医療脱毛では、麻酔を使用して痛みを軽減できます。ただ、クリニックによっては脱毛時に麻酔使用ができなかったり、麻酔が有料だったりと、対応はさまざまです。
痛みが苦手な方は麻酔を使用した方が満足度が高い傾向があり、クリニック選びの際は麻酔料金を比較して決めるのがおすすめ。このページでは麻酔が無料の医療脱毛クリニックをまとめました。
医療脱毛で使える麻酔の種類や麻酔の値段相場も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
この記事の執筆者

石川 聡司
(新さっぽろウィメンズ ヘルス&ビューティークリニック 院長)
北海道大学医学部卒業後、北海道大学医学部附属病院、帯広厚生病院など地域の中核病院に勤務。品川美容外科にて美容外科医として3年間の研鑽を積み、2021年に婦人科・美容外科を併設した当院を開業。
婦人科全般の診療のほか、美容医療では美肌治療、美容整形をはじめ脱毛・アートメイクなど幅広く対応する。
- 所属:日本美容外科学会JSAS、日本女性医学学会、日本産科婦人科学会、日本周産期新生児学会
医療脱毛の麻酔効果

脱毛時の麻酔はクリニック(医療機関)のみで使用でき、エステサロンで行う脱毛では使えません。


麻酔は脱毛時の痛みを軽減できる
医療脱毛の麻酔は、レーザー照射による痛みを軽減する効果があります。痛みで照射が中断される可能性も少なくなり、スムーズに脱毛が進むメリットも。
医療脱毛の麻酔にはいくつかの種類があり(医療脱毛時に使われる麻酔の種類はこちら)それぞれに特徴が異なりますが、どれも脱毛時の痛みを抑える効果が期待できます。
ただし、痛みが全くゼロになるわけではありません。
「麻酔=痛みを少しも感じなくなる」と考える方もいらっしゃいますが、あくまでも痛みを和らげる効果であり、触れられている感覚や人によっては多少の痛みを感じる場合もあります。



麻酔はレーザーの刺激による痛みを軽減できるので、痛みを抑えて医療脱毛をしたい方におすすめです。
麻酔を使うと脱毛の効果は減る?
「麻酔を使用すると脱毛の効果が減る」とのウワサがあるようですが、脱毛効果は、麻酔を使用するしないよりも脱毛機の出力(パワー)の高さが関係するものです。
麻酔を使用した際の出力はクリニックの方針によって違い、「麻酔を使用すると痛みを感じにくくなるため出力を上げられる」クリニックがある一方で、「麻酔で痛みが感じにくくなるぶん、やけどのリスクを考えて出力を上げられない」考えのクリニックもあります。
麻酔と脱毛効果の関係
メリット | デメリット | |
---|---|---|
麻酔あり | 痛みを軽減できるので出力を下げすぎなくてすむ | やけどするレベルでも痛みを感じにくいため、出力を一定以上に上げられない |
麻酔なし | 痛みが強い場合は出力を下げる | 痛みの度合いを見ながらやけどしない最大まで出力を上げられる |
ただ、「麻酔を使用すると出力を上げられない」クリニックであっても、効果がないほどに出力を下げるわけではありません。
また、どの程度の出力で照射していくかは肌の色や毛質、何回目の照射かなど状況にもよります。
よって、麻酔を使用したからといって脱毛効果が減るわけではありません。



痛みが苦手な方や心配な方は、躊躇せずに麻酔を使用したほうがストレスの少ない脱毛ができるでしょう。
医療脱毛を行うとき使える麻酔の種類
医療脱毛クリニックで扱われている麻酔は以下の5種類です。
- 麻酔クリーム
- 笑気麻酔
- 局所麻酔
- 静脈麻酔
- 麻酔テープ
医療脱毛で一般的に使用されるのは、「①麻酔クリーム」と「②笑気麻酔」。ほとんどが麻酔クリームを使用していて、笑気麻酔を扱っているクリニックは少ないです。



