクリン腺にダメージを与えて、発汗が抑えられるためであると考えられる。
(重度のワキガの場合、医療脱毛での完治は難しいので、手術の検討がおすすめ)

保険がきくケースは?

多毛症は「病気によるものなのか、美容上の悩みなのか」を医師が判断⇒医師の診断で多毛症と認められ、医療脱毛の必要があるとされた場合は保険がききます。

疾患保険適用の可否
アトピー基本的に保険適用は認められません。
多毛症医師の判断により、保険適用と認められるケースがあります。(ただし非常にまれ)
ワキガ基本的に保険適用は認められません。

アトピーやワキガの場合、薬や手術での治療が一般的ですので基本的には保険がききません(医療脱毛でアトピーやワキガの症状改善がみられるのは副産物的なものであり、それぞれの治療が目的ではないためです)。

院長 石川

軽度のワキガやアトピーの光線療法は保険適用となります。

先ほどから「基本的に」といった言葉を多く使用していますが「保険がきく・きかない」と断定できない理由は、病気の症状や状態も一人ひとりに違いがあり、医師がどう判断するかも異なるからです。

薬での治療が可能で、医療脱毛をしなくても改善できると医師が判断した場合には、本人が医療脱毛を希望しても保険適用にはなりません。

※「混合診療」(保険診療と自由診療)は原則としてできません。
厚生労働省の保険診療と保険外診療の併用についてでは、「保険診療と保険外診療の併用は原則として禁止しており、全体について、自由診療として整理される」とされています。
混合診療が原則禁止されている理由は、科学的根拠のない特殊な医療を助長する恐れがあるためです。

保険証の提示は必要?

医療脱毛は保険がきかないため、基本的には保険証の提示も必要ありません。ただし、下記の場合は保険証の提示を求められる場合があります。

医療脱毛で保険証の提示が必要となる場合
  • 治療目的で医療脱毛をする(保険がきく)場合
  • 身分証として使用
  • 肌トラブルが発生したとき

クリニックによって、契約時に身分証明書の提示を求められる場合があり、保険証が身分証明書として使用できます。もちろん、運転免許証やマイナンバーカードがある方は、保険証でなくてもかまいません。

また、脱毛後に肌トラブルが起こったとき、保険診療で治療を行う場合は保険証が必要です。ただ、脱毛時の肌トラブルの治療は無料で行う(脱毛料金に含まれる)クリニックも多く、その場合は保険証は必要ありません。

このほか、まれなケースですが、治療目的で医療レーザー脱毛をする場合は保険証の提示が必要です。

院長 石川

医療脱毛では保険証の提示は必要ありませんが、クリニックにより方針は異なります。念のため、通院時には持参するようにしましょう。

医療費控除の対象にはなる?

院長 石川

「治療目的」で行われるもの以外の治療は、医療費控除の対象にはなりません。

「治療目的」の基準:治療を行わなければ身体に支障をきたす・健康被害がある

医療脱毛は医療費控除の対象にならない

医療脱毛は美容目的で行われることがほとんどで、医療費控除も受けられません。

医療費控除の対象となるケースは以下のような場合が考えられますが、多くの医療機関では、治療の位置づけで脱毛を行うことは滅多にありません。

対象になるケース
  • 治療目的(保険がきく場合)の医療脱毛であれば対象になる
  • 保険適用外(自由診療)であっても、治療を目的としたものであれば医療費控除の対象になる(多毛症の治療の一環として医療脱毛をするケースなど)

健康保険の適用と同じで原則として対象外ではありますが、最終的には医師の判断次第であるといえます。

高額医療費制度も適用外

院長 石川

医療費の負担を減らす制度の一つとして、高額医療費制度があります。もしものときに、とても心強い制度ではありますが、医療脱毛はこちらも適用外です。

医療脱毛は保険が適用される診療ではないため、高額医療費制度の対象にはなりません

多毛症などで保険適用となった場合は、高額医療費制度が利用できる可能性もあります。
高額医療費制度については、加入している医療保険者(協会けんぽ・健康保険組合など)やお住いの市区町村の役所(国保の場合)への問い合わせが必要です。

