アートメイク後に必ず訪れるダウンタイム。
ダウンタイム中の過ごし方やアフターケアのやり方が、アートメイクの持ちに影響します。
大切な期間に間違った過ごし方をしてしまうと、せっかく入れたアートメイクがすぐに消える・肌トラブルを引き起こすなどの可能性も。
「より長持ちさせるケア方法はある?」
「細かくダウンタイム中の注意点が知りたい」
「来院後の過ごし方を詳しく教えて!」
といった方向けに、当ページでは部位ごとのダウンタイム期間と経過、長持ちさせるアフターケアのポイント8つをまとめました。
少しでもきれいなアートメイクが長持ちするよう、ぜひ参考にしてください。
この記事の執筆者

石川 聡司
(新さっぽろウィメンズ ヘルス&ビューティークリニック 院長)
北海道大学医学部卒業後、北海道大学医学部附属病院、帯広厚生病院など地域の中核病院に勤務。品川美容外科にて美容外科医として3年間の研鑽を積み、2021年に婦人科・美容外科を併設した当院を開業。
婦人科全般の診療のほか、美容医療では美肌治療、美容整形をはじめ脱毛・アートメイクなど幅広く対応する。
- 所属:日本美容外科学会JSAS、日本女性医学学会、日本産科婦人科学会、日本周産期新生児学会
この記事の監修者

齋藤 隆文
(日本形成外科学会認定専門医)
美容外科医。神戸大学医学部医学科卒業。東京大学医学部附属病院、杏林大学医学部附属病院の形成外科・美容外科での勤務を経て、現在は加藤クリニック麻布、聖路加国際病院形成外科に所属。
- 資格:日本形成外科学会認定専門医
- 所属学会:日本美容外科学会JSAPS
アートメイク後のダウンタイムとは

ダウンタイムとは、施術を受けてから普段どおりの生活に戻るまでの期間を指します。
アートメイクのダウンタイムは、施術でついた細かな傷が回復する期間でもあり、肌にインクが馴染むまでの期間です。
アートメイクを施術した部位は非常にデリケートな状態になっているため、丁寧なケアで長持ちさせましょう。
基本的な過ごし方は以下のとおりです。
- ワセリンを塗る
- 刺激を与えない
- 濡らさない
アートメイクのインクは、すべて定着する訳ではなく、排出されるものもあります。
そのため、ほとんどのクリニックでは排出されるインクの量を計算し、完成のイメージよりも濃いめに着色します。
施術後やダウンタイム中は色が濃い状態が気になる方も多いのですが、色が肌に馴染めば自然な色へと定着しますので、丁寧なケアをしていきましょう。


アートメイク後のダウンタイム期間



ダウンタイムの期間は個人差がありますが、1週間ほどで終わるケースが多い傾向です。
アートメイク後のダウンタイムは、体質や年齢・アフターケアの仕方に影響を受けます。
また、施術回数が増えればダウンタイムの期間も短くなり、初回よりも2回目、2回目よりも3回目のほうが短くなる傾向に。
さらに、施術者の技術力が異なると傷の入り方が違うため、色の定着までの期間も変わります。
ダウンタイム期間を左右する要因
▽ダウンタイムが短い | ▽ダウンタイムが長い |
---|---|
2回目以降の施術 | 初めての施術 |
年齢が低い | 年齢が高い |
回復力が高い | 回復力が低い |
アフターケアをしっかりする | アフターケアを怠る |
皮膚が厚めの部位 | 皮膚の薄い部位 |
施術者の技術力が高い | 施術者の技術力が低い |
部位ごとのダウンタイム経過
ダウンタイムには個人差があるため、すべての方が同じ経過をたどる訳ではありませんが、基本的な腫れ具合いやダウンタイム期間を掲載しています。



