アートメイクは時間がたつと変色する?原因と対処法・変色させないケア方法

アートメイクについて検索しているうちに「変色する」といった情報を目にした方もいらっしゃると思います。

美しくなるためにと入れたアートメイクが、目立つほど変色してしまったら嫌ですよね。

「眉毛アートメイクが赤く変色するって本当?」
「変色してしまったら、どうすればいい?」
「変色させない方法があれば知りたい!」

当ページでは、上記のような疑問をお持ちの方に向けて、変色の有無その原因変色への対処法変色させない方法をまとめています。

グレーに変色したケースについてや一生メンテナンスが必要か、といった質問にもお答えしていますので、ぜひ参考になさってください。

この記事の執筆者

石川 聡司
(新さっぽろウィメンズ ヘルス&ビューティークリニック 院長)

北海道大学医学部卒業後、北海道大学病院、帯広厚生病院など地域の中核病院に勤務。品川美容外科にて美容外科医として3年間の研鑽を積み、2021年に婦人科・美容外科を併設した当院を開業。

婦人科全般の診療のほか、美容医療では美肌治療、美容整形をはじめ脱毛・アートメイクなど幅広く対応する。

医師略歴・プロフィール
運営者情報
お問い合わせ

この記事の監修者

齋藤隆文 美容外科医 形成外科専門医

齋藤 隆文
(日本形成外科学会認定専門医)

美容外科医。神戸大学医学部医学科卒業。東京大学医学部附属病院、杏林大学医学部附属病院の形成外科・美容外科での勤務を経て、現在は加藤クリニック麻布、聖路加国際病院形成外科に所属。

目次

眉毛アートメイクは変色する?その原因とは

Dr.石川

昔のアートメイクのように大きな変色のケースはまれですが、年月がたつと色素が薄くなると同時に、多少色が変化する場合もあります。

今の眉毛アートメイクは経年で薄くなりますが、目立つような変色をさせずに保つことが可能です。

ただ、「全く変色する可能性がない」とも言い切れないのが事実であり、ご自身でも変色しないよう工夫することで、より変色のリスクを減らせます

眉毛アートメイクが変色する理由

アートメイクが変色してしまう理由には、下記の3つが挙げられます。

アートメイクが変色する理由
  • 色素によって退色するスピードが違うため
  • 質の悪いインクを使用しているため
  • 間違ったセルフケアをしているため

眉毛アートメイクは、基本的にブラウン系の色素をベースに赤や黄色などを調合して、その人に合った色を作り出します。

それぞれの色素は退色スピードが違い、退色しやすい色素が早く減り、長持ちしやすい色素が残ります。そのため、色が変わって見えてしまうのです。

さらに、酸化鉄が多く安価で質の悪いインクを使用している場合、アートメイクが変色しやすい特徴があります。

また、紫外線に長時間当ててしまったり乾燥させてしまったりと、ケアを間違えると変色する可能性が高まります。

アートメイクを変色させずに上手に保つ方法

勇気を出して来院し、施術を受けたアートメイク。日頃のちょっとした心がけで変色させない方法があれば、ぜひ実践したいですよね。

Dr.石川

つづいて、アートメイクを変色させず上手に保つ方法を見ていきましょう。

変色させずに保つ方法
  • 紫外線対策をする
  • ダウンタイムを安静に過ごす
  • 代謝を上げ過ぎない

以下でくわしく解説します。

紫外線対策をする

アートメイクを変色させないために、施術後は紫外線対策をしっかり行いましょう。

紫外線を強く浴びると、アートメイクが変色してしまう可能性が高まります。

アートメイクに紫外線を強く当てると起こる変化
  • 染料が紫外線に反応して変色する
  • 血流が促進されて変色・退色する
  • 紫外線でアレルギーを発症、肌トラブルとなり変色・退色する

下記に、1年を通して紫外線がどのくらいあるのかをまとめました。

2020年UVインデックス
(観測地点:つくば)

観測月UVインデックス平均
1月1.7
2月2.7
3月3.5
4月5.0
5月5.9
6月6.2
7月5.6
8月8.6
9月5.2
10月3.3
11月2.3
12月1.6
参考:日最大UVインデックス(観測値)の月平均値の数値データ/気象庁
※UVインデックス=人体への影響度合いをわかりやすく示すために、紫外線の強さを数値化したもの。
1~2:弱い 3~5:中程度 6~7:強い 8~10:非常に強い

上の表を見てもわかるように寒い時期でも紫外線は地上に届いていますので、冬でも紫外線を長時間浴びるのは厳禁。

夏以外の季節も紫外線対策を怠らないようにします。

紫外線対策の例
  • 日焼け止めクリーム
  • 日焼け止め効果のある化粧品
  • 日傘
  • サングラス
  • 帽子

上記のような紫外線対策グッズをTPOに合わせて、上手に利用できるといいですね。

ダウンタイムを安静に過ごす

Dr.石川

ダウンタイムの過ごし方を間違えてしまうと、アートメイクが変色する可能性があります。

ダウンタイムの注意点
  • 濡らさない
  • こすらない
  • クレンジングオイルを使用しない
  • かさぶたを無理にはがさない
  • ワセリンを定期的に塗る

