二重整形手術は腫れる?全切開ダウンタイム写真で学ぶ3大腫れ予防

全切開 二重手術 ダウンタイム 写真

東京で美容外科医をしている齋藤隆文(形成外科専門医)です。当サイトで、美容コラムを担当しています。この記事の一番最後に、現在の東京での診療案内を載せていますので、受診希望の方は私のホームページの問い合わせフォームからお問い合わせください。

理想的な二重まぶたを手に入れたい。

ふたえ まぶた いいな

これは今や、日本でもっとも多いお顔の美容的な要望、リクエストの一つとなっています。

巷には、まぶたマッサージやアイプチ、埋没法手術、全切開二重ぜんせっかいふたえ手術、など、様々なキーワードと共に魅力的な広告が並び、自分に合った治療を探し当てるのも一苦労です。

そんな中で、一番リスクが高いとされているのが、全切開二重術、切開重瞼術せっかいじゅうけんじゅつという術式です。いわゆるメスで切ることで二重まぶたのラインを作ることを目的とした治療です。

実際には、適切な診断とバランスのとれたデザインによって、理想的な二重まぶたを得られるとても素晴らしい治療なのですが、間違った診断や治療方法による残念な手術結果や、ひどい術後ダウンタイムのお写真が世に出回っているのも事実です。

今回はこういった切開術の負の側面の中から、ダウンタイムを取り上げて解説してみたいと思います。

ダウンタイムをできるだけ抑える手術方法というのは確実に存在しますし、うまく手術をしてもらえればダウンタイムはそれほどひどくなりません。内出血と浮腫みを減らすために努力してくれるドクターを探しましょう。

また、術後に自分で気をつけることで、ダウンタイムを最小限にする大事なポイントを理解しておくことも重要です。具体的なポイントは以下の3つです。

  1. 手術直後にまぶたを冷やして、出血が十分に治まるまで軽く圧迫してもらいましょう。
  2. 就寝時しゅうしんじは、枕を高くして寝るようにしましょう。
  3. 手術の翌日からは、引きこもらずにお散歩程度の外出は続けましょう。

ンタイムを抑えた全切開ふたえ手術についての知識がわかりやすく整理されます。ぜひ手術前のドクター選びの参考、手術前の心の準備にうまくご活用ください。

目次

埋没法よりも全切開が腫れるのは、ずばり、皮膚を切るからです

患者さん

皮膚を切るから腫れるって!
そんなもん当たり前やがな!!

出だしからドぎついツッコミを浴びたわけですが、これ、実はとても重要なことなんです。

まず、そもそもまぶたが術後に腫れてしまう原因には2つあると考えられています。

1つ目は、皮膚の下にある血管を傷つけてしまうことで内出血が起きてしまうと、術後にまぶたは大きく腫れてしまいます。

2つ目は、皮膚の下のお肉が糸で縛られることで、血液やリンパ液などの体液の循環じゅんかん、いわゆる血の巡りが悪くなることでむくんでしまう場合も、やはり腫れは強くなってしまいます。

実はこの1つ目の原因は、埋没法であっても起こる可能性があります。というのも、糸がついた針をまぶたに通して二重のラインを作るのが埋没法の手術方法になるので、この針先が血管に当たる可能性はゼロにはできません。

また、2つ目も同じです。埋没法で皮膚の下を通した糸は最終的に縛りしばり上げて、糸玉を皮膚の裏に埋め込むことで手術は完了します。

なので、この縛る力が強い場合も、首を絞められるのと同じように、まぶたの血の巡りは悪くなって浮腫みにつながるわけです。

ですので、埋没法であっても、手術のやり方によって、とんでもなく腫れたり、逆に最小限の腫れに抑えられたりすることになります。

そんな中、埋没法よりも絶対に切開法のほうが腫れやすいのにはそれぞれに理由があります。

1つ目の血管を傷つけるリスクについては、穴を開けて針を通すだけの埋没法と違って、全切開では文字通り皮膚を切開することになりますので、もちろん血管を切ってしまうリスクは埋没法よりも高くなります。