部位ごとに過ごし方をまとめてありますので、ご自身の施術希望部位をチェックしてみてくださいね。
眉毛アートメイクのダウンタイム経過
眉毛アートメイクの場合、ほとんど腫れません(皮膚がデリケートな方は、腫れるケースもあります)。
ほかの部位にくらべて見た目の違和感がなく、ダウンタイムの期間が短い傾向があります。
発色が濃く感じる時期ですが、腫れや赤みはほぼありません(当日・翌日は、少しの腫れを感じる方もいらっしゃいます)。
傷になっている感覚はあまりありませんが、触れると痛みを感じるケースも。洗顔時は、眉毛を濡らさないように気を付けて過ごします。
腫れや赤みのあった方も落ち着き、かゆみが出てくる時期です。
刺激を与えるのはNGなので、掻かずに注意して過ごします。かゆみが気になる場合は、冷やすと落ち着くのでおすすめです。
かさぶたができる時期でもありますが、無理に剥がすと色素まで一緒に剥がれ落ちてしまいます。
ムラになる原因ですので、かさぶたが自然に剥がれるのを待ちましょう。
早い方だと5日後くらいには、色が定着してきます。見た目も当日より薄くなり、ほとんど違和感がない状態に。
ただ、見た目は完成していても、かゆみが残っている方もいらっしゃいます。ダウンタイムが終わるまでは、クリニックから渡されたワセリンを塗って過ごします。
眉毛アートメイクの場合、3日後くらいに色が濃くなったと感じる方も多いです。これは、かさぶたが原因なので、ダウンタイムが終われば自然な色へと馴染みます。
- 腫れ・赤み・かゆみがなくなる
- かさぶたがすべて剥がれ落ちる
- 色が定着し、自然な眉になる
上記のような状態になったら、ダウンタイムが終了したサインです。普段通りの洗顔や、上からアイブロウや眉マスカラなどのお化粧もできます。
リップアートメイクのダウンタイム経過
唇はデリケートな場所であるため、腫れ・赤みがでる可能性が高い部位でもあります。
腫れは、2日程度で終わる方が多い傾向がありますが、人によっては1週間ほど続く可能性も。
また、フルリップとリップラインではダウンタイムの期間や腫れが異なり、施術範囲が広いフルリップのほうが腫れやすく、色の定着までの期間も長くなる傾向があります。
フルリップ | 唇全体に着色。リップラインにくらべ腫れやすく、ダウンタイムの長い傾向。 |
リップライン | 唇の輪郭から内側にぼかしながら着色。フルリップより腫れが少なく、ダウンタイムも短い傾向。 |


施術当日~2日後までは、濃い口紅を塗ったような発色です。
ぷっくりとした唇になり腫れを感じる場合も多く、熱を持つケースもみられます。そのため、唇に違和感がありますが、触らずにできる限り冷やして過ごします。
(思ったよりも色が濃すぎると感じる場合も多くありますが、ダウンタイムが過ぎれば落ち着きます)
唇表面の薄い皮がめくれてきます。そのため、色がまだらに見えることも。腫れやヒリヒリとした痛みも落ち着きます。
リップアートメイクは乾燥を感じやすいので、ワセリンをしっかり塗って過ごします。
薄い皮のめくれも落ち着き、来院直後に比べて色がだいぶ薄くなります。自然な色味へと馴染みますが、この間もワセリンを丁寧に塗りましょう。
特に当日~4日後くらいまでは刺激を避けるため、熱い食べ物や香辛料が多い食べ物を我慢しましょう。また、カレーやコーヒーなどの色が濃い食べ物も、発色が悪くなる可能性もあるので、唇に触れないように気をつけます。
ダウンタイム中の飲み物は、ストローを使用するのもいいでしょう。
口唇ヘルペスを発症する可能性がある方は、クリニックで処方された抗ウイルス薬をきちんと使用します。
アイラインアートメイクのダウンタイム経過
目元には毛細血管や神経が多く存在するので、腫れや赤みを感じやすい傾向があります。
来院から3日ほど腫れるケースも多く、泣いたあとような腫れになる方も。上まぶたよりも下まぶたのほうが腫れが少ない傾向があり、粘膜に近づくにつれて腫れや赤みも出やすくなります。
アウトライン | まつ毛の生え際よりも外側。ダウンタイムは比較的短い傾向。 |
ナチュラルライン | まつ毛の生え際。ダウンタイムは7日程度。 |
インライン | まつ毛の生え際よりも内側。粘膜への施術となるため、腫れや赤みがでやすい傾向。(リスクが高く、 施術を行っていないクリニックもあります) |