「麻酔クリームと笑気麻酔どちらを選択すればいいですか?」と質問を受けることがありますが、痛みに対する恐怖感が強い方は笑気麻酔を扱っているクリニックが良いでしょう。
麻酔クリーム
麻酔クリームは脱毛に使う麻酔のなかで最もポピュラーなものです。
クリームを脱毛する部位に厚めに塗り、ラップで覆って時間をおくと神経が麻痺し痛みを感じにくくなる効果が表れます。


持続時間は塗布してからおよそ3時間です。



全身脱毛の場合は長くても60分~90分ほどで照射が終わるので、途中で麻酔が切れることはほとんど考えられません。
笑気麻酔
医療脱毛で2番目に多く使われるのが笑気麻酔です。


笑気ガスを鼻から吸い込むタイプの麻酔で、クリームよりも早く麻酔効果が表れる、全身に効果があるのが特徴です。
痛みを軽減させるだけでなく、不安や恐怖心・緊張感が減少して多幸感、身体が温かく感じるとされています2)。
ぼーっとしたりお酒に酔った感覚になる方もいて、医療脱毛の痛みへの怖さを感じている方に適した麻酔です。
笑気麻酔を使用しても、意識がなくなることはありませんし、ガスを吸うのをやめると数分で麻酔が切れます。



吸い始めてから5分ほどで効果が表れるため、待ち時間が少ないメリットがあります。
局所麻酔
局所麻酔といって、麻酔の注射をする方法もあります。局所麻酔は、一部分だけ痛みの感覚を無くしたい時に使用される麻酔です。
痛みを軽減したい部位に注射をする方法ですが、肌に針を刺したときのチクッとした痛みがあります。
一方で、麻酔クリームよりも効き目がよく、レーザー照射をしても「肌に何かが触れている程度の感覚になる」といったメリットも。



歯科医院などで使用されることの多い局所麻酔ですが、医療脱毛クリニックで扱うところは多くありません。
静脈麻酔
静脈麻酔は点滴タイプの麻酔です。
女性専門の医療脱毛クリニックではまず使用されませんが、痛みが強い傾向がある男性のヒゲ脱毛では使用されるケースがあります。
全身麻酔の一種で、寝ている間に照射が終わるといわれるほど効果が高いのが特徴です。
一方、麻酔6時間前から絶食の必要があったり、麻酔が完全に切れるまでに時間がかかったり、当日の車の運転が禁止されたりと、デメリットも多くなります。



医療脱毛では静脈麻酔が必要なほどの痛みにはならない理由から、使用しているクリニックが少ないです。
麻酔テープ
麻酔テープは、薬剤のついたテープ(3×5cm)を皮膚に貼って麻酔の効果を得ます。
麻酔クリームと同様に、30分~1時間ほど貼っておくと効果が現れます。
麻酔テープにもリドカインが含まれていますが、麻酔範囲がテープの大きさに限られるためやや使い勝手が悪く、医療脱毛で麻酔テープを使用しているクリニックはまれです。



パーツごとの脱毛では有効ではありますが、デコボコした部分には貼りにくいのであまり使われていないのが現状です。
そもそも、医療脱毛をする時に麻酔は必要?
ここまでは麻酔の種類を紹介してきましたが、そもそも医療脱毛をする時に麻酔は必要なのでしょうか。
以下で、麻酔の必要性を部位ごとに解説しています。
医療脱毛で麻酔は必須ではない
医療脱毛の痛みは、よく「輪ゴムでパチンと弾かれるような痛み」と表現されます。
とはいっても、痛みの感じ方には個人差がありますし、うぶ毛のような部分では痛みをほとんど感じないので麻酔の使用は必須ではありません。
また、2000年以降に登場した蓄熱式脱毛機や、冷却機能付きの脱毛機では痛みの少ない医療脱毛ができます。
実際に麻酔が使用できるクリニックであっても「痛みが少ないので麻酔を使用する方はほとんどいません」と言われることも。