2つ目についても、体液の循環している血管やリンパ管が皮膚の下に走っているので、これを切ることで体液の巡りが悪くなってしまうことになります。

いかにこういったリスクを避けるか。そこが、外科医の腕の見せどころ、ということになります。

外科医 風景

ダウンタイムを左右するのは、もちろんドクターの技術が最重要

さて、オリンピック真っ只中ですが、今日は急に執筆意欲が湧いてきました。というのも、とあるオリンピック選手の素晴らしいネットニュース記事を読んでしまったのです。

7月30日付で配信された、”「食いぶち減らすため」 アーチェリー女子インド代表、3度目の五輪”という記事です。

インドで最も貧しい地域の一つと言われる北部ビハール州(現ジャールカンド州)で生まれ育った同選手は、「自分がいなくなれば1人分の食いぶちが減り、少しは家族が楽になる」という理由から、実家を出てアーチェリーを始めたそうです。

自作の弓で過酷な練習を積み、世界ランキング1位になるまでの成長を遂げた同選手ですが、今回のオリンピックでは準々決勝で敗退してしまったようです。ですが、破れた際のインタビューで残した一言が、とても印象的でした。引用します。

試合後、記者から「世界中で、かつてのあなたのような子供たちがこの試合を見ていたはずだ」と水を向けられると、クマリは口調に力を込めた。

「これだけは言える。決意を固め、熱意を持って取り組めば、人生は前に進む」

特に、本来の力を出しきれなかったと悔やまれた試合の直後でも、このような一言が自然と出てくるということに、この方のすさまじい決意、熱意を思い知らされるとともに、強く背中を押してもらえたような、そんな気分に包まれました。

これは、外科医においても非常に重要な一言だと感じています。

ダウンタイムを最小限に抑えるためには、まぶたの構造(解剖かいぼう、といいます)を深く正確に理解し、腫れる原因とその対処法について一つ一つ整理し、正確で丁寧な手術手技でそれらを確実に進めていかなくてはなりません。

お顔の専門家としての決意と、自然で美しいまぶた作りに対する熱意とともに、日々、努力を積み重ねた先にこそ、そういった理想的な治療が見えてくるのだと思います。

ドクターを話をするだけでも、こういった心を持って仕事に取り組んでいるかどうかは、なんとなく感じられるものだと思います。

ドクター選び、これが一番重要であり、また一番難しいことでもあります。自分のまぶたを任せられるような人間であるか、ぜひ丁寧に選んでいただけたらと思います。

実際の全切開手術のダウンタイムを見ながら、3大腫れ予防策を学ぶ

先ほどからご説明させていただいている通り、美容目的のいわゆる全切開二重手術ぜんせっかいふたえしゅじゅつや眼瞼下垂症手術がんけんかすいしょうしゅじゅつの代表的なデメリットとして、ダウンタイムが長いことがよく指摘されます。

しかしながら、まぶた手術のダウンタイムは術式と個人のまぶたの特徴によって大きく異なってきます。

全切開ふたえ手術 術前 写真

この方は、左右差のあるまぶたの治療希望で受診され、眼瞼下垂症手術がんけんかすいしょうしゅじゅつを併用して行いました。

まぶたの構造の一番深くまで操作して治療する眼瞼下垂症手術の場合でも、以下のような場合には、それほどダウンタイムはひどくなりません。

  1. 薄いまぶた
  2. 無理のない自然な二重ラインに沿ったデザイン
  3. 皮膚や筋肉、脂肪をあまり切除しなくて良いケース

これらのポイントは、最初に説明したような腫れの原因をできるだけ減らす方向に進めることのできる特徴です。

ドクターの診察を受けることで、自分は腫れやすくダウンタイムが長引くタイプなのか、あるいは切開をしてもあまり腫れずに済むタイプなのか、といったことを教えてもらうことができます。