施術による内出血で、赤みをともなう腫れがある方も多くいらっしゃいます。
来院後も数日は、ヒリヒリとした痛みを感じる場合もありますが、しっかり冷やすと痛みや腫れも徐々に落ち着くのでおすすめです。
細かな傷がつき繊細になっている期間ですので、目元は触らずに清潔にして過ごします。
かさぶたが割れて薄い皮が剥がれてくるため、多くの方がムラになります。
気になってしまうかもしれませんが、ほかの施術部位と同様自分ではがさず、自然に剥がれるのを待ちましょう。
人によってはかゆみもありますが、ダウンタイムの期間を長引かせないためにも、掻かずに冷やして過ごしましょう。
剝がれ落ちる薄い皮も徐々に減り、ほとんどの場合で腫れが引いて色が定着に向かいます。
3~4日後に気になったムラも7日後にはなくなり、肌に色が馴染んで完成です。
アイラインアートメイク後にできるかさぶたは、ケガをしたときのような分厚いかさぶたではなく、黒い薄い皮が張ったような状態です。
かゆみを伴うケースも多いですが、強い刺激が加わり傷口が開くと、出血とともにアートメイクのインクが流れ出てしまいます。無意識に掻いてしまわないように注意しましょう。
アートメイクを長持ちさせるためのアフターケア



ダウンタイム中は、施術した部位を「触らない」「濡らさない」が重要です。常に意識して過ごしましょう!
さいごに、アートメイクを長持ちさせるためのアフターケア8つをまとめました。
- 刺激を与えない
- しっかり保湿をする
- 洗顔は最短でも翌日から
- 濡らさない・清潔に保つ
- 施術箇所へのクレンジングやお化粧をしない
- ターンオーバーの周期を早めない
- 日焼け防止
- クーリングを行う
刺激を与えない
ダウンタイム中は、施術箇所への刺激を与えないようにします。こすったり強い刺激を与えないのはもちろんですが、無意識でも触るのも避けましょう。
眉毛アートメイクの場合、眉に近い場所の、かみそりを使ったシェービングも避けた方が無難です。
一方、リップの場合は、マスクに唇がこすれて刺激になる可能性があります。そのような場合は、唇に触れない形状のマスクがおすすめです。
しっかり保湿をする
アートメイクの色を長持ちさせるために、施術後はしっかり保湿します。
とはいえ、普段使っている美容液やオイル、化粧水などを塗るのは禁物。クリニックから施術後に渡されたワセリンを塗りましょう。


保湿効果:肌の表面に油膜を張り、皮膚の内側からの水分蒸発を防ぐ
保護効果:ワセリンの膜が刺激や空気中のほこりなどから皮膚を守る
眉毛の場合たっぷりと塗ってしまうと、テカリが気になり不自然になるので薄めに塗ります(綿棒でなでるようにサッと塗ると、余計な刺激を与えず均一に塗りやすいのでおすすめです)。



寒い時期はワセリンが固まってしまうことも。手などで少し温めてから使用すると、柔らかくなるので塗りやすいですよ。
洗顔は最短でも翌日から
施術箇所:早くても翌日から、最長1週間後から(クリニックにより異なる)
施術箇所以外:翌日から
施術後の洗顔ができるようになる時期はクリニックによって異なり、「当日は避け、翌日からOK」といったクリニックもある一方で、一週間は避けた方が良いと推奨しているクリニックもあります。
施術を受けたクリニックの指示に従うようにし、洗顔の際はなるべく刺激を与えないように優しく行いましょう。厚めにワセリンを塗ってから洗顔すると、施術箇所を保護できます。