部位にもよりますが、医療脱毛は我慢できないほどの痛みはまれ。どうしても痛みが苦手・不安な方のみ麻酔の使用を検討しましょう。


痛みを感じやすいVIOは使用したほうが安心
VIOはほかの部位に比べて痛みを感じやすい傾向がありますので、麻酔を使用したほうが安心して脱毛ができます。


VIOが痛みを感じやすい理由
- 太い毛が生えている
- 毛が密集している
- 皮膚が薄くデリケート
- 色素沈着がある
脱毛機の進化によってそこまで痛みの心配がいらなくなってきている医療レーザー脱毛ですが、太い毛が密集しているVIOラインはやはり痛みを感じやすい部位です。
VIOの痛みは、針で刺されるような痛みであったり、輪ゴムで強く弾かれるような痛みをイメージすると分かりやすいです。


Vラインの形を整えるくらいであればあまり心配は必要ありませんが、ハイジニーナの場合は範囲が広いので施術時間も長く、Vラインの下のほうやIライン、Oラインは痛みを感じやすい傾向があります。
3回・4回と照射を重ねると毛量が減ると同時に痛みも少なくなりますが、痛みが心配な方でハイジニーナをご希望の場合、最初の数回は麻酔を使ったほうが安心です。



痛みを感じやすい部位ですが、脱毛が進むと生理がラクになったり、ムレにくくなったりとメリットが大変多いのがVIO脱毛です。
もっとも痛いと言われるヒゲは麻酔を使用する人も多い
男性のヒゲは、医療脱毛のなかで最も痛いと言われる部位です。とくに、鼻下は痛みが強い傾向があります。
ヒゲが痛みを感じやすい理由
- 皮膚が薄い
- 濃く根深い毛が生えている
- 骨に近い
- 顔には神経が多い
男性のヒゲは1本1本が太く、根深い毛が生えています。根元までエネルギーを届けるために出力も高くなるので、痛みを感じやすいです。
「ヒゲは最も痛い」と聞くとヒゲ脱毛への恐怖感が強くなってしまうかもしれませんが、ヒゲがもともと薄い方や痛みに強い方は、あまり痛みを感じずに脱毛を終えるケースもあります。
最終的にはクリニックと相談しながら麻酔を使うか否か決めていきますが、ヒゲ脱毛を検討中の方は念のために麻酔が無料のクリニックや麻酔の種類が多いクリニックを選ぶと安心です。



ヒゲ脱毛は、毎日の髭剃りが不要になる、清潔感が出る、自己処理による肌荒れがなくなるメリットがあります。
全身脱毛では全身に麻酔を使用できる?



全身脱毛コースでは、全身に麻酔を使用できるわけではないので注意が必要です。
笑気麻酔はリラックスした状態で痛みを感じにくくする麻酔なので、全身の脱毛に有効です。
問題となるのは、麻酔クリームや局所麻酔を使用する場合です。麻酔クリームは1回に使用できる上限が決まっていますので、全身には使用できません。
たとえば痛みを感じやすい剛毛部分のワキや、顔のみ、VIOのみに使用するのが一般的です。



胸・お腹・背中・二の腕・太ももでは痛みを強く感じるケースはほとんどないので、麻酔を使用しなくてもよいでしょう。
麻酔料金の値段はいくらが相場?



医療脱毛の麻酔料金は、1部位1100円~3300円程度が相場です(麻酔クリームの場合)。
医療脱毛の麻酔値段相場
麻酔クリーム | 1100円~3300円/1部位 |
笑気麻酔 | 3300円~1万円/1回 |
麻酔クリームの値段は1部位あたりいくら、と決められているクリニックが多いです。
VIOに使用する場合は3部位として換算され、たとえば1部位1100円のクリニックではV+I+Oの3部位で3300円となります。
このほか、麻酔クリーム1本の値段で麻酔料金が設定されている場合もあります。
麻酔クリームを使用する場合、予約時間よりも30~1時間ほど早く来院して麻酔が効いてから脱毛に入るクリニックと、自宅で塗布してから来院するクリニックに分かれます。
一方、笑気麻酔の値段相場は3300円~1万円程度です。
笑気麻酔の場合、1回の料金設定をしているクリニックと「30分で〇円」のように時間制のクリニックがあります。
麻酔の提供がなく「麻酔を使用したい場合はご自身で購入して塗布してから来院してください」といったクリニックもごく少数ですがあります。
実際のところ麻酔は通販でも購入が可能です。しかし、そもそも麻酔薬は医薬品(医薬品は資格を持った人しか販売できません)。
通販で購入できるものは、濃度が低く効果の弱いものであったり、輸入品であり安全性が確保されていない可能性もあります。