施術時についた細かな傷が回復する前の、アートメイクを濡らす・こする・クレンジングオイルを使用する、といった行為は、インクが流出する危険性を高めます。

部分的に薄くなるだけでなく、変色してしまう場合も。

さらに、来院数日後にできるかさぶたを無理にはがすと、かさぶたとともにインクまで剥がれてしまう可能性があります。

ダウンタイム中はできるだけ安静に過ごし、施術箇所の保護・保湿のためにワセリンを定期的に塗りましょう。

処方されるワセリン

代謝を上げ過ぎない

新陳代謝やターンオーバー(肌の生まれ変わり)とアートメイクの変色・退色には、密接な関係があります。

Dr.石川

代謝を上げ過ぎないことが、アートメイクの変色を防ぐ一つの方法です。

代謝やターンオーバーを促すNG行為
  • 激しい運動
  • サウナ
  • ピーリング

激しい運動やサウナなど、たくさん汗をかくような行動は、代謝を良くします。

通常であれば、代謝が良いほうが健康的ではありますが、アートメイクの色素は代謝によって古い角質とともにはがれ落ちます。

そのため、代謝が良くなれば良くなるだけ、アートメイクの変色・退色が早まってしまうのです。

とはいえ、代謝が悪くなってしまうと肌トラブルにつながりかねませんので、その人に合った正常な代謝サイクルを保つ必要があります。

正常な代謝サイクルを保つためには、栄養バランスのとれた食事や適度な運動、充分な睡眠を心がけましょう。

さらに、肌の生まれ変わりを促進するピーリング効果のある化粧品の使用は、アートメイク部分を避けて行うようにします。

変色しにくい色はある?

Dr.石川

現在多くのクリニックで使用されているインクは、色によって持続期間の差はありません。

変色しにくい色に関しては、同じ色を入れても肌質や体質によって個人差があるため「この色」とは言い切れません。

ただし部位によって持ちに差があり、リップアートメイクと比べて、眉アートメイクは持続期間が長い傾向です。

眉毛タッチアップ

繰り返しになりますが、10年ほど前にアートメイクで使用されていた染料は変色しやすい特徴がありました。

染料(インク)特徴や傾向
昔の染料変色しやすい
酸化鉄を多く含む
現在の染料変色しにくい
酸化鉄を含まない、またはごく微量

現在の染料はインクメーカーやクリニックの「人体に安全な染料を」「変色しにくいインクを」といった企業努力により、安全性や品質が昔よりも向上しています。

とくに、FDA(アメリカ食品医薬品局)認証やオーガニックのインクは、変色しにくい傾向があります。

変色しにくいインクの特徴
  • FDA(アメリカ食品医薬品局)の認可を受けている
  • EMA(欧州医薬品庁)の認可を受けている
  • オーガニック原料を使用している
  • MRI SAFEの表記がある

契約前には、クリニックで使用しているインクをチェックしてみましょう。上記のようなインクを使用しているクリニックであれば、より安心です。

現在は、昔に比べて質の良いインクを使用しているクリニックが多い傾向がありますが、全く変色しない訳ではなく、あくまでも個人差があります。

アートメイクのカラーが変色した場合の対処法

Dr.石川

万が一アートメイクのカラーが変色した場合の、3つの対処法をまとめました。

変色したときの対処法
  • リタッチをする
  • メイクでカバー
  • 除去をする

1つずつ、くわしく見ていきましょう。

リタッチをする

リタッチ=アートメイクのお直し(メンテナンス)