施術後、しばらくは施術部位に水がかからない拭き取り洗顔の使用がおすすめです。
濡らさない・清潔に保つ
施術後すぐにアートメイクを濡らしてしまうと、インクが流れ出たり、感染症を引き起こたりする恐れがあります。
「濡らさずに(洗わずに)清潔に」と聞くと矛盾しているようにも感じますが、クリニックでもらったワセリンを塗ってホコリや菌から保護し、お化粧をする・触れる・濡らすなどの菌が入り込む危険を避けるだけで大丈夫です。
感染症を引き起こしてしまうと、肌トラブルにつながりインクが定着せず、ダウンタイムが長くなる可能性があります。
眉毛アートメイクの場合、前髪が眉にあたって刺激になり、清潔を保てない可能性も。施術直後は色が濃く、ワセリンのテカリも気になるかもしれませんが、前髪で隠さず眉に触れないように過ごしましょう。
施術箇所へのクレンジングやお化粧をしない
クレンジング:1週間ほど避ける
お化粧:1週間ほど避ける
クレンジングは、弱っている肌に刺激を与えるだけでなく、インクを掻きだしてしまいます。施術箇所へのクレンジング剤は、1週間使用しないようにしましょう。
またお化粧も、ダウンタイム中は避けるべきです(来院後、2週間お化粧を避けるよう指導するクリニックもあります)。
施術箇所以外のお化粧やクレンジングは、翌日から可能なクリニックが多い傾向がありますが、その場合でも施術箇所にクレンジング剤が触れないように注意します。
ターンオーバーの周期を早めない
アートメイクの持ちを良くするために、ターンオーバーの周期を早めるお手入れも避けます。
たとえば温泉やサウナ、激しい運動などの代謝をあげるような行為は厳禁です。
基本的には、ダウンタイム中のみ避けるように説明があるケースが多いですが、クリニックによっては来院から2週間避けるように言われる場合もあります。
また、来院の前後2~3週間ほどは、ピーリングなどの美容系サービスは我慢しましょう。代謝が促されるため、アートメイク前であっても色の定着に影響します。
- 温泉・サウナ
- 激しい運動
- ピーリングなどの美容系サービス
- ターンオーバーを促すドリンクや錠剤
ダウンタイムが終わっても、ターンオーバーの周期が早すぎるとそれだけ色素が排出されやすくなるので、アートメイクの持ちが悪くなります。
一方、周期が遅すぎても肌トラブルにつながりますので、正常な周期を維持するように心がけます。
日焼け防止
紫外線は、インクの変色や色あせの原因となります。さらに、ダウンタイム中は施術箇所がデリケートな状態ですので、通常よりも肌へのダメージが大きくなります。
地域にもよりますが、紫外線は3月頃から増え始め、10月までは多い傾向があります。
来院直後から日焼け対策を行いたいところですが、お化粧と同じく施術から1週間は日焼け止めを塗れません。


そこで、日傘や帽子などを上手に利用して、紫外線から肌を守りましょう。



11月から2月までの紫外線が少ない期間でも、長時間屋外にいる場合は紫外線対策をしっかり行うようにしましょう。
クーリングを行う
クーリングとは、施術箇所を冷却(クールダウン)することです。タオルを巻いた保冷剤などを使用、施術箇所に優しく当てて冷やします。
- 施術後の肌を休ませる
- 赤みや腫れ、かゆみを抑える
ダウンタイム中にかさぶたができ、かゆみを感じる場合がありますが、掻いてしまわないようにぐっと我慢です。
掻いてしまうとアートメイクが消えてしまったり、まだらになってしまったりする可能性があります。
施術後はもちろんですが、赤み・腫れ・かゆみがあれば、その都度クーリングを行いましょう。
アートメイクの持ちについてもっと見る
アートメイクは皮膚表皮層から0.02~0.03mmの部分にニードル(針)を用いて人体に安全な色素を注入する医療美容技術です。日本では、アートメイクは医療機関で行わなければならない医療行為とされています。
アートメイク施術後および施術の1~2日後に以下のような副作用があらわれる可能性がございます。
- 腫れ、痛み
- アレルギー
- 出血、内出血
- かさぶた、赤み、熱感
- 色素のムラや変色、にじみ
- ケロイド
- ヘルペス、感染症、ケロイド
- 角膜損傷