脱毛後の肌トラブルには保険が適用されるケースも

医療脱毛を行うクリニックには医師がいますので、肌トラブルが起こった際は診察を受けられます。

重大な副作用が起きる可能性は極めて低いものの、脱毛によりヤケドや毛嚢炎などが起こってしまったときは、保険診療を行う場合もあります。

肌トラブルの治療は無料対応とする(脱毛料金に含まれる)クリニックが多いのですが、保険診療扱いで治療を行うところもあります。その場合は保険証の提示が必要です。

肌トラブルの例
  • 著しいむくみや赤み
  • 毛嚢炎
  • 静脈の反応(血栓性静脈炎など)
  • 表皮焼け(やけど)
  • 色素沈着
  • 色素脱失(色素沈着とは反対に一部が白くなることがあります)
  • 硬毛化(毛が太く硬くなる症状)

割引制度や医療ローンの利用で支払額は減らせる

「保険がきかないのであれば、何か料金を安くする制度はないの?」「医療脱毛を受けたいけど、支払いを減らしたい」といった方のためにあるのが「割引制度」「医療ローン」です。

各種割引制度

クリニックによって、各種の割引制度を採用しているところもあります。特に「学割」「乗り換え割」は多くのクリニックで割引率の設定があります。

割引制度の例

学割高校生・専門学生・大学生・大学院生が対象の割引(未成年の場合は親権者の同意書が必要です)
乗り換え割他のクリニックやサロンで契約している方が乗り換えをするときに有効な割引
ペア割(グループ割)家族や友人などと一緒に脱毛契約をしたとき適用される
平日割平日限定の通院で適用される割引

適用となる対象者や条件はそれぞれのクリニックで異なりますが、最大10~20%の割引が適用され、安く利用できます。

院長 石川

医療脱毛の支払額を減らしたい場合、コース料金以外にも、割引制度も合わせて比較してみましょう。

医療脱毛は医療ローンが利用できる

医療脱毛では、総額を分割で支払っていける医療ローン(メディカルローン)が利用できます。

医療ローンとは、医療行為を受けるためのローンを指します(自由診療でも利用可能です)。

全身脱毛の場合は平均20~30万円ほどの費用がかかり、一括で支払うのにはなかなかの高額です。そこで医療ローンを利用すると、分割回数を多く設定すればするほど月々の支払い負担は少なくなります。

それぞれのクリニックと提携している信販会社や銀行が主な借り入れ先で、一般的な医療ローンの金利は実質年率で4~10%程度と、カードローンやフリーローンにくらべて低い金利で利用できます。

「まとまったお金を払うのは厳しい」「毎月少しずつ支払いをしたい」といった方に適していますが、分割回数によっては、契約した回数を通い終えたあとも支払いは続いていくのを理解しておきましょう。

また、分割手数料が加算されますので、最終的な支払総額は一括払いと比べて高くなります

医療ローンを利用する場合は印鑑や本人確認書類などが必要で、審査が通らない場合もあります。

院長 石川

便利な医療ローンですが、月々の支払いが負担になり後悔する方もいますので、仕組みをしっかり理解した上で利用するようにしましょう。


この記事を書いた医師

院長 石川
Dr. 石川 聡司

新さっぽろウィメンズ ヘルス&ビューティークリニック 院長

北海道大学医学部卒業
北海道大学医学部附属病院や帯広厚生病院など地域の中核病院を経たのち、品川美容外科にて美容外科医として3年間の研鑽を積む。
2021年に当院を開業

参考文献

  1. 医師免許を有しない者による脱毛行為等の取扱いについて/医政医発第105号
  2. 医療費を支払ったとき(医療費控除)/国税庁
  3. 医療費控除の対象となる医療費/国税庁
  4. 高額医療費制度を利用される皆さまへ(平成30年8月診療分から)/厚生労働省保険局
  5. 山田弘道 皮膚科治療に役立つレーザーを用いた治療:J Visual Derm7:446:2008
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