リタッチ唇

アートメイクの変色は、リタッチで修正できます。

リタッチの際は変色の色味を見て補色を注入、自然な色に戻るように施術していくので、より自然な形で変色を修正できます。

ただし、デザインにもよりますが、まっさらな状態に描いていくのと違い、今あるアートメイクに合わせて色を修正するため、リタッチには高い技術が必要です。

Dr.石川

他院のリタッチ(修正)は料金が高くなる傾向があるため、リタッチは最初にアートメイクをしたクリニックで行いましょう。

お化粧でカバー

上からお化粧をして目立たなくする

アートメイクの変色を、コンシーラーやアイブロウペンシル・パウダー、眉マスカラやアイライナー、口紅などのお化粧でカバーする方法もあります。

ただ、水に濡れたりこすったりすると、消えてしまうのがデメリットです。

また、アートメイクをする前に使っていた化粧品は、アートメイク後(変色したあと)にそのまま使用すると、色味が多少変わることがあります。

コンシーラーで変色部分を消してからお化粧をするほうが、よりきれいにカバーできます。

コンシーラー

毎日メイクでカバーし続けるのは大変ですので、早めのリタッチがおすすめです。

除去をする

除去でアートメイクを消す

肌への負担が大きいため、あまりおすすめできませんが、変色してしまったアートメイクを除去する方法もあります。

除去方法特徴
レーザー除去レーザーをアートメイクに当てて除去
もっともポピュラーな方法ですが、眉毛やまつ毛が生えなくなる可能性が
切除手術アートメイク部分を切り取り除去
一度で除去可能ですが、多少傷跡が残る可能性が
除去液除去剤をアートメイク部分に注入して除去
肌への負担が大きく、赤みや腫れがでやすい
カモフラージュ肌色のインクを注入してアートメイクを目立たなくする
変化する肌の色に馴染む色の調整が難しいため、不自然に見えるケースも

アートメイクの除去に最も利用されるレーザー。一度の照射では消えずに、何度も施術が必要になるケースがあります。

その際に、肌に凸凹ができてしまったり、白っぽく痕が残ってしまったりする方も。

また、毛根にまで反応してしまい、眉毛やまつ毛が生えなくなってしまう可能性もあります。

どの除去方法を選択しても、アートメイクを入れるときよりも肌への負担が大きく、費用も数倍~数十倍となってしまうため、当院では極力おすすめしていません

除去について詳しく見る

アートメイクの変色に関してよくある質問

Dr.石川

さいごに、アートメイクの変色に関してよくある質問をまとめました。

以下で、くわしくお答えします。

眉毛がグレーに変色した。失敗でしょうか。

眉毛がグレーに変色した場合、肌質によるものだと思われます。

アートメイクの定着は個人差が大きく、たとえば1回目の施術で半分ほど定着する方と、ほとんど残らない方がいらっしゃいます。

定着しにくい肌に無理をして明るめのブラウンを深く彫ると、グレーに定着する可能性も。

1回目のダウンタイムが終わり、眉毛がグレーに変色してしまった場合、2回目の施術で使用するインクの色を調整します。

クリニックによっては、グレーに変色しないよう、施術の最後に赤の染料をパックで擦り込む手法を採用しているところも。

Dr.石川

2回目の施術で修正が可能ですので、クリニックで相談するようにしましょう。

経年すると青っぽくなる、赤っぽくなるというのは事実ですか。

アートメイクが経年すると青っぽくなる、赤っぽくなるのは事実です。

とくに昔のアートメイクでは、黒は青っぽく、茶色は赤っぽくなる特徴があり、変色したアートメイクに悩んでおられる方もいらっしゃいます。

しかし、最近のアートメイクでは、全くのゼロではないものの「大きな変色はほとんどない」といってもいいでしょう。

アートメイクは、日々進化しています。現在は昔のアートメイクにくらべて、デザイン性や安全性、技術力や使用するインク・機器の質も高くなっています。

信頼できるクリニックであれば、青や赤などの目立つような変色の心配はいりません。

極端に安い料金のクリニックでは、安価なインクを使用している可能性も否めません。そのため、青や赤に変色する可能性もあります。

アートメイクは必ず医療機関で行わなければなりませんが、違法サロンでの施術は、安全性やインクの質にも不安が残ります。
変色を避けるためにも、サロンでの施術をしないのはもちろん、極端に安すぎるクリニックとの契約をしないようにしましょう。

一度入れると一生メンテナンスが必要ですか。

一度アートメイクを入れたら、一生メンテナンスをするのが理想です。

アートメイクの持ちは1~3年ほど。アートメイクは性質上、経年で薄くなり多少色味が変わってきます。

そのため、きれいなデザイン・色をずっと保ちたい場合は一生に渡るメンテナンスが必要です。

とはいえ、メンテナンスには時間や費用もかかります。ライフスタイルの変化などによって、メンテナンスができなくなる可能性もありますよね。

いろいろな状況・環境もあると思いますので「必ず」という訳ではありませんが、整ったデザインを保つためには、定期的なメンテナンスがおすすめです。

一方、今まで通りのお化粧をする生活に戻る場合は、メンテナンスの必要はありません。

Dr.石川

数年たっても薄くなった色が部分的に残る可能性がありますので、今後のことも良く考えてからクリニックと契約しましょう。

アートメイクのリスク・副作用

アートメイクは皮膚表皮層から0.02~0.03mmの部分にニードル(針)を用いて人体に安全な色素を注入する医療美容技術です。日本では、アートメイクは医療機関で行わなければならない医療行為とされています。

アートメイク施術後および施術の1~2日後に以下のような副作用があらわれる可能性がございます。

  • 腫れ、痛み
  • アレルギー
  • 出血、内出血
  • かさぶた、赤み、熱感
  • 色素のムラや変色、にじみ
  • ケロイド
  • ヘルペス、感染症、ケロイド
  • 角膜損傷
目次