ネットショッピングなどで麻酔を購入するのはとてもリスクの高い行為と言えますので、麻酔は必ず医療機関で処方してもらうようにしてください。
麻酔が無料の医療脱毛クリニック一覧
麻酔が無料の医療脱毛クリニックを下記にまとめました。全身脱毛・VIO脱毛料金も合わせて比較していますので、参考にしてください。
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医院名 | DMTC美容皮膚科 | レジーナクリニック | フレイアクリニック | ブリリアスキンクリニック | グロウクリニック | ジェニークリニック | アイリービューティークリニック |
全身脱毛 | 9万9000円(5回) | 12万1000円(デビュープラン5回VIO付) | 13万4600円(クイック5回VIO付) | 21万円(5回) | 16万8000円(5回) | 12万5000円(5回) | 18万円(5回) |
VIO | 9万円(5回) | 9万9000円(5回) | 6万6000円(5回) | 9万2000円(5回) | |||
麻酔代 | 無料 | 無料 | 無料 | 無料 | VIO・ワキ無料 | 無料 | 無料 |
キャンセル料 | 前日まで無料 | 2日前20時まで無料 | 前日まで無料 | 無料 | 期間中1回無料 | 無料 | 前日まで無料 |
詳細 |



医療脱毛クリニックを選ぶ際は、麻酔料金だけでなくキャンセル料や通いやすさも比較しましょう。
麻酔が効かないケースはある?



医療脱毛で麻酔を使用しても、体調や体質によってまれに効かない場合もあります。
麻酔が効かないのはどんなとき?
- 寝不足・体調不良のとき
- 生理中でホルモンバランスが乱れているとき
- 鎮痛剤や抗うつ薬をよく服用する方
- お酒に強い人は笑気麻酔が効きづらい場合も
痛み止めのお薬や抗うつ薬、向精神薬などを長期間に常用している方は麻酔薬を早く分解してしまうので、結果として麻酔が効きづらくなります。
さらに、お酒に強い方は笑気麻酔が効きづらい場合も。また、寝不足や体調不良、生理中は痛みを強く感じやすくなります。
麻酔の使用有無にかかわらず、脱毛前には体調をととのえ、生理日を避けるようにしましょう。



自分は麻酔が効きづらいタイプではないかと心配な方は、クリニックで麻酔について事前に相談してくださいね。
医療レーザー脱毛は、レーザーをメラニン(黒い色)に反応させることで発生する熱により、発毛組織を破壊し脱毛します。
レーザー照射後は、以下のような副作用があらわれる可能性があります。
- 赤み、腫れ
- やけど
- 毛嚢炎
- 硬毛化、増毛化
- 埋没毛(埋もれ毛)
- 皮膚や毛の状態によっては、赤いブツブツが出ることがありますが、数時間~数日で消失します。
- 脱毛部分に赤みがある時は日焼けを避けてください。通常脱毛3週間は外出の際、脱毛部を露出する服装を控えていただくか、日焼け止めクリームなどをご使用ください。それでも稀に色素沈着が生じたり、逆に色素が抜けたりすることがあります。
- 脱毛部位にあるホクロ・シミ・あざなどは、レーザー脱毛に伴い取れてしまったり薄くなったり、あるいは濃くなることがあります。
- 毛穴に残った毛が黒く見えることがありますが、徐々に外に出て行きます。毛抜きで抵抗感なく抜けるものは抜いて構いませんが、無理に取ろうとして先の尖ったピンセットなどで掘ったりしないでください。
参考文献
- 外用局所麻酔剤リドカイン・プロピトカイン配合クリームのレーザー脱毛時における有用性の検討/国際親善総合病院 皮膚科
- 吸入鎮静法/松本歯科大学院健康増進口腔科学講座
- エムラクリームをご使用の患者さんへ/佐藤製薬株式会社