この方のようなタイプのまぶたがどのようなダウンタイムを送るのか、実際の経過写真を見てみたいと思います。

全切開ふたえ手術 術直後
全切開ふたえ手術POD1
全切開ふたえ手術POD4
全切開ふたえ手術POD23

これが、手術の直後から術後23日目までの経過です。糸を抜いたのはこの術後4日目の時点です。術後23日目でも腫れはだいぶ落ち着いていますが、さらにまぶたは自然な状態へと向かっていきます。

全切開ふたえ手術 術前 写真
全切開ふたえ 手術 術後2ヶ月 写真

術後2ヶ月目には、90%程度の腫れは引いてしまいます。まぶたの開きも改善し、バランスの取れた自然なふたえになりましたよね。

ダウンタイムは自分の努力でも減らすことができる

では、自分でダウンタイムを抑えるためにできることはないのでしょうか。以下に代表的なダウンタイムを抑えるためのポイントを挙げてみます。

  1. 手術直後にまぶたを冷やしてもらいましょう
  2. 就寝時は、枕を高くして寝るようにしましょう。
  3. 術翌日からは、引きこもらずにお散歩程度の外出は続けましょう。

内出血を減らし、術後の浮腫みを抑える工夫をすることで、早く腫れを減らすことが可能です。

外来では、こういったポイントを手術前にご説明して、ダウンタイムが少なくなるように協力して治療していきます。

まとめ

今回は、全切開二重手術ぜんせっかいふたえしゅじゅつにおけるダウンタイムについて解説しました。

術後の腫れという最も気になるダウンタイムを減らすために、ドクターがどういった努力をしているのかについて、だいたいのイメージがついたかなと思います。

当たり前のことですが、そういった努力を日々積み重ねて、より良い手術を提供してくれる外科医を探すことが一番重要です。

そして信頼できる外科医を見つけることができたら、上記で解説したような術後の腫れを抑える工夫をしっかりと取り入れて、ダウンタイムを最小限にして理想のまぶたを一日も早く手に入れましょう。

皆さんのまぶた治療にとって、少しでもお役に立てれば幸いです。

参考文献
  1. Evidence-Based Medicine: Blepharoplasty
    Drolet, Brian C.; Sullivan, Patrick K. Plastic and Reconstructive Surgery. 133(5):1195-1205, May 2014.
  2. Blepharoplasty Complications
    Lelli, Gary J. Jr; Lisman, Richard D. Plastic and Reconstructive Surgery. 125(3):1007-1017, March 2010.
ご注意いただきたいこと
  • 患者さんの個人情報の保護のため、ご本人とのお話の内容は一部変えています。あくまで、一般的な治療の流れを理解していただくための、イメージだと考えてください。
  • 治療の効果には個人差があります。主治医から十分な説明を受け、リスクや副作用についても納得してから手術を受けましょう。

治療についてのご相談や受診のお問い合わせについては、当HPトップページの予約フォームからご連絡ください。

今回の治療について

施術内容:眼瞼下垂症手術(挙筋前転

費用:挙筋前転法 約50万円 (モニター制度あり)

*眼瞼下垂症と診断された場合は保険適応となる場合があります
*全切開重瞼術のみの場合 約38万円(モニター制度あり)

リスク:腫れ、内出血、痛み、違和感、左右差や後戻り、ドライアイ、眼瞼痙攣、霰粒腫、など

齋藤隆文医師には下記の医療機関で受診できます。HPトップページからご予約ください。
  • 加藤クリニック麻布 月曜日水曜日土曜日 初診外来 予約制
  • 聖路加国際病院 形成外科 金曜日 初診外来 予約制
    *HPトップページに予約可能なお日にちとクリニックのカレンダーを掲載しています

この記事を書いた人

齋藤 隆文(さいとう たかふみ)
日本形成外科学会認定専門医
神戸大学医学部医学科卒
現在は加藤クリニック麻布、聖路加国際病院に所属。専門はお顔の美容外科、特に鼻の治療。

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